今回は、兵庫県のドクターヘリをめぐる問題について取り上げます。整備士不足による運休が相次ぎ、今後の運航体制にも不安が出ている中で、兵庫県の守本真一副知事らが上野健一郎厚生労働大臣に要望書を提出しました。
この問題は、単に「ヘリが飛ぶか飛ばないか」という話にとどまりません。兵庫県北部の救急医療、但馬地域の命を守る体制、国と県の役割分担、そして斎藤元彦兵庫県知事本人がこの局面でどう動いたのかという県政上の問題にもつながっています。
ドクターヘリ体制再構築を国に要望
今回のテーマは、「ドクターヘリ厚労大臣要請、副知事丸投げ」というものです。
動画内では、兵庫県の森本新一副知事や養父市の藤岡市長らが、豊岡市を訪れた上野健一郎厚生労働大臣に対し、ドクターヘリの運航体制再構築を求める要望書を提出したと紹介しています。
整備士不足によって、兵庫県内を運航するドクターヘリの長期的な運航停止が懸念されています。兵庫県北部にとって、公立豊岡病院は重要な医療拠点です。その地域に厚生労働大臣が来たタイミングで、県側が要望書を出したという流れです。
ただ、ここで私がまず疑問に感じたのは、「なぜ副知事なのか」という点です。
もちろん、副知事が対応すること自体が制度上おかしいという話ではありません。しかし、県民の命に直結するドクターヘリの問題であり、しかも国の大臣に要望する場面です。県政のトップである知事本人が行かないのか、という疑問は、多くの人が持つのではないでしょうか。
NHK報道として紹介された内容
動画内では、NHKがこの件を詳しく報じているとして、次のような内容を紹介しています。
兵庫県内では、整備士不足からドクターヘリの運休が相次いでおり、救急医療の現場に影響が出る恐れがある。そのため、兵庫県の副知事が20日、上野厚生労働大臣と面会し、整備士の確保など、安定的な運航体制の構築を要望した、という内容です。
また、動画内では、兵庫県内を運航するドクターヘリについて、2025年夏以降、整備士不足による運休が相次いでいると説明されています。来月7月については、2週間程度は運航できる体制を確保しているものの、その後の見通しは立っていない、という趣旨の内容も紹介しました。
ここで重要なのは、夏場に入るという時期です。
夏は熱中症、水辺での事故、山でのけがなど、救急搬送の需要が増えることは想定しやすい季節です。もちろん、実際の件数はその年の気象条件や事故状況によって変わりますが、少なくとも「需要が減る」と楽観できる状況ではありません。
その中で、ドクターヘリが十分に飛べないとなれば、ドクターカーなど別の手段に頼らざるを得なくなります。しかし、ドクターカーにも人員・車両・運用コストがかかります。ヘリの代替として簡単に済む話ではありません。
要望書で求められた内容
動画内では、兵庫県側が提出した要望書の内容として、主に以下の点が紹介されています。
まず1点目は、ドクターヘリの公共性の高さを踏まえ、国が主導して、ドクターヘリ運航停止地域における運航体制の確保を図ることです。あわせて、中長期的な視点に立ち、持続可能で広域的なドクターヘリ運航体制の再構築に取り組むことも求めています。
要するに、目先の運航体制を何とかするだけでなく、将来的にも継続できる仕組みを作ってほしいという要望です。
2点目は、整備士同乗ルールなど、ドクターヘリ独自のルールについて、明確な基準を示した上で、関係機関の理解を得た新たなルールを策定することです。新たなルールの策定前であっても、都道府県などからの運航体制に関する相談や協議には、迅速かつ柔軟に対応するよう求めています。
3点目は、ドクターヘリの操縦士や整備士など、専門人材の確保・養成に積極的に取り組むことです。
4点目は、2025年度補正予算に関わる「ドクターヘリ運航体制緊急支援事業」についてです。緊急的な運航体制の確保に生じる追加経費、ドクターカーなど運航停止をカバーする体制の構築に必要な人件費や必要経費などを、幅広く補助対象とするよう求めています。
かなりシンプルに言えば、「人」と「お金」を国に求めたということです。
整備士や操縦士のような専門人材は、一朝一夕で育つものではありません。財政支援も、現場の医療体制を維持する上では避けて通れない問題です。
動画内では、要望書を受け取った上野厚生労働大臣が、「できるだけ要望に沿った形で実現できるよう取り組んでいきたい」という趣旨の発言をしたと紹介しています。
ヒラタ学園、鳥取県との比較、兵庫県の後手感
このドクターヘリ問題では、ヒラタ学園の役割も大きかったと動画内では触れています。
一方で、鳥取県など、他の自治体では別の対策も進めていたとされ、兵庫県の対応は後手後手だったのではないか、という見方も示しました。
もちろん、運航事業者や整備士不足という問題は、兵庫県だけで完結する話ではありません。全国的な航空人材の確保、民間事業者の運営体制、国の制度設計も関係してきます。
ただ、それでも県として事前にどこまで備えていたのか。運休が相次ぐ前に、どの段階で危機感を持っていたのか。ここは、県民から見れば非常に重要な検証ポイントです。
出動件数と救急医療への影響
動画内では、菅野完さんの投稿内容として、兵庫県のドクターヘリ出動回数は全国一であり、公立豊岡病院但馬救命救急センターだけでも年間1812回を超える、という趣旨の内容を紹介しています。
また、動画内では、公立豊岡病院の出動回数として、令和4年にドクターヘリが1812件、ドクターカーが2695件という数字も紹介しました。
ただし、この数字については、動画内発言ベースです。元資料では、令和5年や令和6年のデータが確認できないのではないか、更新が止まっているのではないか、という疑問も動画内で述べています。
もし直近の正確な出動件数を見るのであれば、公立豊岡病院や兵庫県、関係機関の最新資料を改めて確認する必要があります。
しかし、少なくとも動画内で示されている数字を見る限り、但馬地域におけるドクターヘリ・ドクターカーの存在は極めて大きいものです。単なる交通手段ではなく、救急救命のインフラとして機能していると考えるべきです。
なぜ斎藤知事本人が要望に行かないのか
今回、私が特に問題だと感じたのは、斎藤元彦兵庫県知事本人が、なぜ厚生労働大臣への要望に行かなかったのかという点です。
動画内では、6月20日の知事日程として「各種団体行事・神戸市」と紹介されています。つまり、知事本人は神戸市内で別の行事に出ていたという説明になります。
もちろん、知事には多くの公務があります。すべての要望活動に本人が出ることは現実的ではありません。
しかし、ドクターヘリは県民の命に関わる問題です。しかも、兵庫県北部の救急医療を支える重要な仕組みです。厚生労働大臣が豊岡市に来ており、県として要望書を出すのであれば、知事本人が前面に出るべき場面ではなかったのか、という疑問は残ります。
これは、「副知事が悪い」という話ではありません。むしろ、副知事や関係自治体の市長らが動いたこと自体は必要な対応です。
問題は、県政トップとしての優先順位です。
県民の命に関わる重大案件に対して、知事本人がどういう姿勢を示すのか。ここが問われているのだと思います。
知事のSNS発信と県民感覚のズレ
動画内では、斎藤知事のXやショート動画の発信についても取り上げました。
知事は週末に向けた投稿として、雨模様の週末、ワールドカップ観戦、スポーツ、グルメなどに触れ、「和やかな週末をお過ごしください」という趣旨の発信をしていたと紹介しています。
また、動画内では、知事が飲食を楽しむような発信をしていることに対して、ドクターヘリ問題との温度差を感じる、という私の見方を述べています。
ここで言いたいのは、「酒を飲むな」「焼き鳥を食べるな」「グルメ投稿をするな」という話ではありません。
問題は、県民の命に関わるドクターヘリの運航問題がある中で、知事の発信がどのように見えるかという点です。
政治家や首長の発信は、内容そのものだけでなく、タイミングや文脈によって受け止められ方が変わります。危機対応が問われている時に、楽しそうな食事や週末の話題ばかりが前に出ると、「本当にこの問題を重く見ているのか」と疑問を持つ人が出るのは自然だと思います。
コメント欄に見える支持層の空気
動画内では、斎藤知事のショート動画のコメント欄についても触れています。
そこには、「斎藤知事ありがとうございます」「兵庫県民でよかった」「県外からも応援しています」「公務が忙しい中、街ぶら動画を上げてくださりありがとうございます」といった趣旨のコメントが並んでいると紹介しました。
また、「カツサンド」「トンカツ」「アンチに勝つ」といった言葉遊びのような反応も見られると述べています。
一方で、ドクターヘリの問題については、「すんなりと解決するのは難しいことがよく分かった」といった受け止め方も紹介しました。
私としては、ここにも違和感があります。
もちろん、知事を支持すること自体は自由です。政治的立場や評価は人によって違って当然です。
しかし、救急医療のインフラに関わる問題まで、応援ムードや雰囲気で流してよいのか。ここは、支持・不支持を超えて考える必要があると思います。
ドクターヘリが飛べるかどうかは、政治的な好き嫌いとは別の次元の話です。県民の命、観光客の命、山や海で事故に遭った人の命に関わる問題です。
映画『偏向報道』をめぐる動き
動画の後半では、映画『偏向報道』についても取り上げました。
動画内では、この映画が兵庫県知事騒動をモチーフにしたものとして紹介されていること、またおぎのきんしろう監督や新田哲史さん、浜田聡氏らに関連する投稿が取り上げられていることに触れています。
映画を見た人たちの感想として、「テレビ局の実態を考えさせられた」「報道のあり方を考えるきっかけになった」といった趣旨の投稿がある一方で、上映状況や観客数について揶揄するような投稿も紹介しました。
また、よろず〜ニュースで映画『偏向報道』が取り上げられていたことにも触れました。動画内では、神戸新聞やデイリーとの関係についても疑問を呈しています。
ここで私が問題にしているのは、映画そのものを見たかどうかというより、兵庫県知事問題をめぐって「報道が偏向していた」という物語が、どのように広がっているのかという点です。
兵庫県政をめぐる問題は、パワハラ疑惑、公益通報、百条委員会、メディア報道、SNS世論など、複数の要素が絡み合っています。そこに「偏向報道」という言葉が強く持ち込まれると、事実関係の検証よりも、陣営ごとの物語が先に立ってしまう危険があります。
「偏向報道」という言葉の使われ方
動画内では、荻野監督が報道現場出身であることや、報道現場で「忘れる」ことを教え込まれるという趣旨の説明を紹介しました。
その上で、映画『偏向報道』を支持する人たちの間では、「マスコミは何でもありになっている」「テレビ局の実態を多くの人が知るべきだ」といった受け止め方があると紹介しています。
もちろん、報道機関に対する批判はあってよいと思います。報道が常に正しいわけではありませんし、検証されるべき点は多くあります。
ただし、「偏向報道」という言葉は非常に強い言葉です。
その言葉を使うなら、どの記事のどの部分が、どの事実に照らして、どのように偏っていたのかを具体的に示す必要があります。そうでなければ、単に自分に都合の悪い報道を「偏向」と呼ぶだけになってしまいます。
兵庫県知事問題でも、本当に大事なのは、誰が好きか嫌いかではなく、何が事実で、行政として何が適切だったのかです。
ドクターヘリ問題は「命のインフラ」の問題
改めて、今回の中心はドクターヘリです。
兵庫県北部にとって、ドクターヘリは単なる移動手段ではありません。救急救命の現場に医師を早く届けるための重要なインフラです。
整備士不足、操縦士不足、運航事業者の限界、財政支援の不足。これらは、どれも一つの自治体だけで簡単に解決できる問題ではありません。
だからこそ、国に要望すること自体は必要です。
しかし同時に、県としてどの時点で危機を把握し、どのような対応を取り、どこまで代替策を準備していたのかは、検証されるべきです。
「7月の全面運休は回避できました」と言っても、動画内では「2週間程度の運航体制が確保されたにすぎない」と説明しています。全面運休を避けたから安心、という段階ではありません。
その後の見通しが立っていないのであれば、県民に対して丁寧に説明し、国への要望だけでなく、県としての具体策も示す必要があります。
私が今回一番言いたいこと
今回の件で私が一番言いたいのは、ドクターヘリ問題を政治的な応援合戦にしてはいけないということです。
斎藤知事を支持する人も、批判する人もいるでしょう。それは当然です。
しかし、ドクターヘリが飛べるかどうかは、支持・不支持とは別の問題です。命の問題です。
厚生労働大臣への要望に副知事らが対応したこと自体は、必要な動きです。ただ、県政トップである知事本人がどのような優先順位で動いていたのか、県民にどう説明するのかは、しっかり問われるべきです。
そして、SNSでの発信やグルメ動画、支持コメントの盛り上がりとは別に、兵庫県の救急医療体制が本当に守られているのかを見ていく必要があります。
ドクターヘリは、飛んでいる時には当たり前のように見えるかもしれません。しかし、飛べなくなって初めて、その重要性に気づくようでは遅いのです。
今回の問題は、兵庫県政の危機管理、医療体制、国との連携、そして知事の説明責任を考える上で、非常に重要なテーマだと思います。
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