斎藤知事が記者を刑事告訴 会見排除の前例となるのか

政経プラスチャンネル

この記事は、政経プラスチャンネルのYouTube動画の内容をもとに、ブログ掲載用に読みやすく再構成したものです。固有名詞・数字・日付については可能な範囲で確認していますが、最終的な正確性については元動画および一次資料もあわせてご確認ください。

 

兵庫県の斎藤元彦知事が、定例記者会見で「人殺しやないか、お前は」などと発言したフリージャーナリストを、名誉毀損容疑で刑事告訴していたことが報じられました。

問題となっているのは、発言の適否だけではありません。

知事による記者への刑事告訴が、今後「係争中」を理由として、厳しい質問をする記者を会見から外す前例にならないか。今回の動画では、告訴に至った経緯とともに、記者会見の公開性や県民の知る権利に与える影響について考えます。

斎藤知事がフリージャーナリストを刑事告訴

毎日新聞などの報道によると、兵庫県の斎藤元彦知事は、定例記者会見中の発言によって名誉を傷つけられたとして、フリージャーナリストの男性を名誉毀損容疑で刑事告訴しました。

告訴は2026年6月9日付で、兵庫県警生田署に受理されたと報じられています。

問題となったのは、6月3日に兵庫県庁で開かれた定例記者会見での発言です。動画内では、発言した人物について菅野完氏と紹介されています。一方、毎日新聞の記事では「フリージャーナリストの男性」と匿名で報じられていました。

報道によると、男性は会見中、斎藤知事に対して、

「人殺しやないか、お前は」

などと発言したとされています。

なお、刑事告訴が警察に受理されたことは、名誉毀損罪の成立や有罪が確定したことを意味するものではありません。今後、捜査機関による事実関係の確認や法的な判断が行われることになります。

発端となった元西播磨県民局長の懲戒処分

発言が出たのは、斎藤知事のパワーハラスメント疑惑などを告発する文書を作成した、元西播磨県民局長の懲戒処分をめぐる質疑の最中でした。

斎藤知事は、元県民局長が懲戒処分に対して不服申し立てを行わなかったことについて、結果として処分を受け入れたという趣旨の説明をしました。

これに対し、質問していた記者は、元県民局長が百条委員会に提出した文書の内容に触れました。

その文書には、後輩職員らを相手に不服申し立てをすることへの苦悩や、不服申し立てをせずに済む可能性が残っているのであれば、ぎりぎりまで待ちたいという趣旨の記述があったとされています。

元県民局長は、不服申し立てが可能だった期間中に亡くなっています。

そのため記者は、不服申し立てがなかったことをもって、元県民局長が懲戒処分を受け入れたと断定するのは適切ではないのではないかと追及しました。

これに対し、斎藤知事は、

「結果として不服申立てがされなかった」

という説明を繰り返しました。

その直後、フリー記者が、

「死んだやんけ、死んだからできんかったんやろ、人の死を愚弄するな」

と発言しました。

さらに、兵庫県が公開した会見議事録では削除されている不適切な表現が続きました。報道や動画内の説明によると、ここで「人殺しやないか、お前は」という発言があったとされています。

斎藤知事は発言の撤回を要求

斎藤知事は、フリー記者の発言を受けて、記者クラブの幹事社に対応を求めました。

幹事社が「暴言と受け取れるような発言があった」と説明すると、斎藤知事は、問題の発言が取り消されない限り会見を続けられないとして、退席する意向を示しました。

フリー記者は発言を撤回せず、自ら会見場から退出しました。

その後、斎藤知事は会見を再開しましたが、問題となった発言について適切な対応が行われなければ、次回以降の記者会見への対応は難しいとの考えを示しました。

会見の最後にも、斎藤知事は、県民への重要な情報発信の場でこのような発言があったことは看過できないと説明しています。

また、同様の発言をする人物がいる状況では、会見を続けることが難しいという認識を示し、記者クラブに再発防止を含めた対応を求めました。

6月10日の会見では「法的手続きを進めている」と説明

1週間後の6月10日に開かれた定例会見では、別の記者から、問題となったフリー記者を名誉毀損で訴えるのかと質問されました。

質問した記者は、斎藤知事が兵庫県の告発文書問題について「最終的には司法の場で判断される」と繰り返してきたことを踏まえ、今回の発言についても司法の場で争うのかと尋ねました。

これに対し、斎藤知事は次のように説明しています。

「本件については、極めて不適切な発言であり、公人としての受忍限度を超えている面があるというふうに受け止めておりますので、現在、法的な手続きを進めている」

さらに、弁護士と協議、相談しながら手続きを進めていると話し、詳細については代理人に問い合わせるよう求めました。

ところが、報道によると、刑事告訴は前日の6月9日付ですでに生田署に受理されていました。

動画では、6月10日の会見時点で告訴が受理されていたにもかかわらず、斎藤知事が「法的な手続きを進めている」とだけ説明し、刑事告訴や受理の事実を明確にしなかった点も取り上げています。

もっとも、会見で告訴の具体的な内容をどこまで公表すべきだったかについては、捜査や代理人との協議なども関係するため、慎重に考える必要があります。

名誉毀損罪をめぐり何が争点になるのか

動画では、別の法律解説動画を紹介する形で、今回の告訴によって想定される法的な争点も説明しています。

刑法第230条は、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合について、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を定めています。

一方、刑法第230条の2には、公共の利害に関する事実について、専ら公益を図る目的があり、真実であることが証明された場合には処罰しないという特例があります。

公務員に関する事実については、同条第3項に特別な規定があります。

動画内で紹介された法律解説では、「人殺し」という表現が、斎藤知事が具体的な殺人行為を行ったという事実の摘示なのか、それとも、斎藤知事の一連の対応と元県民局長の死との関係を批判する評価的な発言なのかが、争点になり得ると説明されていました。

また、仮に事実の摘示に当たると判断された場合には、その内容に公共性や公益目的があるか、真実性または真実と信じる相当な理由があったかが問題になる可能性があるとの見方も示されています。

ただし、これは動画内で紹介された法律上の見解であり、裁判所や捜査機関の判断が示されたものではありません。

第三者調査委員会の報告書が証拠になるとの見方

動画内の法律解説では、県が設置した第三者調査委員会の報告書が、フリー記者側にとって重要な資料になる可能性があるとも指摘されていました。

第三者調査委員会の報告書では、告発者の特定や懲戒処分など、県による告発文書への対応について、公益通報者保護法上の問題が認定されています。

動画内では、弁護士や元裁判官などが関与して作成した公的な調査報告書が存在することから、発言者が一定の根拠をもって批判したと主張する場合の資料になり得るという趣旨の説明がありました。

ただし、第三者調査委員会の報告書があることと、「人殺し」という表現の法的な正当性が認められることは同じではありません。

表現の意味、発言された状況、聞き手がどのように受け取るか、根拠となった資料などを踏まえ、個別に判断されることになります。

コメント欄では斎藤知事を擁護する意見も相次ぐ

動画では、刑事告訴を報じた記事のコメント欄も紹介しています。

コメント欄には、問題の発言は記者会見の場で許容される範囲を超えており、斎藤知事が刑事告訴したことは当然だという意見が多く見られました。

また、発言者を「フリージャーナリスト」とだけ報じるのではなく、氏名や活動実態を明確にするべきだという意見もありました。

そのほか、次のような主張が投稿されていました。

  • 記者であっても発言には責任を持つべきだ
  • 批判と誹謗中傷は区別しなければならない
  • 記者会見は罵声を浴びせる場ではない
  • 故人を政治的な主張のために利用するべきではない
  • 報道機関側にも会見秩序を維持する責任がある

一方、コメント欄では、発言者の政治的な関係や報道機関とのつながりを指摘する投稿も紹介されていました。

これらはあくまで投稿者による主張であり、動画内でも一次資料による裏付けが示されたものではありません。そのため、事実として扱うのではなく、告訴をめぐってどのような反応が出ているのかを示すものとして見る必要があります。

問題は「菅野氏が好きか嫌いか」ではない

今回の問題について、動画で最も強く訴えているのは、発言者個人への好き嫌いと、制度上の問題を切り分けなければならないという点です。

「人殺し」という表現が適切だったのか。

記者会見の秩序を乱す発言だったのか。

刑事告訴が妥当だったのか。

これらは、それぞれ検討されなければなりません。

しかし同時に、知事が記者を刑事告訴し、その後に「係争中であること」を理由として会見への参加を認めないような運用が始まれば、別の問題が生じます。

今回の動画では、次のような流れが前例になることへの懸念を示しています。

知事が記者を刑事告訴する。

その記者との間で法的な争いがあるとして、記者を会見から外す。

結果として、知事に厳しい質問をする記者が会見に参加できなくなる。

このような仕組みが一度認められれば、今後、別の首長や権力者も同じ方法を使えるようになる可能性があります。

気に入らない記者を刑事告訴し、「係争中だから」という理由で会見から遠ざけられるのであれば、会見には権力者にとって都合のよい記者だけが残りかねません。

これは、特定の記者一人だけの問題ではありません。

記者クラブだけの問題でもありません。

厳しい質問をする記者が会見からいなくなれば、その記者が質問するはずだった事実や、県民が知るべき情報も表に出にくくなります。

不適切な発言への対応と「知る権利」は両立させるべき

もちろん、記者会見であれば何を言っても許されるわけではありません。

質問者は、会見の秩序を守り、他者の人格を不当に攻撃する表現を避ける必要があります。批判や追及をする場合にも、根拠を示し、質問として成立させることが求められます。

一方で、不適切な表現があったことを理由として、その人物による今後の質問まで一律に封じることが妥当なのかは、別に検討しなければなりません。

会見への参加を制限する場合には、少なくとも次の点を明確にする必要があります。

  • どの会見規則に違反したのか
  • 参加制限の決定主体は誰なのか
  • 制限の期間と解除条件は何か
  • 異議申し立ての手続きがあるのか
  • 刑事告訴と会見参加資格をどのように区別するのか

基準が曖昧なまま、その時々の判断で記者を排除できる状態にしてはいけません。

斎藤知事側には、刑事告訴の具体的な内容を捜査に支障のない範囲で説明するとともに、告訴と会見参加の取り扱いをどのように分けるのか、明確な説明が求められます。

記者側にも、厳しい追及と人格攻撃を区別し、県民が理解できる質問を行う責任があります。

どちらか一方だけを無条件に擁護するのではなく、権力への監視と会見秩序の両方を守る仕組みが必要です。

動画終盤で触れられた神戸市役所2号館の再整備

動画の終盤では、今回の刑事告訴とは別のニュースとして、神戸市役所本庁舎2号館の建て替えについても紹介されています。

神戸市役所2号館は1957年に建設された地上8階建ての建物で、1995年の阪神・淡路大震災では6階部分が崩壊しました。その後、改修工事を行いながら使用されてきましたが、老朽化などを理由に建て替えられることになりました。

2026年6月12日には起工式が行われています。

新しい建物は地下2階、地上29階、高さ約135メートルの複合施設となる予定です。市庁舎のほか、オフィス、商業施設、ホテルなどが入ります。

20階以上の高層階には、ヒルトングループの高級ホテル「コンラッド」が入居する予定です。

神戸市は、2030年4月に予定されている神戸空港への国際定期便就航も見据え、富裕層を含む訪日客の取り込みに期待しています。

建物の竣工は2029年9月で、その後、順次供用を開始する予定です。

重要ポイント

  • 斎藤元彦知事は、6月3日の会見で「人殺しやないか、お前は」などと発言したフリージャーナリストを、名誉毀損容疑で刑事告訴したと報じられている
  • 告訴は6月9日付で生田署に受理されたとされるが、翌10日の会見で斎藤知事は「法的な手続きを進めている」と説明するにとどめた
  • 問題の発言の法的評価とは別に、告訴や係争を理由として厳しい質問をする記者を会見から外す前例にならないかが問われている
  • 記者会見では不適切な発言を防ぐ秩序と、権力者に質問する機会の両方を守る必要がある
  • 会見参加を制限する場合には、規則、決定主体、期間、解除条件などを透明にすることが不可欠である

 

タイトルとURLをコピーしました