田久保眞紀被告の不起訴に不服申立てへ 検察審査会が問う判断

政経プラスチャンネル

 

この記事は、政経プラスチャンネルのYouTube動画の内容をもとに、ブログ掲載用に読みやすく再構成したものです。固有名詞・数字・日付については可能な範囲で確認していますが、最終的な正確性については元動画および一次資料もあわせてご確認ください。

伊東市の前市長・田久保眞紀被告をめぐり、静岡地検が公職選挙法違反など3つの容疑を不起訴処分としたことに対し、刑事告発した男性が検察審査会へ審査を申し立てる方針であることが分かりました。

ここで注意しなければならないのは、田久保被告に関する事件がすべて不起訴になったわけではないという点です。

田久保被告は、別の地方自治法違反と有印私文書偽造・同行使の罪ですでに在宅起訴されています。今回不起訴になったのは、その後に追送検された3つの容疑です。

動画では、今回の不起訴処分の内容、静岡地検が示した理由、菊地幸夫弁護士の見解、検察審査会への申立て、さらに市民やネット上から寄せられた反応を取り上げています。

田久保被告の不起訴処分に不服申立てへ

2026年6月12日のテレビ静岡の報道によると、田久保眞紀被告を虚偽公文書作成・同行使等の容疑で刑事告発した千葉県在住の男性が、不起訴処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てる方針を固めました。

報道では、男性は30歳とされ、翌週にも静岡検察審査会へ申立てを行う予定だとされています。

今回の申立ては、裁判所の判決に対する「控訴」ではありません。

検察官が事件を裁判にかけなかった判断、つまり不起訴処分が適切だったのかを、検察審査会に審査してもらう手続きです。

田久保被告はすでに別件で在宅起訴されている

今回の報道を見て、「田久保被告に関する事件はすべて不起訴になった」と受け取った人もいるかもしれません。

しかし、これは正確ではありません。

田久保被告は、実際には東洋大学を除籍されていたにもかかわらず、東洋大学法学部卒業とする経歴を示していた学歴問題に関連して、2026年3月30日に次の罪で在宅起訴されています。

  • 地方自治法違反
  • 有印私文書偽造・同行使

この起訴済みの事件については、今後、刑事裁判が行われることになります。

したがって、田久保氏が現在も「被告」と呼ばれているのは、この3月30日の在宅起訴によるものです。

今回不起訴になったのは、この起訴済みの事件とは別に、6月4日に追送検された3つの容疑です。

今回不起訴となった3つの容疑

静岡県警は6月4日、田久保被告を次の3つの容疑で静岡地検に追送検しました。

公職選挙法違反容疑

報道機関に虚偽の経歴を伝え、それを掲載させたとされる容疑です。

問題となったのは、田久保被告の経歴が記載された立候補予定者調査票の作成や、報道機関への提出に、田久保被告本人が関与したのかという点でした。

虚偽公文書作成・同行使等容疑

市長当選後、市の広報誌に虚偽の経歴を記載した上で発行したとされる容疑です。

田久保被告が、内容の虚偽である広報誌の作成や発行に、どこまで関与したのかが問題となりました。

地方自治法違反容疑

伊東市議会の百条委員会に正当な理由なく出頭しなかったほか、証言や記録の提出を拒んだとされる容疑です。

静岡地検は6月10日、この3つの容疑をいずれも「嫌疑不十分」として不起訴処分にしました。

静岡地検が説明した不起訴の理由

静岡地検は、いずれの事件についても捜査を尽くし、証拠を精査したと説明しています。

その上で、公職選挙法違反容疑については、虚偽の経歴が書かれた立候補予定者調査票の作成や報道機関への提出に、田久保被告が関与したと認めることは証拠上困難だとしました。

虚偽公文書作成・同行使等容疑についても、田久保被告が内容虚偽の広報誌の作成や発行に関与したと認めることは、証拠上困難だと説明しています。

地方自治法違反容疑については、

  • 百条委員会に求められた記録を提出しなかった経緯
  • 百条委員会に出頭しなかった理由
  • 百条委員会での証言内容

などを踏まえ、犯罪の成立を立証するには難があると判断しました。

検察は、以上の理由から3容疑すべてを嫌疑不十分としています。

「嫌疑不十分」と「起訴猶予」は違う

今回の動画で重要な点として取り上げられているのが、「嫌疑不十分」という処分の意味です。

嫌疑不十分とは、捜査をしたものの、犯罪の成立を裁判で立証するための証拠が十分ではないと検察が判断した場合の不起訴処分です。

一方、起訴猶予は、犯罪を行ったことを示す証拠は十分にあるものの、被疑者の年齢、境遇、犯罪の重さ、反省や被害回復の状況などを考慮し、起訴する必要まではないと判断する処分です。

したがって、今回の処分は、

「容疑を立証できるが、情状を考慮して起訴しなかった」

という起訴猶予ではありません。

検察は、田久保被告本人の関与や犯罪の成立を裁判で立証するには、証拠上の難しさがあると判断しています。

ただし、不起訴処分は裁判所による無罪判決でもありません。検察が、その容疑について現段階では裁判にかけないと決定したものです。

菊地幸夫弁護士は「有罪にすることは難しくない」との見解

動画では、テレビ静岡の番組に出演した菊地幸夫弁護士の見解も紹介しています。

菊地弁護士は、警察と検察が集めた証拠からすれば、有罪にすることは難しくないと思うという趣旨の見解を示しました。

一方で、罪の数が増えたからといって、有罪判決を受けた場合の刑が際限なく重くなるわけではなく、量刑にはある程度の相場があるとも説明しています。

田久保被告は、すでに地方自治法違反と有印私文書偽造・同行使の罪で起訴されています。

そのため菊地弁護士は、検察側には起訴済みの事件で有罪にできるとの自信があり、別の容疑を追加しても量刑が大きく変わらないのであれば、起訴済みの事件に絞る方が手続き上は早いと判断した可能性があるという見方を示しました。

ただし、これは菊地弁護士による分析です。

静岡地検が公式に説明した理由は、あくまでも田久保被告の関与や犯罪の成立を裏付ける証拠が不十分だったというものです。

検察が実際に「罪を追加しても量刑が大きく変わらない」と考えて不起訴にしたのかは、公式には確認されていません。

検察審査会は不起訴処分をどう審査するのか

補足として、検察審査会は、選挙権を持つ国民の中から、くじで選ばれた11人の検察審査員が、検察官の不起訴処分が妥当だったかを審査する制度です。

審査の結果は、主に次の3つに分かれます。

  • 不起訴相当
  • 不起訴不当
  • 起訴相当

「不起訴相当」は、検察官の不起訴判断が妥当だったとするものです。

「不起訴不当」は、さらに詳しく捜査した上で、あらためて起訴するかどうかを判断するべきだとするものです。

「起訴相当」は、不起訴処分は適切ではなく、起訴して裁判にかけるべきだとする判断です。

不起訴不当または起訴相当の議決が出た場合、検察官は事件を再検討します。

ただし、審査を申し立てたこと自体によって、直ちに不起訴処分が取り消されたり、田久保被告が起訴されたりするわけではありません。

ネット上では不起訴判断への疑問が相次ぐ

動画では、報道記事に寄せられたコメントも紹介しています。

不起訴処分に疑問を持つ人からは、次のような趣旨の声が出ていました。

  • 卒業証書の真偽や広報誌の記載を考えると、なぜ嫌疑不十分なのか理解しにくい
  • 証拠があるのであれば、最終的な有罪・無罪は裁判所に判断させるべきではないか
  • 公職選挙や百条委員会に関する問題であり、一般的な事件以上に説明責任が求められる
  • 百条委員会や報道機関に関する行為が不起訴になることで、今後の地方自治に悪影響を与えないか

一方で、刑事裁判では検察側に犯罪を立証する責任があり、証拠が十分でない事件を「裁判所に判断してもらえばよい」という理由だけで起訴するべきではないという意見も紹介されました。

日本の刑事司法では無罪推定の原則があります。

不起訴判断に納得できないという市民感情がある一方、検察には、有罪を立証できる見込みを慎重に判断する責任もあります。

この両方の視点を切り分けて考える必要があります。

告発者側は住民訴訟の準備も進める

動画の後半では、田久保被告をめぐる問題を追及している市民や関係者の活動も紹介されています。

クラウドファンディングサイトでは、「伊東市・田久保前市長へ1億円請求する住民訴訟に、あなたの力を貸してください」と題したプロジェクトが実施されています。

 

伊東市・田久保前市長へ1億円請求する住民訴訟に、あなたの力を貸してください。

 

プロジェクトの実行者は、田久保氏の問題を刑事告発した千葉県在住の自治体職員だと説明しています。

プロジェクト側は、田久保前市長の失職後に行われた市長選挙などにかかった費用について、伊東市民とともに責任を追及する住民訴訟を起こす方針を示しています。

また、発信にあたっては、田久保被告に関する問題以外の政治的信条では不要な対立を生じさせないようにし、政治的な立場を問わず広く支援を求めると説明しています。

ただし、1億円の請求が法的に認められるかどうかは、今後の住民訴訟などで判断される問題です。

プロジェクト側の主張や請求額は、現時点で裁判所によって認定されたものではありません。

今回の不起訴で事件全体が終わったわけではない

今回のニュースは、複数の事件と処分が重なっているため、非常に分かりにくくなっています。

整理すると、田久保被告をめぐる刑事手続きには、少なくとも二つの流れがあります。

一つは、2026年3月30日に在宅起訴された地方自治法違反と有印私文書偽造・同行使の事件です。

こちらは、今後、裁判で有罪か無罪かが争われます。

もう一つは、6月4日に追送検され、6月10日に嫌疑不十分で不起訴となった3つの容疑です。

このうち、刑事告発した男性は不起訴処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てる方針です。

したがって、「不起訴になったから田久保氏の事件はすべて終わった」「すべての疑いが晴れた」と整理するのは適切ではありません。

逆に、在宅起訴されたからといって、有罪が確定したわけでもありません。

今後は、起訴済み事件の刑事裁判と、検察審査会が不起訴処分をどのように判断するのかを、それぞれ分けて見ていく必要があります。

重要ポイント

  • 田久保眞紀被告は、地方自治法違反と有印私文書偽造・同行使の罪で、2026年3月30日にすでに在宅起訴されている
  • 6月10日に不起訴となったのは、その後に追送検された公職選挙法違反、虚偽公文書作成・同行使等、地方自治法違反の3容疑
  • 静岡地検は、田久保被告の関与や犯罪の成立を立証するには証拠上の難しさがあるとして、3容疑を嫌疑不十分とした
  • 虚偽公文書作成・同行使等の容疑で刑事告発した男性は、不起訴処分を不服として静岡検察審査会に審査を申し立てる方針
  • 起訴済み事件の裁判と、追送検分の不起訴処分に対する審査は、別の手続きとして整理する必要がある

 

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