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井ノ本元総務部長はなぜ競馬組合へ?停職後の人事を検証

兵庫県政

記事タイプ:個別事例・井ノ本元総務部長の懲戒後人事と刑事手続

兵庫県は、私的情報の漏えいで停職3か月の処分を受けた井ノ本知明元総務部長を、処分終了後に兵庫県競馬組合の副管理者へ異動させました。役職は部長級と報じられ、県は人事を「適材適所」と説明しています。

元動画では、この人事を「懲戒処分を受けても、トップの弱みを握れば出世できる」と強く批判しました。これは、処分後も部長級の役職に配置されたことへの評価です。前職より給与や権限が上がったという人事上の事実は、公開資料では確認できません。

刑事手続では、神戸地検が2026年3月27日、井ノ本氏を起訴猶予として不起訴にしました。これは、検察が事情を考慮して裁判にかけなかった判断で、有罪判決ではありません。

それでも県には、情報管理を担っていた幹部への処分と、部長級の人事をどう整合させたかを説明する責任があります。競馬組合で何を担わせ、再発をどう防ぐのかが、この記事の論点です。

▶元動画はこちら
【魔境】親に「辞めておけ」と言われる、知事への信頼が最低、懲戒処分を受けてもトップの弱みを握れば出世できる兵庫県庁…集英社オンラインの渾身の記事が突きつける、兵庫県庁と斎藤知事の異常性

※今回扱う部分は、動画の6分00秒から9分20秒付近です。

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2026年春の刑事処分と、7月までの確認事項

確認項目元動画で扱った状況2026年7月17日時点の更新
井ノ本氏の刑事手続検察が漏えい行為を認定したとの報道2026年3月27日、神戸地検が不起訴処分。理由は起訴猶予
知事・元副知事漏えい指示の疑い神戸地検は指示を認定する証拠が足りないとして嫌疑不十分
検察審査会動画公開時点では結論なし告発者が2026年4月14日、審査申し立ての手続きを開始したと報道。議決は確認できず
競馬組合への人事副管理者として在職2026年5月13日の公式会見で知事が異動先を認め、「適材適所」と説明
「出世」という評価動画内で問題提起副管理者は部長級だが、昇進だったとする公式資料は確認できず

神戸地検の不起訴処分は3月27日で、4月11日の元動画公開より前です。その後、告発者は4月14日、検察審査会への申し立て手続きを始めたと報じられました。

以下は、2026年7月17日までに確認した資料に基づく整理です。懲戒処分、検察の判断、人事配置は、それぞれ決める主体と意味が異なります。

第三者委員会は県議3人への私的情報漏えいを認定

問題となったのは、元西播磨県民局長の公用パソコンに保存されていた私的情報です。

兵庫県の第三者調査委員会は2025年5月、井ノ本氏が2024年4月に県議3人へ私的情報を伝えたと認定しました。紙に印刷した資料の一部を見せ、口頭で内容の一部を説明した行為を、正当な議会対応の範囲を超える漏えいと判断しています。

また、報告書は、斎藤元彦知事と片山安孝元副知事の指示の下で、議会への「根回し」の趣旨で行われた可能性が高いと指摘しました。

一方、斎藤知事は漏えいを指示していないと一貫して否定しています。第三者委員会の認定と知事側の説明が一致していない状態です。

漏えいした行為と、その指示があったかについては、次のように判断が分かれています。

  • 井ノ本氏が県議へ情報を伝えた行為
  • その行為を誰が指示したのか

井ノ本氏の漏えい行為については、第三者委員会の認定、県の懲戒処分、地検の起訴猶予という判断があります。知事と元副知事の指示については、第三者委員会が「指示の可能性が高い」とした一方、地検は指示を認定するだけの証拠が得られなかったと判断しました。

県は2025年5月27日、停職3か月の処分を決定

兵庫県は2025年5月27日、井ノ本氏を停職3か月の懲戒処分としました。県は、県が保有する情報を外部へ提供した行為が懲戒処分の対象になると判断しています。

地方公務員法34条は、職員が仕事で知った秘密を漏らすことを禁じています。自治体は、職員の服務規律に基づいて懲戒処分を行います。刑事事件として起訴するかは検察、有罪かどうかは裁判所が判断します。

県は井ノ本氏を刑事告発しませんでした。斎藤知事は当時、停職処分によって社会的・経済的な制裁を受けたことなどを理由として説明しています。

県議会の複数会派は県に刑事告発を申し入れましたが、県が告発を見送った後、大学教授や県議による告発が行われました。

停職終了後、部長級の競馬組合副管理者へ異動

停職期間の終了後、兵庫県は井ノ本氏を2025年9月1日付で、県参事兼兵庫県競馬組合副管理者へ異動させました。

神戸新聞の報道によると、この役職は部長級です。県人事課は「適材適所の判断」と説明しました。2025年9月3日の知事会見では、記者から「なぜ降格ではなかったのか」と問われ、斎藤知事は、処分を受けた上で人事当局が適材適所で判断したという趣旨の説明をしています。

人事について、報道と県の説明で確認できるのは次の点です。

  • 停職処分後に職務へ復帰した
  • 異動先は兵庫県競馬組合の副管理者だった
  • 役職は部長級と報じられている
  • 県は降格として扱っていない
  • 県は人事理由を「適材適所」と説明している

前職と比べた給与、権限、部下の人数などを示す公開資料は十分にありません。昇進だったかを評価するには、こうした処遇や役割の比較が必要です。

元動画の「出世できる」という表現は、処分後も部長級の役職に配置されたことへの批判的な評価です。県に問うべきなのは、その役職に適任とした具体的な理由です。

地検は井ノ本氏を起訴猶予、知事らを嫌疑不十分とした

兵庫県警は2026年2月13日、井ノ本氏を地方公務員法違反の疑いで書類送検しました。

神戸地検は同年3月27日、井ノ本氏を不起訴処分としました。処分理由は起訴猶予です。報道によると、地検は、プライバシー性の高い情報を公判で明らかにした場合の影響や、本人が受けた社会的制裁などを考慮したと説明しました。

斎藤知事と片山元副知事も同日に不起訴となりました。こちらの理由は嫌疑不十分で、漏えいを指示したなどと認定するだけの証拠が得られなかったと地検は説明しています。

対象不起訴理由意味
井ノ本知明氏起訴猶予起訴できる場合でも、諸事情を考慮して裁判にかけない判断
斎藤元彦知事嫌疑不十分犯罪の成立を認定する証拠が不十分
片山安孝元副知事嫌疑不十分犯罪の成立を認定する証拠が不十分

3人とも裁判にはかけられませんでしたが、検察が示した理由は異なります。

起訴猶予は、検察が事情を考慮して起訴しない判断

検察庁は、被疑者が罪を犯したことが証拠上明白であっても、犯罪の軽重、情状、犯罪後の状況などから訴追を必要としないと判断した場合、起訴を猶予して不起訴にすることがあると説明しています。

有罪を判断するのは裁判所です。井ノ本氏について刑事裁判は開かれず、有罪判決も出ていません。起訴猶予を有罪確定や前科と同じに扱うのは不正確です。

動画や報道の「検察の黒認定」は、起訴猶予と嫌疑不十分の違いを強調した表現です。正式な処分名は「起訴猶予」であり、記事でも地検が示した判断をその名称で説明します。

停職3か月後の部長級配置を、県はどう説明したか

今回、井ノ本氏について行われた判断は次の通りです。

判断決める主体今回の結果
懲戒処分兵庫県停職3か月
刑事処分神戸地検起訴猶予による不起訴
人事配置兵庫県など競馬組合副管理者へ異動

県の懲戒処分は停職3か月、地検の刑事処分は起訴猶予による不起訴でした。県は停職終了後、職務へ復帰させ、競馬組合副管理者へ配置しています。

それぞれ別の判断でも、県が行う処分と人事には整合性の説明が求められます。不起訴によって、県の懲戒処分が自動的に取り消されるものでもありません。

情報漏えいで停職処分を受けた幹部を、情報管理と公正性が重要な競馬組合の副管理者へ配置するのであれば、なぜその人物が適任なのか、再発防止策は何か、どのような権限を担当するのかを具体的に説明する必要があります。

「適材適所」と判断した理由を、知事は示せるか

2026年5月13日の知事会見でも、この人事が改めて問われました。

記者は、競馬組合で通信機器の持ち込みを理由に騎手が処分された事案と比較し、情報漏えいで停職処分を受けた人物を副管理者へ配置することが適材適所なのかと質問しました。

斎藤知事は、井ノ本氏が競馬組合へ異動したことを認めた上で、県の人事行政は適材適所で行っていると回答しました。

騎手と県職員では、処分主体、適用規則、職務、期間の数え方が異なります。単純な処分の軽重比較よりも、情報管理が重要な組織に誰を配置するかという県の判断が問われます。

「適材適所」は、人事判断の結論です。なぜ井ノ本氏をその役職に適任と考えたのかという、理由の説明が要ります。

県には、少なくとも次の内容を説明してもらいたい。

  1. 競馬組合副管理者として期待した経験と能力
  2. 情報漏えいの再発を防ぐ権限分担
  3. 前職から役割と処遇がどう変わったか
  4. 懲戒処分を人事評価へどう反映したか
  5. 県民の信頼を回復するための検証方法

個人のプライバシーや人事評価の詳細は保護する必要があります。公表済みの漏えい行為と部長級人事の関係については、一般的な基準と判断理由を示す余地があります。

告発者は4月14日、検察審査会への申し立て手続きを開始

神戸地検の不起訴処分を不服として、告発者は2026年4月14日、検察審査会への申し立て手続きを始めたと報じられました。

検察審査会は、国民から選ばれた11人が、不起訴処分が妥当だったかを審査する制度です。議決は、不起訴を妥当とする「不起訴相当」、不適切とする「不起訴不当」、起訴すべきとする「起訴相当」があります。

2026年7月17日までに筆者が確認した資料では、この事件に関する検察審査会の議決は確認できませんでした。

申し立て手続きの開始と、検察審査会の議決は別の段階です。不起訴を見直すか、どの判断を示すかは、議決などの公表を待つ必要があります。

県の人事理由と、検察審査会の判断が次の焦点

  1. 検察審査会の議決:不起訴相当、不起訴不当、起訴相当のどれになるか
  2. 井ノ本氏の役職:2026年度中に人事上の変更があるか
  3. 県の説明:「適材適所」以外の具体的な理由が示されるか
  4. 情報管理改革:漏えい防止策が実施され、検証結果が公表されるか
  5. 懲戒基準の透明性:幹部を含め、一貫した処分基準が示されるか

県の説明は、処遇、担当する権限、処分を人事にどう反映したかという具体的な内容で評価したい。再発防止策の実施と検証も、職員組織への信頼に関わります。

よくある質問

井ノ本氏は有罪になったのか

有罪判決は出ていません。神戸地検は起訴猶予として不起訴にしており、刑事裁判は開かれていません。

起訴猶予は無実という意味か

起訴猶予は、検察が犯罪の証拠が明白でも、情状や犯罪後の状況などを考慮して起訴しない判断です。犯罪を認定する証拠が足りない「嫌疑不十分」とは理由が異なります。有罪を確定する裁判所の判決でもありません。

競馬組合副管理者への異動は昇進か

部長級の役職で、県は降格として扱っていません。前職より給与や権限が上がったかは公開資料で確認できず、人事上の昇進とは断定できません。

斎藤知事が漏えいを指示したのか

第三者調査委員会は、知事と元副知事の指示の下で行われた可能性が高いと指摘しました。一方、斎藤知事は指示を否定し、神戸地検は指示を認定するに足りる証拠が得られなかったとして嫌疑不十分にしました。判断が分かれています。

井ノ本氏は現在も競馬組合副管理者なのか

知事は2026年5月13日の公式会見で、競馬組合への異動を認めています。筆者が7月17日までに確認した資料では、その後の人事変更は分かりませんでした。この記事での最後の公式確認時点は5月13日です。

県は処分後の人事と、漏えい防止策を具体的に示すべきだ

  • 第三者調査委員会は、井ノ本知明元総務部長が県議3人へ私的情報を漏えいしたと認定した
  • 報告書は、斎藤知事と片山元副知事の指示の下で行われた可能性が高いと指摘した
  • 斎藤知事は指示を否定している
  • 兵庫県は井ノ本氏を停職3か月とした
  • 処分後、井ノ本氏は部長級とされる兵庫県競馬組合副管理者へ異動した
  • 県は人事を「適材適所」と説明している
  • 神戸地検は井ノ本氏を起訴猶予、知事と元副知事を嫌疑不十分とした
  • 起訴猶予は有罪判決ではなく、「犯罪者」「前科」と呼ぶのは不正確
  • 「出世」と断定できる資料はないが、降格されず部長級へ配置された理由の説明は問われる
  • 告発者が検察審査会への申し立て手続きを始め、7月17日までに筆者が確認した資料では議決は未確認

情報管理を担った幹部を、なぜ競馬組合の副管理者へ配置したのか。県には、期待した能力と役割、処分を人事にどう反映したかを、具体的に説明してもらいたい。

「適材適所」という言葉だけでは、判断の妥当性を検証できません。県民の信頼を回復するには、人事の基準と再発防止策を示す必要があります。

出典・確認資料

内部リンク

  1. 兵庫県の第三者委員会報告はなぜ争点に?公益通報と県の対応を整理
  2. 兵庫県告発文書問題とは|全経緯を時系列でわかりやすく整理【2024〜2026】
  3. 公益通報者保護法とは|わかりやすく解説【2026年12月改正施行】

動画では触れきれなかった資料の細部や、法制度の背景はnoteの「政経プラス」で継続的に整理しています。

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