堤かなめ・大野城市長は2026年8月25日、福岡県議時代に、ある議長経験者から「親族に1000万円を用意してもらい、それによって議長になれた」と聞いたと明かしたと報じられました。
議長経験者の実名は公表されておらず、発言だけで特定の人物による金銭授受が確認されたわけではありません。一方、福岡県議会では正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑について第三者委員会の設置が決まっています。今回の証言は、委員会が聴取と客観資料で確認すべき新しい材料です。
堤かなめ市長は何を証言したのか
堤市長が説明したのは、県議時代に議長経験者本人から聞いたとする内容です。
報道によると、その議長経験者は、自分が議長になる際、親族に1000万円を用意してもらい、その資金によって議長になれたという趣旨を語ったとされています。堤市長は別の県議と一緒に話を聞き、ほかにも県議がいたと説明しました。
話を聞いた時期は、堤市長の記憶では県議2期目の2015年4月から2019年4月です。第三者委員会の調査については、証言者が増え、真相が明らかになることへの期待を示したと報じられています。
大野城市の公式プロフィールによると、堤市長は2011年4月に福岡県議へ初当選し、2021年10月まで3期在任しました。その後、衆議院議員を経て、2025年9月に大野城市長へ初当選しています。
2015年から2019年の福岡県議会議長
福岡県議会の公式一覧では、堤市長が示した期間に重なる議長経験者は次の5人です。
| 在任期間 | 議長 |
|---|---|
| 2014年5月22日~2015年4月29日 | 加地邦雄氏 |
| 2015年5月14日~2016年5月20日 | 井上忠敏氏 |
| 2016年5月20日~2017年5月22日 | 中尾正幸氏 |
| 2017年5月22日~2018年5月22日 | 樋口明氏 |
| 2018年5月22日~2019年4月29日 | 井上順吾氏 |
この一覧は、誰が1000万円の話をしたかを示すものではありません。「2015年4月から2019年4月に聞いた」という証言は、発言者がその時点の現職議長だったことを意味しないからです。過去の議長経験を後から語った可能性もあります。
人物を特定するには、堤市長が話を聞いた年月日、場所、同席者、発言の正確な文言を確認する必要があります。期間だけを根拠に個人名を挙げ、金銭授受を行ったと断定することはできません。
議長候補が会派内でどのように決まり、本会議でどのように選出されるのかは、県議会議長はどう決まる?会派・立候補・投票の仕組みで整理しています。
福岡県議会の金銭授受疑惑と第三者委員会
福岡県議会では、吉松源昭元県議が、議長就任前に自民党県議団幹部らから現金を要求され、約2000万円を支払ったと証言しています。名前を挙げられた県議らは受領を否定しており、当事者の主張は対立しています。
福岡県は2026年8月5日、県議会が第三者委員会の設置を決めたことに関する服部誠太郎知事のコメントを公表しました。知事は、日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会で調査、認定、評価を受けることが望ましいとし、公平、公正、透明性のある調査を求めています。
堤市長の証言について必要なのは、次の確認です。
- 堤市長と同席者から、発言日時と内容を正式に聴取する
- 話したとされる議長経験者へ反論と説明の機会を設ける
- 親族を含む資金の出入りを、預金記録や会計資料で確認する
- 政治資金収支報告書、会派会計、後援会会計との関係を調べる
- 1000万円が贈与、貸付、立替などのどれに当たるのかを資料で確認する
違法性や犯罪性は、現段階で確定していません。疑惑の大きさではなく、資料と証言の一致によって判断する必要があります。
海外視察費2億6496万円とは別の論点
福岡県議会は、2023年度から2025年度に実施した海外活動23件の経費を公表しました。合計は2億6496万2000円です。
最も高額だったのは、2024年2月のスイス・フランス訪問で約3003万8000円でした。この訪問では、当時の香原勝司議長がフランスで1泊16万9000円のホテルに宿泊したと報じられています。
金銭授受疑惑と海外活動費は、どちらも福岡県議会の説明責任に関係します。しかし、同じ事件ではありません。1泊16万9000円の宿泊者を藏内勇夫氏と混同したり、高額な宿泊費が金銭授受の証明になるかのように扱ったりしてはいけません。
海外活動については、目的、契約、宿泊費、参加人数だけでなく、帰国後に政策や交流へどのような成果が生じたかを公開することが必要です。
藏内勇夫氏の辞職で調査は終わるのか
藏内勇夫氏は2026年8月25日付で県議を辞職しました。2026年8月26日時点で福岡県議会の議長は空席です。
辞職は政治上の進退であり、疑惑の事実認定ではありません。藏内氏は金銭授受を否定しています。辞職したことを受領の証拠と扱うことも、辞職したから調査不要とすることもできません。
第三者委員会には、現職議員だけでなく、辞職した元議員や、今回新たに証言した堤市長を含めた調査が求められます。議長選が公正に行われたのか、金銭が候補選定に影響したのかを、県民が検証できる形で示す必要があります。
よくある質問
堤かなめ市長は、1000万円を用意した議長経験者の名前を公表しましたか
公表していません。報道では「ある議長経験者」とされており、2015年4月から2019年4月に話を聞いたという記憶だけで人物を特定することはできません。
1000万円を親族に用意してもらうことは違法ですか
資金の性質や用途によって判断が変わります。贈与、貸付、立替、政治資金などのどれに当たるのか、実際に議長選へ使われたのかが確認されていない段階で、違法と断定することはできません。
福岡県議会の第三者委員会は設置されましたか
県議会は2026年8月5日、正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑を調べる第三者委員会の設置を決めました。調査対象、聴取状況、報告時期は今後の公表確認が必要です。
まとめ
- 堤かなめ市長は、県議時代に議長経験者から親族の1000万円に関する話を聞いたと証言した
- 発言者の実名は公表されておらず、特定人物の金銭授受は確定していない
- 証言期間と歴代議長一覧だけで人物を断定してはいけない
- 第三者委員会は、同席者、発言内容、預金・会計資料を確認する必要がある
- 藏内勇夫氏の辞職後も、疑惑の事実認定と議長選の検証は必要である
福岡県議会が信頼を取り戻すには、名前を隠したままの噂や政治的な幕引きではなく、検証可能な調査結果を県民へ示すことが必要です。
参照資料・出典
- 大野城市「市長プロフィール」https://www.city.onojo.fukuoka.jp/kiji0037831/index.html
- 読売新聞配信記事「親族が用意した1000万円で議長なれた」https://cont.t-com.ne.jp/politics/928478_1.html
- 福岡県議会「歴代議長の一覧」https://www.gikai.pref.fukuoka.lg.jp/site/gichou/rekidai-g.html
- 福岡県「第三者委員会の設置決定に関する知事コメント」https://www.pref.fukuoka.lg.jp/press-release/gikai-dai3sha.html
- テレビ朝日「現議長 金銭の話は一切ない」https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000517675.html
- KBC「3年間で23回2億6500万円」https://kbc.co.jp/news/article.php?id=17935312
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