2026年9月15日の政府方針では、2027年4月から2年間、食料品の消費税を8%から1%へ下げる方針を示しました。実施には法案の可決・成立が必要です。0%でなく1%とする理由は、レジや会計システムの改修を短期間で進めるためだと政府は説明しています。この記事では、政府の説明、対象になるもの・ならないもの、給付の仕組み、専門家が指摘する課題までを、生活者の目線で整理します。
2027年4月1日から2年間の減税案
政府が示した期間は、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間です。軽減税率の対象となっている飲食料品を8%から1%に引き下げる案です。
- 2025年10月:自民党と日本維新の会の連立合意で、飲食料品を2年間に限り消費税の対象としないことも視野に検討する方針が盛り込まれる
- 2026年2月:衆院選で自民党は「飲食料品は、2年間に限り消費税の対象としない」ことについて、国民会議で検討を加速すると公約(自民党「Jファイル2026」)
- 2026年7月30日:高市早苗首相が、2027年4月から2年間1%に引き下げる方針を表明したと報じられる
- 2026年8月5日:政府が給付付き税額控除の導入に向けた基本方針を閣議決定
- 2026年9月15日:政府が「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」を閣議決定
- 2026年秋:関連法案を臨時国会に提出予定
9月15日の大綱は法案提出に向けた政府方針です。国税庁・財務省の特設サイトも、掲載内容は今後の法案が国会で可決・成立した場合のものと説明しています。以下は9月15日の大綱をもとにした案の説明で、実施には法案の成立が必要です。
なぜ0%ではなく1%なのか
政府の説明は「レジや会計システムの改修が間に合うかどうか」です。
高市首相は、1%であれば0%とするよりも事業者のシステム改修期間を短縮でき、2027年4月から実施できることが明らかになった、という趣旨の説明をしています。報道などでは、0%対応の改修には10〜12か月ほどかかる一方、1%なら5〜6か月程度で対応できるとされています。
「実質ゼロ」にするための給付
残る1%分については、中低所得の現役世代を対象にした給付で穴埋めし、「実質ゼロ」に近づける設計とされています。
- 対象:給与・事業などの所得がある中低所得の人(個人単位で判定し、単身者やフリーランスも含む)
- 規模:支援金制度全体の費用を、飲食料品の消費税1%相当分の範囲内にする案
- 時期:先行版は2027年度から。住民税の決定を待つため、支給は年の半ば以降になる見込み
- 受け取り方:公金受取口座の登録があり、資格と金額が明らかな人は、市町村が請求なしで認定する運用が原則。通常は本人の請求で認定を受ける仕組み
具体的な金額や所得基準は、2027年度予算の編成で決める予定です。9月15日の大綱では、勤労所得の下限、合計所得の上限、税・社会保険料から年金収入などを差し引いた負担、国内住所などの条件を置いています。給与や事業所得があるだけで対象になる仕組みではありません。条件を満たす、働く高齢者も対象に含む案です。
1%相当分は制度全体の費用の規模で、各人の食料品購入額の1%を払い戻すという意味とは区別します。
対象になるもの・ならないもの
案の対象は「軽減税率8%が適用されている飲食料品」です。成立すれば、原則その税率が1%になります。大綱には、開始前の契約や申込みに基づく定期供給・通信販売の一部を特例対象から外す経過措置もあります。個別の取引は、契約日などの条件で判断する案です。
| 区分 | 減税後の税率(予定) |
|---|---|
| スーパー・コンビニの食料品 | 1% |
| テイクアウト・出前 | 1% |
| 店内での外食 | 10%のまま |
| 酒類 | 10%のまま |
| 新聞(定期購読) | 8%のまま |
新聞だけ8%に残る
新聞の定期購読は現在、食料品と同じ軽減税率8%の対象です。しかし今回の1%への引き下げは「飲食料品」に限られるため、新聞は8%に据え置かれる見込みと解説されています。その結果、減税期間中は1%・8%・10%の3つの税率が並ぶことになります。
見解として、軽減税率の枠組みで食料品と並んで優遇されてきた新聞が、今回は「別扱い」になった点は、今後の制度議論でも論点になりそうです。
減税案に残る4つの課題
家計にとっては助かる一方で、いくつかの課題も指摘されています。
財源と規模
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、1%への引き下げによる税収減を年間約4.4兆円と試算しています。減税と給付を合わせた負担は2年間で国・地方合計10兆円近くになるとの見方もあります。政府は赤字国債に頼らず、補助金や租税特別措置の見直しなどでまかなう方針ですが、具体策は年末の予算編成で詰める段階です。
値上げで効果が薄れるおそれ
関西テレビの取材では、スーパーの経営者が「初めの1カ月間ぐらいはお得感が出てくる」ものの、毎月のような値上げで相殺されるのではと懸念を示しています。りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員も、コスト上昇が続く以上、減税後に値上げが進む可能性を指摘しています。
2年後の「反動」と事業者の負担
2029年4月に8%へ戻す際の景気への影響や、実際に元に戻せるのかという点も論点です。事業者側では、2度のシステム切り替えに加え、食品小売や製造業で消費税の還付が発生しやすくなり、入金までの資金繰りが課題になるとの指摘があります。店内飲食の飲食店は「売上10%・仕入れ1%」となり、納税額が増える可能性もあります。
「高所得者ほど恩恵が大きい」との声
食費の支出額が多い世帯ほど減税額が大きくなるため、実務者の議論でも公平性をめぐる指摘が出たとされています。これを補うのが上記の給付という位置づけです。
よくある質問
Q. 食料品の消費税が1%になるのはいつからですか?
A. 2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間の予定です。関連法案は2026年秋の臨時国会に提出される見通しです。
Q. 外食やお酒も1%になりますか?
A. 案では、店内飲食と酒類は10%のままです。テイクアウトや出前は1%の対象となる見込みです。
Q. なぜ0%ではないのですか?
A. 0%にするとレジや会計システムの改修に時間がかかり、2027年4月に間に合わないためと政府は説明しています。残りの1%分は、対象となる中低所得の就業者への給付で補う設計です。
実施には法案成立が必要。給付の金額と所得基準も判断材料
- 2027年4月から2年間、食料品の消費税は8%から1%に下がる方針
- 0%でない理由は、システム改修の期間を短くするためと説明されている
- 外食・酒類は10%、新聞の定期購読は8%のまま
- 1%分は中低所得の現役世代への給付で補う設計
- 財源、値上げによる相殺、2年後の反動などが課題として指摘されている
臨時国会での法案審議が次の山場です。動きがあり次第、追記します。
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参考資料
- 内閣官房「飲食料品に係る消費税率の引下げ及び給付付き税額控除」(9月15日の大綱を掲載)
- 国税庁・財務省「消費税率引下げ特設サイト」(法案成立前の改正案として説明)
- 自由民主党「Jファイル2026 食料品の消費税」 https://www.jimin.jp/policy/jfile/detail_246.html
- 日本維新の会「連立合意 日本再起への12本の矢」 https://o-ishin.jp/coalition2025/
- 野村総合研究所 木内登英「食料品の消費税率を来年4月に1%へ引き下げることは可能か?」 https://www.nri.com/jp/media/column/kiuchi/20260601_2.html
- 関西テレビ「食料品消費税『1%』に落とし穴?」 https://www.ktv.jp/news/feature/260626-1percent/
- Airレジ マガジン「消費税減税はいつから?」 https://airregi.jp/magazine/guide/13525/
- 補助金ポータル「食料品消費税ゼロはいつから?」 https://hojyokin-portal.jp/columns/food_tax


