情報確認日:2026年10月13日
自治体の予算流用は、成立した予算の一部を別の予算科目へ移すことです。認められた範囲と手続きを守って行う制度があり、「流用」という言葉だけで横領を意味するわけではありません。
住民にとって知りたいのは、どの事業からいくら減らし、何に回したのか、そのために元の事業へどんな影響が出たかです。
予算には、大きな区分と細かい区分がある
自治体の歳出予算には、款・項・目・節という区分があります。読み方は「かん・こう・もく・せつ」です。大きな事業分野から、具体的な事業や経費の性質へと細かくなります。
議会が議決する区分と、行政が執行のために使う細かな区分には違いがあります。南相馬市は、款相互間の流用を禁止し、項については予算の定めに基づく場合に認める仕組みを説明しています。南相馬市の財政用語
したがって、「別の事業へ回した」という説明だけでは、どの範囲の変更か分かりません。元と先の科目番号があれば、同じ項の中なのか、項をまたいだのかを具体的に追えます。
補正予算は、議会に予算の追加や変更を求める
補正予算は、年度途中に生じた事情に対応して、既存の予算を追加・変更するものです。原則として議会の議決を経ます。
流用は、認められた範囲で既存予算の配分を変える手続きです。補正を経ずに使える金額を自由に増やす仕組みではありません。
| 手続き | 着目する資料 |
|---|---|
| 補正予算 | 補正予算案、説明資料、議決結果 |
| 予算流用 | 科目、流用額、理由、協議・決裁の記録 |
| 実際の支出 | 決算書、契約、事業の実績資料 |
東京都の規則に関する通知も、補正予算と流用を別の手続きとして扱っています。また、目や節の流用についても、必要やむを得ない場合に限るという考え方を示しています。東京都の予算事務に関する通知
細かい区分でも、担当者が自由に動かせるわけではない
目や節の間の変更には、自治体の予算事務規則などが関わります。たとえば墨田区の規則21条は、やむを得ない理由がある場合のほかは流用しないとし、必要なときは企画経営室長・財政担当課長との協議を求めています。墨田区予算事務規則
これは墨田区の手続きです。他の自治体を調べる場合は、その自治体の規則で承認する人と対象を確認してください。全国で同じ役職の承認が必要だという意味ではありません。
決裁書を見ると、何月何日に誰が承認したか、増額する事業の必要性がどう説明されたかを確かめられます。公開されていなければ、担当課へ文書名や公開場所を問い合わせる方法があります。
決算書では、当初額と最終的な予算額の差を追える
当初予算額から支出済額だけを引いても、流用した額は分かりません。途中の補正、前年度からの繰越し、予備費の充当などが加わるためです。
決算の事項別明細書には「予算現額」と、その内訳が載ります。兵庫県の明細書では、当初予算、補正、繰越しに加えて「予備費支出及び流用増減」の欄があります。兵庫県の事項別明細書
予備費と流用が同じ欄に入っている表では、その数字全体を流用額とみなせません。増減の理由が説明資料で分からないときは、内訳を確認する必要があります。
元の事業についても、利用件数の見込みが下がったのか、支援を縮小したのかで意味が変わります。流用先の効果と合わせて、元の事業の実施状況が分かれば、配分変更の妥当性を具体的に考えられます。
参照資料
制度・資料の確認日:2026年10月13日。

