情報確認日:2026年10月13日
一票の格差は、選挙区ごとに議員一人を選ぶ有権者数などが違うことで生じる、投票価値の不均衡を示します。候補者の得票率や、投票所へ行った人の割合を比べた数字ではありません。
ニュースの「最大○倍」を読むときは、どの選挙の、どの時点の、人口と有権者数のどちらを使った計算かを確かめると意味が分かります。
同じ一人の議員を、何人の有権者で選ぶか
有権者数を基にする場合、選挙区ごとの有権者数を、そこから選ぶ議員の数で割ります。こうして求めた「議員一人当たりの有権者数」を比べます。
同じ一人の議員を選ぶのに必要な有権者の人数が多い選挙区では、一人の投票が代表の選出に占める割合が相対的に小さくなります。この違いが投票価値の問題です。
最高裁の2021年衆院選に関する判決の英訳でも、有権者数を基にした格差と、人口を基にした格差を区別して記載しています。最高裁判決の英訳
複数人を選ぶ選挙区では、有権者の総数だけを比べると誤ります。定数も同じ土台へそろえる必要があります。
「人口」と「有権者数」では、同じ倍率にならない
人口には、選挙権年齢に達していない人なども含まれます。有権者数とは集計対象が異なります。選挙区の配分を考えるための人口統計と、実際の選挙時の有権者数を、そのまま同じ数字として扱うことはできません。
最高裁が2021年の衆院選を扱った判決の英訳では、2020年国勢調査の人口を基にした最大格差は2.096倍、選挙当日の有権者数を基にした最大格差は2.079倍と記載されています。最高裁判決の英訳
これは過去の選挙を説明する実例です。2026年現在の最大格差を示す数字ではありません。同じ区割りでも、基準にした人数と時点が異なれば、倍率が変わることが分かります。
最大格差は、最も離れた二つの選挙区の比
最大格差は、議員一人当たりの人数が最も多い選挙区と、最も少ない選挙区の比です。すべての選挙区がその倍率で違う、という意味ではありません。
自分の選挙区を知りたいなら、最大・最小の二つだけでなく、各区の人数と定数の一覧を読むと位置が分かります。調べる表は、選挙管理委員会の選挙結果や有権者数の資料です。
| 数字 | 表していること |
|---|---|
| 有権者数を基にした格差 | 議員一人当たりの有権者数の差 |
| 人口を基にした格差 | 議員一人当たりの人口の差 |
| 投票率 | 有権者のうち投票した人の割合 |
| 得票率 | 集計対象の票のうち候補者・政党が得た割合 |
比較する記事で年度や集計方法が違えば、見かけの増減だけで改善・悪化を決めることはできません。
投票率が低くても、格差の数字が自動で直るわけではない
有権者数を基に計算した格差は、その選挙で何人が投票したかとは別の計算です。投票率の低い選挙区だから議員一人当たりの有権者数が減る、というものではありません。
また、一票の格差と、政党の得票率に対する議席数の偏りも別の問いです。前者は地域間の代表配分、後者は投票結果を議席に変える制度の特徴を扱います。
違憲かどうかは、倍率だけで機械的に決まらない
最高裁の2021年衆院選に関する判決は、投票価値の平等が憲法の要求である一方、それだけが選挙制度の設計基準ではないという考え方を示しています。
衆議院の憲法資料は、過去の判例や制度改正の経緯をまとめています。倍率に加え、是正の経緯や選挙制度の事情が検討されてきたことを追えます。衆議院の選挙制度資料
判決のニュースでは、対象選挙、裁判所、判決日、結論を確かめてください。古い選挙の判断や一つの高裁の判断を、現在のすべての選挙への結論として読むことを避けられます。
参照資料
資料の確認日:2026年10月13日。

