学校法人同志社は2026年10月30日、3月16日に同志社国際高校の沖縄研修旅行中に起きた辺野古沖の転覆事故について会見しました。
学校側は安全管理の不備を認めました。ただ、説明を途中で修正した場面や、具体的な答えが出なかった質問もあります。会見で何が分かり、どこに疑問が残ったのかを整理します。
会見映像:THE PAGE・2026年10月30日
学校側が認めた安全管理の不備
出席したのは、八田英二総長・理事長、瀧英次危機管理担当常務理事、宿久洋同志社国際中学校・高等学校校長らです。
法人は、生徒1人が亡くなり、17人が負傷したと説明。事前調査、安全な計画の策定・実施、生徒・保護者への説明という三つの義務に違反していたことを認めました。
ボートコースは学校独自のプログラムでしたが、導入後の現地下見は一度も行っていませんでした。教員の乗船、気象確認、出航判断などの手順も定まっていなかったと説明しています。
▶動画:安全管理の説明 11:31〜/法人の公表文・配付資料
その場で修正した説明
協議会に補償負担を求める方針は未決定
八田氏は当初、法人が被害者に補償した後、ヘリ基地反対協議会に負担を求めて協議し、まとまらなければ裁判もあり得ると説明しました。
質疑の途中では、協議会の責任は今後検討すると回答。最後は、まず被害者への補償を進め、その後は白紙だと説明しました。求償(支払った補償の負担を相手にも求めること)は、可能性の話で、確定事項ではないとしたのです。
決定済みの方針を撤回したとまではいえません。ただ、何が決まっていて、何が今後の選択肢なのか、最初の説明では分かりませんでした。
▶動画:求償の説明 2:36:12〜/未決定とした回答 2:41:00〜
宗教的背景の影響を否定し、直後に撤回
日本キリスト教団の考え方やキリスト教精神が事故の原因になったと考えるかと問われ、八田氏は一度、全面的に否定しました。
しかし直後にその回答を撤回し、新しい委員会の検証結果を踏まえると説明し直しました。
撤回は、事故原因に関する回答についてです。法人と教団の組織的なつながりは否定したままで、宗教が原因だと認めたわけでもありません。
具体的な説明が足りなかった点
安全確認をしなかった経緯
金井船長を信頼した理由について、宿久校長は牧師としての経歴や人的交流を挙げました。その一方で、船の運航実態などを確認しなかったことは学校の不備だと認めています。確認の手順がなく、盲目的な信頼があったとも説明しました。
配付資料は、担任会・研修旅行委員会・教職員会議で安全性を審議せず、校長のチェックも働かなかったと整理しています。引継ぎが個人任せだったことも認めました。各担当が何を確認すべきで、どの行動に責任があるのかまで明らかにしてほしいと思います。
政治的な立場の共有が信頼に影響したかという質問には、校長はそうではないと考えると答えましたが、その点を聞き取ってはいないとも述べました。校長自身の見方であり、調査で否定を裏付けた回答ではありません。政治的な共感が影響したかどうかは、未確認です。
▶動画:信頼と安全確認 47:19〜/政治的な立場についての質問 2:33:32〜
会見が約7か月半開かれなかった理由
事故翌日の3月17日には会見を開いています。今回問われたのは、その後、10月30日まで約7か月半にわたり会見が開かれなかった理由です。
八田氏は、早く会見すべきという内部意見があったことを認めました。安全管理と教育内容の検証を合わせて説明しようとし、人選や検討に時間がかかったと述べています。
今回の中間報告は自ら判断したと説明。一方、自分の意思で以前の会見を止めていたことは否定し、法人の会議体で検証委員が決まるのを待っていたとしました。瀧氏も、緊急対策本部で開催時期を検討してきたと説明しました。
ただ、いつその判断を下し、分かっている範囲だけでも説明する案をなぜ採らなかったのかは、はっきりしませんでした。検証に時間がかかった事情だけでは、この判断の理由までは分かりません。
▶動画:早期開催の意見と理事長の判断 3:49:39〜/開催判断への再質問 4:15:55〜
理事長は辞任の意向、総長は当面続ける理由
八田氏は8月21日に理事長辞任の意向を表明しています。検討委員会の結果を受けて改善計画を検討し、着手の見通しが立った段階で、改めて会見で説明してから辞任するとしました。
一方、教育面を統括する総長と理事は続けると説明。総長については当面とし、経験や学内の信頼を生かして改革することが責任だと述べました。次の任期はまだ分からず、年齢や、残る2年半でどれだけ改善できるかによるとしています。
役割が違うため、理事長辞任と総長留任だけで矛盾とはいえません。ただ、教育内容にも問題を認めながら、総長としての過去の監督責任をどう判断したのでしょうか。
学外の信頼を問われても、改革に努めるのが総長の責務だという説明が続きました。どこまで改善すれば責任を果たしたといえるのか、具体的な基準は示されませんでした。
▶動画:辞任の条件 35:02〜/総長を続ける理由 1:11:34〜/学外の信頼についての質問 4:06:27〜/次の任期についての回答 4:13:35〜
内部検証は、誰がどこまで進めたのか
法人は、外部専門家の知見も得ながら内部で教育内容を検証したものの、独立性・客観性が不十分だったため、新委員会を設けたと説明しました。
検証したのは法人内部との回答でしたが、具体的な担当者や体制は示していません。文書がどこまでできていたかという質問には、新委員会の検証に影響し得るとして回答を控えました。
検証の結論と、誰がどこまで調べたかという作業の説明は別です。作業の進み具合まで明らかにできない理由は、具体的に説明されませんでした。
役員の責任をいつ、どう判断するのか
瀧氏は、検証して一区切りついた段階で自分として考えると答えました。しかし、辞任も含むのかと再質問されると、個人的なこととして回答を控えました。
法人の公表文には、二つの委員会の結果を踏まえて責任や処分を検討するとあります。会見では、理事長を理事会の決議で解任できる仕組みも説明しました。
それでも、瀧氏ら役員個人の責任を、いつ、どの基準で判断するのかは分かりませんでした。
▶動画:理事長解任の仕組み 4:33:41〜/役員責任への質問 4:47:37〜/辞任も含むのかという再質問 4:52:27〜
学校側が回答した主な点
| 質問の内容 | 学校側の回答 |
|---|---|
| 教育の中立性に問題はなかったか(動画 39:10〜) | 再質問後に、問題があったと回答しました |
| 前校長が補償窓口を続けたのは適切か(動画 1:43:33〜) | 不適切さと引継ぎ不足を認め、補償を法人が主導する体制への変更を説明しました |
| 引率教員は謝罪したのか(動画 1:47:58〜) | 簡単な謝罪はしたが不十分だったと説明。改めての謝罪は必要とし、捜査や教員の心身への配慮から時期は示しませんでした |
船の安全を確認する担当は誰で、研修計画を承認したのは誰だったのか。何を確認しないまま実施を決めたのか、学校側に説明してほしいと思います。理事長や危機管理担当理事についても、辞任や解任が必要かどうかを、誰が、いつ、どの基準で判断するのかを示してほしいです。
出典・確認範囲
発言は要旨です。機械文字起こしと公表資料を照合しており、原音を直接聴いての逐語確認ではありません。時刻リンクは10月31日に確認した編集後の動画に合わせています。


