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随意契約はなぜ認められる?自治体の契約理由と金額の調べ方

随意契約はなぜ認められる?自治体の契約理由と金額の調べ方 地方自治・議会

随意契約は、競争入札によらずに相手方を決める契約方法です。自治体の契約は一般競争入札が原則ですが、少額の契約や、性質・目的が競争入札に適しない契約など、法令が定める場合には随意契約を選べます。

したがって、「随意契約だった」というだけでは不正とは判断できません。確かめたいのは、なぜ入札にしなかったのか、なぜその相手を選び、いくらで何を頼んだのかです。

この記事では、福岡県の公開資料を例に、契約理由と金額を一件ずつ調べる手順を説明します。

資料確認日:2026年10月5日

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1.随意契約には、使える場合が決められている

地方自治法234条は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売りを契約の方法として定めています。そのうち指名競争入札、随意契約、せり売りは、政令で認められた場合に限って使えます。地方自治法234条

随意契約ができる場合を具体的に定めるのが、地方自治法施行令167条の2です。よく出てくるのは、次のような場合です。

公表資料の根拠 どんな場合か
第1号 予定価格が、自治体の規則で定める少額の範囲内
第2号 契約の性質や目的が競争入札に適さない
第5号 緊急の必要があり、競争入札に付せない
第8号 入札者がいない、または再度の入札でも落札者がいない

このほかにも、一定の福祉施設等からの調達、競争入札に付すことが不利な場合などが定められています。根拠欄の「第○号」は、随意契約を選んだ理由の種類を示す手掛かりです。地方自治法施行令167条の2

少額の基準は、工事、物品の購入、業務委託などで異なります。法令の上限だけでなく、その自治体の規則、契約した時点の基準、予定価格を確認します。インターネット上の古い金額表だけを当てはめないようにしてください。

また、高額だから直ちに随意契約が禁止されるわけでもありません。第1号の少額随意契約と、第2号などの別の理由による契約を分けて読みます。

2.「公募した」と「競争入札をした」は同じではない

混同しやすいのが、公募型プロポーザルです。これは、事業者から企画や実施方法の提案を受け、内容や能力などを審査して候補者を選ぶ方法です。

候補者を公募で選んだ後、その事業者と条件を協議し、随意契約を結ぶことがあります。選ぶ段階では複数の提案を比較し、契約方法は随意契約という組み合わせです。

例えば日野市の生物多様性地域戦略見直し業務では、公募型プロポーザルで優先事業者を決め、随意契約で締結すると明記しています。公募ページには提案上限額と審査結果も掲載されています。日野市の公募・契約方式の説明

一方、入札もすべてが価格だけの勝負ではありません。価格とそれ以外の条件を評価する「総合評価一般競争入札」が法令に定められています。「価格以外も評価したからプロポーザル」とは限りません。地方自治法施行令167条の10の2

資料を読むときは、名称だけでなく、次の2段階を確かめます。

  1. 相手方の選び方:入札、公募による提案審査、複数の見積り、特定の1者など。
  2. 契約の結び方:一般競争入札、指名競争入札、随意契約のどれか。

随意契約の中でも、1者を特定して契約する「特命随意契約」と、複数の事業者の見積りを比べるケースでは、選定の過程が違います。公募や比較があったかどうかは、その案件の記録で確認します。

3.福岡県では、年度と担当部署から契約を探す

福岡県の契約は、特命随意契約・海外活動契約の公表が入口の一つです。対象年度を選び、事業を担当する部署の資料を開きます。

例えば令和7年度の特命随意契約は、四半期と部局ごとに一覧が分かれています。事業名が分かれば、PDF内で名前の一部を検索します。正式名称が長いときは、施設名や事業の特徴的な言葉から試してください。

そこで確認するのは、次の項目です。

  • 契約の名称と担当部署
  • 契約締結日
  • 契約相手の名称
  • 契約金額と税込み・税抜きの別
  • 業者を選んだ理由と根拠法令

検索で見つからない場合は、入札・公募・公売や、担当課の事業ページも探します。県の事業と思っていたものが、市町村や外郭団体の契約という場合もあります。

特命随意契約の一覧にないことだけで、「契約がない」「非公開にしている」とは決められません。契約方法、締結日、公表対象の範囲や更新時期を確かめます。年度をまたぐ事業では、事業の実施年と契約した年が違うことにも注意が必要です。

4.「その業者でなければならない理由」を具体化する

選定理由欄に条文番号しかなければ、何を根拠に判断したのかが分かりません。説明文を読み、競争入札では対応できない事情と、その相手を選ぶ事情がつながっているかを見ます。

具体例として、福岡県の令和7年度第1四半期・総務部の公表一覧には、税務課の「証紙代金収納計器の保守業務委託」があります。契約額は税込168万3,000円、締結日は2025年4月1日です。

県は、特殊な計器であり、製造元のクアディエントジャパン株式会社以外に保守できる事業者がないことを理由に、施行令167条の2第1項第2号を挙げています。公表一覧・8頁

この資料から分かるのは、県がどの相手と契約し、どの理由を示したかです。他社では本当に保守できないかまで独立に確認した資料ではありません。そこを調べるなら、仕様書や機器の権利・保守条件など、理由を裏付ける資料へ進みます。

別の案件で「これまでの実績がある」と書かれていれば、実績があることに加え、他社への切替えが難しい具体的な事情は何かを確認します。毎年同じ業者という事実だけで結論を出さず、継続の理由が前年度とどう変わったかを比べると、問いがはっきりします。

5.予算額、提案上限額、契約額、支払額を混ぜない

ニュースに一つの数字が出てきても、その意味は資料によって違います。

金額の名称 読むときの注意
予算額 事業に計上した額。複数の契約を含む場合がある
提案上限額 公募で提案を求める上限。契約成立額とは限らない
契約額 契約で定めた額。変更契約の有無も見る
支払額 実際に支払われた額。支払済みか資料で確認する

先ほどの日野市のページでも、金額は「提案上限額」と表示されています。審査で1位となった事業者が掲載されたことと、その上限額で契約・支払が済んだことは、同じではありません。日野市の提案上限額と審査結果

増額を調べるなら、当初契約額と変更後の総額を並べます。架空の例で、当初100万円、変更後150万円なら、増えた額は50万円です。「変更契約150万円」が増額分なのか、変更後の総額なのかを確認せず、100万円に足してはいけません。

総額と単価も分けます。「1部につき○円」「1時間につき○円」という契約を、事業全体の支出額として扱うことはできません。数量、期間、消費税の扱いをそろえて比較します。

最後は、頼んだ仕事が終わったかの確認です。地方自治法234条の2は、契約の適正な履行や給付の完了を確認するための監督・検査を定めています。契約書だけでなく、成果物や完了確認の資料まで追うと、公金と仕事の対応が見えます。地方自治法234条の2

6.資料が足りないときは、疑問を文書名に置き換える

公表一覧を読んでも分からない点が残れば、担当部署に公開済み資料の所在を確認します。必要に応じて、公文書の開示請求を検討します。

尋ね方は、「この随意契約は怪しくないか」より、次のように絞った方が確認を進められます。

○年度の○○業務について、随意契約を選んだ理由が分かる決裁文書、仕様書、見積書、契約書、変更契約書、業務完了を確認した文書の公開先を知りたいです。

すべての名称の文書が必ず存在するわけではありません。事業名、契約日、相手方が分かれば、それを添え、どの文書を保有しているか確認します。法人の正当な利益を害する情報など、条例が定める情報は非開示となる場合があります。福岡県の公文書開示請求制度

県庁の担当部局の契約と、議会事務局の契約では、文書を管理する先が違います。契約一覧の「所属」を手掛かりに、請求先を間違えないようにしてください。

理由の説明が薄いこと、金額の根拠が分からないこと、違法な契約と判断されたことは、別の問題です。まず資料で分かる事実をそろえ、残った疑問を具体的にする。その順で読むと、「随意契約」という言葉だけでは見えなかった判断の過程を追えます。

執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT

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