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予算が余ったら無駄だった?不用額と繰越額から事業の実施状況を調べる

予算が余ったら無駄だった?不用額と繰越額から事業の実施状況を調べる 兵庫県政

「予算を組んだのに、使わずに余った」。自治体の決算でこうした数字を見つけても、それだけでは無駄遣いだったのか、節約できたのかは分かりません。

まず、使わなかった分を**翌年度へ回す「繰越額」と、その年度に使わず繰り越しもしなかった「不用額」**に分けます。そのうえで、事業が予定どおり実施されたかを確かめます。

安く契約できて余ったのか。必要な人に支援が届かず余ったのか。同じ残額でも、住民にとっての意味は正反対です。兵庫県の資料を入口に、気になる一事業を調べる手順を紹介します。

資料確認日:2026年10月5日

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「予算と支出の差」を、二つに分ける

決算書で最初に見るのは、発表当初の予算額ではなく「予算現額」です。当初予算に、補正予算や前年度から繰り越した予算などを反映した額を指します。個別の費目では、流用や予備費の充用なども確認します。

一般会計などの歳出決算は、基本的に次の関係で読めます。

予算現額 = 支出済額 + 翌年度繰越額 + 不用額

例えば、ある事業が次の状態だったとします。これは仕組みを説明する架空の例で、兵庫県の実績ではありません。

項目 金額
予算現額 1億円
支出済額 7,000万円
翌年度繰越額 2,000万円
不用額 1,000万円

予算と支出の差は3,000万円ですが、全額が不用になったわけではありません。2,000万円は翌年度に使うため繰り越し、残りの1,000万円が不用額です。

支出済額には、年度終了後の出納整理期間に、その年度の支出として整理された額も含まれます。「3月31日までに振り込んだ総額」と決めつけず、決算書の額を使ってください。用語は宮城県「決算に関連する用語解説」、計算関係は兵庫県の令和6年度決算審査意見書・本文14ページで確認できます。

なお、この不用額は、自治体の口座に自由に使える現金が同額残った、という意味ではありません。歳入の実績や翌年度へ持ち越す財源とは別の数字です。

不用額は「何をしなかった結果か」で読む

不用額が出る理由は一つではありません。例えば、予定していた工事を同じ内容で安く契約できた場合と、予定していた工事自体を取りやめた場合では、評価が変わります。

理由を読むときは、次のように事業の結果まで結びつけます。

説明にある言葉 続けて確かめたいこと
入札・契約による減 数量や品質も予定どおりか
申請・利用の実績減 対象者に制度が届いたか
事業の中止・縮小 中止理由と住民への影響
事業費の精算減 実施量や単価がどう変わったか

「申請が少なかった」という説明だけでは、需要を多く見積もりすぎたのか、申請条件が厳しかったのか、周知が足りなかったのかまでは分かりません。申請件数、採択件数、不採択の理由、利用者の声など、原因を確かめる資料へ進みます。

逆に、不要になった支出を取りやめた結果なら、予算を使い切らなかったこと自体を責める理由にはなりません。見るべきなのは、支出の多さより、当初の目的がどこまで達成されたかです。

これは金額から自動的に決まる評価ではありません。参議院の調査資料「決算に関係する基本用語」でも、不用額の大小に加え、発生した理由や状況を分析し、次の予算に生かす視点が示されています。

繰越額は、翌年度の完成まで追う

繰越しは、年度内に支出を終えられない事業などの予算を、所定の手続きを経て翌年度に使えるようにするものです。単に余ったお金を自由に持ち越す仕組みではありません。

よく出てくるのが「繰越明許費」と「事故繰越し」です。

繰越明許費は、その性質や予算成立後の事情によって年度内に支出が終わらない見込みの経費について、予算で定めて繰り越すものです。あらかじめ議会の議決を受けます。

事故繰越しは、年度内に契約などの支出負担行為をしたものの、避けがたい事故で支出が終わらなかった経費などを繰り越すものです。制度と議会への報告については、群馬県「予算の繰越」で説明されています。

読者が確認したいのは、名称の暗記より、何が止まっていて、いつ終わる予定なのかです。

工事なら、用地取得、設計協議、入札、着工、完成のどの段階で遅れたかを見ます。翌年度には契約変更や完成の資料を確かめます。「繰り越した」という記録だけでは、工事が完成したことも、予定したサービスが始まったことも確認できません。

翌年度の資料に同じ事業名があっても、新たに組んだ予算と前年度からの繰越分が合わさっている場合があります。二年分の予算を足して総事業費にするときは、同じ繰越分を二度数えないようにします。

兵庫県では、決算書から監査意見、事業評価へ進む

兵庫県の事業を調べるなら、次の順番で資料を開くと、数字と説明を結びつけやすくなります。

  1. 県の「決算書」で対象年度を選び、歳入歳出決算事項別明細書から担当部局や費目を探す。
  2. 決算審査意見書で、不用額や繰越しの主な理由、監査委員の指摘を読む。
  3. 「事務事業評価」や担当課の実績資料で、実施件数や成果を確かめる。

例えば、令和6年度の決算審査意見書は、本文20ページで不用額と翌年度繰越額を分けて説明しています。不用額には補助金の実績が見込みを下回ったこと、繰越しには工事の計画や設計協議に時間を要したことなどが挙げられています。

同じ「使わなかった分」でも理由が違うことを、実際の資料で確かめられます。事業別の繰越しは、同書の別表4「繰越明許費調」と別表5「事故繰越し調」へ進みます。ここで紹介したのは令和6年度の資料を使った読み方の例です。別年度の事業を調べる際は、年度をそろえてください。

決算書の一つの費目に、複数の事業がまとめられていることもあります。その費目の不用額を、気になる一事業だけの不用額として扱わないようにします。

執行率が低い理由は、金額だけでは決まらない

執行率は、支出済額が予算現額の何%かを表す指標です。先ほどの架空例なら70%になります。

ただし、「70%しか使っていない」から「事業も70%しか終わっていない」とは限りません。工事の進み方と支払時期は一致するとは限らず、給付事業では申請件数によって支出額が変わるからです。

同じ事業を比べるなら、金額に加えて、実施した量も確かめます。住宅改修なら工事件数、相談事業なら相談件数、給付なら支給人数などです。件数が多いだけで目的を達成したとは決まりませんが、少なくとも「いくら使ったか」から「何が届いたか」へ確認を進められます。

また、当初1億円だった予算を補正で6,000万円へ減らし、6,000万円を支出すれば、補正後の執行率は100%になります。数字上は使い切っていても、当初の計画から縮小している可能性があります。当初予算、補正後の額、実績を続けて見る理由はここにあります。

自治体全体の財政状態を知りたい場合は、決算カード・財政状況資料集の読み方、黒字や基金残高との関係は実質収支と実質単年度収支の違いで整理しています。

説明が足りないときは、事業名と数字を添えて確かめる

資料を読んでも理由が分からない場合は、担当課への質問を具体的にします。

令和○年度の○○事業について、予算現額、支出済額、翌年度繰越額、不用額の内訳を知りたいです。不用額が生じた理由と、当初の予定件数・実績件数を確認できる公開資料はありますか。繰越分については、現在の進捗と完成予定も教えてください。

この聞き方なら、「予算が余ったのはなぜか」だけでなく、どの年度の何を確認したいかが伝わります。返答が費目全体の数字なら、一事業分に分けられるかを確かめます。

政経プラスとして問いたいのは、必要な支援や整備が、予定した相手に予定した時期までに届いたかです。不用額や繰越額は、その確認を始める手掛かりになります。額が大きいという理由だけで責任を決めず、行政の説明だけで検証を終えず、実施結果まで追います。

予算が年度途中で変わる仕組みは、予算案・補正予算・予備費の違いも参考にしてください。

執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT

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