情報確認日:2026年10月14日
基礎的財政収支が黒字でも、借金が必ず減るわけではありません。この指標は政策に使う経費と税収等を比べ、利払いや元本返済を除いているためです。借金の増減まで知りたい場合は、利払いを含む収支、債務残高、対象が国だけか国・地方かを併せて確認します。
基礎的財政収支は、政策経費をどこまで賄えるか
基礎的財政収支はプライマリーバランス、略してPBとも呼ばれます。財務省のFAQは、税収・税外収入と、国債費を除く歳出との収支として説明しています。
国債費には元本の返済や利子の支払いに充てる費用などが含まれます。それらを除き、社会保障や公共事業など、その時点の政策に必要な経費をその時点の税収等で賄えているかを見る指標です。
PBが黒字なら、この範囲では収入が支出を上回ります。しかし、除外した利払いがなくなるわけではありません。過去に借りたお金の返済も引き続き必要です。
黒字5、利払い8なら、利払いを含む収支は赤字
次は仕組みを示す編集部作成の仮定例です。実際の国の予算額ではありません。
| 項目 | 仮定した金額 |
|---|---|
| 借入れ以外の収入 | 100 |
| 政策に使う支出 | 95 |
| 利払い | 8 |
この場合、PBは100−95=5の黒字です。一方、利払いも差し引くと100−95−8=−3になります。PBの黒字だけでは、利払い込みの資金不足が解消したと判断できません。
現実には、資産の取得・売却、他会計との取引、借換えなどもあるため、この単純な例だけで債務残高の増減額を計算することはできません。例から分かるのは、利払いを除いた黒字と、財政全体の収支が別だという点です。
国債の借換えも、新たな政策の財源を得るための発行と区別します。返済期限が来た国債を借り換えると、発行額が大きくても同額の元本返済があり得ます。「発行した額」をそのまま「残高が増えた額」とは読めません。
国の一般会計と、国・地方の数字は範囲が違う
「PB黒字化」という報道を読んだら、まず何のPBかを確認してください。国の一般会計についての数字と、国・地方を合わせた数字では、対象が違います。
財務省の2025年度予算政府案の資料の2ページには、一般会計PBの簡便な計算式が注記されています。同じ注記は、それがSNAベースの中央政府のPBとは異なると明記しています。ここでは計算方法の根拠として参照し、掲載された当時の政府案を現在の実績としては使いません。
SNAは国民経済計算の体系です。一般会計の予算表を単純に足し引きした数字と、統計上の基準で整理した政府部門の数字は、名前が似ていても完全に同じではありません。
国・地方の黒字と、市町村一つの財政状態も別です。国と地方の間の移転をどう処理しているか、対象と定義を原資料で確認します。全国合計が改善したというだけで、自分の自治体の余裕まで分かったことにはなりません。
「見通しの黒字」と「決算の黒字」を分ける
予算案、成立した予算、補正後予算、決算、将来試算はそれぞれ違います。将来試算は経済成長率や金利、歳出の置き方などの前提に基づき、確定した結果ではありません。
見通しを比較するときは、公表日と前提をそろえます。税収が予想より増えたのか、一時的な収入が入ったのか、政策経費の扱いが変わったのかによって、同じ改善額でも意味は変わります。
PBを改善する方法の評価も、この指標だけでは決まりません。税の負担や行政サービス、投資への影響は、政策の中身と別の資料を使って検討する事項です。
原資料で確認する五つの欄
調べる順序は、対象年度と資料の種類、会計・政府部門の範囲、PBの定義、利払費、債務残高です。残高は額とGDP比を区別します。GDPが増えれば、借金の額が減らなくても比率が下がることがあるためです。
予算資料なら「一般会計基礎的財政収支」の行と注記を読み、「国債費」の中の利払費・債務償還費を確認します。残高の表では、実績か見込みか、年度末の数字かも確かめます。
掲載値の読み方は、その資料を公表する財務省や内閣府の担当窓口へ、資料名、年度、表番号を伝えると確認しやすくなります。PBは政策経費の調達状況を読む有用な指標ですが、借金の増減を確かめるには、除外された費用と残高の情報まで必要です。
参照資料
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執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT

