動画を公開する直前になると、意外に時間を取られる仕事があります。
タイトルを考える。概要欄を書く。タイムスタンプを付ける。参考資料を並べる。ハッシュタグを選ぶ。
どれも短い文章ですが、一つずつ動画を見直して作ると、かなりの手間になります。急いでAIに任せると、動画で扱っていない内容をタイトルに入れたり、存在しない時刻をタイムスタンプにしたり、確認していないURLを概要欄へ載せたりする危険もあります。
そこで政経プラスでは、前工程で直した「修正済みSRT」を、YouTube公開セットの共通データとして使います。
SRTには、何を話したかだけでなく、いつ話したかが入っています。内容と時刻を同じファイルから読めるため、タイトル、タイムスタンプ、概要欄を別々にゼロから作る必要がありません。
ただし、SRTがあれば自動的に良いタイトルが決まるわけではありません。
AIには候補の抽出と整形を任せ、動画の中心をどう見せるかは人が決める。
今回は、修正済みSRTからYouTube公開セットを作る手順を解説します。
結論:一つのSRTから三つを同時に作る
政経プラスでは、修正済みSRTを受け取ったら、次の三つを一つの工程で作ります。
- タイトル案
- タイムスタンプ
- YouTube概要欄
この三つは、別々の成果物に見えます。しかし、必要な情報は重なっています。
| 成果物 | SRTから使う情報 | 人が決めること |
|---|---|---|
| タイトル | 中心テーマ、人物名、制度名、対立点 | 何を最も強く見せるか |
| タイムスタンプ | 話題が切り替わる実際の時刻 | 視聴者が探しやすい区切り |
| 概要欄 | 動画の論点、結論、固有名詞、数字 | 説明の順序、注意書き、掲載する資料 |
三つを同じSRTから作れば、タイトルと概要欄の内容が食い違いにくくなります。
さらに、タイトル候補を考える過程で動画の中心テーマが明確になり、その結果を概要欄の冒頭にも使えます。話題の区切りを整理すれば、そのままタイムスタンプになります。
一つずつ作るのではなく、共通の設計図から同時に作るのがポイントです。
作業を始める前に用意する四つの材料
AIへ依頼する前に、次の四つをそろえます。
- 修正済みSRT
- 動画で使用した一次資料の一覧
- 動画の対象視聴者
- 公開時点で確認が必要な最新情報
SRTだけで分かるのは、「動画の中で何を、いつ話したか」です。
資料の正式名称、発表日、公開URL、公開後に変わった状況まで、SRTだけから確定することはできません。概要欄の参考資料や注意書きを正しくするには、動画制作時の確認メモを一緒に使います。
たとえばSRTに「報告書では」と書かれていても、どの機関が、いつ公表した、どの報告書なのかは分からない場合があります。AIにURLを推測させず、人が確認済みの資料一覧から選びます。
ステップ1:SRTを話題のブロックに分ける
最初に、SRT全体を五から十二程度の話題に分けます。
区切りの候補は、次の場所です。
- 問題提起から背景説明へ移る
- 人物や組織が変わる
- 制度の説明から具体例へ移る
- 賛成側から反対側へ移る
- 事実の整理から評価へ移る
- 結論や今後の論点へ入る
各ブロックについて、次の形で一行にします。
開始時刻|中心テーマ|重要な固有名詞・数字|その部分の結論
例として、次のように整理します。
0:00|今回の問い|制度A|何が争点なのか
1:42|制度の背景|省庁B・2024年度|制度が作られた理由
4:18|当事者の主張|団体C|賛成側が重視する点
7:05|反対意見|専門家D|想定される問題
10:36|まとめ|今後の手続き|現時点で確定していること
この一覧が、タイトル、タイムスタンプ、概要欄の共通メモになります。
ステップ2:動画の中心を一文で決める
次に、この動画が何を説明する動画なのかを一文にします。
良い中心文には、三つの要素があります。
- 誰または何についての動画か
- 何が問題になっているか
- 視聴後に何が分かるか
この動画は、[対象]をめぐる[争点]について、[視聴後に分かること]を一次資料から整理する動画である。
中心文を先に作る理由は、AIがSRTの中で目立つ言葉だけを拾うのを防ぐためです。
発言回数が多い言葉が、必ずしも動画の中心とは限りません。冒頭の雑談、例示、強い言い回しだけがタイトルになると、動画全体より刺激の強い見出しになります。
中心文は、公開セット全体の基準です。タイトルも概要欄も、この一文から外れないように作ります。
ステップ3:タイトルを三つの型で出す
タイトルは一案だけ出させず、役割の違う三つの型で作ります。
検索型
検索される固有名詞や疑問を前に置きます。
[制度名・人物名]とは?[視聴者が知りたいこと]を資料から解説
制度、法律、行政手続きなど、後から検索され続けるテーマに向いています。
問題提起型
動画の中心的な疑問や、見落とされている論点を前に置きます。
なぜ[問題]が起きるのか|[対象]をめぐる三つの論点
視聴者が「自分にも関係がある」と感じやすい一方、本文より強い断定にならないよう注意します。
比較・対立型
二つの立場や制度の違いを明確にします。
[立場A]と[立場B]は何が違う?争点を一次資料で比較
賛否が分かれるテーマに向いています。ただし、実際には複数の立場があるのに、二者択一へ単純化しないよう確認します。
政経プラスの運用では、各型を複数案出し、まず28文字前後を目安に短くします。これはYouTubeの一律の制限ではなく、一覧やスマートフォンでも要点を読み取りやすくするための編集上の目安です。
タイトル候補は五項目で採点する
候補が出たら、感覚だけで選ばず、次の五項目を各二点で採点します。
| 評価項目 | 0点 | 1点 | 2点 |
|---|---|---|---|
| 内容との一致 | 動画にない内容を含む | 一部だけを強調 | 動画の中心と一致 |
| 具体性 | 抽象的 | 対象だけ分かる | 対象と争点が分かる |
| 検索性 | 検索語がない | 関連語がある | 固有名詞と疑問が明確 |
| 読みやすさ | 長く意味が取りにくい | 少し整理が必要 | 一読で理解できる |
| 表現の正確さ | 断定が強すぎる | 補足が必要 | 根拠に合う強さ |
最高得点の案を自動採用する必要はありません。点数は、なぜその案を選ぶのかを説明するための材料です。
最後は、サムネイルの文言と重複していないかも確認します。タイトルとサムネイルに同じ言葉を並べるより、タイトルで対象を示し、サムネイルで争点を補う方が情報量を増やせます。
ステップ4:実在する時刻だけでタイムスタンプを作る
タイムスタンプで最も重要なのは、時刻を推測しないことです。
AIが文章の長さから「おそらく3分20秒」と補うと、実際の動画とずれます。必ずSRTに存在する開始時刻を使います。
政経プラスの基本ルールは次の通りです。
- 最初は
0:00から始める - SRTにある実際の時刻だけを使う
- 大きな話題の切り替わりを選ぶ
- 項目同士は原則十五秒以上離す
- 五から十二項目を目安にする
- 見出しは三十文字以内を目安にする
- 同じ意味の項目を細かく分けすぎない
この項目数や文字数は、動画の長さに合わせて調整します。短い動画に十項目を詰め込む必要はありません。長い動画でも、意味のない等間隔ではなく、視聴者が目的の話題へ移動できる区切りを優先します。
0:00 今回の争点
1:42 制度が作られた背景
4:18 賛成側が重視する点
7:05 反対側が指摘する問題
10:36 現時点で確定していること
作成後は、各時刻の直後に本当にその話題が始まるか、動画またはSRTで確認します。数秒の挨拶や前置きがある場合は、視聴者が話題へ入る位置を選びます。
ステップ5:概要欄を八つの部品に分ける
概要欄を毎回白紙から書くと、資料や注意書きが抜けます。そこで、次の八つの部品に分けます。
- 冒頭の一文
- 動画の要約
- この動画で分かること
- タイムスタンプ
- 使用した一次資料・確認資料
- 関連動画・関連記事
- チャンネル案内と注意書き
- ハッシュタグ
冒頭の一文
タイトルを繰り返すのではなく、視聴者が抱く疑問を一文で示します。
[対象]をめぐる議論では、[よくある理解]だけでは見えない論点があります。
動画の要約
政経プラスでは、通常は二百五十から四百五十字程度で、背景、中心的な争点、確認できたこと、まだ決まっていないことを整理します。
ここでは結論だけでなく、条件と限界を残します。「決定した」のか、「検討されている」のか、「当事者が主張している」のかを区別します。
この動画で分かること
三から五項目の箇条書きにします。
- 制度が作られた背景
- 賛成側と反対側が重視する点
- 一次資料で確認できる範囲
- 今後の手続きと未確定事項
使用した一次資料・確認資料
資料名、作成主体、公開日、確認済みURLを並べます。
・資料名|作成主体|公開日
https://example.com/confirmed-url
SRTに資料名が出ていても、URLが確認メモにない場合は、AIに作らせません。「要確認」として残し、人が正式ページを探します。
概要欄の長さは目的で決める
政経プラスでは、通常動画の概要欄は五百から九百字程度、資料や論点が多い長尺動画は八百から千五百字程度を運用上の目安にします。
長ければ良いわけではありません。
重要なのは、冒頭だけで動画の価値が分かり、必要な人がタイムスタンプや資料へすぐ移動できることです。チャンネルの定型文を増やすより、今回の動画固有の情報を上に置きます。
AIへ渡す実用プロンプト
次の形で依頼すると、タイトル、タイムスタンプ、概要欄を一度に比較できます。
以下の修正済みSRTと確認済み資料一覧から、YouTube公開セットを作ってください。
【目的】
動画の内容を正確に伝え、視聴者が必要な箇所と資料へ移動できるようにする。
【出力】
1. 動画の中心を一文
2. タイトル案
- 検索型を3案
- 問題提起型を3案
- 比較・対立型を3案
3. 各タイトルの評価
- 内容との一致
- 具体性
- 検索性
- 読みやすさ
- 表現の正確さ
4. タイムスタンプ
5. YouTube概要欄
6. 人が確認すべき箇所
【ルール】
- SRTにない事実を追加しない
- 時刻はSRTに実在する開始時刻だけを使う
- URLは確認済み資料一覧にあるものだけを使う
- 事実、当事者の主張、動画内の評価を分ける
- 未確定の内容を決定事項として書かない
- タイトルや冒頭を本文より強い表現にしない
- 判断できない箇所は「要確認」と明示する
【対象視聴者】
[ここに記入]
【確認済み資料一覧】
[ここに記入]
【修正済みSRT】
[ここに貼り付け]
AIの最初の出力は完成稿ではなく、選択肢と点検表です。
人は、タイトルを選び、資料のURLを開き、時刻を確認し、公開時点の状況を反映します。
AIに任せる作業と、人が確認する作業
| AIに任せやすい作業 | 人が確認する作業 |
|---|---|
| SRTを話題ごとに分ける | 動画の中心テーマを決める |
| 固有名詞や数字の候補を拾う | 固有名詞と数字を一次資料で確定する |
| 三つの型でタイトル案を出す | 誇張のないタイトルを選ぶ |
| SRTの開始時刻から候補を並べる | 実際に話題が始まる位置を確認する |
| 概要欄の定型へ情報を配置する | 資料URLと公開時点の状況を確認する |
| 抜け漏れ候補を一覧にする | 最終的な公開可否を決める |
AIに向いているのは、候補を増やすことと、形式をそろえることです。
一方、何を動画の中心として見せるか、どの表現なら根拠に見合うか、どの資料を公式情報として載せるかは、人の判断です。
よくある失敗
SRTにない強い言葉をタイトルへ足す
「激震」「完全崩壊」「隠蔽確定」などの言葉は、クリックされそうに見えても、動画と資料に根拠がなければ使えません。
タイトルは動画への入口です。本文より強い結論を入口に置くと、動画全体が誤解されます。
タイムスタンプを等間隔で作る
二分ごと、五分ごとに区切っても、話題の開始位置とは限りません。視聴者の移動を助ける索引にするには、SRTの意味の切れ目を使います。
概要欄に存在しないURLを入れる
AIは、正式に見えるURLを組み立てることがあります。リンクは文字列を見るだけでなく、実際に開き、作成主体、資料名、公開日が一致するか確認します。
タイトルとサムネイルと概要欄の主張が違う
それぞれを別のタイミングで作ると、タイトルではA、サムネイルではB、概要欄ではCが中心になることがあります。
公開前に三つを横に並べ、同じ中心文から作られているか確認します。
AIの第一案をそのまま採用する
第一案は、最も頻出する語や、最も刺激の強い箇所に引っ張られることがあります。三つの型を比較し、採用理由を言葉にできる案を選びます。
30分で行う制作手順
慣れてきたら、次の時間配分を目安にします。
| 時間 | 作業 |
|---|---|
| 0〜5分 | SRTを話題ブロックに分ける |
| 5〜10分 | 中心文とタイトル三型を作る |
| 10〜15分 | 実在時刻からタイムスタンプを選ぶ |
| 15〜23分 | 概要欄の八部品を組み立てる |
| 23〜30分 | タイトル、時刻、資料URL、表現を人が確認する |
初回から三十分で終わらなくても問題ありません。
大切なのは、実際にかかった時間を「タイトル」「タイムスタンプ」「概要欄」「確認」に分けて記録することです。時間が集中している工程が分かれば、次にテンプレート化する場所を決められます。
公開前チェックリスト
- [ ] 動画の中心を一文で説明できる
- [ ] 検索型、問題提起型、比較・対立型を比較した
- [ ] タイトルにSRTや資料にない事実を加えていない
- [ ] タイトルとサムネイルが同じ言葉の繰り返しになっていない
- [ ] タイムスタンプはすべてSRTに存在する時刻である
- [ ] 各時刻から実際にその話題が始まる
- [ ] 概要欄の冒頭で動画の価値が分かる
- [ ] 事実、当事者の主張、動画の評価を分けた
- [ ] 未確定事項を決定事項として書いていない
- [ ] 資料名、作成主体、公開日を確認した
- [ ] すべてのURLを実際に開いて確認した
- [ ] タイトル、サムネイル、概要欄の中心が一致している
- [ ] 公開時点の最新状況を確認した
まとめ
- 修正済みSRTを、タイトル、タイムスタンプ、概要欄の共通データにする
- 最初にSRTを話題ブロックへ分け、動画の中心を一文で決める
- タイトルは検索型、問題提起型、比較・対立型の三つを比較する
- タイムスタンプはAIに推測させず、SRTに実在する時刻だけを使う
- 概要欄は八つの部品に分け、確認済み資料だけを掲載する
- AIには候補の抽出と整形を任せ、公開する表現は人が決める
- タイトル、サムネイル、概要欄を横に並べ、主張の強さをそろえる
修正済みSRTがあれば、公開直前に動画を最初から何度も見直す必要はありません。
内容と時刻を一度確定し、同じデータから公開セットを作る。
これにより、作業時間を短くしながら、タイトル、タイムスタンプ、概要欄の食い違いを減らせます。
第9回では、修正済みSRTと確認済み資料から、動画の内容をそのまま複製するのではなく、検索から読まれるブログ記事へ組み替える方法を解説しています。
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