地方議会の再議とは?3分の2要件と専決処分との違いを図解

シリーズ:私とAIで読み解く・地方議会制度

執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT(GPT-5.6 sol/推論レベル:極高[xhigh])

AIを文章構成・論点整理・資料確認の補助に使用し、最終的な編集・公開判断はカネさんが行っています。

地方議会の「再議」とは、議会が決めた内容について、知事や市町村長が理由を示し、議会にもう一度審議・議決を求める制度です。首長が議会の決定を一方的に取り消す仕組みではありません。

ニュースでは「首長が再議に付した」「3分の2で再可決」といった言葉が出ます。しかし、3分の2の要件はすべての再議にかかるわけではなく、違法な議決や義務的経費の削減をめぐる特別な手続きもあります。資料確認日は2026年9月5日です。

再議とは?結論を先に整理

図:再議は「議会に戻して、もう一度決める」手続き
議会が議決・選挙
首長が理由を示して再議に付す
一般的再議では期限あり。特別的再議では、違法・権限超過や一定の経費削減などが対象。
議会が再び審議・議決
一般的再議で条例または予算を同じ内容で成立させるには、出席議員の3分の2以上の同意が必要。

ポイント:再議は、首長が代わりに決定する「専決処分」とは別です。また、3分の2は全ての再議に共通する要件ではありません。

根拠:地方自治法第176条・第177条。2026年9月5日確認。図は制度の概略で、個別事件の適法性を判定するものではありません。

地方自治法には、実務上「一般的再議」「特別的再議」と呼ばれる仕組みがあります。条文上の見出しとしてこの名称が書かれているわけではありませんが、自治体議会や国会審議でも、首長の一般的な異議に基づくものと、違法な議決などを対象とするものを区別して説明しています。

根拠:e-Gov法令検索「地方自治法」第176条・第177条長崎市議会「再議とは」

一般的再議:首長が議決に異議を述べる場合

地方自治法第176条第1項は、首長が議会の議決に異議があるとき、理由を示して再議に付すことができると定めています。知事や市町村長を、以下ではまとめて「首長」と呼びます。

期限は原則として議決の日から10日以内です。ただし、条例の制定・改廃または予算に関する議決では、その議決が首長へ送付された日から10日以内とされています。「いつ報道されたか」ではなく、議決日または送付日を確認します。

再議の結果、議会が前と同じ議決をした場合、その議決は確定します。ただし、同じ内容を再び成立させるために出席議員の3分の2以上の同意が必要なのは、条例の制定・改廃または予算に関する議決です。第176条第3項の特別多数を、ほかの案件を含む全ての再議へ広げて説明するのは正確ではありません。

もう一つ大切なのが、「議会が可決した内容への異議」と「首長が提出した議案の否決」は同じではないことです。2014年3月13日の衆議院総務委員会で、政府参考人は、首長の提出議案が否決された場合は一般的再議に付すことができないという解釈を示しています。否決された議案を、そのまま再議という名称でやり直せる制度ではありません。

根拠:地方自治法第176条第1項〜第3項第186回国会・衆議院総務委員会第7号(2014年3月13日)

特別的再議:違法な議決や一定の経費削減では扱いが違う

地方自治法第176条第4項以降と第177条には、首長の単なる政策的な異議とは性格の異なる手続きがあります。全体像は次のとおりです。

表:再議を3つの入口で整理
根拠と主な対象再度の議決後
176条1〜3項
一般的再議
対象は、首長が異議を持つ議会の議決。同じ議決なら確定し、条例・予算を同じ内容で成立させるには、出席議員の3分の2以上の同意が必要。
176条4〜8項
特別的再議
対象は、権限超過または法令・会議規則違反と首長が認める議決・選挙。再度の結果にも異議があれば、審査申立てや訴訟へ進む場合がある。
177条
特別的再議
対象は、一定の義務的経費や災害・感染症関係経費の削減。再度削減された経費の種類により、予算計上・支出または不信任とみなす手続きに分かれる。

第176条第4項の再議では、首長が「権限を超えている」「法令または会議規則に違反している」と認めた議決や選挙を、理由を示して再議または再選挙に付さなければなりません。再度の結果にも異議がある場合は、再度の議決・選挙の日から21日以内に審査を申し立てることができます。さらに裁定を不服として訴える場合の期間は、裁定の日から60日以内です。

ただし、「違法だ」と首長が主張したことだけで、違法性が最終確定したとは限りません。首長の理由、議会の反論、裁定や判決がある場合はその結論を分けて読みます。

第177条は、一定の経費を議会が削除または減額した場合、首長に再議を義務付けます。対象は、法令により負担する経費など自治体の義務に属する経費と、非常災害の応急・復旧施設または感染症予防に必要な経費です。

再議後も、議会が義務的経費を削除・減額した場合、首長はその経費と伴う収入を予算へ計上して支出できます。一方、災害の応急・復旧や感染症予防に必要な経費を再び削除・減額した場合、首長はその議決を不信任の議決とみなすことができます。自動的に不信任になるのではなく、条文は「みなすことができる」としています。

不信任とみなされた場合は、第178条の議会解散や首長の失職につながる手続きへ接続し得ます。ただし、不信任議決自体にも出席要件と賛成要件があり、再議の記事だけで個別事案の結論を出すことはできません。

根拠:地方自治法第176条第4項〜第8項、第177条、第178条広島市議会「主な議会運営用語」

不信任後に議会が解散する条件と、その後の流れは、地方議会はどう解散する?不信任・住民請求・自主解散を図解で確認できます。

再議と専決処分はどう違う?

再議と専決処分は、どちらも首長と議会の関係が問題になるため混同されがちです。しかし、決定の順序と首長の行為が違います。

表:再議・専決処分・不信任を区別
制度何が起きるか
再議議会がいったん議決・選挙した後、首長が理由を示して議会へ戻し、議会がもう一度判断する。
専決処分地方自治法の要件に該当する場合、または議会が事前に指定した軽易な事項について、首長が議会に代わって処理する。処分後に承認または報告の手続きがある。
不信任の議決議会が首長を信任しない意思を、地方自治法第178条の要件で議決する。議会の解散または首長の失職につながり得る。

つまり、再議は「議会に戻す」、専決処分は「法定の条件のもとで首長が処理する」、不信任は「議会と首長の政治的・法的関係を問い直す」と整理できます。専決処分の条件や事後手続きは、地方議会の専決処分とは?179条・180条の違いと不承認を図解で詳しく説明しています。

再議のニュースで確認したい資料

「再議に付した」という発表だけでは、どの種類の再議で、争点が何かまでは分かりません。次の資料をそろえると、首長と議会の主張を分けて読めます。

表:再議を確認する6点
資料・日付確かめること
最初の議案・議決結果原案、修正案、可決・否決の別。首長提出議案が否決された事案か、議会が可決した議決への異議か。
議決日・送付日一般的再議の10日以内を確認する基準日。条例・予算では送付日を見る。
再議書・理由書首長が政策的異議、違法・権限超過、経費削減のどれを根拠にしているか。条文番号も確認する。
再度の採決結果出席議員数、賛成・反対数、対象が条例・予算か。3分の2要件を案件に合わせて確認する。
会議録首長側の説明と議員の反論。違法性に関する主張を、確定した事実と混同しない。
裁定書・判決特別的再議で審査申立てや訴訟へ進んだ場合、その結論と日付。途中段階の主張だけで結論を出さない。

資料が見つからない場合は、「理由書が存在しない」と断定せず、自治体サイト、議会資料、会議録検索で公開状況を確認します。発表文の要約だけでなく、再議書の原文と採決数までたどるのが基本です。

政経プラスでは、再議を首長と議会の勝ち負けだけで見ず、どの条文を使い、どの理由を示し、再度の議決がどの要件を満たしたのかを分けて確認したいと考えます。これは制度を読むための編集上の視点です。

よくある質問

Q. 首長提出の議案が否決されたら、再議でやり直せますか?

一般的再議について、2014年の国会審議では、首長の提出議案が否決された場合は再議に付すことができないという政府解釈が示されています。議会が可決した議決への異議と、提出議案の否決は分けて考えます。

Q. 再可決には必ず出席議員の3分の2が必要ですか?

いいえ。地方自治法第176条第3項の3分の2要件は、一般的再議のうち、条例の制定・改廃または予算に関する議決を同じ内容で成立させる場合に定められています。全ての再議に一律に適用される要件ではありません。

Q. 再議は首長の「拒否権」ですか?

首長の異議申立てという意味で「拒否権」と説明されることはありますが、首長が最終決定を一方的に消す制度ではありません。一般的再議では議会が再び同じ議決をすれば確定します。特別的再議では、審査申立てや裁定、訴訟、第177条の特則など、別の手続きがあります。

まとめ

  • 再議は、首長が理由を示し、議会にもう一度審議・議決を求める制度です。
  • 一般的再議は原則10日以内。条例・予算を同じ内容で成立させる場合は、出席議員の3分の2以上の同意が必要です。
  • 違法・権限超過の議決や、一定の義務的経費・災害等の経費削減には、特別な再議の仕組みがあります。
  • 再議、専決処分、不信任は別制度です。議決日、根拠条文、再議理由、再度の採決数を一組で確認します。

ニュースを見たら、まず「地方自治法の何条による再議か」と「最初の議決は何だったか」を確かめてください。それだけでも、3分の2が必要な案件か、違法性を争う特別な手続きかを整理しやすくなります。

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主な確認資料

本記事は都道府県・市町村の制度を扱う一般解説です。個別の再議の適法性や期限計算は、議決書・送付記録・理由書などの事実関係を確認する必要があります。

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