自民福岡県議団の政務活動費|支出243万円の減額修正を検証

資料確認日:2026年9月19日

自由民主党福岡県議団の政務活動費収支報告書を新旧で比べると、令和3・4年度と、令和5年度の5月〜翌3月分で、支出の計上額が合計243万1,916円減っています。いずれも「広聴・広報費」の修正で、対象は当時同会派に所属していた藏内勇夫氏(一般に「蔵内勇夫」とも表記)の政経セミナーの会場使用料や印刷代です。

会派は、議員から報告の一部を取り下げる申出があり、交付していた政務活動費が返還されたために修正した、と説明しています。ただし、この説明が示す返還先は会派です。243万1,916円の全額が県へ戻ったと、この資料だけで結論づけることはできません。

何が取り下げられ、帳簿がどう変わったのか。そして、県への精算はどこまで確かめられるのか。公表されている6本の新旧報告書を照合しました。

3期間で243万1,916円。変わったのは広聴・広報費

福岡県議会の政務活動費公開ページには、自由民主党福岡県議団の修正前と修正後の報告書が並んでいます。今回比べたのは、令和3年度・令和4年度と、令和5年度の5月〜翌3月分です。令和5年度の4月分は別の報告書で、今回の比較には含めていません。

広聴・広報費の欄は、次のように変わっています。単位は円です。

※表は横にスクロールできます。

対象期間 修正前 修正後 減額
令和3年度(2021年度) 33,055,091 32,164,627 890,464
令和4年度(2022年度) 37,706,615 36,832,742 873,873
令和5年度(2023年度)5月〜翌3月 31,110,866 30,443,287 667,579
減額の合計 2,431,916

ほかの支出欄9項目の数値には変更がありません。各期間の支出合計も、この広聴・広報費と同額だけ減っています。

出典:各PDF2ページ。令和3年度の修正前修正後、令和4年度の修正前修正後、令和5年度5月〜翌3月の修正前修正後。ページ数はPDFの先頭から数えています。

取り下げられたのは、藏内氏のセミナー経費

各修正版の1ページには藏内氏の氏名と修正内容があり、3ページには取り下げた経費の一覧が付いています。今回の比較対象に対応するのは、次の5件です。

※表は横にスクロールできます。

支払日 使途 政務活動費充当額
2021年8月11日 政経セミナー講演会・会場使用料 710,464円
2021年7月9日 政経セミナー・冊子印刷代 180,000円
2022年6月27日 政経セミナー講演会・会場使用料 697,873円
2022年6月15日 政経セミナー・資料印刷代 176,000円
2023年9月15日 政経セミナー講演会・会場使用料 667,579円
合計 2,431,916円

この5件の合計は、新旧報告書の減額と一致します。2021年の印刷代は、修正文書1ページでは「資料印刷代」、一覧の3ページでは「冊子印刷代」と記されています。表は一覧の表記に合わせました。

一覧には按分率50%という記載もあります。表に示したのは、その按分を反映した「政務活動費充当額」です。会場や印刷にかかった費用全体ではなく、政務活動費として計上していた金額を比べています。

なお、同じ一覧には2020年分の会場使用料と印刷代、計82万2,756円も載っています。それを含む一覧全体は325万4,672円ですが、本稿では令和2年度の新旧収支報告書を比較していません。一覧全体の325万4,672円と、今回照合した3期間の減額243万1,916円は、集計範囲が違います。

出典:令和3年度修正版令和4年度修正版令和5年度5月〜翌3月修正版の各1・3ページ。

「会派に返還」と「県に返還」を混同してはいけない

修正文書の説明を読むと、お金の動きは「議員から会派へ」です。所属議員が報告の一部を取り下げ、会派がその議員に交付していた政務活動費が返還されたため、会派の報告書を直すという内容になっています。

ここから、会派が県にいくら追加で納めたかまでは分かりません。修正文書には対象額の全額返還との記載がありますが、県への納付額や納付日、受領記録を示す資料ではありません。また、議員から会派への返還についても、本稿が確認したのは会派の説明であり、振込記録そのものではありません。

実際に、報告書の「残余」を比べると、年度によって状態が違います。単位は円です。

※表は横にスクロールできます。

対象期間 修正前の残余 修正後の残余
令和3年度 6,763,691 7,654,155
令和4年度 -8,879,256 -8,005,383
令和5年度5月〜翌3月 11,441,725 12,109,304

令和4年度は、修正後も残余がマイナス800万5,383円です。報告書の収入2億2,600万円から、修正後の支出2億3,400万5,383円を引くと、この数値になります。

このマイナスは、報告書上の支出が収入を上回ることを表しています。それだけで不正を認定することはできませんし、今回減額した87万3,873円がそのまま県への追加返還額になる、とも読めません。

確認するべきなのは、年度ごとの精算です。追加返還が必要だったのか。必要なら、いくら、いつ県に納めたのか。必要がないと整理したなら、その根拠は何か。会派の収支報告書と県側の受領・精算記録をつないで初めて、お金の行方を説明できます。

出典:上記3期間の新旧報告書・各2ページ、修正版・各1ページ。

修正文書は6月23日付。ウェブ公表日は未確認

3本の修正文書の日付は、いずれも2026年6月23日です。本稿は9月に資料を照合した記事であり、9月に新たな修正が行われたと伝えるものではありません。文書の日付とウェブでの公表日は別で、公表日は今回確認できていません。

また、修正理由として確認できるのは、議員の申出で報告の一部を取り下げ、会派に返還されたという説明までです。なぜ取り下げる判断に至ったのか、当初はどんな根拠で政務活動費に計上していたのか、今回の修正文書には具体的な説明がありません。

セミナーで何を話し、どんな資料を配ったのか。費用の半分を政務活動費に充てた根拠は何だったのか。領収書、配付資料、按分の算定資料を確認しなければ、支出の実態までは判断できません。

収支報告書の修正だけを根拠に、違法使用を認めたと書くこともできません。本稿の比較は、行政・監査・司法による認定の有無を網羅的に調べたものではありません。

訂正の説明は、数字を直すだけでは終わらない

新旧の報告書が公開されているため、どの費目がいくら変わったかを第三者が確かめられます。一方で、減額後の数字だけでは、なぜ当初の計上を取り下げたのか、県との精算がどうなったのかが残ります。

私は、藏内氏と会派に、まず当初の計上根拠と取り下げ理由を示してほしいと考えます。会派と県には、追加返還の有無と、その判断を裏付ける年度別の精算記録を説明してほしい。一般的な「説明責任」という言葉で終わらせず、確認したい書類と金額を具体的に挙げるべき問題です。

帳簿の修正を入口に、当初の計上根拠、取り下げ理由、県との精算まで追える状態を求めます。

藏内氏の会見対応については、noteの「蔵内さん、その『後日』はいつ来るのですか」で扱っています。

福岡県議会をめぐる最近の動きは、筑後市県議補選の争点を整理した記事もご覧ください。

執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT(GPT-6)。AIは構成・論点整理・出典確認を補助し、最終編集・公開判断はカネさんが行います。

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