最低賃金とは?正社員・アルバイトの対象、勤務地のルール、決め方をやさしく解説

最低賃金は、アルバイトの求人欄だけの話ではありません。月給で働く正社員にも、パートにも関係します。

会社が支払う賃金に、法律で設けられた下限。これが最低賃金の基本です。「このくらい払ってくれたらうれしい」という目安ではなく、雇う側が守る基準になります。

この制度編では、どんな人に適用され、どの県の額を使い、誰が決めているのかを、身近な場面から読み解きます。

情報確認:2026年10月1日。都道府県別の金額・発効日は特集のランキング編で確認できます。

本人が「この時給でいい」と同意しても、下回れない

「経験を積みたいので安くてもいいです」「店の経営が苦しいから、この額でお願いします」。働く側と雇う側の双方が納得していても、最低賃金を下回る契約の部分は無効になります。

その部分は、最低賃金と同じ額で契約したものとして扱われます。すでに不足する額しか支払われていなければ、差額の支払いが必要です。

雇用契約で自由に決められる範囲にも、下限があるということです。

出典:厚生労働省「最低賃金とは?」

正社員、学生、外国人。「アルバイトだけの制度」ではない

地域別最低賃金は、その都道府県の事業場で働く労働者に、業種や職種、雇用形態を問わず適用されます。

正社員、パート、アルバイト、臨時、嘱託なども対象です。学生だから、外国人だからという理由で、地域別最低賃金を下回ってよいことにはなりません。

月給の人も、対象となる賃金を時間額に換算して基準を満たすか確認します。「月給20万円だから大丈夫」と、月額だけで決めることはできません。

出典:厚生労働省「最低賃金の適用される労働者の範囲」

最低賃金には「地域別」と「特定」の2種類がある

地域別最低賃金:都道府県ごとの基本の下限

ニュースで「東京は何円」「福岡は何円」と紹介されるのが、地域別最低賃金です。47都道府県にそれぞれ設定され、幅広い仕事に適用されます。

特定最低賃金:ある産業に、別の基準がある場合

特定の産業に設けられるのが、特定(産業別)最低賃金です。地域別より高い水準の最低賃金を必要と認める場合などに設定されます。

両方が適用される場合は、高い方を満たす必要があります。毎年の改定時期が違うため、地域別の額が既存の特定最低賃金を上回ることもあります。名前だけで優先順位を決めず、両方の現行額を見ます。

特定最低賃金には、年齢、技能習得期間、担当業務などによる適用範囲があります。特定の対象外でも、地域別最低賃金まで適用されなくなるわけではありません。

出典:厚生労働省「最低賃金の種類は?」、特定最低賃金について

住んでいる県?本社の県?通常は「働く事業場」の県

埼玉に住み、東京の店舗へ通って働いているなら、通常確認するのは東京の最低賃金です。住民票の県だけで判断しません。

反対に、東京に本社がある会社でも、福岡の店舗で働くなら、通常は福岡の地域別最低賃金を確認します。全国チェーンだから全国同じ法定最低時給になる、という仕組みではありません。

出典:厚生労働省「最低賃金制度の概要」

派遣は、派遣先の事業場が基準

派遣会社の所在地ではなく、実際に派遣されて働く事業場に適用される最低賃金を使います。派遣先で特定最低賃金が適用される場合も含めて確認します。

出典:厚生労働省「派遣労働者の最低賃金は?」

テレワークは、自宅の県だけで決まらない

在宅勤務では、働く場所にかかわらず、本人が所属する事業場の都道府県の最低賃金が適用されます。

「自宅が地方だから地方の額」とは限りません。所属先の事業場がどこなのかを、雇用契約や会社の説明で確かめましょう。

出典:厚生労働省「テレワークの基礎知識」

試用期間や研修中なら、安い時給でもいい?

「試用期間」「研修中」という名前だけでは、最低賃金を下回れません。

最低賃金の減額特例という制度はありますが、使用者が都道府県労働局長から個別の許可を受ける必要があります。会社が独自に「最初の3か月は対象外」と決められるものではありません。

特例の対象には、試用期間中の人、一定の職業訓練を受ける人、一定の軽易・断続的な業務に従事する人などが挙げられます。障害のある人も、障害があるというだけで自動的に減額されるわけではありません。

説明に疑問があれば、許可の有無や内容を確認するか、労働局・労働基準監督署に相談できます。

出典:厚生労働省「最低賃金の適用される労働者の範囲」(減額特例を含む)

誰が決める?生活費・賃金・支払能力を見て審議する

毎年、中央最低賃金審議会が引上げ額の目安を示し、各地の審議会が地域の実情を踏まえて審議します。審議会には公益代表、労働者代表、使用者代表が同数で参加します。

地域別最低賃金を決める基準は、働く人の生計費、賃金の実態、通常の事業の賃金支払能力です。生計費の検討では、生活保護に関する施策との整合性にも配慮します。

審議の答申から、異議申出の手続きを経て、都道府県労働局長が決定します。その後、発効日を迎えると新しい額が適用されます。

出典:厚生労働省「最低賃金の決め方は?」、地域別最低賃金の改定

最低賃金が上がれば、全員の給料が同じ額だけ上がる?

法律上、新しい最低賃金を下回る賃金は、基準を満たすようにする必要があります。一方、すでに基準より高い賃金が、全員一律で同じ額だけ増えると決まっているわけではありません。

たとえば最低時給が50円上がったとき、もともとそれより十分に高い時給の人まで、法律によって必ず50円増えるという関係ではありません。会社の賃金制度や契約による昇給とは分けて考えます。

また、最低賃金は賃金の下限です。この額さえ払えば仕事内容や経験に見合った待遇になる、生活費を必ず賄える、という保証まで付いているものではありません。

フリーランスや業務委託なら、どうなる?

独立して仕事を請け負う人と、会社に雇われる労働者では、適用される制度が違います。業務委託の報酬すべてに、地域別最低賃金をそのまま当てはめることはできません。

ただし、契約書に「業務委託」と書かれていれば判断が終わるわけでもありません。指示の受け方、仕事を断れるか、時間や場所の拘束など、働き方の実態から労働者に当たる可能性があります。

迷う場合は、労働基準監督署の労働者性に関する相談窓口で確認できます。

出典:厚生労働省「労働者とは」

自分に当てはめるなら、県・日付・給与の中身の順で確認

最低賃金の確認は、まず自分に適用される事業場と産業を確かめ、次に金額と発効日を調べます。最後に、給与のうち対象になる部分を時間額に直します。

通勤手当や残業代を足した総支給額では、正しく比べられません。計算編で、月給の人も使える確認方法を説明します。

執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT(GPT-6)。AIは構成・論点整理・資料確認を補助し、最終編集・公開判断はカネさんが行います。

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