福岡県議会の政治倫理条例案に、個人や団体から多くの意見が寄せられた。それは当然だと私は思う。県民の信頼を損なう問題を重ねてきた議会が、自らを律する制度をつくる以上、厳しく問われるのは当たり前である。
私が疑問に思うのは、林泰輔県議の暴言を含む攻撃的な投稿の問題を抱える県議会が、条例をつくっただけで信頼を得られると考えていないか、という点だ。
96の個人・団体から約280件の意見
10月7日のTNC報道によると、条例素案に96の個人・団体から約280件の意見が寄せられた。審査請求の要件を緩めることや、審査会を公開することを求める意見があったという。TNC・意見募集の結果
報道で示された素案では、有権者が審査を請求するために、定数の3分の1以上、かつ3会派以上の議員の紹介を必要としている。審査会は原則非公開とする仕組みだ。
ここに意見が集中するのは、当然ではないか。
県民が議員の行為を問題にしても、審査の入口で多数の議員と複数会派の協力が必要になる。議会内部の賛同を集められなければ、県民の疑問を審査に乗せられない仕組みになるからだ。
議会の信頼を回復するための条例であれば、県民が使える制度になっているかを、まず問われなければならない。
団体の意見を聞くのは、県民の監視を受け入れることだ
意見提出を公表した団体の一つに、NPO法人・市民オンブズマン福岡がある。同団体は9月28日、条例案への意見書を提出したと公表している。市民オンブズマン福岡の提出公表
こうした団体や個人が声を上げるのは、条例が自分たちの監視や検証に関わるからだ。議会の内側だけで扱う規則ではない。
テレQの10月7日の報道では、政策条例検討会議の江口善明座長が、審査請求の要件緩和を含めて検討する考えを示している。テレQ・議会側の説明
意見を集め、見直しを検討する動きは認めたい。そのうえで、請求のしやすさや審査の見え方を、最終的な条文でどう改めるか。その結果が問われる。
林県議の行為を、県議会自身も問題にした
10月1日の問責決議には、林県議が匿名アカウントを使い、県民や他の議員らに攻撃的・侮辱的な投稿をしていたと自ら認めたことが記されている。福岡県議会の問責決議
別の問責決議は、この行為が、政治倫理の確立と信頼回復に取り組む県議会の姿勢に疑念を抱かせかねないと指摘し、誠実な説明と謝罪、県民への説明責任を求めている。説明と謝罪を求める問責決議
条例の検討と林県議の問題を結び付けているのは、県議会自身なのである。
それなら、決議を出した後に、何を説明させ、どう謝罪を求め、どのように履行を確認するのかを県民に示すべきだ。
条例を制定する一方で、既に明らかになった行為への対応が曖昧なままなら、県民が信頼する理由は見つからない。
条文に倫理を書いても、議会の倫理は証明されない
私は、条例の制定そのものを、信頼回復の実績として持ち上げることに反対する。
議員の責務や禁止する行為を書いた条文は、出発点にすぎない。問題が起きたとき、身内の議員にも具体的な説明を求めるのか。県民が審査を求められるのか。判断の過程を公開し、外から確かめられるのか。
県民が見るのは、そこだ。
林県議の問題を抱えながら、議会の内側で高いハードルを設けた制度をつくり、倫理に取り組んでいると説明しても、説得力は乏しい。
多くの意見が寄せられたことは、議会への信頼が戻った証拠ではない。今度こそ実際に使える制度をつくれ、身内の問題にも向き合え、という問いを突き付けられたと受け止めるべきだと私は考える。
10月7日の報道時点では、条例は制定を目指して検討されている段階である。最終的な条文と、林県議への説明・謝罪要求をどう実行するか。その両方で、県議会の本気が問われる。
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執筆:カネさん(政経プラスチャンネル運営)/構成・出典確認補助:ChatGPT

