執筆・編集:カネさん(政経プラスチャンネル運営)
公開日:2026年8月23日
確認方針:公的資料・会見記録・原資料を優先し、確認できる事実、県議会側の説明、政経プラスの評価を分けて記載します。
福岡県議会が2023年度から2025年度に行った海外活動は23件、総経費は約2億6,500万円でした。県議会が公開した23件の内訳を合計すると2億6,496万2,000円です。1件平均は約1,152万円で、うち13件が1,000万円を超えました。
海外での調査や地域間交流そのものを否定する話ではありません。問われているのは、税金を使った一件ごとの目的、費用、契約、宿泊先、そして帰国後に何が実現したのかを県民が検証できる状態になっていたかです。
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一連の問題全体については、福岡県議会の金銭授受疑惑とは?経緯と問題点でも整理しています。
福岡県議会の海外視察費は3年で約2億6,500万円
2026年8月6日、福岡県議会は海外活動の経費を初めてまとめて公表しました。対象は2023年8月から2026年3月までに出発した23件です。
県議会の活動報告書一覧には24件が掲載されていますが、2025年5月のカタール訪問は「執行部から支出」とされ、県議会経費の23件には含まれません。各資料の「総経費」は、議員旅費、随行した議会事務局職員の旅費、現地車両・通訳・添乗員などの委託費の合計です。金額は千円単位に丸めて公表されています。
| 時期 | 主な訪問先 | 総経費 |
|---|---|---|
| 2026年3月 | 韓国・慶尚南道 | 249万円 |
| 2026年1月 | ハワイ | 1,060万円 |
| 2026年1月 | バンコク | 483万9,000円 |
| 2025年11月 | パリ | 1,407万7,000円 |
| 2025年8月 | 中国 | 389万2,000円 |
| 2025年3月 | 韓国・慶尚南道 | 390万1,000円 |
| 2025年3月 | ハノイ | 530万4,000円 |
| 2025年1月 | ハワイ | 1,413万円 |
| 2024年11月 | バンコク | 780万8,000円 |
| 2024年11月 | エジプト・カイロ | 1,099万4,000円 |
| 2024年8月 | オーストラリア | 1,272万7,000円 |
| 2024年5月 | ロンドン・パリ | 1,751万1,000円 |
| 2024年5月 | ハワイ | 1,153万7,000円 |
| 2024年4月 | 南アフリカ・ドバイ | 2,627万1,000円 |
| 2024年2月 | 韓国・慶尚南道 | 384万6,000円 |
| 2024年2月 | スイス・フランス | 3,003万8,000円 |
| 2024年1月 | バンコク | 283万円 |
| 2024年1月 | ハノイ・バンコク | 637万7,000円 |
| 2024年1月 | ハワイ | 2,320万7,000円 |
| 2023年11月 | インド・デリー | 636万円 |
| 2023年10月 | マレーシア | 1,533万1,000円 |
| 2023年10月 | ボストン・ニューヨーク | 1,730万円 |
| 2023年8月 | オーストラリア | 1,359万2,000円 |
| 合計 | 2億6,496万2,000円 | |
出典:福岡県議会「活動報告書・経費の内訳」。公表資料の千円単位の金額を政経プラスで合計しました。
高額だった海外活動はどれか
最も高額だったのは、2024年2月のスイス・フランス訪問で3,003万8,000円です。次いで南アフリカ・ドバイの2,627万1,000円、2024年1月のハワイの2,320万7,000円でした。
県議会は、海外活動には調査だけでなく、友好交流、知事の要請による県産品や観光のプロモーション、MOU締結、国際会議への参加などが含まれると説明しています。つまり、23件はすべて同じ性格の「視察」ではありません。
一方、目的が違うから比較できないということにはなりません。目的が調査なら政策への反映、プロモーションなら販路や誘客の実績、友好交流なら締結した合意とその後の事業を示す必要があります。「成果は長期的に現れる」という説明だけでは、個々の支出を検証できないからです。
宿泊費は基準額を大きく上回った
公表資料では、複数の訪問で実際の宿泊単価が基準額を大きく上回っています。
- 2024年2月のフランス:議長1泊16万9,000円、基準額2万7,200円
- 2025年1月のハワイ:副議長1泊13万3,300円、基準額2万400円
- 2024年5月のハワイ:議長1泊12万6,100円、基準額2万2,600円
基準額を超えたことだけで、直ちに規程違反になるわけではありません。県議会は、セキュリティや用務先への利便性を満たすホテルを基準額内で確保できない場合、人事課との協議によって別の宿泊費を認められると説明しています。
しかし、制度上認められたことと、選定が経済的だったことは別です。公表資料にはホテル名と一泊単価は載りましたが、候補ホテルごとの見積額や、なぜそのホテルでなければならなかったのかまでは十分に示されていません。県民が確認したいのは、手続きに通ったかだけではなく、同じ公務をより少ない負担で実施できなかったかです。
当初契約から委託費が膨らんだ理由
もう一つの焦点は、旅行業者との委託契約です。2024年2月の欧州訪問では、当初契約額99万6,000円に対し、最終的な委託費は1,025万7,000円。2024年4月の南アフリカ等訪問では、当初95万円に対し916万2,000円でした。
県議会は、要人との面会日時が直前まで確定せず、現地車両、通訳、ガイドなどの仕様も遅れて決まるため、まず必要最低限の内容で随意契約を結び、後から変更契約を行ってきたと説明しています。
住民監査請求に対する監査結果は、対象支出を違法とは認定しませんでした。ただし、過去の実績などをもとに予算を積算していたのに、予算額を大きく下回る予定価格で契約し、その後に増額していた点について、適切な予定価格の設定ではなかったと注意しています。
この指摘を受け、県議会は今後、原則5者以上を指名する競争入札へ切り替える方針です。これは、従来の方法に改善すべき点があったことを県議会自身が認め、運用を変えるものです。
海外活動の成果はどこまで公開されたか
福岡県議会は、ハワイ、タイ、ベトナム、韓国などとの交流を「地域間外交」と位置づけ、観光、経済、教育、感染症対策などで長期的な成果があると説明しています。
実際、活動報告書には、友好提携やMOU締結、県産品のプロモーション、国連機関との意見交換などが記載されています。成果が全くないと断定するのは適切ではありません。
問題は、その成果を県民が費用と結びつけて評価できる形で示してこなかったことです。藏内勇夫・福岡県議会議長も2026年6月の記者会見で、海外視察調査の成果を報告書などで県民に十分知らせてこなかったとして反省を表明しました。当時、経費の全体像は情報公開請求をしなければ分からない状態でした。
8月の経費公表によって、検証の入口はようやくできました。次に必要なのは、訪問ごとの目標、面会相手、帰国後の政策反映、数値で確認できる効果、代替手段との比較を継続的に公開することです。
よくある質問
福岡県議会の海外視察費はいくらですか?
2023年度から2025年度の23件で、約2億6,500万円です。県議会が公開した千円単位の総経費を合計すると2億6,496万2,000円になります。
1泊16万9,000円のホテル利用は違法ですか?
基準額を超えただけで直ちに違法とはいえません。県議会の制度では、セキュリティや利便性などを理由に人事課と協議し、基準額を超える宿泊費を認める仕組みがあります。ただし、選定理由や費用の妥当性について説明責任は残ります。
海外視察の契約方法は今後変わりますか?
県議会は、従来の随意契約を見直し、原則5者以上を指名する競争入札へ切り替える方針を示しています。予定価格の設定と契約後の増額について監査委員から注意を受けたことが背景です。
まとめ
- 福岡県議会の海外活動は3年間で23件、合計2億6,496万2,000円
- 1件平均は約1,152万円で、13件が1,000万円を超えた
- 最高額は2024年2月のスイス・フランス訪問の3,003万8,000円
- 宿泊費や変更契約は制度上認められた面がある一方、選定の妥当性と透明性が問われる
- 県議会は契約を原則として指名競争入札へ見直す方針
海外活動の必要性を主張するなら、県議会は23件を一括して「成果がある」と説明するのではなく、2億6,500万円の支出に対して福岡県に何が返ってきたのかを、一件ずつ示すべきです。
主な参照資料
- 福岡県議会「活動報告書・経費の内訳」
- 福岡県議会「海外活動に関するQ&A」
- 福岡県議会「海外活動における契約手続きに関するQ&A」
- 福岡県監査委員「住民監査請求に係る監査結果」
- 福岡県議会「議長記者会見・2026年6月11日」
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さらに詳しい評価は、note記事「福岡県議会の海外視察『3年間で2億6500万円』――『成果はある』で済ませるな」でも解説しています。


