県と市町村は、それぞれ別の自治体です。市町村は暮らしに身近な仕事を、県は市町村をまたぐ仕事や広域の調整などを担います。市は県の部下ではなく、知事が市長に何でも命令できる関係でもありません。
相談先は困りごとの内容で変わります。市立学校のことなら学校や市の教育委員会(学校教育などを担う自治体の機関)、道路の補修ならその道の管理者、介護保険の申請なら担当する市区町村の窓口が基本です。「県内で起きたことだから県庁へ」とは限りません。
県と市町村は、地域の広さと担う仕事が違う
地方自治法は市町村を基礎的な地方公共団体(住民に身近な行政を担う自治体)と位置付けています。県などの都道府県は、複数の市町村にまたがる仕事、市町村の連絡調整、規模や性質から市町村だけで行うのが適当でない仕事を担います。
| 自治体 | 役割の基本 |
|---|---|
| 市町村 | 住民に身近な行政や手続きを担う |
| 都道府県 | 広域の仕事、市町村間の調整、市町村だけでは対応しにくい仕事などを担う |
これは仕事を探すときの基本です。一つの分野を県か市が丸ごと担当するとは限りません。たとえば学校では、市が設置する学校にも、県が関わる教職員の人事があります。
知事は県を、市長は市を代表し、それぞれの自治体の行政を担います。町村では町長・村長です。知事と県議会、市長と市議会という組合せがあり、県の議会と市の議会も別の機関です。
根拠:地方自治法の第2条、第139条、第147〜149条。県と市町村が上下関係にないことは、東京都の公式解説でも説明されています。知事・議会・職員それぞれの仕事は県政を動かす仕組みの記事で詳しく扱っています。
知事が市長へ指示できるのは、法律に根拠がある場面
県が市町村の仕事に関わるには、法律や、それに基づく政令(内閣が定める命令)の根拠が必要です。知事の方針と市長の方針が違うというだけで、県が市の判断を自由に変更できるわけではありません。
一方で、法律が県の指示を認めている場面もあります。災害対策基本法の第72条は災害時の応急措置(被害を防ぎ、広げないための緊急対応)を的確・円滑に行うため特に必要なとき、知事が市町村長に必要な指示などを行えると定めています。
「県と市は対等」という説明と、「一定の場合には県が指示できる」という制度は両立します。ニュースで知事の指示が問題になったときは、何の仕事について、どの法律を根拠にした指示なのかを確かめると、権限の範囲が見えてきます。
根拠:地方自治法第245条の2・第245条の3、災害対策基本法第72条。
学校・道路・福祉は、分野の中でも担当が分かれる
次の表は相談先を探すときの目安です。実際の担当課や受付方法は、その地域の公式案内で確認してください。
| 困りごと | 最初に確認する先 | 確かめる点 |
|---|---|---|
| 市町村立の小中学校 | 学校、市町村の教育委員会 | 学校名と相談内容。人事などは県も関わる |
| 県立高校 | 学校、県の教育委員会 | 県立・市立・私立など、学校を設けた主体 |
| 道路の補修・草刈り | その区間の道路管理者 | 国・県・市などのどこが管理しているか |
| 介護保険の認定申請 | 原則は住んでいる市区町村の担当窓口 | 介護保険証の記載、受付場所、申請方法 |
| 生活保護の相談・申請 | 現在住んでいる地域を担当する生活保護の窓口 | 市や県のどの事務所が担当するか |
表は横に動かして読めます。
学校は「県内にあるか」より、誰が設置したか
市町村立の小中学校は市町村が設置・管理します。県立高校は県が設置する学校です。公立学校の教育を担当する教育委員会にも、県の教育委員会と市町村の教育委員会があります。
ただし、市町村立学校の教職員の任命には県の教育委員会が関わる制度もあり、学校に関する全ての仕事が一つの自治体で完結するとは限りません。学校名と、「授業」「施設」「教職員の人事」など相談したい内容を合わせて伝えると、担当を確認しやすくなります。
根拠:学校教育法第5条・第38条・第49条、地方教育行政法第21条・第22条・第37条。教育委員会と首長の権限の違いは、教育委員会の記事へ。
道路は、場所と管理者を確認する
国道の中にも、国が管理する区間と、県や政令指定都市(県の仕事の一部も担う、法令で指定された市)が管理する区間があります。県道も政令指定都市が管理する場合があるため、道路の名前だけで相談先を決め切れません。
補修を求めるときは、道路名に加え、住所、近くの交差点や施設、困っている状態を伝えます。管理者の探し方と、危険な穴や落下物の連絡先は、道路の相談先の記事で確認できます。根拠:国土交通省「道路保守・管理」。
福祉は、使いたい制度の名前から探す
福祉という名前だけでは窓口を絞れません。介護保険の要介護認定(介護の必要な程度を判定する手続き)は、原則として住んでいる市区町村の窓口へ申請します。厚生労働省のサービス利用案内
ただし、施設への転居などで、以前の市町村が担当する場合もあります。介護保険証に書かれた市区町村の窓口も確認してください。横浜市の住所地特例の説明では、対象施設へ住所を移しても、入所前の市町村の介護保険に加入したままになる仕組みを案内しています。
生活保護では、地域を担当する福祉事務所(生活保護などを扱う行政機関)が相談・申請窓口です。市には福祉事務所の設置義務があり、町村は任意で設置できます。福祉事務所のない町村では県の事務所が担当し、町村役場でも申請手続きができます。厚生労働省の生活保護制度案内・福祉事務所の説明
市によって、担当する仕事が変わる
政令指定都市や、中核市(県が担う仕事の一部も受け持つ、法令で指定された市)では、通常の市と担当範囲が異なります。さらに、権限移譲(県などの仕事を市町村が担うようにすること)によって、個別の仕事が市町村へ移っている場合もあります。
そのため、同じ制度でも、ある地域では県、別の地域では市が窓口になることがあります。市の人口や知名度から推測するより、その市の公式サイトにある担当業務を確認する方が確実です。指定の要件や移る仕事の違いは、政令指定都市と中核市の記事で詳しく説明しています。
根拠:地方自治法第252条の17の2、第252条の19、第252条の22。
相談窓口を探すときは、この順番で
- 困っていることを具体的にします。「福祉」より「介護保険の認定申請」、「学校」より学校名と相談内容まで絞ります。
- 自治体名と制度名・施設名で検索します。県や市町村の公式ページで、対象地域、担当業務、連絡先、更新日を確認します。
- 担当が分からなければ、確認してから出向きます。「この場所の、この手続きは、そちらの担当ですか」と尋ねます。別の窓口なら、担当する機関と課の名称を確認します。
たとえば「○○市に住んでいます。△△中学校の通学区域について相談したいです」と伝えれば、住所だけを伝えるより用件が明確です。申請期限がある手続きでは、相談したことと申請を受け付けてもらったことを区別し、提出先と方法も確認してください。
よくある質問
市の対応に納得できなければ、県が必ずやり直させてくれますか
必ずそうなるわけではありません。県と市は別の自治体で、県が関わる範囲も法律によって異なります。まず、その判断をした担当部署と根拠を確認してください。相談するときも、県に何を求めたいのか、その仕事に県が関わる制度があるのかを具体的に確認します。
町や村でも、基本の考え方は同じですか
同じです。市町村はいずれも住民に身近な行政を担います。ただし、福祉事務所の設置や、県から移った仕事などによって担当は異なります。「市ではこうだった」という情報だけで町村の窓口を決めず、住んでいる自治体の案内を確かめてください。
情報確認日:2026年10月25日。
執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT。AIが構成・文章化・出典確認を補助しました。最終編集・公開判断はカネさんが行います。


