最終更新:2026年7月27日
高市総理の陣営をめぐる批判動画作成疑惑について、国会では秘書の関与やLINEグループへの参加が質問されました。その後、2026年7月22日に木下剛志・公設第1秘書の陳述書が提出され、秘書側は動画の作成・発信・第三者への依頼を否定しています。本記事では、この疑惑と二つの刑事告発を混同せず、確認済み事実、当事者の説明、政経プラスの評価に分けて整理します。
確認済み:高市総理は国会で、週刊誌記事の切り抜きだけでは確認が難しいことや、疑惑対応で総理業務の時間確保に支障が出る旨を説明しました。7月22日には木下剛志・公設第1秘書の陳述書が提出され、秘書側は批判動画への関与を否定しました。
当事者・報道上の主張:秘書が動画作成者との連絡グループに参加し、動画作成に関与したとの疑惑が国会や報道で取り上げられています。疑惑が司法判断などで確定した事実とは確認できません。
この記事の分析:陳述書を提出したことと、国会で質問への説明責任が十分に果たされたかは別の問題です。
国会で何が質問され、何が答えられなかったのか
国会で問われた中心は、高市陣営が自民党総裁選や衆院選で他候補などを批判する動画の作成・発信に関わったのか、その連絡に木下剛志秘書が加わっていたのかという点です。
高市総理は、週刊誌記事の切り抜きをばらばらに示されても確認が難しいこと、疑惑対応によって総理としての業務時間が確保できないことなどを説明しました。一方、質問者が求めたのは、秘書が連絡グループに参加していたのか、陣営として動画作成を依頼したのかという具体的な事実関係です。
多忙であることは、総理の仕事量についての説明にはなります。しかし、自らの陣営や秘書に関する質問へ直接答えたことにはなりません。「忙しい」という事情と、説明責任が果たされたかは分けて判断する必要があります。
7月22日に提出された陳述書と秘書側の否定
高市総理は6月の国会答弁で、秘書の陳述書を提出する意向を示しました。2026年7月22日、木下剛志・公設第1秘書の陳述書が衆院予算委員長へ提出されました。
時事通信などの報道によると、木下氏は陳述書で、他候補を誹謗中傷する動画を作成・発信したことも、第三者に依頼したこともないと否定しました。これは秘書側の明確な説明として記録すべき内容です。
ただし、陳述書は当事者の説明です。提出されたことで疑惑が自動的に事実と認定されるわけでも、反対に疑問がすべて解消されるわけでもありません。報道で示された連絡記録などと、陳述書の説明が整合するかが次の確認点です。
批判動画作成疑惑で確認できること、確認できないこと
- 確認できること:疑惑が報道され、国会で秘書の関与や連絡グループへの参加が質問されたこと。
- 確認できること:木下剛志秘書の陳述書が提出され、動画の作成・発信・依頼への関与を否定したこと。
- 確認できないこと:高市陣営が組織として批判動画の作成を指示したと確定する公的判断。
- 今後の確認点:報道で示された連絡や音声と、当事者の説明がどのように検証されるか。
二つの刑事告発は別件として整理する
1. 寄付金控除用書類をめぐる告発
2026年3月19日、ジャーナリストら8人が、高市氏が代表を務める政治団体と会計責任者の木下剛志氏について、政治資金パーティー券の購入を寄付として扱い、寄付金控除用の書類を不正に発行した疑いなどがあるとして東京地検特捜部へ刑事告発したと報じられました。
これは告発者側の主張です。刑事告発が行われたことは確認できますが、違法行為や刑事責任が確定したことを意味しません。
2. 2024年衆院選をめぐる別件の告発
2026年4月2日には、神戸学院大学の上脇博之教授が、2024年衆院選に関連し、国と契約関係にある企業から違法な献金を受け取った疑いがあるとして、高市氏らを奈良地検へ刑事告発したと報じられました。
こちらは寄付金控除用書類の問題とは別件です。告発の対象となった行為、適用が主張されている法律、提出先を分けて追う必要があります。
政経プラスの評価――多忙さと説明責任は別問題
私は、総理が多忙であること自体を疑っているわけではありません。問題は、多忙さが具体的な質問に答えない理由として使われたように見えたことです。
秘書の陳述書が提出されたことで、少なくとも秘書側の説明は一つの文書になりました。次に必要なのは、その説明を国会や報道で示された材料と照合し、食い違いがあれば具体的に答えることです。国会で問われているのは、睡眠時間や仕事量ではなく、陣営の行為について誰が何を知り、どう関与したのかです。
疑惑を事実扱いするのも、陳述書が出たことで終わったことにするのも適切ではありません。確認済みの事実、当事者の否定、未確認の論点を残したまま、説明が更新されるたびに検証する必要があります。



