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兵庫県財政は「危機」なのか|338億円県債・金利上昇・基金問題を整理

兵庫県政

兵庫県は借金返済の負担が重くなり、新たな県債(県の借入金)発行に国の許可が必要になりました。決算は黒字ですが、県は投資規模を抑え、返済負担を軽くする計画を策定しました。

2026年10月25日更新
兵庫県は2025年度決算で、実質公債費比率(標準的な収入に対する借金返済などの負担の割合)の3カ年平均が19.2%となり、起債許可団体(地方債の発行に国などの許可が必要な自治体)へ移行しました。

8月27日には公債費負担適正化計画(借金返済などの負担を適切に管理するための計画)を策定し、斎藤元彦知事が総務省へ提出しています。

8月18日の決算概要では、実質収支(収入から支出と翌年度へ繰り越すべき財源を引いた額)は119億8,700万円の黒字で、後年度の普通交付税(自治体の標準的な財源不足を補う国からの配分金)精算分56億5,200万円を除くと63億3,500万円です。この資料は監査委員による審査前で、数値が変わる可能性があると注記しています。兵庫県「公債費負担適正化計画の概要」

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決算は黒字、新たな県債発行には国の許可が必要

  • 兵庫県は8月18日の2025年度決算概要で実質収支119億8,700万円の黒字を示しました。後年度の普通交付税精算分を除くと63億3,500万円です。
  • 2026〜2028年度の収支不足530億円は、2026年2月の当初予算時点の見通しです。県・当初予算別冊 p18(PDF18ページ)
  • 実質公債費比率の3カ年平均は19.2%となり、起債許可団体へ移行しました。県・適正化計画 p1(PDF3ページ)
  • 県は新たな県債発行に国の許可を受ける段階です。法律上の早期健全化団体や財政再生団体には当たりません。
  • 8月27日に策定した県の計画は、2027年度から投資規模を現行より最低10%抑制する方針です。県・適正化計画 p11(PDF13ページ)

338億円問題を動画で確認する

県債490億円の借り換えと、土地売却収入338億円を返済に充てなかった処理を、会見と資料から整理しています。

借金返済の負担が増え、県債発行と投資に制約が生じている

県の公式資料が示すのは、借金返済の負担が増え、財政管理を厳しくする必要があるという状況です。直ちに予算を組めなくなるという説明ではありません。

県は2026年2月、長期金利の上昇などにより、2026〜2028年度の収支不足見込みが従来の160億円から530億円へ広がると説明しました。当初予算時点の見通しです。県・当初予算別冊 p18(PDF18ページ)

8月27日に策定した公債費負担適正化計画では、7月公表の経済試算に前提を置き換えています。2026〜2028年度の不足は130億円・150億円・180億円で、合計460億円です。530億円とは資料時点と試算の前提が異なります。県・適正化計画 p13(PDF15ページ)

2025年度決算では実質公債費比率の3カ年平均が19.2%となり、兵庫県は起債許可団体へ移行しました。県・適正化計画 p1(PDF3ページ)

実質公債費比率の3カ年平均が18%以上になると、地方債の発行には国の許可が必要です。早期健全化や財政再生を法的に求められる段階とは基準が異なります。

論点確認できること・資料時点読み方
収支不足2026〜2028年度で530億円の見込み(2026年2月の当初予算時点)
県・当初予算別冊 p18(PDF18ページ)
毎年度の予算編成と改革策で埋める必要がある
実質公債費比率2025年度決算で3カ年平均19.2%
県・2025年度決算概要 p03(PDF4ページ)
起債許可団体へ移行し、地方債発行が国の「許可」へ変わった
県債338億円問題用地取得債490億円の借り換えのうち338億円分の処理が問題化財政全体の悪化要因の一つだが、すべてを説明する数字ではない
今後の対応公債費負担適正化計画を策定し、総務省へ提出2027年度から投資規模を最低10%抑制し、比率を25%未満に管理する方針
県・適正化計画 p11(PDF13ページ)

返済負担を重くした金利・基金・県債処理

1.金利上昇で借金返済の負担が増えた

県は、経済成長率の上昇見込みを上回る長期金利の上昇によって、公債費(借金の元金や利子の返済費)などの義務的経費が増えると説明しています。低金利を前提に成り立っていた財政運営は、金利が上がる局面では同じ形を続けにくくなります。

2.返済に備える基金の積立状況

実質公債費比率は、標準的な収入に対する借金返済の負担を示す指標です。返済に備えて積み立てる県債管理基金(県の借金返済に備える積立金)の状況も、この比率に影響します。

県民や議会が返済負担を把握するには、借金の残高、基金の積立額、毎年の返済額を合わせて見る必要があります。

3.338億円の不適切な県債処理

2000年度に用地取得のため発行した県債490億円について、土地売却が進んでいたにもかかわらず、2020年度に全額を借り換えた処理が問題となりました。焦点は、土地売却収入338億円を返済に充てず、県債管理基金に残した点です。

この処理の詳しい経緯と実質公債費比率への影響は、兵庫県の県債338億円問題とはで資料ごとに整理しています。

過去の財政運営と、現県政の説明責任

現在の財政状況には、阪神・淡路大震災後の県債、過去の公共投資、県債管理基金の積立不足、低金利期の運用、近年の金利上昇が重なっています。財政悪化の原因を検証するには、それぞれの影響を確かめる必要があります。

現県政には、就任後のリスクをいつ認識し、どの前提で見通しを改め、県民と県議会へどう説明したかという責任があります。過去の原因に加え、現在の判断と説明を検証する必要があります。

処理を決めた責任と、発見・是正する責任の整理は、兵庫県の338億円県債処理|不適切な借り換えと現県政の説明責任で詳しく確認できます。

県に説明を求めたい4項目

  1. 公債費負担適正化計画で、実質公債費比率を何年度までに18%未満へ戻すのか
  2. 公共投資をどの程度抑制し、教育・医療・防災など必要な投資をどう守るのか
  3. 県債管理基金への積み戻しと、借り換えの運用をどう改めるのか
  4. 金利、税収、経済成長率の前提が外れた場合に、どの時点で計画を修正するのか

県が8月27日に策定・提出した計画の期間は、2026年度から2035年度までの10年間です。期間中は実質公債費比率を早期健全化基準の25%未満に保ち、中長期的に18%未満を目指します。18%未満へ戻す具体的な年度は示されていません。

黒字でも起債許可団体へ|19.2%が示す返済負担

▼2025年度決算と19.2%を動画で確認する

論点別に読む

決算の読み方と、県が進める対策

実質収支はその年度の収支、実質公債費比率は標準的な収入に対する返済負担を示します。決算が黒字でも、借金返済が重ければ県債発行に制約が生じます。

県は、過去の高い投資水準、震災関連県債、県債管理基金の積立不足に加え、想定以上の金利上昇が財政を圧迫したと説明しています。知事が示す方針は、財政健全化と必要な投資の両立です。

県の正式な計画は、2027年度から投資規模を現行より最低10%抑制する方針です。県民生活に直結するのは、学校、道路、防災、医療、県立施設のどの事業を守り、どこを延期するかです。具体的な範囲とサービスへの影響は、今後の予算編成で確かめる必要があります。

更新履歴

  • 2026年10月25日:公式資料を再照合し、基金・指標の初出説明、審査前の決算値の注記、金額表記を整えました。
    2026年10月1日:主要数値の出典ページと資料時点を明示し、当初予算時点の530億円と8月の別試算を区別しました。
  • 2026年8月28日:公債費負担適正化計画の策定と総務省への提出を追記しました。
  • 2026年8月23日:2025年度決算、実質公債費比率19.2%、起債許可団体への移行、公債費負担適正化計画案を追記しました。
  • 2026年7月27日:初版公開。財政指標、338億円問題、適正化計画、関連解説を統合しました。

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