年金生活者支援給付金、月5,620円に改定|「対象なのに請求していない人」を残さないために

年金だけでは暮らしが厳しい人に上乗せする「年金生活者支援給付金」が、2026年度(令和8年度)から改定された。老齢・遺族の給付基準額は月5,620円、障害年金の受給者は障害等級により月5,620円または7,025円である。

ただし、これは年金受給者全員に自動で加算される制度ではない。とくに老齢基礎年金を受ける人は、年齢、世帯全員の住民税、前年の所得など、すべての条件を満たす必要がある。さらに、原則として請求書を提出しなければ受け取れない。

「年金額のお知らせを見たが、これは自分にも関係するのか」「はがきが来ていないが相談してよいのか」。そうした迷いで支援からこぼれないよう、制度の入口を整理する。

2026年度の基準額は月5,620円に上がった

厚生労働省と日本年金機構によると、2026年度の年金生活者支援給付金の給付基準額は、前年の物価変動率を踏まえて3.2%引き上げられた。

給付の種類 2026年度の給付基準額(月額) 注意点
老齢年金生活者支援給付金 5,620円 実際の額は保険料の納付・免除期間などで変わる
障害年金生活者支援給付金(1級) 7,025円 障害基礎年金の受給者が対象
障害年金生活者支援給付金(2級) 5,620円 同上
遺族年金生活者支援給付金 5,620円 遺族基礎年金の受給者が対象

老齢の給付は、全員が5,620円を受け取る仕組みではない。保険料を納めた期間や免除期間に応じて個別に計算される。金額だけを見て「自分も対象だ」と判断しないことが大切だ。

老齢の給付は、三つの条件をすべて満たす必要がある

老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の主な条件は、次のとおりだ。

確認すること 条件
年齢・年金 65歳以上で、老齢基礎年金を受けている
世帯の課税状況 請求する本人だけでなく、同一世帯の全員が市町村民税非課税
前年の収入・所得 年金収入とその他所得の合計が基準以内

1956年4月2日以後に生まれた人は、合計が80万9,000円以下なら老齢年金生活者支援給付金、80万9,000円を超えて90万9,000円以下なら「補足的老齢年金生活者支援給付金」の対象になり得る。1956年4月1日以前生まれの人は、それぞれ80万6,700円、90万6,700円が基準となる。

ここで見落としやすいのは「同一世帯全員が非課税」という条件だ。本人の年金収入が少なくても、同居する家族に住民税が課税されていれば、老齢の給付は対象外になる。また、障害年金や遺族年金などの非課税収入は、この老齢の所得判定には含まれない。

65歳以上なら対象、ではない

次のような場合は、老齢の給付を受けられない、または別の確認が必要になる。

状況 確認すべきこと
65歳以上だが、老齢基礎年金を受けていない この給付の老齢分の対象ではない
本人は非課税でも、同居家族に住民税課税者がいる 世帯要件を満たさない
年金収入とその他所得の合計が基準を超える 老齢分は対象外。境目なら補足的給付の有無を確認する
障害基礎年金・遺族基礎年金を受けている 老齢とは別の給付要件・金額を確認する
日本国内に住所がない、年金が全額停止、刑事施設等に拘禁されている 支給停止や届出に関する確認が必要

「低所得なのに対象外」という意味ではない。制度が定める対象に入るかどうかは、本人だけでなく世帯と前年の状況を合わせて判断される。条件に当てはまりそうなら、自己判断で終わらせず、日本年金機構に確認した方がよい。

新たに対象になった人にも、請求は必要

給付金を受け取るには、年金生活者支援給付金請求書の提出が必要だ。すでに受給している人は新たな手続きは原則不要だが、新たに対象になる人は請求をしなければならない。

日本年金機構は、基礎年金を受給していて新たに対象となる人へ、毎年9月の第1営業日から請求書(はがき型)を順次送っている。はがきが届いた人は、記入して郵送する方法のほか、一定の条件を満たせばマイナポータルとねんきんネットを使った電子申請もできる。

ただし、はがきが来ないから対象外と決めつけるのは早い。所得情報などを確認できない場合には、A4型の請求書と所得状況届が送られることがある。届かない、紛失した、内容が分からない場合は、給付金専用ダイヤルか近くの年金事務所に相談する。

出し遅れると、原則として翌月分からになる

請求が認められた場合、原則として請求した月の翌月分から支給対象になる。請求書を出してから支給決定通知書が届くまでの目安は1〜2カ月で、支払いは原則として偶数月の中旬に2カ月分ずつ、年金と同じ口座へ年金とは別に振り込まれる。

新たに基礎年金の受給権を得た人には、受給権を得た日から3カ月以内に請求すれば遡って支給される扱いがある。一方、それを過ぎた場合は原則どおり請求翌月分からだ。条件に当てはまりそうであれば、後回しにせず確認する意味がある。

困ったときの確認先

困りごと まずすること
自分が対象か分からない 日本年金機構の対象要件を確認し、給付金専用ダイヤルまたは年金事務所へ相談する
はがきが届かない・なくした 給付金専用ダイヤルまたは年金事務所へ連絡する
はがきが届いたのでオンラインで手続きしたい マイナポータルとねんきんネットの連携条件を確認する
給付額が変わった・不該当になった 通知書を手元に置いて、日本年金機構に理由を確認する

給付金専用ダイヤルは 0570-05-4092。ナビダイヤルが利用できない場合の連絡先などは、厚生労働省の特設サイトで案内されている。

政経プラスの評価|「請求できる人だけ」に任せない仕組みへ

この給付金は、少額であっても、食費や光熱費の支払いが重い人にとっては毎月の差になる。物価に合わせて基準額を上げること自体は必要だ。しかし、支援の入口が「通知を受け取り、内容を理解し、請求書を返送できるか」に大きく依存していては、最も手続きが難しい人ほど後回しにされかねない。

自治体や年金事務所には、対象見込みの人へ分かりやすく知らせるだけでなく、はがきの見落とし、住所変更、デジタル手続きが難しい事情を前提に、電話・窓口・地域の相談支援につながる複数の入口を用意してほしい。制度を知っている人だけが年金に上乗せを受けられる状態は、生活支援の制度として十分とはいえない。

確認資料・相談先

制度の条件や連絡先は変わることがあるため、実際の請求前には上記の公式案内で最新情報を確認してください。

タイトルとURLをコピーしました