YouTubeで著作権侵害による削除通知を受け取った場合、動画が非公開になるだけでなく、著作権侵害の警告によってチャンネル停止のリスクが生じることがあります。
政経プラスチャンネルでは、2026年に計10本の動画が削除されました。その後、異議申し立て通知を提出し、10本すべてについてYouTubeから復元通知を受け取っています。
この記事では、YouTube公式メールで確認できた実例をもとに、削除通知が届いたときの確認事項、異議申し立ての仕組み、個人情報共有の注意点を整理します。
▼動画で見たい方はこちら
YouTubeの著作権削除通知が届いたら、まず対象を特定する
最初に確認すべきなのは、「誰が申し立てたか」だけではありません。どの著作物が、動画のどこで使われていると指摘されたのかを特定する必要があります。
YouTubeからの削除通知には、通常、次の情報が記載されます。
- 削除された動画のタイトルとURL
- 使用されたとされるコンテンツ
- コンテンツが見つかった場所
- 削除リクエストの提出者
- 申立人の連絡先
- チャンネルに付いた著作権侵害の警告
政経プラスチャンネルに届いた2026年4月の通知では、9本が一括して削除対象となっていました。内訳は、8本がカスタムサムネイル、1本が動画冒頭15秒間の利用です。
同年7月には別の1本が削除され、「コンテンツの見つかった場所:動画全体」と記載されていました。
このように、一つの通知に複数動画が含まれる場合もあります。動画の削除本数と著作権侵害の警告数は必ずしも同じではないため、通知本文とYouTube Studioの両方を確認する必要があります。
削除通知への主な対処方法は3つある
YouTubeの公式ヘルプでは、削除通知を受けた場合の主な対応として、次の方法が案内されています。
- 申立人へ削除リクエストの撤回を求める
- 著作権侵害の警告が期限切れになるのを待つ
- 誤認や取り違えだと考える場合に、異議申し立て通知を提出する
どの方法を選ぶかは、実際の利用態様と権利関係によって異なります。「批評だから大丈夫」「数秒だけだから問題ない」と一律には判断できません。
特に異議申し立て通知は、通常の問い合わせではなく法的な手続きです。YouTubeは、虚偽の情報を提出すると法的責任を問われる可能性があると注意しています。
異議申し立て通知では個人情報が申立人へ共有される
異議申し立て通知を提出する際は、法的氏名、住所、電話番号などの情報が必要になります。YouTubeの公式説明によると、異議申し立て通知は削除リクエストを提出した申立人へ共有されます。
これは個人で発信している人にとって重要な注意点です。
動画を復元したい一方で、自分の住所や連絡先が相手方へ渡る可能性があります。また、提出者は管轄裁判所への同意や、申立人からの訴状の送達を受けることにも同意します。
不安がある場合は、YouTubeの公式説明を確認し、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談してから判断してください。
引用や時事報道を主張する場合も、利用態様の説明が必要
日本の著作権法第32条は、公表された著作物を、公正な慣行に合致し、引用の目的上正当な範囲で利用できると定めています。第41条には、時事の事件を報道する場合の著作物利用に関する規定があります。
ただし、条文番号を記載するだけで、すべての利用が適法になるわけではありません。一般に、次のような具体的事情を確認する必要があります。
- 批評、論評、報道などの目的が明確か
- 自分の解説と引用部分を区別できるか
- 自分の解説が主で、引用が従になっているか
- 目的に対して使用量が必要な範囲か
- 出所を適切に示しているか
- 元の著作物の利用市場を不当に代替していないか
政経プラスチャンネルの異議申し立てでは、政治的・経済的事象への論評であること、素材の使用が一部に限られること、独自の音声・テロップ・解説を加えていることなどを動画ごとに説明しました。
初回不受理でも、理由を確認して再提出できる場合がある
今回削除された10本のうち、4月分の3本は、最初の異議申し立てが受理されませんでした。その後、対象箇所と利用目的を再確認し、説明を補って提出し直しています。
最終的には、10本すべての異議申し立て通知が申立人へ転送され、YouTubeから復元通知が届きました。
主な時系列は次のとおりです。
- 2026年4月27日:9本の削除通知
- 2026年5月1日~3日:異議申し立てが順次申立人へ転送
- 2026年5月15日~18日:9本すべて復元
- 2026年7月7日:別の1本が削除され、同日に異議申し立てが転送
- 2026年7月21日:同動画が復元
ただし、YouTubeから動画が復元されたことは、裁判所が適法な引用と判断したことを意味しません。確認できるのは、異議申し立て手続きの後にYouTubeが動画を復元したという事実です。
よくある質問
YouTube動画が削除されたら、すぐ異議申し立てを出すべきですか?
すぐ提出するのではなく、対象コンテンツ、使用箇所、権利関係を確認してください。異議申し立て通知は法的手続きであり、虚偽の申告には責任が伴います。
異議申し立てをすると住所が相手に伝わりますか?
YouTubeは、異議申し立て通知を削除リクエストの申立人へ共有すると説明しています。法的氏名や住所などの提出が必要になるため、公式説明を読んだ上で判断してください。
動画が復元されたら、著作権侵害ではなかったと確定しますか?
復元通知だけで、裁判所が適法性を判断したことにはなりません。確認できるのは、YouTubeから復元通知が届いたという事実です。
まとめ
- 削除通知では、対象著作物・使用場所・提出者・警告数を確認する
- 一つの通知で複数動画が削除される場合がある
- 異議申し立て通知は、個人情報の共有を伴う法的手続き
- 引用を主張する場合は、目的・使用量・主従関係・出所などを具体的に説明する
- 政経プラスチャンネルでは、削除された10本すべてに復元通知が届いた
- 復元は裁判所による適法認定と同じではない
削除通知が届いたときは、感情的に反応する前に、メールと動画を照合して事実を一つずつ整理することが重要です。
政経プラスチャンネルでは、政治・行政・法制度のニュースを一次資料とともに解説しています。
チャンネル登録:https://www.youtube.com/channel/UC-XcLyfIh3bfc6GikZAcWjw
削除通知のマスク済み画像、初回不受理になった3件の再提出、実際の異議申し立て文の考え方をまとめたnote記事は現在準備中です。公開後にこの記事へ追記します。
参考資料
- YouTube「異議申し立て通知を提出する」:https://support.google.com/youtube/answer/2807684?hl=ja
- YouTube「著作権侵害の警告に関する基礎知識」:https://support.google.com/youtube/answer/2814000?hl=ja
- e-Gov法令検索「著作権法」:https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048
- 関連報道:https://news.yahoo.co.jp/articles/4db9eba786af92e7f663811a387eeb3422b77251


