戸成祥平県議とは|自民公認で初当選、一人会派で採決中止に反対

2026年8月17日の福岡県議会で、藏内勇夫議長への辞職勧告決議案は採決されませんでした。

自民党県議団の林泰輔県議が提出した採決中止動議が、賛成49、反対35で可決されたためです。

この動議に反対した35人の一人が、築上郡・豊前市選出の戸成祥平県議です。

戸成県議は少し複雑な立場にいます。

2025年3月の県議補欠選挙には自由民主党公認で立候補し、1万2420票を得て初当選しました。県選管が公表した異動届では、同年9月に自民党豊前築上支部の代表者となっています。県議会では自民党県議団に所属せず、一人会派「豊築会」の会長を務めています。

その戸成県議が、自民党県議団の採決参加者38人中37人が賛成した採決中止動議に反対しました。

政党との関係は保ちながら、県議会では別会派を選び、今回の採決でも最大会派と違う側に立ったことになります。

私は、この一票を評価します。

ただし、戸成県議本人が採決中止に反対した理由や、藏内議長への辞職勧告決議案そのものにどう投票する予定だったのかは、確認できる本人発信が見つかっていません。

この記事では、確認できた経歴、県議会での立場、一般質問、採決結果を基に、分かることと分からないことを整理します。

▼採決中止動議の賛成・反対議員一覧はこちら
福岡県議会・採決中止動議の賛否一覧|49人と35人の全氏名

戸成祥平県議の基本プロフィール

福岡県議会の公式プロフィールで確認できる現在の情報は次のとおりです。

項目 内容
氏名 戸成祥平(となり・しょうへい)
選挙区 築上郡・豊前市
会派 豊築会
当選回数 1回
生年月日 1984年5月16日
会派での役職 豊築会会長
所属委員会 農林水産委員会、スポーツ立県調査特別委員会

2026年8月24日現在、42歳です。

選挙区は、豊前市と築上郡の築上町、吉富町、上毛町で構成されます。福岡県の東端、大分県と接する県境地域です。

戸成県議が掲げてきた言葉は、「県境に住む私たちの思いを県政にぶつけるパイプ役」です。

県議会の公式名簿では、豊築会に所属する議員は戸成県議一人だけです。「会長」という肩書きですが、実態は一人会派です。

豊前市合河出身、陸上自衛隊で国防と災害派遣を経験

戸成県議は1984年、豊前市合河で生まれ育ちました。

本人の選挙資料によると、大分県立鶴崎工業高校で陸上部に所属し、長距離選手として競技に取り組みました。

高校卒業後は陸上自衛隊へ入隊。第40普通科連隊、西部方面普通科連隊、水陸機動団第1連隊で勤務した経歴を掲げています。

2011年の東日本大震災では、宮城県南三陸町へ災害派遣され、支援活動に当たったとしています。

自衛官として国防の任務に就き、大規模災害の現場にも入った人物です。

政治家の経歴として見ると、この経験は防災や危機管理だけでなく、行政組織が現場で機能するために何が必要かを考える土台になります。

戸成県議は県議選で、安全・安心なまちづくりを政策の第一に置きました。警察、県土整備事務所、農林事務所、保健所など県の出先機関と連携し、犯罪、災害、感染症に強い地域をつくると訴えています。

選挙向けの言葉だけではありません。自衛隊での勤務と災害派遣という実体験があります。

建設会社と豊前青年会議所で地域活動を担った

自衛隊を離れた後は、有限会社となり建設に入社しました。

福岡県が公表する建設業者情報にも、戸成祥平氏の氏名と豊前市の所在地が掲載されています。県議選時の職業は、福岡県選挙管理委員会への届出で「会社役員」とされています。

2024年には、一般社団法人豊前青年会議所の第53代理事長に就任しました。

理事長所信では、人口減少と若者の流出を豊築地域の深刻な課題として挙げ、行政や地域団体との連携、防災、交通事故や犯罪を防ぐ活動、人材育成を重点方針に掲げています。

県議になる前から、地域の課題を「豊前市だけ」の問題として扱わず、豊築地域全体で動く必要があると考えていました。

この考え方は、県議選で掲げた政策や、当選後の一般質問へつながっています。

2025年県議補選、1万2420票で初当選

戸成県議が初当選したのは、2025年3月23日に行われた福岡県議会議員補欠選挙です。

築上郡・豊前市選挙区は定数1に3人が立候補しました。福岡県選挙管理委員会の候補者届出では、戸成氏は自由民主党の新人、40歳、会社役員とされています。

開票結果は次のとおりです。

候補者 党派 得票数 得票率 結果
戸成祥平 自由民主党 12,420票 52.1% 当選
尾澤満治 無所属 6,836票 28.7% 落選
かめのお美紀 無所属 4,575票 19.2% 落選

投票率は54.3%でした。

戸成氏は有効票の半数を超える支持を得て、2位候補に5584票差をつけました。

当選人を告示した福岡県公報にも、築上郡・豊前市選挙区の当選人として戸成祥平氏が記載されています。

自民党公認で当選し、県議会では一人会派「豊築会」へ

戸成県議を理解するうえで、政党と会派の違いは重要です。

政党は、選挙や政治活動の基盤となる組織です。会派は、議会内で議案の調査や役職配分、議会運営などを共にする議員グループです。

戸成氏は自民党公認で県議選に当選しました。しかし、2025年4月に自民党県議団へは加入せず、一人会派を結成したと報じられています。

現在の福岡県議会公式名簿では、会派名は「豊築会」、所属議員は戸成県議一人です。

福岡県選挙管理委員会が公表した政治団体の異動届では、2025年9月1日付で戸成県議が自由民主党豊前築上支部の代表者になったことが確認できます。

つまり、政党としては自民党との関係を持ち、県議会では自民党県議団と別の会派で活動しています。

この立場は、党派名だけを見ていては分かりません。

そして8月17日の採決では、その違いが実際の一票に表れました。

初の一般質問から「豊築地域」を正面に置いた

戸成県議は2025年3月の補選で初当選し、同年6月23日に初めて一般質問へ立ちました。

テーマは「豊築地域の振興」です。

選挙から約3か月。最初の質問で、自身の選挙区全体を県政の課題として取り上げました。

本人の選挙資料では、豊築地域は福岡県内で県庁から最も遠い場所に位置し、県境を越えて大分経済圏との連携を強める必要があると訴えています。

政策として掲げたのは、県出先機関と連携した防災・安全対策、子どもから高齢者まで郷土に誇りを持てる地域づくり、DXを使った販路拡大、スマート農林水産業、ICT教育などです。

県も2025年度施策で、豊築地域と大分県側が県境を越えて形成する定住自立圏の振興、首都圏での豊築地域フェアなどを打ち出しました。

戸成県議の質問は、県境地域が福岡都市圏から遠いという不利をどう埋め、人口減少のなかで雇用と暮らしを残すかという、選挙区の中心課題を県政へ持ち込むものでした。

病児保育と交通空白、暮らしの困り事を続けて質問

戸成県議は、初質問の後も一つの大きな理念だけを繰り返してはいません。

2025年12月12日の一般質問では「病児保育」を取り上げました。

病児保育は、病気の子どもを保護者が仕事などで看護できないとき、専用施設等で一時的に預かる仕組みです。施設の有無や利用条件は、子育て家庭が地域で働き続けられるかに直結します。

2026年6月19日の一般質問では「交通空白解消の取組」を質問しました。

交通空白とは、鉄道や路線バスなどの移動手段が十分に使えず、通院、買い物、通学が難しくなる地域や時間帯の問題です。高齢化と人口減少が進む地域では、免許返納後の暮らしにも直結します。

県は2026年度、コミュニティバスの市町村域を越えた広域運行や公共ライドシェアの導入について、市町村間の調整、研修、専門家派遣を行い、交通空白解消を2年間集中的に支援する方針を示しています。

戸成県議の一般質問は、次の3本です。

  • 2025年6月23日:豊築地域の振興
  • 2025年12月12日:病児保育
  • 2026年6月19日:交通空白解消の取組

県境地域の振興、子育てと仕事の両立、日常の移動手段。

すべて、豊前市と築上郡で暮らし続けるための条件です。質問の数はまだ3回ですが、何を優先する議員なのかは見え始めています。

農林水産とスポーツ、議会運営にも関わる一人会派

戸成県議は現在、農林水産委員会とスポーツ立県調査特別委員会に所属しています。

農林水産委員会は、農林水産業の生産基盤、流通、担い手、農山漁村環境、DXなどを審査する常任委員会です。農林水産業の発展を選挙公約に掲げた戸成県議にとって、選挙区との結びつきが強い委員会です。

高校時代に長距離競技へ取り組んだ経歴があり、スポーツ立県調査特別委員会にも所属しています。

議会運営委員会には、正式な委員ではなく「委員外議員」、いわゆるオブザーバーとして参加しています。

一人会派は、大会派のように複数の議員で情報や仕事を分担できません。議案調査も、委員会活動も、本会議での判断も、一人で引き受ける比重が大きくなります。

戸成県議の一票は、そのまま豊築会の意思です。

8月17日、採決中止動議に反対した35人の一人

臨時会では、吉松源昭県議らが藏内議長への議長職辞職勧告決議案を提出しました。

提案理由の説明後、林泰輔県議が採決中止動議を提出。動議は賛成49、反対35で可決され、辞職勧告決議案そのものは採決されませんでした。

FNN・テレビ西日本は、動議に賛成して起立した49人を記者が議場で確認し、会派別の氏名を公表しています。

賛成49人は、自民党県議団37人、民主県政県議団10人、無所属の会2人でした。

戸成県議の名前は、この49人に含まれていません。

福岡県議会が公表する8月17日現在の全議員名簿から、賛成49人と採決に参加しなかった藏内議長、板橋聡副議長を除くと、反対35人になります。戸成県議は、その35人の一人です。

県議会が議員別の記名投票表を公表したものではありません。戸成県議本人による反対理由の説明も、現時点では確認できていません。

それでも、報道された起立者名簿、公式議員名簿、採決人数は一致しています。

戸成県議が採決中止動議に賛成しなかったことは、確認できる資料から明確です。

自民公認の一人会派が「採決を止めない側」に立った意味

今回の採決で、自民党県議団は動議への賛成に党議拘束をかけました。

採決に参加した自民党県議団38人のうち、37人が賛成。反対したのは江藤秀之県議一人でした。

戸成県議は自民党県議団の所属ではないため、この党議拘束の対象だったとは確認できません。

大切なのは、戸成県議が自民党公認で当選し、県選管の2025年9月の異動届で自民党支部の代表者となっていることです。県議会では別会派として活動し、採決中止には同調しませんでした。

政党との関係があれば、すべての場面で最大会派と同じ判断をするわけではない。

戸成県議は、少なくとも今回の一票でそれを示しました。

藏内議長への辞職勧告決議案に賛成する予定だったのか、反対する予定だったのかは分かりません。

確認できるのは、議員ごとの判断を表に出す採決そのものを止める動議に反対したことです。

私は、ここを評価します。

議会が県民の信頼を失っている場面で、採決を消してしまえば、議員一人ひとりがどう判断したかは記録に残りません。戸成県議は、その結論を消す側には回りませんでした。

反対票を評価し、次は本人の説明を求めたい

戸成県議は、2025年3月の補選で初当選した1期目の議員です。

県議としての活動期間は、まだ1年半に届きません。

それでも、最初の一般質問で豊築地域の振興を取り上げ、病児保育、交通空白へと質問をつなげました。県境地域で暮らし続けるための条件を、県政の場で具体的に問うてきたことは評価できます。

採決中止動議への反対も同じです。

自民党公認で当選したからといって、自民党県議団の37人と同じ側には回らなかった。一人会派として、自分の名前で採決に向き合いました。

ここまでは、確認できる行動です。

次に求めたいのは、本人の言葉です。

なぜ採決中止に反対したのか。藏内議長への辞職勧告決議案が採決されていれば、どう判断する予定だったのか。第三者調査と議会トップの政治責任をどう考えているのか。

反対票を投じた事実は重い。理由を地元の有権者へ説明すれば、その一票の意味はさらに明確になります。

戸成県議は選挙で、「県境に住む私たちの思いを県政にぶつけるパイプ役」を掲げました。

県民の疑問を議会へ届けるだけでなく、議会で何を判断したのかを県民へ返すことも、パイプ役の仕事です。

今回、採決を止めない側に立った判断は評価します。その理由まで自分の言葉で明らかにすることを期待します。

よくある質問

Q1. 戸成祥平県議の読み方は?

「となり・しょうへい」です。福岡県議会の公式プロフィールにも、ふりがなが掲載されています。

Q2. 戸成県議はどこの選挙区ですか?

築上郡・豊前市選挙区です。豊前市、築上町、吉富町、上毛町から選出されています。

Q3. 戸成県議は自民党ですか?

2025年の県議補選には自由民主党公認で立候補しました。県選管が公表した異動届では、2025年9月に自由民主党豊前築上支部の代表者となっています。県議会内の会派は自民党県議団ではなく、一人会派の豊築会です。政党と議会会派は区別する必要があります。

Q4. 政治家になる前は何をしていましたか?

本人の選挙資料によると、陸上自衛隊で勤務し、東日本大震災では宮城県南三陸町へ災害派遣されました。その後、有限会社となり建設に入り、2024年には豊前青年会議所の理事長を務めました。

Q5. 県議会では何を質問していますか?

2025年6月に豊築地域の振興、同年12月に病児保育、2026年6月に交通空白解消の取組を一般質問で取り上げています。

Q6. 戸成県議は採決中止動議に賛成しましたか?

賛成していません。FNN・テレビ西日本が議場で確認した賛成49人の名簿に戸成県議は含まれず、公式議員名簿と採決人数を照合すると、反対35人の一人になります。

Q7. 藏内議長への辞職勧告決議案には賛成する予定でしたか?

確認できません。採決中止動議に反対したことは、辞職勧告決議案を採決することに賛成したことを示します。決議案そのものへの投票は行われておらず、戸成県議本人の投票予定や理由を示す発信も現時点で確認できていません。

まとめ

  • 戸成祥平県議は、築上郡・豊前市選出の1期目の県議
  • 元陸上自衛官で、東日本大震災の災害派遣を経験したと公表している
  • 2025年の県議補選に自民党公認で立候補し、1万2420票で初当選した
  • 政党としては自民党と関係を持ちながら、県議会では一人会派「豊築会」を率いる
  • 一般質問では、豊築地域の振興、病児保育、交通空白を取り上げた
  • 2026年8月17日の採決中止動議には反対した
  • 辞職勧告決議案そのものへの投票予定と、反対理由は確認できていない

自民党公認で議席を得た議員が、県議会では一人会派を選び、自民党県議団の37人が賛成した採決中止動議に反対した。

この事実は軽くありません。

戸成県議は、採決そのものを消す側には回りませんでした。新人県議が大会派と違う立場で示した一票として、評価したいと思います。

次は、その判断理由を本人の言葉で聞きたいところです。

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確認資料・参考リンク

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