領収書に20万円と書かれていても、政務活動費から20万円が充当されたとは限りません。増山誠兵庫県議の公開資料には、給与の領収額20万円に対し、政務活動費の充当額を10万円と記載した書面があります。金額を読むには、領収欄だけでなく、案分率と充当額まで確認する必要があります。
今回は、兵庫県議会が公開する増山氏の政務活動費の領収書等5ファイル、計759ページを確認範囲とし、手書きのある7ページを取り上げます。公開PDF上の記載を読む記事であり、支払いや業務の実態を全面的に監査したものではありません。
20万円の領収欄と10万円の充当欄
令和3年度のPDF111、136、152ページには、「政務活動補助業務 勤務実績表・領収書」があります。対象はそれぞれ同年8月、9月、10月分です。勤務日や時間、給与、受領を示す欄、政務活動費への充当計算が一枚にまとまっています。
| 対象月 | 領収日 | 領収額 | 充当額 | PDFページ |
|---|---|---|---|---|
| 2021年8月 | 2021年9月13日 | 200,000円 | 100,000円 | 111 |
| 2021年9月 | 2021年10月8日 | 200,000円 | 100,000円 | 136 |
| 2021年10月 | 2021年11月15日 | 200,000円 | 100,000円 | 152 |
3枚はいずれも、総支給額と領収額が20万円、案分率が50%、政務活動費充当額の計が10万円です。書面の計算は20万円×50%=10万円。3枚分では、領収額の合計60万円に対し、充当額の記載は合計30万円となります。
ここで確認できるのは、公開書面にそう記載されていることです。領収額をそのまま公費の充当額として足すと、書面の数字を読み違えます。一方、計算が合っていることだけで、勤務実態や支払いの実在まで確認できたことにもなりません。
新聞折込費用にも案分率の記載がある
令和5年度PDF87ページの領収書は、2023年12月6日付、90,354円。令和6年度の維新の会分PDF61ページは、2024年8月19日付、305,061円です。いずれも県政報告の新聞折込費用としての記載が読み取れます。
ただし、これらも領収書の金額だけで読み終えることはできません。添付台紙の案分欄には、令和5年度の資料で面積案分による96%の適用、令和6年度の資料で95%と面積案分の説明があります。領収書本体の受領額と、台紙が示す政務活動費への充当割合は別の情報です。
90,354円や305,061円を、そのまま公費の充当額と紹介するのは正確ではありません。本稿では、これらの最終的な充当額や端数処理について帳簿との照合を完了していないため、率を掛けた試算を確定額としては掲載しません。
案分は何を分けるためのものか
兵庫県議会の手引は、政務活動に該当しない経費を除外したうえで、活動が混在する場合の共通案分率を定めています。政務活動とそれ以外の議員活動が混在する場合は2分の1、私的活動も混在する場合は政務活動分を4分の1とする扱いです。
共通案分率を超える個別の割合で充当するには、明確な根拠を文書で示す必要があり、県政報告紙などの面積案分が例として挙げられています。案分率は、金額の一部を政務活動費の対象として整理するための割合です。
したがって、50%と書かれているだけで、対象外の支出まで一律に半分認められるわけではありません。また、96%や95%という記載だけで、その割合が妥当だと判定することもできません。実際の県政報告紙や計算根拠との対応を確認する必要があります。
制度の説明には、現在公開されている2025年10月22日改訂の手引を参照しました。令和3・5・6年度の個別支出について、後年の手引だけを根拠に適否を判定するものではありません。
兵庫県議会 政務活動費の手引 本文19ページ PDF24ページ
手書きの範囲を分けて読む
今回取り上げた7ページのうち、給与関係3ページと新聞折込費用2ページには、領収額や日付など本文部分の手書きがあります。残る2ページは、領収書本体では宛名が手書きで、金額や日付は印字されているものです。台紙の整理番号や説明だけが手書きの資料とは区別しました。
宛名のみの2例は、令和3年度PDF29ページの郵便料金4,620円と、65ページのフォントダウンロード代金5,500円です。後者には、空白の宛名欄に名前を記入するよう案内する印字もあります。宛名の手書きと、金額を含む本文の手書きを同じ意味で扱うべきではありません。
公開画像から、どの欄に何が書かれているかは確認できます。しかし、字形が似ていると感じることと、同じ人物が書いたと立証することは別です。本稿では筆者の同定や筆跡鑑定を行っておらず、手書きであることを理由に偽造や不正を認定しません。
選挙会計の40万円問題とは対象資料が違う
今回の確認対象は、県議会が公開する政務活動費の資料です。別記事で扱った2023年県議選の40万円の領収書問題は、選挙運動費用収支報告の問題です。制度も資料のまとまりも異なるため、同じ領収書調査として混ぜて結論を出すことはできません。
今回の確認範囲では、その40万円の領収書を確認できていません。この結果から、別の選挙会計で問題となった書面が存在しない、疑問が解消した、あるいは不正が裏付けられたと結論することはいずれもできません。選挙会計の経緯と争点は、既存記事で扱っています。
今回の確認範囲と資料のたどり方
確認範囲は、令和7年度244ページ、令和6年度の維新の会分146ページと県政を前に進める会分24ページ、令和5年度138ページ、令和3年度207ページの計759ページです。令和4年度などを含む全年度・全会計の網羅調査ではありません。手書き7ページの選定も、見落としがないことを保証するものではありません。
記載したページ番号は、PDFファイルの先頭を1ページ目とする番号です。資料を開いたら、まず年度と会派、次に日付・用途・領収額を確認し、同じページの案分率や充当欄を読みます。そのうえで、会計帳簿の対応する支出や、活動実態を示す資料につなげると、どこまで確認できたかを整理しやすくなります。
公費の使い方を検証するには、金額の大きさだけでなく、何の金額かを確かめる必要があります。領収額、案分率、充当額、そして根拠となる活動。このつながりを公開資料からどこまでたどれるかが、会計の透明性を考える出発点です。
確認日:2026年10月5日。オンラインで公開された資料を対象としています。非公開の支払記録や勤務実態の独立確認、関係者への照会は行っていません。
出典と対象PDF
令和6年度 維新の会兵庫県議会議員団 領収書等 146ページ
令和6年度 県政を前に進める会(増山誠) 領収書等 24ページ

