情報確認日:2026年10月15日
税収が増えても、それだけで税率を引き上げたとは判断できません。税率が同じでも、給与・利益・課税対象の取引が増えれば税収は増えます。増税の有無は制度改正の内容と適用時期で、税収の増減は税目ごとの決算で確認します。国の一般会計税収は、地方税や社会保険料まで含む数字ではありません。
税率と、税率を掛ける対象を分ける
同じ税率でも、税金を計算する対象が大きくなれば税額は増えます。税率を掛ける金額などを「課税ベース」と呼びます。
説明のため、控除も特例もない10%の税を考えます。課税対象が100なら税額は10、対象が120なら税額は12です。税額は20%増えますが、税率は10%のままです。これは仕組みを示す仮定で、日本の税収の増加原因を計算した実績ではありません。
実際の制度では、控除、軽減、損失の扱い、税額控除なども入ります。給与や売上が10%増えたから、税金も必ず10%増えるという単純計算にはなりません。
例えば、国税庁の法人税率表は、法人の区分、所得の部分、事業年度の開始日で税率を分けています。税率を比較するときは、この条件まで合わせる必要があります。
物価上昇も税収に影響するが、原因の断定は別
価格が上がり、課税対象となる取引の金額が増えると、税率を変えずに名目の税収が増える場合があります。企業利益や給与所得の増加、課税対象者の増減も関係します。
ただし、消費税には仕入税額控除などがあり、税収は単に小売店の売上へ税率を掛けた総額ではありません。所得税にも累進税率や控除があります。「税収増は全部インフレのせい」「全部税率引上げの結果」と総額だけで決めることはできません。
控除の縮小や適用対象の変更なら、基本の税率を動かさなくても、条件に該当する人の税負担が増えることがあります。制度改正による負担増を論じるときは、「税率を上げたか」だけに問いを狭めず、何を変えたかを具体的に示します。
決算額と予算額は、比較する意味が異なる
財務省の予算・決算資料には、令和7年度の税収について、2026年7月3日の概数と、7月31日の決算額が別に掲載されています。最新の確定した表を使うときは、後者を開きます。
その令和7年度の決算表の一般会計分計は、次のとおりです。単位は億円です。
| 比較対象 | 額 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 令和6年度決算 | 752,321 | 前年度に収入となった額 |
| 令和7年度補正後予算 | 806,980 | 補正を反映した見込み |
| 令和7年度決算 | 842,226 | 当年度の決算額 |
令和7年度は前年度決算より89,905億円多く、補正後予算より35,246億円多い額です。「前年より増えた」と「見込みを上回った」は、引いている相手が違います。
この表で所得税、法人税、消費税などの行を見ると、増減の方向と大きさが税目ごとに違うことも分かります。総額の伸びを、そのまま全納税者の負担の伸びへ置き換えてはいけません。
制度改正を調べるときの順番
負担が増えたと感じる人は、まず納付書や給与明細で税目を特定します。所得税と住民税、税と社会保険料を分け、前年と同じ期間の資料を用意してください。
次に、その税目の公式案内で、税率、控除、課税対象、適用開始日を確認します。年度の名前だけでなく、「いつから始まる事業年度」「何年分の所得」「いつの取引」といった条件を読むことになります。
最後に、自分の給与、扶養、控除、事業の所得、取引量などの変化と照らします。制度が同じでも個人の条件が変われば税額は変わります。逆に制度変更があっても、全員が同じ増額になるとは限りません。
個別の所得税・法人税は税務署や国税庁の相談窓口、住民税は自治体の税担当へ、税目と対象年を伝えて確認します。全国税収の表の読み方なら、財務省の当該表の問い合わせ先が対象になります。
税収の増加は、生活の余裕そのものではない
一般会計税収は国へ入った金額を示す数字です。名目税収が増えても、物価がそれ以上に上がれば、家計の買える量が増えたとは限りません。企業利益の増加が、すぐ全世帯の手取り増につながるとも限りません。
税収のニュースと家計の負担を結び付けるなら、税目、制度改正、所得や取引の変化という三つを確認します。総額の増減を入口にして、どの仕組みで誰に負担が生じたかまで進むと、政策への評価も具体的になります。
参照資料
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執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT

