情報確認日:2026年10月15日
日銀が一時的に赤字や債務超過になっても、それだけで金融政策が止まる仕組みではありません。ただし、財務の悪化を無視してよいという意味でもありません。保有国債の含み損、毎年の決算利益、国へ納めるお金を分けると、何が政策や国の財政に影響するのかが分かります。
民間企業と同じ「資金切れ」ではない
日本銀行は2023年12月の解説で、適切な金融政策で物価の安定を図ることが通貨の信認を支える、と説明しています。中央銀行は自ら支払決済手段を提供でき、通常は長い目で収益が確保される構造があるため、一時的な赤字や債務超過で政策運営能力が損なわれるわけではないという整理です。
同時に、財務リスクから無用の混乱が生じ、信認が低下する危険にも言及しています。「倒産が決まる」「いくら損しても問題ない」のどちらも、この説明全体とは異なります。日銀:中央銀行の財務と金融政策運営
この資料は2023年時点の仕組みの解説です。当時の金利や収益状況を、現在の実績として読むものではありません。
金利が上がると、支払いが先に増えることがある
日銀は国債等から利息収入を受け取り、金融機関が日銀に持つ当座預金の対象部分には利息を支払います。金融引締めで付利金利を上げると、この支払いが増えて利益を押し下げます。
一方、以前買った固定利付国債の利息は、現在の市場金利に合わせて直ちに増えません。保有国債が償還され、利回りの高い国債へ順に入れ替われば、受取利息が増える経路もあります。
そのため、将来損失の試算を読む際は、短期・長期金利の想定、国債をどれだけ再投資するか、当座預金や銀行券の残高を確認します。ある想定の計算結果が、そのまま確定した損失額ではありません。
国債の含み損を、その年の赤字へ足さない
現在の日銀会計規程13条は、円貨建債券の評価に償却原価法を定めています。取得価格と償還額の差を期間に配分する方法で、市場価格の毎日の下落を、そのまま全部当期の損失へ入れる方法とは違います。
したがって「国債の時価が帳簿価額を下回った」という含み損と、損益計算書の赤字は別です。実際に売却して生じた損失や、受取利息・支払利息とは分けて確認します。
日銀のすべての資産が同じ評価方法というわけでもありません。会計規程には外貨建債券など別の方法もあるため、国債の説明を株式・為替の損益へ一括して当てはめないようにします。
最新の年度決算では、利益と国庫納付を別々に見る
2026年5月27日公表の2025年度決算では、経常利益は2兆3,421億円、当期剰余金は1兆9,263億円でした。日銀は、補完当座預金制度の利息増加等が経常利益の減少につながったと説明しています。2025年度決算
この年度には当期剰余金があり、「すでに年度決算が赤字になった」という例ではありません。
| 決算で見る欄 | 確認する意味 |
|---|---|
| 経常利益 | 経常的な収益と費用の差 |
| 当期剰余金 | 特別損益や税を反映した結果 |
| 剰余金処分 | 準備金・配当・国庫納付の配分 |
日銀は同年度について、法定準備金963億円、配当500万円を差し引き、残りの1兆8,300億円を国庫へ納めるとしています。公表の億円単位は切捨てなので、表示額だけの足し算が厳密に一致しない場合があります。
国への納付が減る影響は、政策停止とは別
利益が減れば、国へ納める金額も変わり得ます。国庫納付金は国の歳入に関係するため、財政上の影響を確認する意味があります。
ただし、納付金が減った額だけで、同じ額の増税や特定の給付削減が自動決定するわけではありません。それらは国全体の予算・財源の判断です。
日銀の2023年の講演も、出口局面では納付金が減り得る一方、金融政策の評価は物価安定という目的の達成状況で行う、との考え方を示しています。これは日銀自身の説明であり、政策の効果や副作用への評価とは分けて読む必要があります。植田総裁講演・第6節
数字を確かめる順番
日銀サイトの決算資料で、対象年度と年度末・上半期末の違いを確かめます。次に損益、剰余金処分、保有資産の評価方法を確認します。将来試算なら、実績決算と別に想定条件を記録します。
資料の数字への問い合わせは、公表ページ末尾の照会先へ、年度・表名・行名を伝えると確認しやすくなります。個人が持つ国債の価格や利子の問い合わせは、日銀の決算ではなく取扱金融機関が窓口です。
参照資料
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執筆・検証:カネさん(政経プラスチャンネル運営)+ ChatGPT

