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兵庫県の公開資料、「黒塗り」が外せたとされる問題 問われる情報公開の安全性

兵庫県政

兵庫県が交付した電子ファイルから、意見を投稿した人の個人情報が読める状態になっていました。県は2026年8月3日、さわやか提案箱の投稿者92人の情報が漏えいしたと公表しました。

発端は、7月31日付の申入書です。非公開情報を見えなくするマスキング処理に問題があるとして、県の調査を求めました。8月2日の記事公開時には指摘として扱っていましたが、その後の県の説明を加えて整理します。

県は、公開用ファイルを作る際に誤って処理前のファイルを使ったと説明しています。過去の公開資料全体への影響や、意図的な漏えいの有無は、今回確認した資料では分かりません。

県には、公開用データを作り、送信前に確認する体制を点検する責任があります。県民が安心して意見を送り、公文書を請求できるように、影響の範囲と再発防止の実施状況を示す必要があります。

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申入書が指摘した内容

政経プラスの直近動画で紹介された申入書と、公開された記者会見映像によると、匿名希望者が兵庫県に対して、2026年6月3日の知事会見に関する第三者の意見などを含む文書の公開請求を行いました。

申入書によると、県は氏名・住所・メールアドレスを非公開とし、それ以外の部分を公開する決定をしました。その後にデータ形式で交付された文書について、申入書は黒塗りや白色化された部分が、一定の操作によって閲覧できる状態だったと指摘しています。

申入れを行った中道一政弁護士は、同様の事態が県の過去の公文書公開でも起きていないかを精査し、その結果を公表するよう県に求めています。

県は8月3日、投稿者92人の情報漏えいを公表した

県の発表によると、6月3日午前7時から5日正午までにさわやか提案箱へ寄せられた216件の意見のうち、92人の個人情報が読める状態になっていました。内訳は氏名75人、住所48人、メールアドレス89人です。各項目には同じ人が含まれるため、足し合わせた人数ではありません。

情報が漏えいしたのは意見を投稿した人です。文書を受け取った公文書公開請求者とは区別する必要があります。

県は6月6日に請求を受け、19日に個人情報を非公開とする部分公開を決定しました。公開用PDFをマスキングして印刷し、その紙を再びスキャンしていました。

県の説明では、二つのファイルを一つにまとめる際、そのうち一つに、再スキャンしたファイルではなく印刷前の元ファイルを誤って使いました。7月29日に、この電子ファイルを請求者へ送信したとしています。

県は請求者と関係者に電子データの削除を依頼し、漏えいした人へ説明とお詫びの文書を送っていると公表しました。再発防止として、送信前のチェックリストと複数職員による確認、非公開情報が判読できないPDF処理を徹底するとしています。

ここまでが8月3日の県の説明です。過去に交付した他の資料への影響や、情報がさらに広がった範囲は、別に調べて公表する必要があります。

電子ファイルの黒塗りは、元の文字データも除く必要がある

公開用PDFでは、画面の文字を隠す処理に加え、元の文字データも取り除く必要があります。黒い図形を重ねるだけでは、図形の下に文字データが残る場合があります。

個人情報保護委員会は2026年3月の監視・監督事例で、地方公共団体がウェブサイトに掲載した文書について、黒塗りや白地処理が不十分だったため、文字部分をコピーして文書作成ソフトなどに貼り付けると閲覧できた事案を公表しています。原因として、ウェブサイト掲載時の確認が不十分だったことを挙げています。

また、2025年6月の事例でも、非公開にする個人の住所について黒塗りに不備があり、複数職員による確認体制が整っていなかったことが原因と考えられた事案が示されています。

これらの実例は、公開用データに非公開情報が残っていないかを確認する必要性を示しています。行政は、画面表示と元データの両方を点検する必要があります。

県は公文書を公開し、非公開と決めた個人情報を保護する

兵庫県の公文書は、誰でも公開請求できます。県は、公開・非公開を原則として請求から15日以内に決めます。

個人のプライバシーを侵害するおそれのある情報、法人の正当な利益を害する情報、公共安全に関わる情報などは非公開とする対象です。

県は公開する情報を選び、非公開と決めた情報を公開用データから確実に取り除く必要があります。データを作り、確認し、交付するまでが行政の責任です。

兵庫県の「さわやか提案箱」も、県政に関する意見や提案を受け付け、寄せられた提案を個人情報保護法に基づき適正に管理すると案内しています。県民が行政に意見を送るためには、自分の名前や連絡先が不用意に外へ出ないという最低限の信頼が必要です。

県が追加調査と再発防止で公表すべき5項目

8月3日の説明を踏まえ、県は追加調査と再発防止の結果を次の5項目で示す必要があります。

1. 調査した資料の範囲と件数

県は、今回の資料、同じ担当課の資料、過去に交付した資料のうち、どこまで調べたのかを示す必要があります。期間と件数が分かれば、調査が十分だったかを県民が判断できます。

2. 閲覧できた情報の種類と影響人数

県は、氏名、住所、メールアドレスなどの種類別に、影響を受けた人数を示す必要があります。公表には集計を用い、個人情報そのものや再現手順は掲載しない扱いが必要です。

3. データ作成と送信前確認の担当・記録

誰が公開用データを作り、誰が確認し、どの記録を残したのか。チェックが一人だったのか、複数人で行ったのかも重要です。

4. 交付先・閲覧範囲と対象者への対応

ウェブ公開ならアクセス記録、個別交付なら交付先や交付日時を確認する必要があります。漏えいのおそれがある場合に、対象者への説明や通知をどう行ったのかも問われます。

5. 過去の公開資料の点検結果

県は、同じ方法で作られた過去の資料も点検し、対象期間と件数、発見した問題、点検後の公開方法を示すべきです。今回のファイルへの対応に加えて、過去分を調べた結果が必要です。

分収林やはばタンPayの漏えいも、情報管理の点検に生かす

兵庫県は2026年7月、分収林契約地の情報が林業関係団体に漏えいした事案を公表しました。県の発表では、豊岡市内の173契約地、契約者114者分の情報が対象となり、そのうち8件は個人情報を含んでいました。県は、職員が支援業務と誤認して情報を提供したと説明し、資料の破棄・データの消去を確認したうえで、全職員への研修を行うとしています。

また、県は「はばタンPay+」をめぐる個人情報漏えいとメール誤配信について、2026年3月に検証結果を公表しています。

各事案の原因と情報の種類は、事案ごとの資料で確認する必要があります。共通する組織的原因があるかは、情報管理を横断的に調べて判断する問題です。

情報を渡す判断、システムの設計、公開用データの処理、公開後の確認を、県庁全体で点検すべきです。担当者への注意に加え、誤りを発見して止める手順が機能しているかを検証する必要があります。

意見を送った人が安心できる情報管理が必要

情報公開制度は、県が何を決め、どの資料を持ち、どのように説明しているのかを、県民が確認するための制度です。

県政への意見を送った人の個人情報が、公開請求者へ交付した電子ファイルから読める状態になれば、意見を送る人は不安を感じます。公文書を請求する人にも、県の情報管理への疑念が生じます。

県は92人の漏えいと作成時の誤りを公表しました。さらに、情報の利用による被害、過去資料への影響、再発防止を実施した結果まで、調査範囲と方法を添えて示す必要があります。

非公開情報を復元できない形で取り除き、正しいファイルを送る確認を徹底する。県民が安心して意見を提出し、公文書を確認できるように、県はその手順と実施状況を示すべきです。

漏えいの公表に続き、点検と再発防止の結果を示すべきだ

7月31日の申入書による指摘を受け、県は8月3日、提案箱の投稿者92人の情報漏えいと、ファイル作成時の誤りを説明しました。過去の公開資料への影響と再発防止の実施状況は、引き続き検証する必要があります。

個人情報保護委員会は、黒塗りの下に情報が残った自治体の実例を公表しています。兵庫県は、過去資料、確認体制、交付後の影響を調べ、県民が検証できる形で結果を示すべきです。

9月22日時点で報じられた人数と県側の説明は、兵庫県の公文書「黒塗り」不備、約千人の情報が見えた問題をどう検証するかで確認できます。

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参考資料

兵庫県・さわやか提案箱の公文書公開における個人情報漏えい(2026年8月3日)

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