福岡県議会のハワイ訪問で、議員の宿泊費は1泊11万4,600円、副議長は13万3,300円でした。
この金額について、藏内勇夫・福岡県議会議長自身が会見で「高額だと思います」と答えています。
住民監査請求では、宿泊費は違法・不当ではないと判断されました。複数のホテルから見積もりを取り、人事課との事前協議も行われていたためです。
しかし、「規定に沿っている」ことと、「11万円を超える部屋が不可避だった」ことは同じではありません。
実際、翌年のハワイ訪問では、宿泊費が1泊7万円台まで下がりました。
県議会は、なぜ2025年には11万円を超える宿泊費が必要だったのか。公開された一次資料から検証します。
海外視察23件、総額2億6,496万2,000円の全体像は、前の記事で整理しています。
→ 福岡県議会の海外視察費は3年で2億6500万円|23件を検証
住民監査請求の結果と契約手続の問題はこちらです。
→ 「違法ではない」で終わるのか|福岡県議会・海外視察の住民監査
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「1泊11万円」は2025年1月のハワイ訪問
問題となったのは、2025年1月13日から17日まで、3泊5日で行われたハワイ訪問です。
参加した県議は、江口善明副議長、藏内勇夫議員、秋田章二議員、原中誠志議員の4人。職員3人も同行しました。
訪問先には、ハワイ州議会、ハワイ州知事、ハワイ大学、在ホノルル日本国総領事館、ハワイ福岡県人会などが含まれています。
宿泊先はシェラトン・ワイキキでした。
公表資料による1人1泊当たりの宿泊費は、次の通りです。
| 区分 | 実際の宿泊費 | 当時の基準額 |
|---|---|---|
| 副議長 | 13万3,300円 | 2万400円 |
| 議員 | 11万4,600円 | 1万8,100円 |
| 職員 | 11万4,600円 | 1万5,900円または1万3,600円 |
議員の宿泊費は基準額の約6.3倍、副議長は約6.5倍です。
視察全体の公費負担額は1,413万円。このうち議員4人の宿泊費は109万4,700円でした。
金額だけを見れば、県民が驚くのは当然です。私も資料の数字を見直しました。
「基準内」は通常の基準額以内という意味ではない
県議会は、高額な宿泊費について「関係規定に基づき、基準内で対応していた」と説明しています。
ここで注意が必要です。
この「基準内」は、1泊1万8,100円という通常の基準額に収まっていたという意味ではありません。
県の制度では、安全性や移動の利便性などを確保できるホテルが基準額内で見つからない場合、人事課と協議した上で実費を支給できます。
2025年のハワイ訪問では、旅行会社2社から各3施設の見積もりを取り、人事課と事前協議をしたため、県議会は規定に沿った支出だったと説明しています。
つまり、正確には「通常の宿泊基準額を超えていたが、例外的な実費支給の手続を経ていた」ということです。
「基準内」という短い表現だけでは、実際の金額が通常基準の6倍を超えていた事実が伝わりません。
監査委員はなぜ不適切と判断しなかったのか
住民監査請求で、福岡県監査委員はこの宿泊費を違法・不当とは認めませんでした。
監査結果が挙げた理由は、主に三つです。
- 現地の宿泊相場を踏まえ、複数のホテルの見積もりを取っていた
- 基準額を超えることについて、人事課と事前協議をしていた
- 副議長だけ高いグレードの部屋を使ったのは、要人の応接と安全確保のためだった
監査委員は、随行職員の確認結果も踏まえ、副議長の部屋について「必要以上に華美なものではなかった」と判断しています。
この監査結果を無視して、直ちに「違法な豪遊」と決めつけることはできません。
ただし、監査が確認したのは、財務会計上の違法性・不当性です。11万円を超えるホテルしか選択肢がなかったのか、費用対効果が最も高かったのかという説明まで、公開資料だけで十分に確認できるわけではありません。
公開資料では「なぜこのホテルか」が見えない
県議会の公表資料には、旅行会社2社がそれぞれ3施設を提示し、その中から宿泊先を選んだと記載されています。
しかし、各候補ホテルの名称、提示価格、選ばなかった理由は公表されていません。
安全性、州議会などへの移動、要人との面会に備えた応接環境が必要だったという説明は理解できます。
それでも、なぜシェラトン・ワイキキでなければならなかったのか。1泊11万円を下回るホテルでは、どの条件を満たせなかったのか。公開資料からは判断できません。
手続を踏んだことは確認できる。しかし、選択の妥当性を県民が追試できるだけの情報は出ていない。ここが問題です。
翌年は1泊7万円台まで下がった
藏内議長は2026年6月の記者会見で、1泊11万円を超える宿泊費について「高額だと思います」と答えました。
県議がホテルや部屋を指定したわけではなく、現地で割り当てられたとも説明しています。その上で、安全が確保できる適正価格のホテルがあるなら、今後はそちらを選ぶ考えを示しました。
実際、2026年1月のハワイ訪問では、宿泊先がシェラトン・プリンセス・カイウラニに変わりました。
| 区分 | 2025年1月 | 2026年1月 | 減少額 |
|---|---|---|---|
| 副議長 | 13万3,300円 | 7万7,800円 | 5万5,500円減 |
| 議員 | 11万4,600円 | 7万2,300円 | 4万2,300円減 |
副議長は約42%、議員は約37%下がっています。
視察全体の公費負担額も、1,413万円から1,060万円へ353万円減りました。2026年は県議の参加者が1人増えているため、この差は小さくありません。
訪問日程や委託内容が同じではないため、総額を単純比較することはできません。それでも、宿泊費を大幅に下げた事実は確認できます。
翌年に、より安いホテルで訪問を実施できた。この実績がある以上、前年の1泊11万円超が本当に避けられなかったのか、県議会には具体的な説明が必要です。
高額だっただけで不適切とは言えない。それでも説明は足りない
ハワイの物価上昇や円安、安全性、移動の利便性を考えれば、海外の宿泊費が国内基準を大きく超える場合はあります。
2025年の支出は必要な協議を経ており、監査委員も違法・不当とは判断しませんでした。この事実は明確にしておくべきです。
しかし、11万円超の部屋が必要だったと県民に納得してもらうには、「規定に沿っていた」だけでは足りません。
候補になったホテルごとの価格、満たせなかった安全・移動条件、最終的な選定理由を公開すべきです。
しかも、翌年には宿泊費を7万円台に下げています。改善できたことは評価できますが、同時に、2025年の選定には値下げの余地があったのではないかという疑問も強まります。
高額だったから、直ちに不正という話ではありません。
公金を使う以上、問われているのは「ルール上支払えたか」だけではなく、「その金額が最も合理的だったか」です。
福岡県議会は、1泊11万円を超えた理由を、県民が比較・検証できる資料とともに説明すべきです。
よくある質問
1泊11万円の宿泊費は違法だったのですか
監査委員は違法・不当とは認めませんでした。複数のホテルから見積もりを取り、基準額を超える実費支給について人事課との事前協議を行っていたためです。
なぜ副議長の部屋だけ高かったのですか
監査結果では、要人を部屋で迎える可能性と安全確保を理由に、議員や職員より高いグレードの部屋が用意されたとされています。監査委員は必要以上に華美な部屋ではなかったと判断しました。
翌年の宿泊費はいくらでしたか
2026年1月のハワイ訪問では、副議長が1泊7万7,800円、議員と職員が7万2,300円でした。前年より副議長は約42%、議員は約37%下がっています。
まとめ
- 2025年1月のハワイ訪問では、議員が1泊11万4,600円、副議長が13万3,300円だった
- 通常の基準額の約6倍だったが、人事課との事前協議を経た実費支給だった
- 監査委員は、宿泊費を違法・不当とは認めなかった
- 公開資料では、候補ホテルごとの価格や不採用理由までは確認できない
- 2026年1月は1泊7万円台となり、宿泊費は約37~42%下がった
「規定内」という言葉だけで、1泊11万円の妥当性が説明されたことにはなりません。
翌年に大幅な減額を実現できた今こそ、県議会は前年のホテル選定を具体的に説明するべきです。
参考資料
- 福岡県議会議長記者会見録(2026年6月11日)
- 福岡県議会の海外活動における契約手続きに関するQ&A
- 福岡県議会の海外活動に関するQ&A
- 2025年1月ハワイ訪問・公費負担額
- 2026年1月ハワイ訪問・公費負担額
- 住民監査請求に基づく監査の結果(福岡県監査委員)
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