支出の67%が人件費・広報費|福岡県議会12会派を比較

支出の67%が人件費・広報費―福岡県議会12会派を比較 地方自治・議会

執筆・編集:カネさん(政経プラスチャンネル運営)

公開資料の確認日:2026年8月23日

福岡県議会の令和7年度政務活動費は、全12会派の支出総額4億4,972万8,568円のうち、人件費が1億9,223万6,791円、広聴・広報費が1億910万19円でした。合計は3億133万6,810円。支出全体の67.00%です。

この数字だけで、不適切な支出だったとは判断できません。調査を補助する職員や、県政を県民へ伝える広報は、議会活動に必要です。

問題は、支出額に見合う成果を、県民がオンラインでどこまで確認できるかです。人件費については雇用人数や担当業務、広報費については発行部数や配布先、ウェブ上の到達実績まで見なければ、費用対効果を判断できません。

この記事では、福岡県議会が公表した令和7年度の全12会派の収支報告書と事務処理要領を使い、人件費と広聴・広報費を比較します。

全10経費区分と交付額・残余を確認したい方は、前編「福岡県議会の政務活動費を全比較」をご覧ください。

政務活動費の人件費とは何か

福岡県議会の事務処理要領では、人件費を「会派が行う活動を補助する職員を雇用する経費」と定めています。

対象は、給料、各種手当、臨時雇用職員の賃金、雇用者側が負担する社会保険料・労働保険料などです。議員本人への報酬ではありません。

議案や予算書の調査、資料整理、県民相談への対応などを考えれば、補助職員の存在には合理性があります。ただし、収支報告書の経費区分だけでは、雇用人数、常勤・非常勤の別、具体的な担当業務、1人当たりの支給額までは分かりません。

金額の多寡だけを競うのではなく、「何人が、どの仕事を担い、どの政策提言や議会活動につながったのか」を説明する必要があります。

広聴・広報費には何が含まれるのか

広聴・広報費は、会派が行う県政に関する政策などの広聴・広報活動に必要な経費です。

事務処理要領には、広報紙や報告書の企画・印刷・製本、ホームページの作成管理、写真撮影、郵送料、交通費、宿泊費、会場・機材の借り上げなどが例示されています。

県議会で何が議論され、会派がどの政策を提案したのかを県民へ伝えることは重要です。ただ、紙の発行部数、配布先、ウェブページの閲覧数、住民相談や意見募集で何件の声が集まったのかが見えなければ、広報活動の成果は評価できません。

12会派の人件費・広聴広報費を比較

会派 人件費 広聴・広報費 2項目合計 会派支出に占める割合
自由民主党福岡県議団 1億1,342万6,612円 3,944万3,596円 1億5,287万208円 68.22%
民主県政クラブ県議団 3,443万8,781円 4,489万9,401円 7,933万8,182円 69.02%
新政会福岡県議団 1,430万6,193円 621万9,425円 2,052万5,618円 71.58%
公明党福岡県議団 1,277万9,134円 548万2,694円 1,826万1,828円 46.14%
自由と繁栄の会 493万9,989円 237万6,000円 731万5,989円 68.93%
無所属の会 308万6,148円 353万9,760円 662万5,908円 88.35%
豊築会 277万2,547円 117万8,000円 395万547円 73.36%
ふくおか政策の会 194万7,029円 154万9,264円 349万6,293円 71.29%
日本維新の会福岡 213万円 106万7,106円 319万7,106円 63.81%
緑友会 109万8,369円 109万6,920円 219万5,289円 52.98%
至誠会 113万5,989円 76万1,647円 189万7,636円 83.56%
桜和会 17万6,000円 148万6,206円 166万2,206円 64.22%
全12会派 1億9,223万6,791円 1億910万19円 3億133万6,810円 67.00%

金額は各会派の収支報告書を集計し、1円単位で検算しています。「ふくおか政策の会」と「日本維新の会福岡」は2025年6月から2026年3月までの10か月分で、ほかの会派と報告期間が異なります。

人件費の59%を自民党県議団が占める

人件費が最も大きいのは自由民主党福岡県議団の1億1,342万6,612円です。全12会派の人件費の59.00%を占めます。

次が民主県政クラブ県議団の3,443万8,781円、新政会福岡県議団の1,430万6,193円、公明党福岡県議団の1,277万9,134円です。

所属議員が多い会派ほど、調査や事務を支える職員も多くなるため、絶対額だけで会派を評価することはできません。自民党県議団では、人件費が会派の支出全体の50.61%。民主県政クラブ県議団では29.96%でした。

同じ「人件費」でも会派によって支出構造は大きく違います。人数と金額だけでなく、補助職員が作成・整理した調査資料や、政策形成への貢献を対応させて公表すべきです。

広聴・広報費は民主県政クラブが最大

広聴・広報費が最も大きいのは民主県政クラブ県議団の4,489万9,401円です。自由民主党福岡県議団の3,944万3,596円を上回りました。

この2会派だけで8,434万2,997円となり、全会派の広聴・広報費の77.31%です。

会派自身の支出に占める広聴・広報費の割合を見ると、桜和会が57.42%、無所属の会が47.20%、民主県政クラブ県議団が39.06%でした。小会派は支出総額が小さいため、割合だけで単純比較することもできません。

必要なのは、広報紙を何部作り、どこへ配布し、ホームページや報告会でどれだけ県民に届いたかという成果指標です。

公開制度はある。それでもオンラインで見えない情報がある

福岡県議会は、収支報告書をホームページで公表し、領収書などを閲覧対象としています。外部の専門委員である弁護士と公認会計士による確認も導入しています。

2015年度分からは、全支出について目的・理由・活動概要を記載した政務活動報告書を提出し、政務活動費で作成した広報紙や県政報告書も提出・公表する制度を始めました。

制度は前進しています。ただ、現在の収支報告書一覧をオンラインで見るだけでは、人件費の雇用人数、担当業務、広報物の発行部数や配布先まで一括して比較できません。閲覧に行けば確認できる資料と、ウェブ上で検索・比較できる情報には差があります。

県民が必要としているのは、領収書の束だけではありません。「何のために使い、何が変わったのか」を会派ごとに追える説明です。

政経プラスの評価――経費区分ではなく成果を公開すべき

人件費と広聴・広報費は、政務活動に必要な経費です。支出割合が高いことだけで、無駄遣いとはいえません。

しかし、合計3億円を超え、政務活動費支出の67%を占めるなら、説明も主要項目にふさわしい具体性が必要です。

人件費は、雇用人数、職務内容、勤務形態、成果物との対応。広報費は、発行部数、配布方法、ウェブ閲覧数、報告会の参加者数、集まった県民意見と政策への反映。この程度の指標は、個人情報に配慮しながらでも公表できます。

月額50万円という交付額だけを議論しても、制度は改善しません。支出から成果までをつなげて説明できるか。福岡県議会の透明性は、そこから先で評価されます。

よくある質問

政務活動費の人件費は議員本人の給与ですか?

違います。福岡県議会の事務処理要領では、会派の活動を補助する職員の給料、手当、賃金、社会保険料などとされています。

広聴・広報費には広報紙の印刷費だけが含まれますか?

印刷費だけではありません。ホームページの作成管理、写真撮影、郵送料、交通費、宿泊費、会場・機材の借り上げなども対象になり得ます。

人件費や広報費が多い会派は問題なのですか?

金額や割合だけでは判断できません。会派の所属議員数、報告期間、活動量が異なるためです。重要なのは、支出の目的、具体的な活動、成果が確認できることです。

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