記事タイプ:制度解説・3号通報の保護要件
この記事の要点
- 3号通報は、報道機関など、被害の発生や拡大を防ぐために必要と認められる外部への公益通報です。内部窓口への通報を先に行う必要はありません。
- 保護の条件は、通報内容を真実と信じる根拠と、外部へ通報する必要がある事情です。「真実相当性」と「特定事由」という法律上の言葉を、以下で説明します。
- 兵庫県の告発文書では、第三者調査委員会が外部への配布を3号通報と認定し、県は対応の適法性を主張しました。この記事は、2026年7月27日時点の制度と論点を扱います。
📌 「3号通報に該当するかどうか」が実際に真正面から争われたのが、兵庫県の事案です。第三者調査委員会が3号通報に該当すると認定するまでの経緯は、兵庫県告発文書問題・全経緯まとめで時系列に整理しています。
最終更新: 2026年7月27日
3号通報は、報道機関などへの外部通報
公益通報者保護法は、通報先を三つに分けています。番号は通報の順番を示すものではありません。制度全体は「公益通報者保護法とは」で説明しています。
- 1号通報:勤務先の内部窓口などへ。勤務先が指定した外部の弁護士窓口も含みます。
- 2号通報:通報した事実について、処分や勧告などの権限を持つ行政機関へ。
- 3号通報:報道機関など、被害の発生や拡大を防ぐために必要と認められる外部へ。
1号通報は、通報対象の不正があると思った場合に保護され得ます。3号通報では、内容を信じる相当な根拠に加え、外部へ伝える必要がある事情も求められます。通報先によって、保護の条件が異なる仕組みです。
3号通報の保護には、内容を信じる根拠と外部へ通報する事情が必要
法3条3号は、次の二つの条件を両方求めています。通報者や通報対象など、法2条が定める公益通報の条件も前提になります。
条件1:通報内容を真実と信じる根拠(真実相当性)
「通報対象となる事実が生じている、またはまさに生じようとしていると信じるに足りる相当の理由があること」が求められます。
内容を裏付ける内部資料や、信用性の高い関係者の証言などが、根拠になります。通報時点で、なぜ真実だと信じたのかを説明できることが大切です。消費者庁は、後に紛争となり法の保護を受ける場合、この根拠を通報者側が立証する必要があると説明しています。
条件2:外部へ通報する必要がある事情(特定事由、法3条3号イ〜ヘ)
内容を信じる根拠に加え、次の事情のいずれかも必要です。
- 内部や行政機関に通報すると、解雇などの不利益を受けると信じる相当な理由がある。
- 内部に通報すると、証拠が隠され、偽造・変造されるおそれがあると信じる相当な理由がある。
- 内部に通報すると、勤務先が通報者を特定できる情報を正当な理由なく漏らすと信じる相当な理由がある。
- 勤務先から、内部や行政機関へ通報しないよう、正当な理由なく求められた。
- 書面で内部通報してから20日を過ぎても調査開始の通知がない。または、勤務先が正当な理由なく調査しない。
- 個人の生命・身体への危害や、回復できない財産的損害、多数の個人の多額の損害がすでに発生した、または発生する急迫した危険があると信じる相当な理由がある。財産的損害には、通報対象事実が直接の原因であるなど、法の定める条件があります。
通報者は、内容を信じた根拠と、上のどの事情に当たるかを整理します。通報先の相手も、被害の発生や拡大を防ぐために必要と認められる人や組織であることが条件です。
外部へ伝える必要性と、告発される側の利益も考慮する制度
外部への告発が報道されると、事業者や従業員の評判に大きな影響が出ることがあります。法は、通報者を保護するとともに、告発される側の正当な利益も考慮して条件を定めています。
最初から報道機関などに通報しても、法の条件を満たせば保護されます。内部通報を必ず先に行う仕組みではありません。内部で不利益を受けるおそれなど、外部へ伝える必要がある事情を示すことが重要です。
兵庫県の文書配布は、第三者調査委員会が3号通報と認定した
兵庫県の告発文書問題では、文書の内容と通報先、外部へ伝えた事情が争点になりました。
2024年3月、県の元幹部職員は、知事らに関する7つの疑惑を記した文書を報道機関などへ送りました。県は「事実無根」「誹謗中傷性の高い文書」と説明し、作成者を特定して懲戒処分を行いました。文書を公益通報として扱うべきだったかが問われました。
第三者調査委員会は、内容と外部へ伝えた事情を次のように評価しました。
内容を信じる根拠。2025年3月19日公表の報告書は、贈答品に関する一部の事項と、パレードの協賛金・補助金をめぐる事項について、真実と信じる相当な理由があったと判断しました。物品の贈答が収賄罪に当たり得るなど、法が対象とする違反の疑いを文書が含んでいると検討したものです。収賄罪の成立を確定した判断とは区別します。
外部へ伝える事情。報告書は、知事や幹部が告発の対象で、通報者が不利益を受けるおそれが大きい状況だったと判断しました。文書配布を3号通報と認定し、県が通報者を捜した行為を違法と結論づけています。
県は、この記事の確認時点で、手続きは適法だったという主張を維持しています。県の説明と委員会の判断を比べるには、内容を信じる根拠と、外部へ通報する事情を、それぞれ読む必要があります。
当チャンネルでは、この論点を一次資料に基づいて継続的に検証しています。
2026年12月1日から、通報妨害や正当な理由のない探索を明文で禁止
2026年12月1日施行の改正は、フリーランスへの保護を広げ、通報妨害や正当な理由のない通報者探索を禁止します。公益通報を理由とする解雇・懲戒には刑事罰を設けます。また、労働者への通報後1年以内の解雇・懲戒を、通報を理由としたものと推定する規定を加えます。この推定規定は、一般職の国家公務員・地方公務員などには適用されません。3号通報について、内容を信じる根拠と外部へ通報する事情が必要な仕組みは続きます。
探索の禁止と、刑事罰の対象は別に定められています。探索行為そのものには直罰を設けず、公益通報を理由とする解雇・懲戒などに刑事罰を設ける改正です。
兵庫県の委員会は、当時の法と指針に照らして探索を違法と判断しました。改正後は、正当な理由のない探索を禁じる規定が法律に置かれます。過去の事件の評価と、施行後の新しい規定を分けて読むことが大切です。
よくある質問
Q. 内部通報をせずにいきなり外部へ告発したら、保護されないのですか?
最初から外部へ通報しても、法の条件を満たせば保護されます。通報の順序は決まっていません。内容を信じる相当な根拠と、不利益や証拠隠滅のおそれなど、外部へ通報する事情を確認する必要があります。
Q. 告発した内容が一部間違っていたら、保護されませんか?
通報時点で、内容を真実と信じる相当な根拠があったかを判断します。一部の内容に誤りがあっても、主要な事実を信じる根拠などを検討して、保護される場合があります。他の保護条件も満たすことが必要です。
Q. SNSへの投稿は3号通報になりますか?
一般に、不特定多数に伝えるだけのSNS投稿は、公益通報に当たらない場合が多いと消費者庁は説明しています。3号通報の相手は「被害の発生や拡大の防止に必要と認められる者」です。誰が被害を受け得るか、誰に伝えるかなど、個別の事情で判断します。
参考(一次資料)
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【法を変えた知事】公益通報者保護法・別名「元彦法」改正成立!公益通報者解雇に刑事罰!
動画側の公開情報:2025年6月4日/19分37秒
※法改正の成立・施行日、解雇への刑事罰の対象範囲は、動画タイトル・動画側の公開情報の表現です。本記事の確認済み事実として追加していません。法令本文、附則、消費者庁の公式資料との照合が必要です。
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【マジか】斎藤知事・兵庫県議会で驚愕発言!「探索行為は問題ない」「元県民局長の訴えは3号通報ではない」と断言!自民党さえもブチ切れ給与減額案反対に!
動画側の公開情報:2026年06月08日/34:37
※動画タイトル・公開日・動画時間はYouTube公開情報です。動画内の主張や評価は、一次資料・公式発表との照合が必要です。本記事の確認済み事実として追加していません。


