沖縄県知事選では、候補者の公式発信に見える画像や、過去の映像を別の政策判断の証拠に見せる投稿が話題になりました。古謝氏のポスター風画像は陣営が制作への関与を否定したと報じられ、玉城氏の映像は切り取られた時期と文脈が問題になりました。画像の発信元、発言の前後、数字の集計方法を確かめることが、投稿を判断する出発点です。
沖縄県選挙管理委員会の特設ページによると、2026年の知事選は8月27日告示、9月13日が選挙期日です。この記事は9月11日時点で確認できた公開資料を基に、投票日前に話題となった事例と、投稿を確かめる方法を整理します。沖縄県選挙管理委員会の特設ページ
古謝氏のポスター風画像は、陣営が制作・発信への関与を否定
新人候補の古謝玄太氏を写したポスター風画像について、琉球新報は、選挙母体が作成・発信への関与を否定し、投稿者が個人の応援として作ったと説明して謝罪したと報じています。琉球新報の検証記事
候補者の顔が載っている画像でも、制作した人と候補者の公式発信は区別する必要があります。今回報じられたのは、投稿者が個人で作った応援画像だという説明です。候補者本人の公約や発言として使うには、本人や陣営の発信による裏付けが要ります。日本ファクトチェックセンターの検証も、同じ画像を陣営の制作物ではないと判定しています。陣営への取材と画像の検証を根拠にした判定です。個別記事の判定は、判定を出した媒体の取材・根拠と一緒に読みます。
玉城氏の過去映像は、どの場面の発言か
現職の玉城デニー氏については、辺野古への移設を決めた人物だとする投稿が拡散したと読売新聞が報じました。配信本文では、添付された場面が2010年に県外移設をめぐって発言したニュース映像から切り取られたものだと説明されています。読売新聞オンラインの配信本文(確認時点でリンク先を取得できませんでした)
【10月6日補足】RBCの検証報道も、当時の放送内容を確認し、基地問題を全国に提起したことへの評価を述べた発言が切り取られたと説明しています。今回取得したRBC本文では、撮影年の2010年までは独立に再確認できていません。
映像そのものが実在していても、撮影時期・質問・発言の前後が消えると意味が変わります。切り抜きの真偽を判断するときは、元映像の長さ、公開日、話している主体、当時の役職を確認します。「本物の映像だから内容もその説明どおり」とは限りません。
強い批判と、確認できた事実を分ける
基地政策や県政への批判を述べること自体は、選挙の議論に含まれます。琉球新報は9月3日の検証で、「基地反対の理由を中国の意向に結び付ける主張」を偽情報と判定しました。一つの投稿の判定から、その人物のすべての発言や支持者全体を誤りと結論づけることはできません。琉球新報のファクトチェック
「自由な個人発信」でも、事実に関する主張には根拠の説明が必要です。批判する側も反論する側も、どの一文を、どの資料で確認したのかを示す必要があります。事実、報道された主張、発信者の反論、書き手の評価は、誰の説明かが分かるように書き分けます。
SNSの投稿数は、何を数えた数字か
RBCの9月10日報道は、沖縄県知事選をめぐるSNS投稿がリポストを含め約131万6000件に達し、宮城県知事選の約3倍とする集計を紹介しています。記事では県外からの投稿が多い傾向も示されていますが、投稿総数は偽情報だけの件数ではありません。リポストを含む数字は、再投稿も数えた投稿件数です。閲覧回数や、異なる内容の件数とは区別する必要があります。県外推計も、投稿者の身元や一人ひとりの居住地を証明する数字とは限りません。RBCの報道
【集計の読み方】同じ「知事選をめぐるX投稿数」でも、集計した主体・ツール・集計時点が違えば総数は変わります。神戸新聞は、分析ツール「ソーシャルインサイト」による9月10日時点の集計として、「沖縄県知事選」に関する投稿を約150万7000件とし、うち約9割が県外発信だったと報じています。RBCの約131万6000件は、9月9日までの投稿として報じられています。対象語、期間、取得時点、数え方が違えば総数は変わります。数字の差だけでどちらかを誤りと判断せず、条件を照合する必要があります。投稿数を引用するときは、出典・対象期間・集計時点をセットで示す必要があります。神戸新聞NEXTの報道
同じタイムラインを何度も見ていると、それが選挙全体の争点に感じられます。琉球新報の動画分析も、8月27日から9月2日に公開された関連動画の再生上位30本を対象にしたものです。上位動画の傾向は示せても、すべての投稿や有権者の支持率、投票行動の原因を示す調査ではありません。琉球新報の上位動画分析
共有前に確かめるのは、発信元・日時・集計方法
共有する人は、まず画像・動画・数字の発信元を確認してください。候補者の公式サイト、陣営の公式アカウント、報道機関の原記事をたどります。
次に、情報の日時と前後関係を確認してください。古い映像の再利用や、投稿本文と画像の対象が違うケースがあります。
数字を共有するときは、単位と集計方法も確認してください。投稿数、表示回数、リポスト数、動画再生数は別の指標です。確認できない部分は、断定や共有を急がない方が安全です。
共有した人は、誤りに気づいたら、何が違っていたかと根拠を同じ場所に示してください。削除に加え、訂正を届けることが必要です。支持する候補に都合のよい情報ほど、自分の基準を一段厳しくする。選挙の判断材料を、怒りや再生数だけで作り替えないための最低限の手順です。
よくある質問
偽ポスター風の画像を見たら?
候補者や陣営の公式サイト・公式SNSで同じ画像を確認し、見つからなければ報道の検証記事を探します。画像だけを保存して再投稿するのは控えます。
切り抜き動画は本物なら信じてよい?
本物の映像でも、前後の発言が欠けていると意味が変わります。元映像、撮影時期、当時の役職と質問を確認します。
投稿数が多い候補が有利なの?
投稿数は注目の大きさの一指標にすぎません。偽情報の件数、支持率、投票結果、投稿による効果をその数字だけで決めることはできません。
検証の背景と確認過程は、note版「支持する候補のためなら、偽情報を許せるのか――沖縄知事選」にもまとめています。
関連記事
- 沖縄知事選のSNS動画、県外発信が多い理由と確認方法:再生数と発信地の数字を分けて読む。
- 【徹底検証】沖縄知事選動画 北谷町の投票率を県全体に見せた問題:一部の数字を全体に広げる誤りの検証。
- 政治SNSの拡散を検証する5つの指標:断定の前に確かめる指標。
- 全国知事会のSNS選挙対策とは?:偽情報・AI動画への制度的対応。
- 沖縄県知事選を「デマの情報戦」で終わらせるな――やったもん勝ちを止める規制が必要だ
- 古謝氏勝利、玉城氏敗北――沖縄知事選で問う「兵庫メソッド」の定着
- 沖縄県知事選のデマを許すな――兵庫の経験を「成功体験」にするな
- note|古謝氏が勝ち、デニー氏が敗れた。それでも、うそまで勝ったことにはできない
- 動画|増山誠が沖縄県知事選で配信活動!増山の沖縄の旅費、どこから出ているの?
関連動画で詳しく見る:沖縄県知事選のAI画像・偽情報と再生数をめぐる問題


