自民党福岡県連は、福岡県議会の金銭授受疑惑を受けて辞任する松本国寛会長(県議)の後任を決める会長選を、9月17日告示・27日投開票の日程で行います。9月14日に党本部で開かれた県選出国会議員らとの協議で、次の会長は国会議員の中から選び、候補を1人に絞り込む方針が確認されたと報じられています。
麻生太郎氏・武田良太氏と県連の関係や、蔵内勇夫・前県議会議長(公式表記は「藏内勇夫」)との歴史は、すでに別の記事で整理しました。本記事では、会長選そのものの仕組みと、同じ日に示された「来春の県議選の公認をどう出すか」という方針に絞って、告示前の段階で押さえておきたい点をまとめます。
【9月17日更新】会長選が告示、古賀篤衆院議員が有力
会長選は9月17日に告示されました。TNCテレビ西日本によると、新しい会長には衆院福岡3区の古賀篤議員の選出が有力となっています。関係者によると、古賀議員は国会議員13人に加え、1期目の県議6人などの推薦を得ているということです。立候補の届け出は18日までで、新会長は27日に決まります。
読売新聞によると、県連所属の国会議員らは9月15日までに古賀氏を推す方針を固めました。県議出身者や会長経験者から選ぶべきではないといった意見があり、古賀氏の名前が浮上したとされます。古賀氏は14日、報道陣に「一枚岩で県連を立て直していく必要がある」と述べています。県連では、蔵内氏が会長に就任した2015年以降、県議が会長を務めてきました。
TNCによると、古賀氏は当選6回で、旧宏池会(岸田派)に所属していたことから、麻生氏寄りとも武田氏寄りともはっきりとは言えない立場とされています。また、松本会長は推薦人について、県議がなる場合は当選1、2回の若手など、金銭授受の疑惑がない議員に優先的になってもらうのがよいとの考えを示していました。
推薦人の顔ぶれで「刷新」を示そうとする狙いは理解できます。ただ、県民が知りたいのは、新体制で県連独自の実態調査をいつ、どのように行い、結果を公表するのかという点です。古賀氏が会長に就いた場合は、その方針を早い段階で示してほしいと考えます。
県連会長選の日程と仕組み
報道をもとに、会長選の概要を整理します。
- 告示:9月17日
- 立候補届け出の締め切り:9月18日(KBC九州朝日放送の報道)
- 投開票:9月27日
- 立候補の要件:県連役員63人のうち20人の推薦(読売新聞)
- 投票:複数の候補が出た場合、役員や支部の総務ら計122人の投票で決める(読売新聞)
読売新聞によると、議員を辞職した蔵内前議長と中尾正幸・前副議長は、県連役員の任を解かれています。
選挙管理委員会の委員長には宮内秀樹衆院議員(福岡4区)が就き、9月12日の委員会では「県議を会長に選ぶべきでない」との意見が出たと報じられています。KBCによると、「県連会長経験者ではない方がいい」という声も上がっていたということです。
「国会議員から1人に絞る」とはどういうことか
9月14日の協議では、次の会長を国会議員から選ぶこと、そして複数候補による選挙戦には持ち込まず、国会議員の総意で候補を1人に絞り込むことで一致したとされます。KBCによると、協議に出席した麻生太郎氏も、1人に絞り込むことについて「大切なことだ」と賛同したということです。
県議主導の県連からの転換
KBCは、松本会長の辞任表明を「『蔵内体制』終焉へ」と伝えています。朝日新聞によると、松本氏は鈴木俊一幹事長に対し、県議が主要ポストを占める現体制を刷新する改革案を提出しました。松本氏自身も、金銭授受疑惑で名前を挙げられた一人として「調査を県議である私が行うことはご理解を得づらい」と述べ、辞任の理由を説明しています(松本氏は疑惑を否定しています)。
これまで県連会長の座は、長く県議が担ってきました。会長を国会議員に移すことは、県議会の問題を県議の手から切り離して調べる体制をつくる、という意味を持ちます。
一本化の裏にある「主導権」
一方で、県内の自民党国会議員の間では、県連の主導権をめぐる駆け引きも報じられています。西日本新聞は9月8日、県連会長ポストをめぐり麻生氏と武田氏の主導権争いが激化していると伝えました。
候補を1人に絞るという方針は「挙党態勢」をつくるためと説明されていますが、裏を返せば、誰に絞るかを決める過程が県民からは見えにくくなります。無投票で決まる場合でも、なぜその人物なのか、疑惑の調査をどう進めるのかを、新会長が自分の言葉で説明することが欠かせません。
来春の県議選、公認はどうなるのか
会長選と同じくらい重要なのが、2027年春の県議選の公認の扱いです。
8月の「公認証を出せる状況ではない」から一歩前進
朝日新聞によると、鈴木幹事長は8月28日の会談で、松本氏らに「今のような事態では、県会議員に公認証を出せる状況ではない」と伝えていました。
これに対し9月14日の会談では、次の方針で一致したと報じられています。
- 当選1、2回の議員や、議長・副議長の経験がない議員は、県連の調査も踏まえ、例年どおり11月ごろに1次公認を出す
- 議長・副議長の経験者は、県連の調査や、県議会の第三者委員会の調査の時期も踏まえて判断する
KBCによると、松本氏は新体制で速やかに実態調査を行う方針を示し、鈴木幹事長から「来年の統一地方選挙の準備に進むように」と了承を得たということです。
「役職経験の有無」で線を引く意味
今回の方針は、金銭授受疑惑が「正副議長ポストをめぐるもの」であることを踏まえ、役職経験の有無で公認の時期を分ける考え方です。疑惑と関係のない若手議員まで一律に公認を止めれば、県議選の準備そのものが立ち行かなくなるという事情もうかがえます。
ただし、役職経験がないことは、疑惑と無関係であることの証明にはなりません。8月17日の臨時会で、蔵内前議長への辞職勧告決議案の採決を中止する動議が可決された際、TNCテレビ西日本は、自民党で賛成しなかったのは江藤秀之県議だけだったと報じています。公認の判断にあたって、県連がこうした議会での行動をどう評価するのかは、まだ示されていません。
会長選で注目したい3つのポイント
告示を前に、次の3点に注目しています。
- 誰が会長になり、どう選ばれたのか。一本化の過程で、麻生氏・武田氏をはじめとする国会議員の間でどんな調整があったのかが、どこまで説明されるか
- 県連の「実態調査」は、いつ、誰が、どんな方法で行うのか。県議会の第三者委員会とは別の調査として、結果を公表するのか
- 議長・副議長経験者の公認を、どんな基準で判断するのか。基準が公表されないまま個別に決まれば、「身内に甘い」という批判は避けられない
県連の改革は、自民党の内部の問題であると同時に、福岡県議会の最大会派の立て直しでもあります。県民にとっては、来春の県議選で誰が「自民党公認」として立つのかに直結する話です。
まとめ
- 自民党福岡県連の会長選は9月17日告示・27日投開票。立候補には役員63人中20人の推薦が必要で、複数候補なら122人で投票する
- 次の会長は国会議員から選び、候補を1人に絞り込む方針
- 当選1、2回や正副議長経験のない県議は、11月ごろに1次公認を出す方針。正副議長経験者は調査の状況を踏まえて判断する
- 9月17日に告示され、衆院福岡3区の古賀篤議員の選出が有力と報じられている
- 一本化の過程と、県連による実態調査の中身・公表方法が今後の焦点
新しい会長が決まったら、この記事を更新します。
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主な確認資料
- KBC九州朝日放送「自民党福岡県連 次の県連会長は『国会議員』から」(2026年9月14日)
- 朝日新聞「福岡県議選、若手は順次公認へ 金銭疑惑受け自民県連と党本部が方針」(2026年9月14日)
- 毎日新聞「自民福岡県連、鈴木幹事長と会談 次期会長は国会議員から選出」(2026年9月14日)
- TNCテレビ西日本「自民党福岡県連の会長選始まる 古賀篤衆院議員の選出が有力視」(2026年9月17日)
- 読売新聞「自民党福岡県連の会長選挙、古賀篤・衆院議員を推す方針」(2026年9月16日)
- TNCテレビ西日本「自民党福岡県連 新会長は古賀篤衆院議員が有力か」(2026年9月15日)
- 読売新聞「会長辞任の自民党福岡県連、会長選を27日実施」(2026年9月14日)
- 読売新聞「会長辞任の自民福岡県連、新会長『今月中にも決める』方針」(2026年9月13日)
- 西日本新聞「自民福岡県連会長ポスト巡り麻生氏VS武田氏、主導権争い激化」(2026年9月8日)


