記事タイプ:時系列・兵庫県の抗議活動規制と請願不採択
兵庫県議会は、抗議活動への対応強化を求める二つの請願を不採択としました。採決日は、請願第63号が2026年3月25日、第68号が6月11日でした。
紹介議員は、躍動の会の岸口みのる県議です。岸口県議は2月26日の一般質問でも、県庁周辺や公的イベントでの抗議行動への対応強化を求めました。
第63号は迷惑防止条例の拡充、第68号は既存法令の運用と関係機関の連携を求めました。二つは議会への要望であり、禁止行為や罰則を定める条例案ではありません。
2026年9月3日までに筆者が確認した資料では、この議論を受けた新たな規制条例の成立は確認できません。
問われるのは、警察がどの行為を、どの法的根拠で制限するかです。安全を守りながら、知事や県政を批判する自由も守れる対応かを、議会資料と元動画から考えます。
※元動画は2026年2月27日公開、11分03秒です。
※動画タイトルは公開時の原題です。この記事は、動画内の評価表現とは分けて、公的資料で確認できる事実を更新しています。
抗議への対応強化を求めた二つの請願は不採択
一般質問から請願の採決まで、県議会で起きたことは次の通りです。
- 2026年2月26日、岸口みのる県議が一般質問で「抗議行動への対応の強化」を取り上げた
- 県警本部長は、表現の自由に配慮しつつ、法令に基づき個別の状況に応じて対処する趣旨を答弁した
- 2月16日、岸口県議を紹介議員とする請願第63号が受理され、3月25日に不採択となった
- 請願第63号は、県庁周辺の騒音状況や県・神戸市への問い合わせを請願者の説明として挙げ、迷惑防止条例の拡充を求めた
- 6月2日、岸口県議を紹介議員とする請願第68号が受理された
- 請願第68号は、既存法令の運用、警備や動線の事前調整、現行制度で対応が難しい場合の制度的対応を求めた
- 6月11日、請願第68号は兵庫県議会で不採択となった
一般質問では、議員が行政や警察の見解をただします。請願では、県民などが議員の紹介を得て、議会に要望の審査を求めます。
規制を新設するには、行政側の検討、条例案の作成、議会での審議などが別途必要です。今回の不採択は、二つの要望を議会の意思として採用しなかったという結果です。
この問題を動画で確認する

動画時間:11分02秒
岸口県議の一般質問と県警本部長の答弁を画面で確認し、抗議活動への対応強化と表現の自由の境界を整理しています。請願が不採択となった後の結論は記事本文で補っています。
岸口県議は警察に抗議行動への対応強化を求めた
兵庫県議会の公式資料によると、岸口みのる県議は2026年2月26日の一般質問で、6番目の項目として「抗議行動への対応の強化について」を取り上げました。
元動画で紹介した質問では、県庁周辺で繰り返される抗議活動に加え、公的イベントなどで大きな声や拡声器を使った抗議が行われる状況が問題として示されました。岸口県議は、来場者や関係者の安全、事故や犯罪の防止という観点から、警察に対応強化を求める趣旨の質問をしています。
警察の対応では、政治的な主張への反感と、具体的な危険行為を区別する必要があります。
- 特定の政治的主張が不快だから排除すること
- 音量、通行妨害、危険行為など、具体的な行為に対応すること
政治的な主張を理由に排除すれば、表現の自由を制限します。通行妨害や危険行為に対応する場合は、安全や他者の権利を守るための法的根拠が必要です。
行政や警察は、知事を支持する活動にも批判する活動にも、同じ基準を適用するべきです。警告や制止を行うなら、問題となった行為と、該当する法令の要件を具体的に説明しなければなりません。
県警は表現の自由に配慮し、状況に応じて対処すると答弁
元動画で紹介した県警本部長の答弁は、表現の自由に配慮し、法令に基づいて個別の状況に対処するという内容でした。
県警は、主催者や施設管理者と連携し、拡声器などによるイベントの不当な妨害を控えるよう呼びかけると説明しました。すべての抗議を一律に制限すると約束した答弁ではありません。
県警本部長が表現の自由への配慮と法令に基づく対応を説明した場面は、動画の該当チャプターから確認できます。3分16秒から見る
この答弁を踏まえ、筆者が警察対応に求める原則は次の通りです。
- 警察は、政治的な主張の内容で扱いを変えず、具体的な行為に対応する
- 警察は、現場の危険性や妨害の程度を示す
- 警察は、警告や制止の根拠となる法令を示す
- 表現の自由への影響を必要最小限に抑える
- 抗議活動への対応は、それぞれの行為や現場の状況に応じて判断する
抗議の自由を原則とし、現実の危険や権利侵害には、法的根拠と必要性を示して対応する。この姿勢が、安全と表現の自由を両立させる出発点です。
3月22日の神戸デモを動画で確認
2026年3月22日、神戸・湊川公園を出発点に、斎藤元彦知事に辞職を求める「ひょうごデモ行進」が行われたと報じられています。神戸新聞NEXTの報道でも開催地などを確認できます。政経プラスチャンネルの動画は、この抗議デモを題材に、市民による意思表示のプロセスと安全な運営の論点を整理しています。

動画時間:15分35秒
【知事抗議デモ】3月22日神戸開催のファクト、公益通報者保護法違反をめぐる市民の意思表示(YouTubeで見る)
※動画タイトルにある「公益通報者保護法違反」は、動画側の論点提示・評価です。本記事では、法違反の判断と市民の抗議行動を同一視せず、法令・議会資料・報道を分けて確認します。
関連動画|関西学院大学講演と抗議活動の規制

動画公開日:2025年11月21日/動画時間:12分08秒
動画タイトル・概要では、関西学院大学での斎藤知事の講演をめぐる抗議の声と、条例違反を理由とする要望、元維新市議のSNS発信を扱っています。
※「過剰なデモ警戒」「犬笛」などの評価、当事者の発言や条例違反の要望の詳細は、動画側の公開情報・論点です。この記事本文の確認済み事実として追加するものではありません。大学・市・警察などの公式資料との照合が必要です。
請願第63号は迷惑防止条例の拡充を求めた
請願第63号の正式名称は「兵庫県迷惑防止条例の拡充を求める件」です。2026年2月16日に受理され、3月2日に配付されました。紹介議員は岸口みのる県議で、警察常任委員会に付託されています。
請願者は、県庁前の歩道橋などで過度な騒音や威嚇、付きまといが起きていると訴えました。県と神戸市に問い合わせても、規制条件がなく対応できないとの回答だったと説明し、迷惑防止条例の拡充を求めています。
これらは請願者の主張です。公表された要旨には騒音計の測定値や測定方法は載っておらず、筆者も現場の音量や相談回答を独立に確認していません。
県警は、1992年兵庫県条例第41号「拡声機による暴騒音の規制に関する条例」の施行規則を公表しています。既存の規制はありますが、今回訴えられた行為に適用できるかは、条例の要件と現場の状況によります。
請願第63号は3月25日の本会議で不採択となりました。会派別の態度は、躍動の会のみが賛成し、自由民主党、維新の会、公明党、ひょうご県民連合、日本共産党、無所属が反対でした。会派態度一覧からは、各会派の反対理由までは確認できません。
請願第68号は既存法令の運用と警備の連携を求めた
請願第68号の正式名称は「イベントにおける安全で平穏な観覧環境の確保と表現の自由の両立に関する件」です。2026年6月2日に受理され、6月8日に配付されました。紹介議員は岸口みのる県議で、警察常任委員会に付託されています。
第68号は、政治的な意見を表明し、抗議する自由を、憲法上尊重すべき重要な権利と位置づけています。
その上で、一般来場者、出演者、通行人、警備従事者が安全かつ平穏にイベントを見聞きし、移動できる環境も確保する必要があると主張しました。
請願が例示したのは、次のような行為です。
- 過度な音量
- 通行妨害
- 威迫的な接近
- 危険行為
- 緊急車両や避難動線の阻害
そして、表現の自由と集会の自由に十分配慮しながら、必要最小限の調整を求めています。
請願が求めた具体策は、大きく四つです。
- 県と県警による来場者などの安全確保
- 既存法令・条例の適切な運用
- 県、県警、市町、主催者による事前協議や警備・動線の検証
- 現行制度で対応できない場合の、内容中立的で必要最小限の制度対応の検討
請願本文には、特定の政治的意見、思想、信条、表現内容を理由に抗議活動を制限するものではないとも記されています。
第63号は条例の拡充を求めました。第68号は、既存法令を適切に運用し、必要な場合に新たな制度を検討するという構成です。この違いが生じた理由は、公表資料では分かりません。
「内容中立」とは、政治的な主張によって扱いを変えないことです。その実現には、対象行為の明確な定義、警察の判断基準、運用記録、判断に異議を申し立てる手段が必要です。
請願の採択と、条例の制定は別の手続
二つの請願は、県や県警に対応を求める要望です。第63号は条例の拡充を求めていますが、条文や罰則を定めた条例案を提出したものではありません。
請願が採択された場合も、禁止行為や罰則を新設するには、条例案の提出と議会の審議などが必要です。
第68号が先に求めたのは、既存法令の運用と、県・県警・市町・主催者の連携です。現行制度では対応が難しい課題が確認された場合に、制度的な対応を検討するよう要望しています。
今回の経緯は、次のように整理できます。
- 岸口県議が抗議活動への対応強化を質問した
- 請願第63号で兵庫県迷惑防止条例の拡充を求める請願の紹介議員となった
- その後、請願第68号で安全と表現の自由の両立を求める請願の紹介議員となった
- いずれの請願も新条例そのものではなかった
- 二つの請願はいずれも県議会で不採択となった
二つの採決で賛成したのは躍動の会だけ
兵庫県議会の公式資料では、請願第63号は2026年3月25日、請願第68号は6月11日に不採択となっています。
会派別の態度は、いずれの採決でも、自由民主党、維新の会、公明党、ひょうご県民連合、日本共産党、無所属が反対し、岸口県議が所属する躍動の会だけが賛成でした。
会派態度一覧に載っているのは賛否と採決結果です。各会派の反対理由は記載されておらず、表現の自由への懸念や安全対策への考えを、この表だけから推測することはできません。
議会は、二つの請願をそのまま県の意思として採用しませんでした。既存法令に基づく安全対策や警察活動は、引き続き各法令の要件に沿って行われます。
兵庫県には拡声機の暴騒音を規制する条例がある
兵庫県には、もともと「拡声機による暴騒音の規制に関する条例」があります。県警はその施行規則も公表しています。
論点は、既存条例がどの行為を対象にし、今回の抗議活動に適用できるかです。ほかの法令で対応すべき行為かも、個別に判断する必要があります。
条例を適用する際は、測定方法、音量、継続時間、場所、適用除外、警告や命令の要件を、条例と施行規則に沿って判断します。大きな音がしたという印象だけで決められる問題ではありません。
第63号の要旨にある、暴騒音を明確に規制する条例がないという説明は、請願者の主張です。新たな規制が必要かを考えるには、既存条例の要件と、具体的な行為を照らす必要があります。
第68号も、「既存法令及び条例の適切な運用」を対応の柱に掲げています。
抗議の自由を守り、具体的な危険には対応する
日本国憲法21条は、集会、結社、言論、出版その他一切の表現の自由を保障しています。政治や行政に対する抗議は、その中核にある表現行為です。
とりわけ、行政庁舎の前や公職者が参加する場で政策への異議を示す行為には、権力を監視し、少数意見を可視化する役割があります。声が大きい、批判が厳しい、行政側に不快だという理由だけで排除すれば、表現の自由は簡単に形骸化します。
イベント参加者の身体の安全や緊急車両の動線も守る必要があります。暴力、脅迫、通行の実力的な妨害などは、表現の自由を理由に無条件で認められる行為ではありません。
規制を行う行政や警察には、次の点の説明が求められます。
- 守ろうとしている利益は具体的か
- 現実の危険や妨害が確認されているか
- 法律・条例上の根拠が明確か
- より制限の小さい方法では対応できないか
- 政治的立場にかかわらず同じ基準を適用するか
- 現場の判断を後から検証できる記録が残るか
安全対策は、実際の危険や妨害に見合う範囲で行うべきです。行政に都合の悪い抗議だけを狙う運用や、必要以上に広い規制では、表現の自由を守れません。
警察が示すべきなのは、どの行為が、誰の権利や安全に、どの程度の害を与えたかです。主張を不快に感じたという理由で制限してはなりません。
警告や排除には、行為と法的根拠の説明が要る
何を危険な行為と判断したのか
「迷惑」「威圧的」「平穏を害する」といった抽象語だけでは、現場の裁量が広がります。音量、距離、通行への影響、危険の具体性など、客観的な基準が必要です。
支持側と批判側に同じ基準を適用したか
知事を支持する活動にも批判する活動にも、同じ行為には同じ警告や制止の基準を適用するべきです。警察は、政治的な立場で扱いを変えていないか説明する必要があります。
中止や排除の前に、場所や動線を調整できるか
注意、場所の調整、動線の分離など、表現を維持できる方法があるのに、直ちに中止や排除を命じていないか。規制の強さが危険の程度に見合っているかが問われます。
誰が、どの権限で制止を求めたのか
主催者や施設管理者の判断と、警察が権限を使う判断では、根拠が異なります。対応の記録には、判断した主体、根拠、求めた行動をそれぞれ示すべきです。
判断の理由を後から検証できるか
警告や制止の記録に、根拠法令、対象行為、判断理由があれば、情報公開や不服申立てで対応を検証できます。記録を残すことも、公平な運用を支える条件です。
よくある質問
兵庫県で抗議活動を規制する新条例は成立したのか
2026年9月3日時点で、今回の議論を受けた新しい抗議活動規制条例が成立した事実は確認できません。6月に提出されたのは条例案ではなく請願であり、県議会で不採択となりました。
岸口みのる県議は何を質問したのか
2026年2月26日の一般質問で「抗議行動への対応の強化について」を取り上げました。元動画では、県庁周辺やイベントでの抗議をめぐり、安全確保や警察対応の強化を求めた質問を紹介しています。
請願第63号は何を求めたのか
兵庫県迷惑防止条例の拡充を求めました。請願者は、県庁周辺の騒音や県・神戸市への問い合わせについて説明しています。公表要旨に測定値はなく、筆者も現場の音量や相談回答を独立に確認していません。
請願第68号は抗議活動の禁止を求めたのか
請願本文は、抗議活動の自由を憲法上重要な権利と位置づけ、特定の政治的意見や表現内容を理由とする制限を求めるものではないと明記しています。求めたのは、既存法令の適切な運用、関係機関の連携、必要な場合の内容中立的で必要最小限の制度対応です。
二つの請願が不採択になったことで何が確認できるのか
県議会は、二つの請願を議会の意思として採用しませんでした。既存法令に基づく安全対策や警察活動は、各法令の要件に沿って判断されます。
抗議活動なら拡声器を自由に使えるのか
表現行為であっても、具体的な使用状況によって既存法令や条例の対象となる可能性があります。ただし、適用には法的根拠と要件が必要で、政治的な主張内容だけを理由に規制することはできません。
県と警察は、抗議の自由を守る基準を示せるか
2026年2月16日に請願第63号が受理され、岸口みのる県議は2月26日の一般質問で「抗議行動への対応の強化」を取り上げました。第63号は3月25日に不採択となり、その後、別の内容をもつ請願第68号が6月2日に受理されました。
第63号が求めたのは迷惑防止条例の拡充、第68号が求めたのは既存法令の運用と関係機関の連携でした。第63号の騒音状況や相談回答は請願者の主張です。第68号は、表現・集会の自由への配慮と、政治的な内容による規制を求めないことも明記しています。
二つの請願は不採択となりました。今後の対応では、行政と警察が、対象行為と法的根拠を具体的に示せるかが問われます。
支持側と批判側に同じ基準を適用し、必要な安全対策の理由と記録を残す。その運用ができているかを、市民が検証できることが大切です。
政治的な対立が激しいときほど、抗議の主張への好き嫌いで警察の対応を決めさせてはなりません。
映像と音声での解説はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=n4yFXCeHfeg
法的論点をさらに深く読むならnoteで
https://note.com/poliplus
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出典・確認資料
- 対象YouTube動画「【陰湿】岸口みのる兵庫県議・抗議の声に露骨に圧力!」(2026年2月27日公開)
- 兵庫県議会「一般質問(2月26日)」
- 兵庫県議会「請願 第63号」
- 兵庫県議会「令和7年度第374回定例会 請願」
- 兵庫県議会「会派態度一覧(2026年3月25日議決分・PDF)」
- 兵庫県議会「請願 第68号」
- 兵庫県議会「令和8年第375回定例会 請願」
- 兵庫県議会「議案等に対する会派態度」
- 兵庫県議会「会派態度一覧(2026年6月11日議決分・PDF)」
- 兵庫県警察「拡声機による暴騒音の規制に関する条例施行規則」
- e-Gov法令検索「日本国憲法」
内部リンク
- 兵庫県政の施策と県庁運営|検証アーカイブ
- 兵庫県告発文書問題とは|全経緯を時系列で整理
- 元県民局長の死去から2年|2026年7月7日の全国抗議と「三回忌」を整理
- 百条委員会とは|地方自治法100条の調査権をわかりやすく解説
- 選挙運動のSNS規制は何が変わる?2027年3月1日施行の改正法を解説
- 増山誠県議に厳重注意を申し入れ|無記名投票の発信と政倫審見送りを検証
この問題を続けて見る
兵庫県告発文書問題|公益通報・第三者委員会を動画で整理
公益通報、県議会での検証、私的情報漏えい、県政への抗議をめぐる動きを動画で順に確認できます。
次の動画まで確認して役立つと感じた方は、チャンネル登録で今後の解説も受け取れます。
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