兵庫県は2026年7月、国に対し、公債費負担適正化計画の策定や今後の地方債発行を審査する際、阪神・淡路大震災による特別な財政負担を考慮するよう求めました。斎藤元彦知事も会見で、県債管理基金を約5,000億円活用した事情への配慮を訴えています。
これは「借金を国に帳消しにしてもらう」という要望ではありません。何を考慮してほしいのか、県の数字から整理します。
兵庫県が示した震災関連の数字
県の国への提案資料によると、阪神・淡路大震災の復旧・復興に伴う震災関連県債の発行額は1.3兆円です。県債管理基金の活用累計は4,921億円で、多額の積立不足が生じ、現在も積み戻せていないと説明しています。
2024年度末時点の震災関連県債残高は1,478億円、同年度の公債費は357億円とされています。約30年前の震災が、現在の財政指標にも影響しているというのが県の主張です。
県債管理基金の積立不足とは
県債管理基金は、将来の地方債返済に備えるための基金です。兵庫県は震災対応で基金を活用した結果、基金の積立不足率に応じた金額が実質公債費比率へ加算され、比率を押し上げていると説明しています。
実質公債費比率は、自治体の標準的な収入に対して借金返済の負担がどれほどあるかを見る指標です。一定水準を超えると、地方債発行に国の許可が必要となり、さらに上昇すれば財政運営の自由度が狭まります。
斎藤知事は国に何を求めているのか
7月の提案書は、震災で他府県にない財政負担が生じた特殊事情を考慮し、財政健全化と、防災・庁舎整備・高校の環境改善など必要な投資を両立できるよう配慮を求めています。
斎藤知事は7月22日の会見で、約5,000億円の基金取り崩しを積立不足の算定で考慮してほしいという思いがあると説明しました。同時に、制度改正のハードルは高く、現行制度の中で適正化計画と歳入・歳出改革を進めることが先だとも述べています。
要望が通れば何が変わるのか
国がどのような配慮を行うかは決まっていません。考えられる論点は、県債管理基金の積立不足を財政指標へ反映する方法、起債許可の判断、震災復興負担への財政支援です。
配慮が認められても、県の債務や毎年の返済が自動的に消えるわけではありません。また、震災後に行った投資や近年の政策判断まで、すべて震災の影響として説明することもできません。
政経プラスの評価
阪神・淡路大震災の復旧を自治体が重く負担した歴史は、現在の制度を考えるうえで無視できません。国へ特別事情を説明し、必要な配慮を求めることには合理性があります。
一方で、斎藤県政は震災由来の負担、過去の県政による投資、2021年以降の新規事業を分けて示すべきです。国への要望だけでなく、県自身の投資抑制、事業見直し、将来負担の減少効果も同じ表で示すことが説明責任です。
出典・確認先
関連:兵庫県の県債338億円問題とは|不適切な借り換えと財政への影響
記事種別:県政・財政解説/確認日:2026年8月1日。県の要望、確定している数値、国の未決定事項を分けています。AIは資料整理と構成補助に使用しました。


