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公務外で復路約10万円増|福岡県議の航空運賃はなぜ全額公費だったのか

地方自治・議会

福岡県議会のハノイ訪問後、1人の県議が派遣団と別行動し、台湾に滞在しました。

その結果、復路の航空運賃は派遣団と一緒に帰国する場合より約10万円高くなり、増加分を含む実費が公費から支給されました。

県議会は、公式日程を外れた場合の支給上限のルールがなかったため、増加分を含む航空運賃の実費を支給したと説明しています。

県議会は、台湾で福岡県との連携に関係する要人と面会したと説明しています。正式な議会公務には当たらず、議員としての活動だったという説明です。

福岡県監査委員は、明らかに違法または不当とまではいえないと判断しました。

この支出で問われるのは、公務の日程から外れた県議の活動に、誰がどの基準で公費を支給するかです。

同じ行程を一般の県職員が取った場合、台湾から福岡までの航空運賃は支給できないと人事課は説明しています。県議にはこの場合の支給額を定めるルールがなく、議長の判断で実費が支給されました。

福岡県議会の海外視察費23件、総額2億6,496万2,000円の全体像はこちらで整理しています。

→ 福岡県議会の海外視察費は3年で2億6500万円|23件を検証

住民監査請求の結果と、監査が指摘した契約問題はこちらです。

→ 「違法ではない」で終わるのか|福岡県議会・海外視察の住民監査

▼動画で見たい方はこちら

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2025年3月のハノイ訪問後、台湾で別行動して復路が約10万円増額

対象となったのは、2025年3月2日から4日まで行われた「福岡県議会・ハノイ市人民評議会友好提携10周年記念訪問団」です。

福岡県議会とハノイ市人民評議会は、2014年に友好交流促進の取決めを締結しました。今回の訪問では10周年を記念し、ワンヘルスの推進を加えた新たな取決めを結んでいます。

公式訪問団は県議5人、随行職員4人。ハノイ市人民評議会や人民委員会を訪問し、記念レセプションやハノイ福岡県人会との意見交換会にも参加しました。

公表された総経費は530万4,000円です。

項目金額
議員旅費269万4,000円
職員旅費108万3,000円
委託費152万7,000円
総経費530万4,000円

当初の日程では、3月4日にハノイを出発し、台湾の空港で乗り継いで福岡へ戻る予定でした。

県議1人は台湾到着後に派遣団から離れ、別の日に帰国しました。この変更によって、その県議の復路航空運賃が約10万円高くなりました。

監査結果では、別行動した県議の氏名は非公表です。公式訪問団の名簿だけで、この県議を特定することはできません。

台湾での面会は、正式な議会公務に当たらない議員活動

福岡県議会事務局は、台湾での行動が「議会公務ではない」ことを認めています。

事務局は、県議が台湾で福岡県との連携促進に関係する要人と面会したと説明しています。監査委員も、台湾訪問の理由と面談相手を確認しました。

事務局は、その面会を県議としての政治活動と位置付け、単なる私的観光とは異なると説明しました。

公表資料が示す活動の区分は、次のとおりです。

  • ハノイでの公式訪問は、県議会の公務
  • 台湾での要人面会は、議会公務ではない議員活動
  • 監査が確認した範囲では、単なる私的な観光ではない

公費を支給した理由は、正式な公務以外の議員活動として、県議会事務局が説明しています。県民が判断するためには、行程変更で増えた約10万円を支給できる基準も必要です。

同じ行程を県職員が取った場合、台湾―福岡間の航空賃は支給できない

人事課は、同じ行程であっても、一般職の県職員と県議では旅費の扱いが異なると説明しています。

一般職の職員が私用のため台湾で別行動した場合、3月5日(水)と6日(木)は出張日程に続く週休日などに当たりません。人事課は、この場合の台湾から福岡までの航空運賃は支給できないと説明しました。

県議には、一般職のような勤務時間の定めがありません。このため、職員に適用する上記の取扱いは県議には適用されません。

海外旅行で公務の日程を外れた場合、議員にいくらまで費用弁償できるのかという具体的なルールも策定されていませんでした。

人事課は、議員への支給の可否と金額は「海外旅行に係る公費の支出であることを踏まえ、議長の判断によられたい」と回答しています。

この行程の県議への支給は、議長の判断に委ねられていました。

私は、約10万円という額に加え、支給の可否と上限を定めるルールがなかった点を重く見ています。

県議会はなぜ増加分を含む実費を支給したのか

県議会事務局は、県議には勤務時間の概念がなく、議員の活動は議会活動と関係し、有益なものになり得るという特殊性を挙げています。

今回の台湾での面会も、議会公務ではないものの、福岡県と台湾の連携促進につながる議員活動だったと説明しました。

海外旅行で公式日程から外れた場合の支給上限を定めたルールは、当時ありませんでした。事務局は、原則どおり実際にかかった航空運賃を支給したと説明しています。

監査委員は、台湾訪問の理由や面談相手を確認し、この支出を明らかに違法または不当とまではいえないと判断しました。

この監査判断は尊重すべきです。今後の同様の事例に備え、県議会は支給の可否と上限を定める基準を作る必要があります。

公務外の面会に支給する条件と、本人が負担する差額を決めるべき

県議会事務局の説明を広く認めれば、公式日程外の行動でも、地域外交や政策に関係する面会であれば、公費負担の対象になり得ます。

議員活動には、行政職員のような勤務時間や職務命令の枠がありません。県内外の政党活動、政務活動、議員外交、私的な人脈による面会が重なる場面もあります。

議員の活動の特徴に合った、公費負担の明確な基準が必要です。

県議会は、次の点を出発前に決めて公表すべきです。

  • 公式日程から離れることを誰が承認するのか
  • 公務外の議員活動に公益性があると判断する基準
  • 行程変更で増えた航空運賃を公費と本人のどちらが負担するのか
  • 面談相手や活動成果をどこまで報告するのか
  • 公費負担の上限を通常の帰国便の金額にするのか

今回は、支出後の監査で台湾訪問の理由や面談相手が確認されました。県民が同様の事例を同じ基準で比較できるよう、県議会は公費を支給する条件を事前に示すべきです。

公費を使うなら、出発前に境界を決めるべきです。

政経プラスの評価:議長判断に委ねた支給基準を明文化せよ

約10万円は、海外視察費全体に占める割合は小さくても、支給基準を考えるうえで重要です。公務と議員活動の境界が曖昧なまま、公費負担を議長判断で決める仕組みが表れているからです。

台湾の要人との面会が福岡県に利益をもたらす可能性はあります。その場合は、面会目的、相手方、成果を示し、議会活動として正式に位置付ける方法もあったはずです。

正式な公務にしないのであれば、通常の帰国便との差額を本人負担とする考え方もあります。

どちらを選ぶにしても、事前のルールと公開された説明が必要です。

福岡県議会は、公務外の議員活動で海外出張の費用が増える場合について、承認手続、支給上限、本人負担の基準を明文化すべきです。

よくある質問

台湾で別行動した県議は誰ですか

監査結果は、別行動した県議の氏名を公表していません。公式訪問団の参加者は公表されていますが、その情報だけで個人を特定することはできません。

台湾滞在は私的な観光だったのですか

県議会は、福岡県と台湾の連携促進に関係する要人との面会が目的だったと説明しています。正式な議会公務には当たらない議員活動という位置付けです。

約10万円の増加分は違法と判断されたのですか

監査委員の判断は、明らかに違法または不当とまではいえないというものです。面会の理由と相手方を確認して判断しました。

当時、公式日程を外れた海外旅行について、議員への費用弁償額を定めるルールはありませんでした。

台湾での別行動への支給条件と上限を、次の出張前に公開すべき

  • 2025年3月のハノイ訪問後、県議1人が台湾で別行動した
  • 台湾での行動は正式な議会公務ではなかった
  • 要人との面会を目的とした議員活動で、単なる私的観光とは確認されていない
  • 行程変更によって復路航空運賃が約10万円高くなり、実費が公費から支給された
  • 監査は違法・不当とまでは判断しなかったが、議員向けの明確な支給ルールはなかった

約10万円の支出を認めた判断基準を、県民が読めるルールにする必要があります。

福岡県議会は、次の同様の事例が起きる前に基準を明文化し、公開すべきです。

あわせて読む|福岡県議会の旅費ルールと、公費負担の基準を考える(note)

参考資料

政経プラスチャンネル

福岡県議会や公金の使われ方を、一次資料と会見記録から検証しています。続きは政経プラスチャンネルでご覧ください。

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