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公債費負担適正化計画とは?借金返済が重くなった自治体の「立て直しプラン」を高校生にもわかるように解説

地方自治・議会

記事タイプ:制度解説・公債費負担適正化計画

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18%以上の自治体が、借金返済の負担を下げる計画

2026年8月28日更新
兵庫県は2025年度決算で実質公債費比率の3カ年平均が19.2%となり、2011年度以来14年ぶりに起債許可団体へ移行しました。県は8月27日、公債費負担適正化計画を策定し、斎藤元彦知事が総務省へ提出しています。

公債費負担適正化計画は、実質公債費比率が18%以上となった自治体が、地方債を発行する許可の条件として、返済負担を抑える方法と期間を示す計画です。兵庫県は8月27日に策定し、総務省へ提出しました。25%以上で義務となる財政健全化計画、35%以上の財政再生計画とは段階が異なります。

兵庫県「公債費負担適正化計画の概要」(2026年8月27日提出)

地方債を発行するため、返済負担をどう下げるか示す

自治体は、学校や道路などを整備するために地方債を発行します。返済負担が18%以上になると、総務大臣や都道府県知事の許可が必要です。その際に、今後の負担を抑える計画を示します。

自治体は、学校や道路、水道といったインフラを整備するために「地方債」という借金をします。借金そのものは悪ではありません。橋や学校は何十年も使うものなので、建設費を将来の世代にも分担してもらうという考え方(世代間の負担の公平)に基づいています。

公債費とは、地方債の元金と利息の返済に使う費用です。負担が大きくなると、福祉や教育などへ使える財源を圧迫します。自治体は、投資の規模、返済、財源の見通しを計画にまとめます。

計画期間は全国一律ではありません。兵庫県が策定した計画は2026~2035年度の10年間で、期間中は25%を下回るよう管理し、中長期的には18%未満を目指します。会津若松市が説明する原則7年の計画期間と、兵庫県の10年間は区別して読む必要があります。

返済負担の比率は、交付税で補われる分などを差し引く

実質公債費比率は、2005年度に導入された指標です。自治体が実質的に負担する元利償還金などを、標準財政規模に対して比べ、3年間の平均で示します。

計算では、返済に充てる特定の財源や、交付税で補われる公債費などを差し引きます。分母も、標準財政規模から交付税で補われる公債費などを控除します。したがって、歳入全体の何%を返済したかという単純な割合ではありません。鎌倉市|健全化判断比率と資金不足比率の用語解説

「実質」には、一般会計以外の会計への負担や、一部事務組合などの返済に充てる負担も含みます。見える地方債だけでなく、自治体が実際に負う返済関連の負担を捉える指標です。

18%は起債許可、25%は早期健全化、35%は財政再生

実質公債費比率には、段階に応じて3つのラインが設定されています。

18%以上になると、地方債の発行に総務大臣や都道府県知事の許可が必要な「許可団体」になります。平成18年度に地方債の発行が国の許可制から協議制(原則自由化)に移行した際、その代わりのチェック機能として設けられたのがこのラインで、許可の条件として公債費負担適正化計画の策定が求められます。

25%以上は早期健全化基準です。財政健全化法に基づき、自治体には財政健全化計画を策定する義務が生じます。

35%以上は財政再生基準です。自治体は財政再生計画を定め、国が関与する枠組みで財政を立て直すことになります。

公債費負担適正化計画は、25%や35%の法定基準に達する前に、返済負担を抑えるための計画です。

兵庫県は19.2%|黒字でも起債許可団体になる

兵庫県の2025年度決算では、実質収支は119億87百万円の黒字でした。後年度の普通交付税精算分56億52百万円を除いても63億35百万円の黒字です。それでも実質公債費比率の3カ年平均は19.2%となり、起債許可団体へ移行しました。

単年度の黒字と、返済負担の大きさは別々に見る必要があります。実質収支は、収入と支出の差から、翌年度へ繰り越す事業の財源を差し引いた額です。

一方、実質公債費比率は、過去の県債の返済や県債管理基金の積立不足などの影響を受けます。兵庫県は黒字を確保しても、この比率が18%を超えました。

8月27日に策定した計画は、2027年度から投資規模を現行より最低10%抑え、期間中の比率を25%未満に管理する方針です。計画の策定・提出と、事業の削減・延期の実施は別の段階です。

この記事の確認時点では、総務省との協議結果、個別事業の削減・延期範囲、18%未満へ戻す具体的な年度を確定情報として示していませんでした。

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会津若松市は、2005年度の計画策定後に目標を達成

福島県会津若松市は、平成17年度決算で実質公債費比率が18%以上となり、公債費負担適正化計画を策定した自治体です。同市は比率を下げる取り組みを続け、平成22年度決算で18%を下回る目標を達成しました。

会津若松市は、目標達成後も毎年度の負担を管理し、予算や決算の情報を公表しています。計画をつくった後、実際に返済負担を下げ、その後も維持できるかが重要です。

王滝村・泉佐野市・夕張市が示す、立て直しの違い

負担がさらに高まった自治体の実例も見てみましょう。以下の数値や見通しは、原稿作成時に参照した資料の時点の記録です。

長野県の王滝村は、平成20年度決算で実質公債費比率が32.1%と県内の市町村で最も高くなり、早期健全化基準(25%)を超えたため、平成22年3月に財政健全化計画を策定しました。返済関連の負担が財政規模に対して重い状態でした。それでも村は計画に沿った財政運営で期間内に目標を達成し、その後の比率は13〜15%程度で推移する見込みと公表しています。人口1,000人に満たない小さな村が計画的に立て直した事例です。

大阪府の泉佐野市は、平成20年度決算で財政健全化法に基づく財政健全化団体となり、平成22年2月に最長で平成39年度までを見据えた19年間の計画を策定しました。19年間で約198億円の人件費抑制などを盛り込む、かなり踏み込んだ内容です。同市はその後健全化団体を脱却しましたが、地方債残高が多く公債費負担が高水準で続く構造は変わらないとして、脱却後も中期財政計画による管理を続けています。同市が後年「ふるさと納税」で全国的に有名になる背景にも、こうした財政運営の課題があると筆者は捉えています。

そして最悪のケースが北海道夕張市です。巨額の借金が明るみに出て財政破綻し、35%の財政再生基準を超える「財政再生団体」として国の管理下で再建を続けています。(令和6年度で68.1%)令和8年版の地方財政白書によれば、令和6年度決算で財政再生基準以上の団体は全国で市町村1団体のみ。これは原稿が参照した令和6年度の記録で、現在の全国集計を示すものではありません。

原稿が参照した2024年度の3団体と、2025年度の兵庫県

原稿では、2026年版の地方財政白書を参照し、2024年度に実質公債費比率18%以上だった自治体を、都道府県2、市町村1の計3団体と記録しています。今回の再照合では、この白書の該当箇所を直接再取得していません。兵庫県が19.2%となった2025年度決算とは年度が異なります。

該当する自治体が少なくても、今後の負担増に備える必要があります。

学校、橋、道路、水道などの更新は続きます。金利が上がれば利息負担が増え、人口減少で財政規模が小さくなれば、同じ返済額でも比率が上がりやすくなります。

家計にたとえるなら、収入に対して返済が重くなるという関係です。ただし自治体の指標は、交付税などの控除や会計間の負担を含めて計算するため、家計の収入・返済比率とは同じ計算ではありません。

住民は、自分の自治体が秋に公表する決算の財政指標を確認できます。比率の高さだけでなく、前年度からの変化、計画の目標、投資や基金の見通しも見ると、負担が増えた理由をつかめます。

計画の期間・投資の抑制・比率の目標を合わせて読む

公債費負担適正化計画は、実質公債費比率18%以上の自治体が、借金返済負担を下げる方法と期間を示す計画です。計画期間は全国一律ではありません。18%で起債許可団体、25%で早期健全化団体、35%で財政再生団体という基準は明確に分けて読む必要があります。兵庫県の8月27日策定計画は、10年間で25%未満を維持し、中長期的に18%未満を目指す内容です。


※本記事は公的資料を優先し、数値、制度説明、リンクを公開時点の資料と照合しています。


兵庫県の確認資料

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兵庫県の県債338億円問題の経緯と、財政運営への影響は、次の記事で整理しています。

動画では触れきれなかった資料の細部や、法制度の背景はnoteの「政経プラス」で継続的に整理しています。

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