兵庫県が国会議員向け政策説明会を見直し|斎藤県政の要望活動はどう変わったか

兵庫県政

結論から言うと、兵庫県がやめたのは「国への要望活動」そのものではありません。従来、年3回開いていた県選出国会議員向けの定例説明会を取りやめ、県の東京事務所や担当部局による個別説明、関係省庁への直接要望、必要に応じた議員との意見交換へ切り替えました。

斎藤元彦知事は「業務改革」と説明しています。一方、定例の場をなくすことで、県全体の課題を国会議員と共有する機会や、災害・財政危機の際に政治家同士が動くための関係が弱くならないかという懸念も示されました。

この記事では、説明会の廃止がいつ、どのように決まり、その後の要望活動がどう変わったのかを、兵庫県が公開した記者会見録で確認します。最終確認日は2026年8月11日です。

この記事の要点

  • 兵庫県は、従来年3回実施していた県選出国会議員向けの定例説明会を取りやめた。
  • 県は、東京事務所・担当部局による個別説明と、関係省庁への直接要望に重点を移した。
  • 2026年3月時点でも定例会は再開されておらず、県は個別説明を随時行っていると説明した。
  • 業務量がどれだけ減ったか、個別説明を何回行い、国の制度や予算に何が反映されたかは、公開資料だけでは十分に確認できない。

何が変わったのか――年3回の定例説明会を取りやめた

兵庫県は、県選出の国会議員に県政の重要課題や国への予算要望を説明する場を、夏、秋、当初予算の時期に年3回設けてきました。

2025年7月22日の知事記者会見で、斎藤知事はその年の説明会を予定していないと明言しました。説明会という形式を見直し、資料提供、関係省庁への要望、必要に応じた議員との個別の意見交換へ移す考えを示しています。

同年7月29日の会見では、年3回開催していた県は兵庫県だけだと説明し、事務方による個別説明と関係省庁への要望に重点を移す方針を改めて述べました。

説明会廃止までと、その後の経過

時点確認できる動き
2025年7月22日斎藤知事が、定例説明会を見直し、資料提供・省庁要望・個別協議へ移る方針を説明。
2025年7月29日年3回の開催は兵庫県だけだったと説明。業務改革として定例会を取りやめる考えを明確化。
2025年8月6日災害時の関係や国会議員との連携が弱くなるのではないかと質問され、知事は東京事務所や事務方も含めて連携できると回答。
2025年10月1日11月の説明会も予定せず、事務方が議員を個別訪問して説明すると回答。
2026年3月4日定例的な意見交換の場はやめたままだが、東京事務所や幹部が資料提供・説明を随時行っていると説明。
2026年6月24日国の支援が必要な場合は、知事自身を含めて要望することが重要だと説明。

県が示した理由は「業務改革」と「他県との比較」

斎藤知事が挙げた主な理由は、次の3点です。

  1. 年3回という頻度が他県より多かったこと
  2. 説明会の準備や運営を見直し、担当部局や省庁との実務に重点を置くこと
  3. 飲食物を提供しながら行う従来の形式が、現在の業務の進め方に合わないと判断したこと

ただし、「年3回が多い」ということと、「定例会をすべて取りやめること」が同じ結論になるわけではありません。2025年8月6日の県会見録には、担当課の説明として、全国の約3分の2の都道府県が知事出席の説明会を開催し、その中に年2回と年1回の県があるとの注記があります。

この数字は「年3回は兵庫県だけ」という説明とは両立します。一方で、知事が参加する定例の場を完全にやめる判断が全国の標準だとまでは確認できません。

国への要望活動そのものは続いている

説明会の廃止後も、兵庫県は国への提案を停止していません。県の公式サイトには「国の予算編成等に対する提案」が年度ごとに公開されています。また、東京事務所の業務には、国会、中央省庁、関係機関との連絡調整と国政情報の収集が明記されています。

県の説明を整理すると、要望ルートは次の形です。

  • 東京事務所や担当部局が、国会議員に資料を届けて個別に説明する。
  • 県の担当部局が、制度を所管する中央省庁に直接要望する。
  • 道路、医療、財政など政策分野ごとの会合で、知事や県幹部が国会議員と意見交換する。
  • 必要性が高い案件では、知事自身が国や関係者に要望する。

つまり、変更の核心は「一斉説明」から「個別・案件別の働きかけ」への移行です。

評価の分かれ目は、会議の有無ではなく成果を検証できるか

定例会をなくすことには、準備時間を減らし、担当省庁との実務協議に職員を振り向けられる利点があります。国会議員全員に同じ説明をするより、政策ごとに関係する議員や省庁へ働きかける方が効率的な場合もあります。

一方、個別説明には、県全体の優先順位が見えにくくなる弱点があります。誰に、いつ、何を説明し、どのような反応や成果があったのかが公表されなければ、県民は「効率化」なのか「政治的な接点の縮小」なのかを判断できません。

特に兵庫県は、震災復興に伴う財政負担、金利上昇、社会基盤の更新など、国の制度や財政措置と切り離せない課題を抱えています。2026年3月の会見でも、厳しい財政状況を県選出国会議員にどう説明するかが問われました。知事は、東京事務所や幹部が随時説明していると答えています。

この答弁から「連携が機能している」と断定することも、「機能していない」と断定することもできません。判断には、実施記録と成果の開示が必要です。

今後、公表してほしい5つの数字

説明会廃止が本当に業務改革になったのかを検証するには、少なくとも次の情報が必要です。

  1. 国会議員や秘書への個別説明の回数、相手、主なテーマ
  2. 中央省庁への要望回数と、知事・副知事・部局長の出席状況
  3. 説明会廃止によって削減できた職員の作業時間と経費
  4. 国の予算、制度改正、交付措置に反映された提案
  5. 反映されなかった重要要望と、その理由

回数だけで成果は測れません。しかし、少なくとも記録がなければ、従来方式との比較も、改善もできません。

まとめ――「やめた」後の実績を公開してこそ業務改革になる

兵庫県は、県選出国会議員向けの年3回の定例説明会を取りやめ、個別説明と省庁への直接要望に軸足を移しました。県の説明どおり、これは要望活動の停止ではなく、方法の変更です。

ただし、方法を変えた以上、従来より少ない負担で、同等以上の成果を得られたのかを示す必要があります。県民が確認したいのは、説明会を開いたかどうかだけではありません。兵庫県の課題が国に届き、必要な制度や財源につながったのかです。

関連記事

一次資料

タイトルとURLをコピーしました