今林久県議とは|8期・元議長が採決中止動議に賛成

地方自治・議会

2026年8月17日の福岡県議会で、藏内勇夫議長への議長職辞職勧告決議案は採決されませんでした。

自民党県議団の林泰輔県議が提出した採決中止動議が、賛成49、反対35で可決されたためです。

動議に賛成した49人の中に、福岡市東区選出の今林久県議がいます。

今林県議は当選8回。2009年5月から2010年5月まで、第59代福岡県議会議長を務めました。2011年には予算特別委員長も務めています。

議会経験の浅い議員ではありません。

議長席から議事を進め、意見書を県議会の名で国へ提出し、予算審査を取り仕切った人物です。

その元議長が、議員一人ひとりの賛否を記録するはずだった採決を止める側に回りました。

私は、この一票を「会派の方針だった」の一言で済ませてはいけないと考えます。

自民党県議団が異例の党議拘束をかけたことは事実です。それでも、議会の仕組みと採決の意味を誰よりも知る元議長には、若手以上に重い説明責任があります。

この記事では、今林久県議の経歴、選挙で託された票、教育・文化・水難救助分野の活動を確認したうえで、採決中止動議への賛成を厳しく検証します。

▼採決中止動議の賛成・反対議員一覧はこちら
福岡県議会・採決中止動議の賛否一覧|49人と35人の全氏名

今林久県議の基本プロフィール

福岡県議会の公式プロフィールなどで確認できる情報は次のとおりです。

項目 内容
氏名 今林久(いまはやし・きゅう)
選挙区 福岡市東区
会派 自民党県議団
当選回数 8回
生年月日 1948年4月5日
年齢 78歳(2026年8月24日現在)
現在の常任委員会 文教委員会
現在の特別委員会 子育て支援・人財育成調査特別委員会
主な県議会歴 第59代福岡県議会議長、予算特別委員長
文化分野 福岡県文化議員連盟会長、陶芸家として日展などに入選
地域・公益活動 公益社団法人福岡県水難救済会会長、香椎高校同窓会「香綾会」会長

現在の福岡県議会公式プロフィールは、今林県議を福岡市東区選出、自民党県議団所属、当選8回と記載しています。

現在所属するのは、教育行政を扱う文教委員会と、子育て支援・人財育成調査特別委員会です。

県議会の中だけでなく、文化芸術、水難救助、母校の同窓会などにも長く関わってきた人物です。

これだけ幅広い公的役割を担ってきたからこそ、議会の信頼を左右する局面で何を選んだのかは、地元の福岡市東区だけでなく県全体に関わります。

当選8回、30年前後に及ぶ県議歴

今林県議は2023年の県議選前の時点で7期、同選挙で当選し8期目に入りました。

公開されている選挙記録から、確認できる近年の得票を整理します。

選挙 選挙区の状況 今林県議の得票 結果
2003年・福岡県議選 定数4、候補5 23,108票 1位当選
2007年・福岡県議選 候補5 22,744票 当選
2011年・福岡県議選 定数4、候補6 25,419票 当選
2015年・福岡県議選 定数4、候補5 21,165票 当選
2019年・福岡県議選 定数5、候補5 無投票 当選
2023年・福岡県議選 定数5、候補6 17,682票 1位当選

2023年は、定数5に対して6人が立候補した選挙でした。

今林県議は17,682票を得て、6候補の中で最多得票でした。2位の新開崇司県議は17,476票、3位の大塚勝利県議は17,129票です。

2019年は定数と候補者数が同じで、投票を経ない無投票当選でした。2023年には再び選挙となり、今林県議は東区で最も多い票を得ています。

少なくとも直近の県議選では、17,682人の有権者が候補者名として「今林きゅう」と書き、議席を託しました。

この票は自民党県議団に一括して預けられたものではありません。

今林久という一人の候補者に投じられた票です。

党議拘束があったとしても、選挙区の有権者に自分の判断を説明する責任まで会派へ預けることはできません。

第59代福岡県議会議長を務めた

今林県議の経歴で最も重要なのが、県議会議長を務めた事実です。

福岡県議会の公式記録によると、今林県議は2009年5月20日に第59代議長へ就任し、2010年5月19日まで在任しました。

議長選挙では85票を得て、無効票は1票だったと報じられています。

議長は、単なる名誉職ではありません。

本会議の秩序を保ち、議事を整理し、採決を宣告し、議会を代表する立場です。

今林議長名で提出された当時の意見書も、県議会公式サイトに残っています。埋蔵文化財の発掘調査費用をめぐる意見書や、永住外国人への地方参政権付与について慎重な対応を求める意見書などです。

内容への賛否とは別に、議会の意思を正式な文書にし、誰がどの立場で提出したのかを記録に残す仕事を担っていました。

だからこそ、今回の採決中止が持つ意味を理解していなかったとは考えにくいのです。

採決中止動議が可決された結果、藏内議長への辞職勧告決議案について、各議員が賛成なのか反対なのかは公式な投票結果として残りませんでした。

元議長である今林県議は、その結果まで理解したうえで起立したとみるのが自然です。

2011年には予算特別委員長

議長退任後の2011年6月定例会では、今林県議が予算特別委員会の委員長を務めています。

同委員会では、2011年度一般会計予算など20件を審査しました。

県議会公式の定例会概要には、地域防災計画、原子力防災、電力需給、県民幸福度、水素戦略、農業用クリーク、財政、議会広報など、多岐にわたる質疑が行われたと記録されています。

議長として本会議を運営し、予算特別委員長として議案審査を取り仕切った経験があります。

今林県議は、議会の手続きを知らない議員ではありません。

「採決に反対すること」と「採決そのものを行わせないこと」の違いも、当然理解しているはずです。

教育と文化は長年の活動分野

今林県議は現在、文教委員会に所属しています。

教育と文化への関わりは最近始まったものではありません。

1998年9月定例会では、学校教育、社会教育、県立美術館について一般質問しました。

2001年12月定例会では、県費留学生制度と緑の募金を取り上げています。

現在の文教委員会と子育て支援・人財育成調査特別委員会への所属は、過去の質問分野ともつながっています。

県議会の活動以外では、福岡県文化議員連盟の会長を務めています。2026年1月には、文化団体側が県議会へ文化芸術振興を要望した場に同席したことも、福岡県文化団体連合会の会報で確認できます。

今林県議自身も陶芸家として活動しています。

福岡県文化団体連合会の会員紹介には、1970年の福岡県美術展入選を皮切りに、福岡市美術展、現代工芸九州会展、日本現代工芸展、日展などへの出品・入選歴が掲載されています。

2012年までに日展へ6回入選したと記録されています。

政治家の肩書きだけでなく、長年作品をつくり、公募展で審査を受けてきた人物です。

政策や地域活動を評価する材料として、この文化分野での継続した実績は正当に紹介すべきです。

その実績が、今回の一票への説明を不要にするわけではありません。

香椎高校の卒業生で、同窓会長も務める

福岡県議会の公式記事によると、今林県議は福岡県立香椎高校の卒業生です。

同校の同窓会「香綾会」では、会長として掲載されています。高19回生です。

2021年の香椎高校創立100周年記念式典には、同校卒業生の県議として出席しました。

同窓会長、文教委員、文化議員連盟会長という経歴からは、地元東区の教育・文化分野に深く関わってきた姿が見えます。

教育の場では、子どもたちに自分の考えを持ち、理由を説明する力が求められます。

政治家にも同じことが求められます。

採決を止めるという重大な判断をした以上、何を守るための一票だったのか、自分の言葉で示すべきです。

福岡県水難救済会の会長として命を守る活動

今林県議は、公益社団法人福岡県水難救済会の会長も務めています。

同会の公式サイトによると、県内45の救難所で約1,000人の救難所員が、本業の傍ら水難救助活動に取り組んでいます。

役員名簿では、今林県議の会長就任日は2008年4月28日とされています。

2025年4月には、今林会長が服部誠太郎知事へ救命浮環162個を寄贈したことを、福岡県が公式に発表しています。救命浮環は県管理河川の危険箇所に設置されました。

水難救助への長年の関与は、地域社会への具体的な貢献です。

この記事は、今林県議のすべてを一票だけで否定するものではありません。

公的な実績は実績として確認し、議会の信頼を損ねたと考える判断は判断として批判します。

それが、公人を検証するために必要な線引きです。

8月17日、何が採決されるはずだったのか

2026年8月17日の臨時会では、吉松源昭県議が提出した、藏内勇夫議長への議長職辞職勧告決議案が採決される予定でした。

辞職勧告決議に法的拘束力はありません。

可決されても、藏内議長が自動的に議長職を失うわけではありません。県議会が政治的な意思を示すための決議です。

だからこそ、各議員がどちらに立つのかを公開の場で示す意味がありました。

賛成なら、議長職を辞するべきだという意思表示。

反対なら、現時点で辞職勧告は必要ないという意思表示。

どちらの立場でも、県民は一票を記録として確認できます。

ところが、本案の採決前に林泰輔県議が「採決を中止するよう求めます」と動議を出しました。

動議は賛成49、反対35で可決。

辞職勧告決議案そのものは採決されず、議会事務局は、見送られた決議案が今後審議されることはないと説明したと報じられています。

今林久県議は採決中止動議に賛成した

TNCテレビ西日本は、動議の採決で起立した議員を記者が議場で確認し、賛成49人の氏名を公表しました。

今林久県議は、その賛成者に含まれています。

自民党県議団では、採決に加わった38人中37人が賛成しました。

藏内議長と議事を進行した板橋聡副議長は採決に参加せず、反対した自民党県議は江藤秀之県議だけでした。

確認できる事実は、今林県議が藏内議長への辞職勧告決議案に反対したことではありません。

本案は採決されていないため、今林県議が本案に最終的に賛成だったのか、反対だったのかは断定できません。

確認できるのは、本案を採決しないよう求める動議に賛成したことです。

この違いは重要です。

公式の採決結果ページに個人名はない

福岡県議会が公開した「令和8年8月臨時会の採決結果」には、地方自治法第100条の2に基づく専門的知見の活用に関する議員提出第2号議案が可決されたことが掲載されています。

採決中止動議の賛成49、反対35という内訳や、個々の議員名は掲載されていません。

今林県議の賛成は、県議会公式の議員別投票表ではなく、TNC記者が起立を目視確認した報道に基づきます。

本来なら、県民が県議会の公式サイトで議員別の態度を確認できる仕組みが望まれます。

今回は、報道機関が議場で確認して氏名を公表しなければ、誰が採決を止めたのか分からないままになるところでした。

元議長の今林県議は、この記録の乏しさをどう考えるのでしょうか。

自民党県議団は異例の党議拘束をかけた

自民党県議団の渡辺勝将会長は、採決中止動議へ賛成するよう会派で拘束をかけていたと説明しました。

動議が否決された場合には、辞職勧告決議案へ反対することにも拘束をかけていたと報じられています。

TNCの報道では、自民党県議団で24年間活動してきた江藤県議が、過去にこうした党議拘束はなかったという趣旨を述べました。

当日の会派総会では、藏内議長が、第三者委員会や政治倫理条例に一定のめどが立った時点で議長職を辞する意向を示したとされています。

自民党側は、採決を回避したことが藏内議長本人の辞任表明につながったと説明しています。

ここで問われるのは、今林県議自身がその説明をどう評価したかです。

党議拘束があったことは、判断の背景として無視できません。

それでも、同じ会派の江藤県議は動議に反対しました。

拘束は、個々の議員が起立した事実を消しません。

今林県議が会派方針に納得して賛成したのか、異論はあったが拘束に従ったのか、その説明は確認できていません。

元議長だからこそ、若手以上に責任が重い

「党議拘束があったから仕方がない」という見方には賛同できません。

今林県議は8期目です。

県議会議長、予算特別委員長を務め、自民党県議団の内部も議会運営の先例も熟知する立場です。

若手が会派の力関係に押し切られたという説明があるとしても、今林県議まで同じ説明で済ませることはできません。

ベテランには、会派の判断に異議を唱える力も、若手へ助言する力も、公開の採決を守るよう求める力もあったはずです。

それを行わず起立したのであれば、自分の判断として説明する必要があります。

議長経験者が採決中止に賛成した事実は、今回の49票の中でも特に重いと私は考えます。

今林県議に違法行為があったと指摘しているのではありません。

問うているのは、県民の代表としての政治判断と、元議長としての制度上の責任です。

「辞意を引き出した」は公開採決の代わりにならない

採決中止を正当化する説明として、自民党側は、藏内議長から辞意を引き出したという「実利」を挙げています。

藏内議長は、第三者委員会や政治倫理条例に一定のめどが立った後に議長職を辞する意向を示したとされています。

具体的な辞職日は示されていませんでした。

条件付きの将来の辞意と、公開の本会議で議員一人ひとりが政治責任を判断することは同じではありません。

辞意を評価するなら、その内容を議場で県民に示し、辞職勧告決議案を採決すればよかったはずです。

賛成する議員も、反対する議員も、自分の立場を記録に残せました。

採決中止によって守られたのは、議長の辞意ではなく、各議員が本案への賛否を示さずに済む状態だったのではないか。

元議長の今林県議には、この疑問へ答える責任があります。

本人による個別の説明は確認できない

2026年8月24日までに確認した県議会公式情報、本人の公的プロフィール、主要報道の範囲では、今林県議が採決中止動議へ賛成した理由を個別に説明した発信は見当たりません。

「説明していない」と断定するには、非公開の会合、紙の県政報告、地域での発言まで確認する必要があります。

確認できる公開情報の範囲で、県民が読める具体的な説明を見つけられなかったという意味です。

8期の元議長であれば、説明の方法はいくつもあります。

県議会での発言、記者への回答、公式サイト、県政報告書、選挙区での集会。

議会を止める一票を投じた後、沈黙したままでよい立場ではありません。

TNC調査では75%が「納得できない」

TNCテレビ西日本は8月19日、福岡県内の有権者を対象に、固定電話とインターネットを組み合わせた緊急世論調査を実施しました。回答者は男女1,020人です。

林県議が採決中止の緊急動議を出したことについて、「不適切な対応で納得できない」は75.0%でした。

「妥当な判断で納得」は8.0%です。

採決を行い、各議員の賛否を明らかにすべきだったという回答は79.0%。「問題ない」は7.0%でした。

2027年4月の統一地方選挙で投票行動に影響するとした回答は、「非常に影響する」61.5%と「ある程度影響する」17.6%を合わせて79.1%です。

これはTNCが実施した一回の調査であり、福岡県民全員の意見そのものではありません。

それでも、採決を止めた判断に厳しい視線が向けられていることは数字に表れています。

2023年の県議選で今林県議へ投票した17,682人を含め、東区の有権者が次に判断するためには、本人の説明が必要です。

今林久県議に答えてほしい8つの質問

今林県議の説明責任を具体化すると、次の8点です。

  1. 藏内議長への辞職勧告決議案を、なぜ採決してはいけないと判断したのですか。
  2. 本案に反対票を投じるのではなく、採決自体を止める必要があった理由は何ですか。
  3. 藏内議長の条件付きの辞意を、公開採決に代わる十分な成果だと考えたのですか。
  4. 自民党県議団の党議拘束に、今林県議自身は賛成したのですか。会派内で異論を述べましたか。
  5. 第59代議長として、議員別の賛否が公式記録に残らなかったことをどう評価しますか。
  6. 採決中止によって県民の知る機会が失われたという批判へ、どう答えますか。
  7. 今後、動議への賛否を県議会公式サイトで議員別に公開する仕組みを支持しますか。
  8. 藏内議長は、いつまでに議長職を辞するべきだと考えていますか。

この8点への回答があれば、県民は今林県議の判断を具体的に評価できます。

元議長の答えは、今回の一票だけでなく、福岡県議会が信頼を回復できるかを測る材料にもなります。

よくある質問

Q1. 今林久県議の読み方は?

「いまはやし・きゅう」です。

Q2. 今林久県議はどこの選挙区ですか?

福岡市東区選挙区です。2023年県議選では17,682票を得て、6候補中最多得票で当選しました。

Q3. 今林久県議は何期目ですか?

8期目です。福岡県議会の現職議員の中でも、経験の長い議員の一人です。

Q4. 今林久県議は県議会議長を務めたのですか?

はい。2009年5月20日から2010年5月19日まで、第59代福岡県議会議長を務めました。

Q5. 現在の所属委員会は?

文教委員会と、子育て支援・人財育成調査特別委員会です。

Q6. 今林久県議は採決中止動議に賛成したのですか?

はい。TNCが議場で起立を確認した賛成49人の中に、今林久県議の氏名があります。

Q7. 藏内議長への辞職勧告決議案にも反対したのですか?

断定できません。辞職勧告決議案そのものは採決されなかったため、今林県議の本案への最終的な賛否は記録されていません。確認できるのは、採決中止動議に賛成したことです。

Q8. 採決中止動議への賛成理由を説明していますか?

2026年8月24日までに確認した公開情報と主要報道の範囲では、今林県議本人による個別の詳しい説明は確認できません。

Q9. 議員以外にどのような活動をしていますか?

福岡県文化議員連盟、福岡県水難救済会、香椎高校同窓会などで会長を務めています。陶芸家としても長い活動歴があります。

まとめ

  • 今林久県議は福岡市東区選出、自民党県議団所属の8期目
  • 2023年県議選では17,682票を得て、6候補中トップ当選
  • 2009年から2010年まで第59代福岡県議会議長を務めた
  • 2011年には予算特別委員長を務め、議会手続きと議案審査を熟知する立場
  • 現在は文教委員会、子育て支援・人財育成調査特別委員会に所属
  • 文化議員連盟、水難救済会、香椎高校同窓会で会長を務め、陶芸家としても活動
  • 2026年8月17日、藏内議長への辞職勧告決議案の採決中止動議に賛成
  • 自民党県議団は動議への賛成に党議拘束をかけ、参加38人中37人が賛成
  • 公開情報の範囲では、今林県議本人による個別の詳しい説明は確認できない

今林県議には、長い議員歴があります。

教育、文化、水難救助に取り組んできた実績もあります。

その経歴は、今回の責任を軽くする材料ではありません。

むしろ逆です。

議長席に座り、採決と議会記録の意味を知る8期の県議が、なぜ採決を止める一票を投じたのか。

「党議拘束があった」だけでは足りません。

今林久県議は、福岡市東区の有権者と福岡県民へ、自分の言葉で説明すべきです。

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確認資料・参考リンク

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