筑後広域公園の指定管理者は誰か|藏内勇夫氏との接点を検証

地方自治・議会

福岡県の筑後広域公園を管理する共同事業体に、藏内勇夫氏の元秘書が代表を務める会社が入っている――NEWSポストセブンは、こう報じました。

公開資料を調べると、指定管理者の構成会社に株式会社アシスト九州が入っていること、森大樹氏が藏内氏の選挙と後援会運営を担ってきたことは確認できます。

しかし、森氏が現在のアシスト九州代表者であることや、藏内氏または親族が同社を所有・経営していることまでは、公的な公開資料だけでは確認できません。

確認できる接点はどこまでか。「身内企業」「利益相反」という表現は事実として使えるのか。指定管理者の選定経過と年間約5億円の委託料を含め、一次資料から検証します。

指定管理者は「筑後広域公園振興事業団」

福岡県の公表資料によると、筑後広域公園の指定管理者は「筑後広域公園振興事業団」です。代表団体は筑後市の株式会社アクセス・ジャパンで、指定期間は2023年4月1日から2028年3月31日までです。

確認項目公開資料で確認できる内容
指定管理者筑後広域公園振興事業団
代表団体株式会社アクセス・ジャパン
指定期間2023年4月1日~2028年3月31日
2023年度の委託料実績4億4,192万7,000円
2024年度の委託料実績4億9,626万8,000円
2024年度の県評価B(概ね提案内容どおり)

「管理料だけで年間4.9億円」と報じられましたが、正確には2024年度の委託料実績が4億9,626万8,000円です。前年度は4億4,192万7,000円で、毎年同じ4.9億円が固定的に支払われているわけではありません。

県は2024年度の運営について、スポーツ、宿泊、プールなどの施設を適切に管理しているとして、5段階評価の「B」を付けています。この記事は、公園管理の現場に不適切な業務があったと主張するものではありません。

なお、公園内の九州芸文館は別の指定管理契約です。筑後広域公園本体の指定管理者と混同しないよう注意が必要です。

現在の運営サイトが掲げる構成会社は6社

筑後広域公園プールの現行サイトは、筑後広域公園振興事業団の構成会社として次の6社を掲載しています。

  • 株式会社アクセス・ジャパン
  • 株式会社AJ・コーポレーション
  • 株式会社アクセス・ジャパンスポーツ
  • 株式会社アシスト九州
  • 株式会社九州緑化産業
  • 株式会社共栄ビル・パートナーズ

NEWSポストセブンの記事は「構成する5社」と記していますが、2026年8月25日に確認した現行サイトの掲載は6社です。構成変更があったのか、報道時の数え方が違ったのかは、公開資料だけでは分かりません。

問題として報じられたのは、このうち株式会社アシスト九州です。

経済産業省のGビズインフォによると、同社の法人番号は8290001060180、本店所在地は福岡県筑後市大字津島1149番地です。ただし、同サイトの代表者名欄は空欄です。

森大樹氏と藏内勇夫氏の政治的接点は確認できる

森大樹氏と藏内氏の関係は、憶測だけではありません。

2015年の福岡県議選に関する県の報告書では、筑後市選挙区の藏内勇夫候補の「出納責任者氏名」に森大樹氏が記載されています。

2019年の筑後市内の選挙事務所開きの公開記録には、「森大樹(藏内県議秘書)」とあります。

さらに、福岡県選挙管理委員会が公表した2025年12月31日現在の政治団体名簿では、「くらうち勇夫後援会」の代表者と会計責任者がともに森大樹氏です。事務所所在地は筑後市大字和泉698番地1。同じ住所には、藏内氏が代表を務める自民党筑後支部や福岡文化政経会も置かれています。

森氏が、藏内氏の選挙、秘書業務、後援会運営の中心にいた人物であることは、複数の公開記録から確認できます。

報道が示した会社・不動産との関係

NEWSポストセブンは、アシスト九州の代表取締役を匿名の「A氏」とし、藏内事務所の元秘書で現在も事務所顧問だと報じました。

同記事はさらに、会社所在地の土地・建物登記を調べたところ、山口姓の人物の相続人として申し出た人物の中に「藏内勇夫」と記載されていると報道。「身内企業」という表現を使い、利益相反の可能性を問題提起しました。

ここには、確認済み事実と報道上の推測を分ける必要があります。

本稿で確認したGビズインフォにはアシスト九州の代表者名がなく、報道も代表者を匿名にしています。商業登記簿原本による照合をしていないため、森大樹氏が同社の現代表者であることは確定扱いできません。

土地・建物の相続関係も、現段階では同誌の登記調査に基づく報道です。本稿では登記原本を取得していません。

確認できていないのは、次の点です。

  • 藏内氏の親族がアシスト九州の役員または株主であること
  • 藏内氏本人が同社を所有し、実質的に経営していること
  • 指定管理に伴う公金が、藏内氏本人や親族へ還流したこと
  • 藏内氏が指定管理者の選定へ不当に介入したこと

したがって、「人的・政治的な接点がある」とは言えます。しかし、「親族会社」「身内企業」「利益相反が成立している」と事実として断定するだけの資料は、まだそろっていません。

公募は実質1団体、県議会では指定議案を可決

2022年10月17日の福岡県指定管理者選定委員会では、応募団体の提案書とヒアリング結果が審査されました。

議事概要によると、候補団体以外にも1団体が現地説明会へ参加しました。しかし、その団体は一部業務なら対応できるものの、全部の管理は困難だとして応募しませんでした。結果として、応募は実質1団体です。

委員会では、2023年度以降の委託上限額が前年度より約6,000万円増えた理由も質問されています。県は、フィットネスエリアの全面オープンが主な要因だと説明しました。

その後、福岡県議会は2022年12月20日、「都市公園の指定管理者の指定」を含む第162号から第192号までの議案を原案どおり可決しました。

県議会の公開ページで分かるのは可決の事実までです。個々の議員の賛否や、藏内氏がこの議案の採決から退席したかどうかは掲載されていません。

政経プラスの見解 「身内企業」と断定する前に文書を出すべきだ

森大樹氏と藏内氏の政治的な近さは、公開資料で確認できます。年間約5億円規模の公金が動く指定管理者グループに、元秘書が代表を務めると報じられた会社が入っている。しかも公募は実質1団体でした。

これだけの条件が重なれば、県民が利益相反を疑うのは当然です。

ただし、人間関係が近いだけで違法になるわけではありません。「身内企業」という言葉だけを先行させれば、本当に確認すべき資本関係、契約上の役割、資金の流れが見えなくなります。

福岡県と県議会が示すべきなのは、「適正に選定した」という結論だけではありません。少なくとも次の資料と事実関係を、営業秘密を除いて公開する必要があります。

  • 共同事業体の協定書と6社の役割分担
  • 各構成会社への支払額と資金の流れ
  • 応募提案書と採点結果の非公開部分を除いた内容
  • 選定時に行った利益相反・関係者チェック
  • 議案採決時の個別賛否と、退席その他の利害関係対応の有無
  • アシスト九州の役員を確認できる商業登記と、株主構成を確認できる資料
  • 会社所在地の土地・建物登記と現在の権利関係

公園の運営評価が「B」だったことと、選定の透明性が十分だったかは別の問題です。

藏内氏の県議辞職表明で、この問題まで終わらせてはいけません。疑念を否定できるなら、根拠となる文書を示すべきです。関係があるなら、誰がどの段階で把握し、どう利益相反を管理したのかを説明する必要があります。

よくある質問

Q1. 筑後広域公園の現在の指定管理者はどこですか

筑後広域公園振興事業団です。代表団体は株式会社アクセス・ジャパンで、指定期間は2023年4月1日から2028年3月31日までです。

Q2. 藏内勇夫氏の親族会社が指定管理者なのですか

公的な公開資料からは確認できません。指定管理者グループにアシスト九州が入っていること、森大樹氏と藏内氏の政治的接点は確認できます。しかし、藏内氏本人や親族が同社の役員・株主であることは未確認です。

Q3. 藏内氏が指定管理者の選定に関与したのですか

福岡県指定管理者選定委員会が審査し、県議会は指定議案を可決しています。藏内氏本人の働きかけや不当介入を示す資料は確認できません。採決時の個別賛否や退席の有無も、公開された採決結果ページだけでは分かりません。

まとめ

  • 筑後広域公園の指定管理者は筑後広域公園振興事業団
  • 現行サイトが掲載する構成会社は6社で、アシスト九州も含まれる
  • 2024年度の委託料実績は4億9,626万8,000円
  • 森大樹氏が藏内氏の選挙・秘書・後援会運営に関わったことは公開資料で確認できる
  • 報道はアシスト九州の代表者と会社所在地の不動産を藏内氏側へ結び付けた
  • 親族会社、実質経営、不正選定、公金還流を裏付ける一次資料は未確認
  • 選定は実質1団体の応募で、利益相反チェックと資金の流れの公開が必要

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