井上順吾県議とは|6期目の元議長・議会運営委員が採決中止に賛成

2026年8月17日の福岡県議会で、藏内勇夫議長への議長職辞職勧告決議案は採決されませんでした。

自民党県議団の林泰輔県議が提出した採決中止動議が、賛成49、反対35で可決されたためです。

動議に賛成した49人の一人が、大野城市選出の井上順吾県議です。

井上県議は、最大会派に所属する一議員というだけではありません。

現在6期目。2018年5月から第68代福岡県議会議長を務め、2026年8月17日現在も議会運営委員会の委員です。

議長退任前の2019年1月には、自ら「さらなる議会改革」に取り組むと表明しました。

議会の役割と、採決によって意思を示す意味をよく知る立場だったはずです。

その元議長が、議長の進退について各県議が賛否を示す本案の採決を止める側に立ちました。

私は、この一票を厳しく評価します。

採決中止動議は会議規則に基づいて処理されました。井上県議が違法行為をしたという話ではありません。

問われているのは、6期目の元議長、現職の議会運営委員として、採決を行わない政治判断が本当に妥当だったのかです。

井上県議には、市職員として31年余り働き、県議として地域の治水、文化財、鉄道高架化、スポーツ振興などに取り組んできた実績があります。

その実績と、今回の投票行動は別に検証されなければなりません。

この記事では、井上県議の経歴、選挙歴、元議長としての発言、現在の議会運営上の立場、地元での活動を確認したうえで、採決中止への賛成に残る問題を整理します。

▼採決中止動議の賛成・反対議員一覧はこちら
福岡県議会・採決中止動議の賛否一覧|49人と35人の全氏名

井上順吾県議の基本プロフィール

福岡県議会の公式プロフィールや本人の公開資料で確認できる情報は次のとおりです。

項目 内容
氏名 井上順吾(いのうえ・じゅんご)
選挙区 大野城市
会派 自民党県議団
当選回数 6回
生年月日 1951年12月4日
年齢 74歳(2026年8月24日現在)
現在の所属 議会運営委員会、総務企画地域振興委員会、スポーツ立県調査特別委員会
主な議会歴 第68代福岡県議会議長
前職 春日市職員
2023年県議選時の職業 行政書士
地域・スポーツ活動 福岡県卓球協会会長、大野城市スポーツ協会会長など

大野城市選挙区の定数は2です。

現在は、民主県政県議団の井上博隆県議とともに大野城市から選出されています。

春日市職員を31年余り務め、財政と行政管理を経験

井上県議は大野城市上大利の出身です。

大野小学校、大野中学校、福岡大学附属大濠高等学校を経て、1974年3月に福岡大学法学部を卒業しました。

同年4月、春日市役所に入庁。本人のプロフィールでは、財政課長、行政管理課長を歴任したとされています。

本人名義のブログによると、2005年6月6日に春日市役所を退職しました。在職期間は31年2カ月です。

地方自治体の予算と組織運営を実務で経験した経歴は、県議としての大きな基盤です。

議会は、行政が提出した予算や条例を審査し、必要なら修正し、県民の前で結論を出す機関です。

行政運営を長く知る井上県議だからこそ、議会が結論を記録に残す意味も理解しているはずです。

今回、井上県議が賛成したのは本案への反対ではありません。本案について結論を出さないための動議でした。

2005年の補欠選挙で初当選、現在6期目

井上県議は、当時の大野城市選出県議が市長選へ転じるため辞職したことに伴う2005年9月の県議補欠選挙で初当選しました。

本人ブログでは、2005年6月6日に立候補を決意した経緯を振り返っています。

公開されている選挙履歴は次のとおりです。

選挙 結果
2005年9月・県議補欠選挙 初当選、16,100.200票
2007年4月・県議選 当選、18,073.900票
2011年4月・県議選 当選、14,173.900票
2015年4月・県議選 当選、15,329.669票
2019年4月・県議選 定数2・候補者2で無投票当選
2023年4月・県議選 定数2・候補者2で無投票当選、6期目

2015年までは投票を経て当選してきました。

2019年と2023年は、候補者数が定数を上回らず、2回続けて無投票です。

無投票当選は法律上、正当な当選です。無投票になった責任を現職だけへ負わせることもできません。

ただし、大野城市の有権者は2回の県議選で候補者を投票によって比較する機会を持てませんでした。

だからこそ、任期中の判断を丁寧に説明し、有権者へ判断材料を返す責任は重くなります。

6期目のベテランが、議員別の判断が残るはずだった採決を止める側に立ったのなら、なおさらです。

第68代福岡県議会議長を務めた

井上県議は2018年5月22日、第68代福岡県議会議長に就任しました。

任期は2019年4月29日までです。

議長在任中には、豪雨災害からの復旧・復興、福岡空港と北九州空港の機能強化、九州の広域観光、議員提案条例などを県議会の立場から発信しました。

2019年1月、全国都道府県議会議長会に寄せた文章では、飲酒運転撲滅、薬物乱用防止、犯罪被害者支援などの議員提案条例に触れたうえで、「さらなる議会改革」に取り組む考えを示しています。

議会改革は、制度や条例を増やすことだけではありません。

議員が何を議論し、どの案に賛成し、どの案に反対したのかを県民が確認できる状態をつくることも、その中心にあります。

2026年8月17日、本来なら藏内議長への辞職勧告決議案について、県議一人ひとりの判断が示されるはずでした。

採決中止によって、その記録は残りませんでした。

「さらなる議会改革」を掲げた元議長が、なぜ今回は採決を行わないことを選んだのか。

過去の発言との整合性を、井上県議自身が説明すべきです。

現在も議会運営委員会の委員

井上県議は、2026年8月17日現在の公式名簿で議会運営委員会の委員です。

議会運営委員会は、会期、議事日程、休会、特別委員会の設置、議会関係の条例や規則、議案の取り扱いなどを協議し、議会の円滑な運営を図る委員会です。

今回の動議を井上県議が発案した、または事前調整したという事実は、公開資料から確認できません。

正式な動議提出者は林泰輔県議です。

井上県議について確認できるのは、動議の採決時に賛成者として起立したことです。

それでも、議会運営委員であることは重要です。

採決を行うこと、動議を出すこと、議事日程を変更することが議会制度の中で何を意味するのかを、一般の県議以上に知る立場だからです。

手続き上可能だったというだけでなく、県民の信頼を回復する議会運営だったのかまで説明する責任があります。

2025年には日本遺産の認定取り消しを追及

井上県議は2025年2月13日の一般質問で、日本遺産「古代日本の『西の都』」の認定取り消しを取り上げました。

「西の都」は、大宰府政庁跡や水城跡など、福岡県内と佐賀県基山町にまたがる文化財を一つの歴史的な物語として発信する取り組みです。

井上県議は、認定までの経緯、取り消しへの県の認識、今後の取り組みを知事や教育長へ質問しました。

県の答弁では、九州国立博物館や太宰府天満宮から周辺地域への誘導、構成団体の連携、民間リーダーの育成などが課題として指摘されたことが説明されています。

大野城市には水城跡や大野城跡があり、地域の歴史と観光に直結する問題です。

地元に関わる重要課題を本会議で取り上げ、知事へ説明を求めた活動は評価できます。

だから、今度は井上県議が説明する番です。

県執行部には日本遺産の失敗と今後を問いながら、自分の採決行動については理由を示さないのであれば、説明責任の向きが片方だけになります。

御笠川の治水や西鉄高架化を県政報告で伝えてきた

井上県議は、地元の生活に直結するインフラ問題も継続して発信しています。

2009年9月にはゲリラ豪雨対策を一般質問で取り上げました。

本人の2025年1月の県政報告では、御笠川の広域河川改修事業を特集し、2025年度から下流側より河道掘削工事へ着手する計画を伝えています。

2022年9月には、西鉄天神大牟田線の連続立体交差事業によって生まれる高架下空間の活用を質問しました。

本人の県政報告でも、西鉄高架化や新駅、県道飯塚大野城線など、県と市をまたぐ事業を長く取り上げています。

これらを井上県議一人の成果と断定することはできません。県、市、議会、地域住民、事業者が関わる事業です。

ただ、長年にわたって地元課題を県政へつなぎ、進捗を住民へ伝えてきたことは確認できます。

その報告姿勢を、今回の一票にも向けてほしいと思います。

スポーツ振興では長年、中心的な役割

井上県議はスポーツ分野で長く活動しています。

現在、スポーツ立県調査特別委員会の委員です。

福岡県議会の広報資料では福岡県スポーツ議員連盟会長として紹介され、本人ブログでは福岡県卓球協会会長として活動を報告しています。

2028年に福岡県で開催予定の世界卓球選手権大会団体戦の誘致にも関わりました。

2026年8月7日の本人ブログでは、福岡県議会の海外視察が批判されている状況を踏まえ、自身も県議であるとして、世界卓球選手権大会の海外誘致活動について経緯を説明しています。

批判がある活動について、資料を示して理解を求める。

その姿勢自体は妥当です。

井上県議は、政治活動には説明が必要だと理解し、実際に説明できる人物です。

ならば、採決中止動議への賛成についても同じことができるはずです。

公式サイトを更新し、「分かりやすく伝える」と表明

井上県議は2026年5月1日、公式ホームページを全面リニューアルしたと発表しました。

本人ブログでは、日々の県政報告や活動内容を「いち早く、分かりやすく」伝えるためのリニューアルだと説明しています。

2006年から続く本人名義のブログには、議会開会、補正予算、地域行事、スポーツ活動など、多数の記事があります。

発信する場所がないわけではありません。

2026年8月24日までに公式プロフィール、公式サイト、本人ブログ、報道を確認した範囲では、井上県議が採決中止動議へ賛成した個別の理由を説明する公開発信は確認できませんでした。

今後説明が公開されれば、その内容を確認する必要があります。

現時点では、「いち早く、分かりやすく伝える」と掲げた発信媒体に、県民の関心が集中する一票の説明が見当たらない状態です。

8月17日、採決中止動議に賛成した

2026年8月17日の臨時会では、自由と繁栄の会の吉松源昭県議らが、藏内議長への議長職辞職勧告決議案を提出しました。

提案理由の説明後、自民党県議団の林泰輔県議が採決中止動議を提出しました。

動議は賛成49、反対35で可決され、辞職勧告決議案そのものは採決されませんでした。

TNCは、動議の採決時に起立した県議を記者が議場で確認し、賛成49人の氏名を公表しています。

その名簿に井上順吾県議が含まれています。

自民党県議団では、藏内議長と議事を進行した板橋聡副議長が採決に参加せず、参加した38人中37人が賛成しました。

反対したのは江藤秀之県議一人です。

報道によると、自民党県議団は動議への賛成に党議拘束をかけました。

6期目の元議長である井上県議も、会派方針に沿って起立したことになります。

党議拘束は、井上県議個人の政治責任を消しません。

とくに井上県議は、会派の判断に異論を言えない新人ではありません。

元議長で6期目という経歴に照らせば、会派の方針が県民の利益に反すると考えたなら、意見を述べるだけの重みを持つ議員です。

動議への賛成と、辞職勧告への反対は同じではない

ここは正確に確認しておく必要があります。

井上県議が賛成したのは、藏内議長への辞職勧告決議案ではありません。

辞職勧告決議案の採決を中止する動議です。

本案は採決されなかったため、井上県議が本案に賛成する予定だったのか、反対する予定だったのかは、公開された採決結果から分かりません。

「井上県議が藏内議長の辞職勧告に反対票を投じた」と書くのは不正確です。

確認できるのは、本案へ賛否を示す前に、採決を止める側へ一票を投じたことです。

本案に反対なら、反対票を投じる方法がありました。

本案に賛成なら、賛成票を投じる方法がありました。

採決中止によって、井上県議の本案への判断も、ほかの県議の判断も公式記録には残りませんでした。

元議長・議会運営委員の責任は重い

採決を行わないことは、賛成と反対の対立を解消したのではありません。

対立が議員別の記録として見えることを避けただけです。

TNCの報道によると、自民党県議団では本案への対応をめぐり、若手を中心に意見が割れていました。

最終的に、藏内議長から将来の辞任意向が示され、自民党県議団は採決中止動議へ党議拘束をかけました。

会派内の分裂は表面化せずに済みました。

失われたのは、県民が自分の選挙区の県議の判断を確認する機会です。

井上県議は、元議長として「さらなる議会改革」を掲げました。

現在は議会運営委員として、議事の進め方に関わる制度を熟知しています。

この二つの経歴を持つ人物が、会派のまとまりを守るために採決を止める判断へ同調したのであれば、責任は軽くありません。

私は、若手議員よりも厳しい説明が必要だと考えます。

県民調査では約8割が「採決すべきだった」

採決中止は、議会内部だけの手続き論ではありません。

TNCは8月19日、福岡県内の有権者1000人を対象に、固定電話とインターネットを組み合わせた緊急世論調査を実施しました。

採決中止動議について、「不適切な対応で納得できない」とした割合は全体の4分の3でした。

「採決を行い、各議員の賛否を明らかにするべきだった」という回答は8割近くに達しています。

2027年4月の統一地方選挙での投票行動に影響すると答えた人も、「非常に影響する」と「ある程度影響する」を合わせて約8割でした。

調査結果だけで、すべての県民の意見を断定することはできません。

それでも、採決中止を県民が小さな議事手続きとして見ていないことは明らかです。

井上県議が説明しないままであれば、大野城市の有権者は報道された起立行動だけを材料に評価することになります。

手続きが適正でも、政治判断の説明は必要

板橋聡副議長は8月18日、決議案の提出、動議の提出、採決はいずれも福岡県議会会議規則に基づいて適正に行われたとコメントしました。

各議員への誹謗中傷を慎むよう求めています。

人格攻撃、脅迫、私生活への中傷は許されません。

同時に、規則に基づいて行われたことは、採決中止が政治的に最善だったことを意味しません。

選挙で選ばれた県議へ、投票理由と判断基準を問うことは正当な政治的検証です。

井上県議には、元議長として、手続きが可能だったという説明から一歩進み、なぜ県民に各県議の判断を見せない結論が妥当だったのかを語ってほしいと思います。

井上県議に答えてほしい5つの質問

井上県議には、大野城市の有権者と福岡県民へ、少なくとも次の5点を自分の言葉で説明してほしいと思います。

  1. なぜ辞職勧告決議案へ賛否を示さず、採決中止を選んだのか
  2. 藏内議長の将来の辞任意向は、採決を止めるだけの具体性と期限を持つと判断したのか
  3. 6期目の元議長として、党議拘束と自身の判断をそれぞれどう整理したのか
  4. 採決を止めて議員別の判断を記録に残さなかったことは、過去に掲げた「さらなる議会改革」とどう両立するのか
  5. 海外誘致活動では批判を受けて経緯を説明したのに、今回の一票について説明を確認できないのはなぜか

これは、井上県議の人格や、これまでの地域活動を否定する問いではありません。

長い行政経験と議員経験を持つ人物が、県議会への信頼が揺らぐ局面で行った政治判断を問うものです。

よくある質問

Q1. 井上順吾県議の読み方は?

「いのうえ・じゅんご」です。福岡県議会の公式プロフィールにふりがなが掲載されています。

Q2. 井上県議はどこの選挙区ですか?

大野城市選挙区です。定数は2で、現在は井上博隆県議とともに選出されています。

Q3. 井上県議は何期目ですか?

6期目です。2005年9月の県議補欠選挙で初当選し、2023年に6期目の当選を果たしました。

Q4. 2019年と2023年の県議選は無投票でしたか?

はい。大野城市選挙区は定数2に対して候補者2人で、2回続けて無投票となりました。

Q5. 井上県議は福岡県議会議長を務めましたか?

はい。2018年5月22日から2019年4月29日まで、第68代福岡県議会議長を務めました。

Q6. 井上県議は現在、議会運営委員ですか?

はい。2026年8月17日現在の福岡県議会公式名簿で、議会運営委員会の委員です。

Q7. 井上県議は採決中止動議を提出したのですか?

いいえ。動議を提出したのは林泰輔県議です。井上県議は、TNC記者が議場で確認した賛成49人の名簿に含まれています。

Q8. 井上県議は藏内議長への辞職勧告に反対したのですか?

確認できません。井上県議が実際に賛成したのは辞職勧告決議案の採決を中止する動議です。本案は採決されなかったため、本案への投票予定は公開記録から分かりません。

Q9. 井上県議は採決中止への賛成理由を説明していますか?

2026年8月24日までに確認した公式サイト、本人ブログ、県議会公式情報、報道の範囲では、本人による個別の賛成理由は確認できませんでした。今後、説明が公開された場合は再確認が必要です。

まとめ

  • 井上順吾県議は大野城市選出の自民党県議で、現在6期目
  • 1951年12月4日生まれで、2026年8月24日現在74歳
  • 春日市職員を31年余り務め、財政課長、行政管理課長を歴任した
  • 2005年9月の県議補欠選挙で初当選した
  • 2019年と2023年の県議選は2回続けて無投票だった
  • 2018年5月から第68代福岡県議会議長を務めた
  • 議長時代、「さらなる議会改革」に取り組む考えを表明した
  • 現在は議会運営委員会、総務企画地域振興委員会、スポーツ立県調査特別委員会に所属する
  • 日本遺産、御笠川の治水、西鉄高架化、スポーツ振興などを取り上げてきた
  • 2026年8月17日、林泰輔県議の採決中止動議に賛成した
  • 動議は賛成49、反対35で可決され、辞職勧告決議案は採決されなかった
  • 自民党県議団は動議への賛成に党議拘束をかけたと報じられている
  • 本人の公式発信では、個別の賛成理由を確認できていない

井上県議は、議会の外から制度を眺めている人物ではありません。

31年余りの行政経験があり、県議を6期務め、県議会議長も経験しました。

現在も議会運営委員です。

それだけの経歴を持つ人物が、県議一人ひとりの判断を県民へ見せる採決を止める側に立ちました。

地元の治水や文化財、スポーツ活動を丁寧に報告してきたことは評価できます。

だからこそ、今回だけ説明がない状態では済みません。

「さらなる議会改革」と、採決中止への賛成はどう両立するのか。

井上順吾県議は、元議長として、自分の言葉で答えるべきです。

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確認資料・参考リンク

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