斎藤知事は片山氏を支援するのか|9月16日会見で語ったことと、第三者委証言との食い違い【高砂県議補選】

高砂県議補選 続報 知事は片山氏を支援するのか 兵庫県政

兵庫県議会議員の高砂市選挙区補欠選挙(10月16日告示・10月25日投開票)をめぐり、斎藤元彦・兵庫県知事が9月16日の定例会見で質問を受けました。

焦点は、立候補の意向を示している片山安孝・元兵庫県副知事を知事が支援するのか。そして、告発文書問題をめぐる私的情報の漏えいについて、片山氏が第三者調査委員会に「知事の指示があったと聞いた」と証言していることを、知事がどう受け止めているのか、という2点でした。

この記事では、兵庫県が公開している会見録をもとに、知事が何を語り、何を語らなかったのかを整理します。

この記事の要点

  • 知事は片山氏を支援するかについて、候補者が確定していない段階だとしてコメントを控えた
  • 片山氏の出馬表明後、直接会って話したことはないと説明した
  • 片山氏の第三者委での証言について、知事は「指示等はしていない」という認識を繰り返し、証言との食い違いには踏み込まなかった

補選の基本情報(9月25日時点)

項目 内容
選挙名 兵庫県議会議員高砂市選挙区補欠選挙
事由 山本敏信県議の死去(2026年9月9日)
告示日 2026年10月16日(金)
投開票日 2026年10月25日(日)
立候補予定者説明会 10月1日(木)午後1時30分、高砂市役所南庁舎
立候補の意向を示している人(報道・発表ベース) 島津明香氏(元高砂市議、無所属、自民党兵庫県連が推薦決定)、片山安孝氏(元兵庫県副知事、無所属)

出典:兵庫県選挙管理委員会、高砂市選挙管理委員会、自民党兵庫県連、神戸新聞(9月15日)

告示前のため、正式な候補者一覧ではありません。期日前投票の期間や場所について、高砂市選管は決定次第知らせるとしています(9月16日更新時点)。2人の経歴の比較は島津明香とは?経歴・実績を片山安孝元副知事と比較、争点は高砂市県議補選の争点にまとめています。

質問1|片山氏を支援するのか

神戸新聞の記者は、この選挙区ではすでに「知事の最側近だった」片山元副知事が立候補を表明しているとして、知事自身が支援するつもりかを尋ねました。

知事はまず、山本県議への弔意と長年の県政への貢献への感謝を述べました。そのうえで、どのような候補者が出るかについて、現時点でコメントすることは控えたいと答えています。

そして、補選で選ばれる議員には、県政の発展と、若者・Z世代応援施策や財政健全化など、県が進める施策への理解と協力を期待したい、という趣旨を述べました。

質問2|出馬表明後に直接連絡を取ったか

記者は、片山氏が立候補を表明した後、直接連絡を取ったことがあるかも尋ねました。

知事は、特に直接会ったり話したりしたことはないと答えました。百条委員会への出入りの際にエレベーターですれ違ったことはあるが、それは片山氏が自らの進路を示す前だったという認識だ、と説明しています。

質問3|片山氏の証言との食い違いをどう考えるか

最も踏み込んだのが3つ目の質問です。

告発文書問題に関連して、元県民局長の私的情報が漏えいした問題がありました。記者によれば、片山氏は第三者調査委員会に対し、斎藤知事の指示があったと聞き、それに同調したと証言しています。そして第三者委は、当時の複数の県幹部から聞き取りをする中で片山氏の証言が最も客観的だとして、知事が指示した可能性が高いと結論づけた、と説明していたといいます。

記者は、自身の主張と片山氏の証言との隔たりをどう考えるかを尋ねました。知事の答えは、これまで述べたことの繰り返しになるが、そうした指示等はしていないという認識だ、というものでした。

なぜ最側近だった片山氏がそう証言したと思うか、公費を使った第三者委の報告書で重要な根拠になった証言について思うところはないか、と重ねて問われても、知事は「指示等はしてないという認識」を繰り返しました。

さらに、片山氏が当選して公人同士になった場合に、主張の食い違いを整理するつもりはあるかとの質問には、仮定の話であり、候補者も確定していない段階だとして回答を控えています。

報告書の原文ではどう書かれているか

記者の説明を、秘密漏えい疑いに関する第三者調査委員会の最終調査報告書(公表版、2025年5月27日公表・同年6月訂正版)で確認しました。報告書では、関係者は記号で表記され、元副知事は「元副知事」、情報を議員に示したとされる前総務部長は「E氏」とされています。

報告書によると、委員会は2025年3月18日に元副知事から改めて事情を聴きました。元副知事は、知事から直接の指示を受けたことはないとしたうえで、2024年4月上中旬ごろ、おそらく同席者(D氏)から「知事からE氏に対し、元県民局長の私的情報について議会と情報共有しておくようにとの指示があった」と聞いたので、特に反対もせず、E氏に「根回し」をするよう指示した、と述べています。根回しする会派や共有する情報の中身は指示していない、とも述べています(報告書39頁)。

委員会は、D氏と元副知事の供述が時期と内容の点でE氏の主張とほぼ一致しているとして、これらの信用性を否定できないと評価しました。そして、これと整合しない知事の供述は「採用することが困難」とし、E氏が知事からの指示と、これに同調する元副知事の指示により、私的情報の開示(漏えい)を行った「可能性が高い」と判断しています(同39頁)。

つまり、片山氏の証言は「知事から直接指示された」というものではなく、「知事の指示があったと聞き、それに同調して部下に根回しを指示した」という内容です。第三者委が知事の指示を認めた根拠は、片山氏の証言だけでなく、同席者とされるD氏の供述を含めた複数の供述の一致です。出典:兵庫県「秘密漏えい疑いに関する第三者調査委員会の調査報告書の公表」

出典:兵庫県「知事記者会見(2026年9月16日)」

刑事手続と、調査報告書の評価は別の話

この私的情報の漏えいをめぐっては、神戸地検が2026年3月27日、斎藤知事と片山氏を嫌疑不十分で不起訴、元総務部長を起訴猶予とする処分をしたと報じられています。この処分については、刑事告発をした側が4月14日に検察審査会へ審査を申し立てています。

不起訴は、刑事裁判にかけるだけの証拠がそろわなかったという判断です。第三者委の認定が誤りだったと裁判所が判断したわけではありません。刑事処分と、行政の対応を検証した報告書の評価は、分けて読む必要があります。経緯は元県民局長の私的情報漏えい問題とはで時系列にまとめています。

筆者の見方|有権者が知りたいのは「どちらの説明が事実か」

ここからは筆者の評価です。

知事と片山氏は、同じ出来事について異なる説明をしている状態です。知事は「指示していない」、片山氏は第三者委に「知事の指示があったと聞き、同調して根回しを指示した」と証言しました。この食い違いは、片山氏が県議として県政をチェックする立場に就くかどうかを問う今回の補選で、避けて通れない論点だと考えます。

知事が候補者への支援について明言を控えたこと自体は、選挙前の首長として理解できる対応です。ただ、片山氏の証言を正面から否定も肯定もせず「認識」を繰り返すだけでは、県民は判断材料を得られません。

同じことは片山氏にも言えます。立候補するのであれば、第三者委に証言した内容を今も維持するのか、選挙戦の中で本人の言葉で説明してほしいと考えます。片山氏の説明責任については片山安孝氏の県議選に勝算はあるか|出馬前に問われる説明責任で論じています。

今後の日程

日付 予定
10月1日(木) 立候補予定者説明会・政党等説明会(高砂市役所)
10月16日(金) 告示・立候補届出
10月25日(日) 投票・開票
2026年12月1日 改正公益通報者保護法の施行

当選者の任期は、2027年4月の県議会議員の任期満了までです。

よくある質問

Q. 斎藤知事は片山氏を応援すると言ったのですか?

言っていません。9月16日の会見では、候補者が確定していない段階だとしてコメントを控えました。

Q. 片山氏の証言は公開されていますか?

公開されています。秘密漏えい疑いに関する第三者調査委員会の最終調査報告書(公表版)は兵庫県のサイトで読めます。元副知事の供述と委員会の判断は39頁にあります。報告書では、片山氏は知事から直接の指示は受けていないとしたうえで、知事の指示があったと聞いて同調し、前総務部長に根回しを指示したと述べています。

まとめ

  • 9月16日の会見で、知事は片山氏への支援について、候補者確定前だとしてコメントを控えた
  • 片山氏の出馬表明後、直接会って話したことはないと説明した
  • 片山氏の第三者委での証言との食い違いについては「指示等はしていないという認識」を繰り返した
  • 補選は10月16日告示、10月25日投開票。食い違う説明のどちらが事実に近いのかは、有権者にとって重要な判断材料になる

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更新履歴:2026年9月25日 公開。同日、第三者調査委員会の最終調査報告書(公表版)39頁の原文で片山氏の供述と委員会の判断を確認し、「報告書の原文ではどう書かれているか」を追加しました。

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