井上正文県議は、宗像市選出、自民党県議団所属の2期目です。
2026年8月17日の臨時会では、蔵内勇夫議長への辞職勧告決議案に賛成する討論を準備した後、取り下げました。その後、本案の採決を中止する動議に賛成しました。
動議は賛成49、反対35で可決され、本案は採決されませんでした。井上県議は、TNC記者が議場で確認した賛成49人に含まれています。
「辞職を求める側」から「採決させない側」へ変わった理由を、筆者は問います。本人は9月1日、動議の内容が当初聞いていた継続審査・延期から採決中止へ変わったと説明し、各議員が賛否を示す機会を失った責任を認めています。詳しくは後述します。
2026年9月5日更新
通院・通学に関わる地域公共交通を質問
2024年12月10日の一般質問表には、地域公共交通施策に関する質問が掲載されています。宗像市選出の県議として、日々の移動に関わる課題を本会議で取り上げた記録です。 県議会公式・質問表
地域交通は、路線があるかだけでなく、通院や通学に使える時刻・乗継ぎが重要です。採決判断をめぐる説明とは別に、生活に関わる政策質問も確認できます。
【2026年8月28日更新】
井上正文県議が賛成討論を取り下げ、採決中止動議に賛成した8月17日以後、蔵内勇夫氏は8月24日に辞職の意向を表明し、翌25日に福岡県議会議長と県議を辞職しました。実際に辞職しましたが、本記事が検証する8月17日の議会対応は変わりません。
井上県議は、蔵内議長が自身の進退について意向を示すと会派会長から聞いたことを、賛成討論を取り下げた理由として説明しました。
8月24日までに筆者が確認した説明では、討論の取り下げと、全議員の採決を止める判断のつながりが分かりませんでした。その後、本人が9月1日に追加説明を公開しています。
私は、賛成討論まで準備した議員が、数時間後には採決そのものを止める側へ回ったことを見過ごせません。
記事作成時に確認した井上県議の公式サイトには「政治とは正義の実現のためにある」と書かれていました。
ならば、自分が考える「正義」と今回の一票がどうつながるのか、宗像市民と福岡県民に説明する責任があります。
この記事では、井上正文県議の経歴、選挙歴、政策、議会質問、委員会での役職を確認したうえで、賛成討論の撤回と採決中止への賛成を詳しく検証します。
▼採決中止動議の賛成・反対議員一覧はこちら
福岡県議会・採決中止動議の賛否一覧|49人と35人の全氏名
- 井上正文県議の基本プロフィール
- 映画監督を志して上京、家業を継ぐため宗像へ戻った
- 宗像青年会議所理事長や区長を経て市議へ
- 4回の選挙で当選、県議選は2回とも宗像市トップ
- 公式サイトに掲げる「政治とは正義の実現」
- 政策の4本柱は宗像の生活課題に直結
- 県議初当選直後から副委員長、2期目は農林水産委員長
- 初当選1年半で自民党県議団の代表質問
- 漁業、団地再生、離島、いじめ、防災、公共交通を質問
- 8月17日、賛成討論を準備していた
- 非公開の会派総会で、蔵内議長が条件付きの辞意
- 賛成討論の撤回後、採決中止動議に賛成
- 追加説明が必要なのは、討論撤回から採決中止へ進んだ理由
- 条件付きの辞意は、公開採決の代わりにならない
- 党議拘束でも、一票の責任は消えない
- 「2期生の意見をくんだ」で終わらせてよいのか
- 「政治とは正義」と今回の一票は整合するのか
- 県民調査では4分の3が「納得できない」
- 8月17日の判断を確かめる7つの質問
- よくある質問
- 本人の追加説明を踏まえ、採決時の判断を確かめる
- 関連記事
- 確認資料・参考リンク
- 追記(2026年9月16日現在)
井上正文県議の基本プロフィール
福岡県議会の公式プロフィールと本人公式サイトで確認できる情報は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 井上正文(いのうえ・まさふみ) |
| 選挙区 | 宗像市 |
| 会派 | 自民党県議団 |
| 当選回数 | 2回 |
| 生年月日 | 1966年9月3日 |
| 年齢 | 59歳(2026年8月24日現在) |
| 県議初当選 | 2019年4月 |
| 現在の常任委員会 | 商工労働委員会 |
| 現在の特別委員会 | ワンヘルス・地方分権等調査特別委員会・副委員長 |
| 2026年2月 | 予算特別委員会・委員 |
| 以前の主な役職 | 農林水産委員長、文教副委員長、県民生活商工副委員長 |
| 政治家になる前の主な経歴 | 映像制作会社勤務、ムナカタサービスクリエイト代表取締役 |
| 市議歴 | 宗像市議2期・約5年 |
井上県議は宗像市の定数2の選挙区から選ばれています。
同じ選挙区には、採決中止動議に反対した福地幸子県議もいます。
宗像市の有権者は、同じ出来事に対して正反対の一票を投じた2人を、具体的に比較できます。
映画監督を志して上京、家業を継ぐため宗像へ戻った
井上県議の経歴は、地方議員としては異色です。
本人公式サイトによると、1966年に宗像市田久で生まれ、赤間小学校、城山中学校、光陵高校を経て、福岡大学法学部経営法学科へ進みました。
大学在学中は映画制作に没頭し、映画研究部の部長を務めたとしています。
少年期に映画「スター・ウォーズ」を見た衝撃が忘れられず、大学を中退して映画学校へ進学。卒業後は東京の映像制作会社に勤務し、監督修業を続けました。
転機は、母親の病気でした。
井上県議は帰郷し、家業の宗像配膳人紹介所を継いだと説明しています。2004年にはムナカタサービスクリエイトの代表取締役に就任しました。
東京で映像制作に携わった経験、家族の事情による帰郷、地元での企業経営という流れを経て、政治の道へ入っています。
宗像青年会議所理事長や区長を経て市議へ
本人公式サイトには、政治家になる前後の地域活動として、次の経歴が掲載されています。
- 宗像青年会議所・第32代理事長
- 田久区長・田久区公民館長
- 赤間地区コミュニティ運営協議会区長会・会長
- 宗像市東部まちづくり推進会・会長
- 筑前七浦の会・会長
- 唐津街道赤間宿観光ボランティアガイドの会・副会長
- 宗像観光協会・顧問
- 宗像建設協会・顧問
地域団体や自治会活動を重ね、2014年の宗像市議補欠選挙で初当選しました。
2016年の市議選でも当選し、市議2期・約5年を経て、2019年に福岡県議へ転じています。
県議会だけでなく、市議会と地域組織の実務を経験してきた政治家です。
市議会と地域組織での経験を持つ人物として、一票の理由を市民へ説明する責任があります。
4回の選挙で当選、県議選は2回とも宗像市トップ
公開されている選挙記録で、井上県議の得票歴を整理します。
| 選挙 | 立場 | 得票 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2014年・宗像市議補欠選挙 | 無所属・新人 | 10,913票 | 当選 |
| 2016年・宗像市議選 | 現職 | 1,887票 | 当選 |
| 2019年・福岡県議選(宗像市) | 自民党・新人 | 13,337票 | 1位当選 |
| 2023年・福岡県議選(宗像市) | 自民党・現職 | 9,959票 | 1位当選 |
2023年の宗像市選挙区は、定数2に対して3人が立候補しました。
井上県議は9,959票、福地幸子県議は9,185票、吉武邦彦氏は7,983票でした。井上県議は2回続けて選挙区トップです。
2019年から2023年に得票数は減りましたが、投票率も46.22%から34.67%へ下がっています。得票数の減少だけで支持の増減を断定することはできません。
確認できるのは、井上県議が宗像市で最も多くの票を得て、県議会に送り出されたという事実です。
だからこそ、今回の判断は「会派で決まったから」で終わらせられません。
公式サイトに掲げる「政治とは正義の実現」
井上県議は公式サイトの冒頭で、政治信条を明確に掲げています。
政治とは正義の実現のためにある
さらに「正義」について、行政や社会の仕組みを正し、世の中をより良くすることだと説明しています。
これは非常に強い言葉です。
政治家が自ら「正義」を掲げるなら、その基準を重要な局面でどう適用したかも問われます。
今回問題となったのは、正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑、高額な海外活動、熊本地震後の発言などを背景に提出された、議長職の辞職勧告決議案です。
井上県議は最初、この決議案に賛成する討論を準備しました。
その判断を変えたのなら、「何が事実として変わったのか」「どの条件を満たしたから判断を変えたのか」を説明しなければ、自ら掲げる政治信条との整合性が見えません。
政策の4本柱は宗像の生活課題に直結
本人公式サイトでは、政策を大きく4分野に整理しています。
| 政策分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 住宅都市・福祉 | 子育て、高齢者の健康、医療・福祉、地域コミュニティ、河川・ため池改修 |
| 産業・雇用 | 農漁業、6次産業化、漁場再生、地産地消、事業承継、企業誘致 |
| 教育・スポーツ | 郷土教育、生涯学習、文化活動、スポーツ観光 |
| 宗像の将来 | 団地再生、離島振興、交通利便性、世界遺産、自然環境、SDGs |
宗像市には、大島・地島という離島、漁業と観光、日の里や自由ヶ丘の団地再生、地域公共交通など、都市部とは異なる課題があります。
井上県議の政策と議会質問は、こうした地元課題にかなり密着しています。
政策面の仕事は、政治家を評価するうえで欠かせません。
ただし、地域への予算や政策実績と、議会の信頼をめぐる一票は別に検証されるべきです。地域に利益を持ち帰ったことが、重大な採決への説明を不要にする理由にはなりません。
県議初当選直後から副委員長、2期目は農林水産委員長
井上県議は2019年の初当選後、県民生活商工委員会の副委員長を務めました。
2021年には文教委員会の副委員長、2023年からは農林水産委員会の委員長を務めました。
福岡県議会の記録では、2024年の福岡県農業大学校入学式、2025年の卒業式に農林水産委員長として出席したことが確認できます。
2026年8月17日現在は、商工労働委員会の委員です。ワンヘルス・地方分権等調査特別委員会では副委員長を務めています。
2026年2月定例会では予算特別委員会の委員にも選ばれました。
常任委員会の副委員長と委員長、特別委員会の副委員長、予算審査を経験しています。
まだ2期目ではあっても、議会手続きや会派運営を理解するだけの経験は積んでいます。
初当選1年半で自民党県議団の代表質問
井上県議は2020年12月、自民党県議団を代表して本会議で質問しました。
質問項目は、新型コロナウイルス、鳥インフルエンザ、県財政、農政、県立高校入試、ワンヘルス教育、新県立美術館、西公園再整備、JR福北ゆたか線と福岡市地下鉄の接続などです。
初当選から約1年半で会派の代表質問を任されたことになります。
会派の方針を代弁する役割を経験してきたからこそ、党議拘束と議員個人の判断が衝突した今回、自分の言葉で説明する意味は大きいはずです。
漁業、団地再生、離島、いじめ、防災、公共交通を質問
福岡県議会の一般質問表から、井上県議の主な質問を時系列で整理します。
| 時期 | 主な質問テーマ |
|---|---|
| 2019年6月 | 漁業経営の安定、魚食推進 |
| 2019年9月 | 住宅団地再生、持続可能なまちづくり、宗像国際環境100人会議 |
| 2020年6月 | 医療従事者への謝意、持続化緊急支援金、コロナ禍の教育 |
| 2020年9月 | ウィズコロナ時代の地方移住 |
| 2020年12月 | 自民党県議団代表質問 |
| 2021年9月 | 不登校対策、子どもの発達に不安を持つ保護者への支援 |
| 2021年12月 | 福岡県の離島振興 |
| 2022年2月 | 教育環境の整備 |
| 2023年2月 | 離島への移住・定住、商店街活性化 |
| 2023年9月 | 福岡県いじめレスキューセンター |
| 2023年12月 | 保育所への支援 |
| 2024年9月 | 広域連携による防災対応 |
| 2024年12月 | 地域公共交通施策 |
議員活動の重点ははっきりしています。
宗像の漁業、離島、団地、子育て、教育、交通を県政の課題として取り上げてきました。
2023年の県政報告書では、宗像市に関係する県予算として、特別支援学校施設整備、治山、漁業成長産業化などの予算額を紹介しています。
これらの予算や施策を井上県議一人の成果とみなすことはできません。本人が継続的に地元課題を発信してきたことは確認できます。
8月17日、賛成討論を準備していた
2026年8月17日の臨時会では、吉松源昭県議が蔵内勇夫議長への議長職辞職勧告決議案を提出しました。
井上県議は当初、この決議案に賛成する討論を行う予定でした。
RKB毎日放送(確認時点でリンク先を取得できませんでした)は「賛成討論を準備」と報じています。NetIB-Newsは、自民党県議団の2期生8人が決議案に賛成し、井上県議が賛成討論を行うことが議会運営委員会で報告されていたと伝えました。
自民党県議団の中からも、議長に辞職を求める動きが具体化していたことになります。
賛成討論は、賛成する理由を議場で説明するためのものです。
なぜ辞職を求めるのかを、本会議の公開の場で県民に示す行為です。
井上県議は、その役割を引き受ける段階まで進んでいました。
非公開の会派総会で、蔵内議長が条件付きの辞意
臨時会は予定時刻から数時間遅れて開会しました。
その間、自民党県議団は会派総会を繰り返しました。
報道によると、蔵内議長は非公開の会派総会で、第三者委員会の設置や政治倫理条例の制定に一定のめどが立った時点で、議長職を辞する意向を示しました。
すぐに辞めるという表明ではありません。
具体的な辞職日も示されていませんでした。
井上県議は会派会長から、蔵内議長が2期生の意見をくみ、自身の進退について表明すると聞いたため、賛成討論の通告をいったん取り下げたと説明しています。
少なくとも報道で確認できる範囲では、井上県議が蔵内議長本人から直接、辞意や条件を確認したとは述べていません。
賛成討論の撤回後、採決中止動議に賛成
井上県議が賛成討論を取り下げた後、林泰輔県議が採決中止動議を提出しました。
動議は起立採決で、賛成49、反対35。
TNCとFBSは議場で起立した議員を目視で確認し、井上正文県議を賛成者として報じています。
自民党県議団では、採決に加わった38人のうち37人が賛成しました。反対したのは江藤秀之県議だけです。
自民党県議団には、採決中止動議へ賛成する党議拘束がかけられていました。
結果として、井上県議の判断は次のように変わりました。
| 段階 | 井上正文県議の行動 |
|---|---|
| 当初 | 蔵内議長への辞職勧告決議案に賛成する討論を準備 |
| 会派総会後 | 賛成討論の通告を撤回 |
| 本会議 | 採決中止動議に起立して賛成 |
| 結果 | 辞職勧告決議案への各議員の賛否は示されないまま閉会 |
これは小さな修正ではありません。
辞職を求める理由を公に説明する予定だった議員が、その日のうちに、辞職勧告案への投票機会そのものをなくす側へ移ったのです。
追加説明が必要なのは、討論撤回から採決中止へ進んだ理由
井上県議は、賛成討論を取り下げた理由について、報道陣に説明しています。
RKBの報道では、井上県議は、議長が進退への思いを示したことを受けて判断したという趣旨を述べました。
この時点で報道から分かったのは、賛成討論を取り下げた理由です。以下は、8月24日までの情報に基づく筆者の問いです。
賛成討論をしないと決めても、辞職勧告決議案を採決することはできます。井上県議自身が本案に反対することも、賛成することも、退席することもできました。
なぜ「自分は討論しない」から「全議員に採決させない」へ進んだのでしょうか。
議長の将来の辞意を信じたとしても、それだけで採決中止が必要になるわけではありません。
井上県議が説明すべき核心は、まさにここです。
条件付きの辞意は、公開採決の代わりにならない
蔵内議長が会派内で示したとされる辞意には条件が付いていました。
- 第三者委員会の設置や活動
- 政治倫理条例の制定
- それらに一定のめどが立つこと
- 最終的な辞職時期は議長本人が判断すること
8月19日、蔵内議長は報道陣に「しかるべき時期に」議長職を辞すると表明しました。この時点では具体的な日付を示さず、県議辞職も否定していました。
その後、蔵内氏は8月24日に辞職の意向を表明し、翌25日に議長と県議を辞職しました。ただし、8月17日に辞職勧告決議案が採決されず、井上県議が賛成討論を取り下げて採決中止動議へ賛成した事実は変わりません。
将来の条件付き辞意と、8月17日に議会が公開の場で示すはずだった政治判断は同じではありません。
辞意を評価するなら、その内容を本会議で説明したうえで、各議員が辞職勧告決議案への賛否を示せばよかったはずです。
採決を止めたため、井上県議が最終的に辞職勧告決議案へ賛成したのか、反対したのかという公的な記録は残りませんでした。
党議拘束でも、一票の責任は消えない
TNCは、自民党県議団が採決中止動議への賛成を義務づける党議拘束をかけたと報じています。
江藤秀之県議は、自身の24年間の在籍経験を踏まえ、こうした党議拘束は過去になかったという趣旨を述べました。
RKBは、会派が処分の可能性を示したとも報じています。
党議拘束が個々の議員に強い圧力を与えたことは考慮すべき事実です。
それでも、県議の議席は会派ではなく、有権者の投票によって与えられます。
実際、同じ自民党県議団の江藤県議は動議に反対しました。
党議拘束があったことは、井上県議の判断を説明する重要な事情です。しかし、それだけで個人の政治責任がなくなるわけではありません。
「2期生の意見をくんだ」で終わらせてよいのか
井上県議の説明では、蔵内議長が2期生の考えや意見をくんだことが、判断変更のきっかけになっています。
ここには確認すべき点があります。
2期生が求めていたのは、単に将来の辞職をほのめかすことだったのでしょうか。
辞職勧告決議案への賛成討論まで準備した以上、議会の公開の場で政治責任を明確にする意思があったはずです。
具体的な辞職日がない条件付き表明で、その目的は達成されたのでしょうか。
もし達成されたと判断したのなら、どの言葉を、どの条件を、どの程度の確約と受け止めたのかを明らかにする必要があります。
「思いを示した」という説明だけでは、判断変更の基準が県民から見えません。
「政治とは正義」と今回の一票は整合するのか
井上県議は、政治とは正義の実現であり、行政や社会の仕組みを正すことだと掲げています。
この信条を今回に当てはめるなら、問われるのは次の3点です。
- 議長の政治責任を公開の採決で判断すること
- 会派内の非公開協議で判断が変わった経緯を説明すること
- 党議拘束と有権者への責任が衝突したとき、自分の基準を示すこと
井上県議は1番目を実行する予定でした。
8月24日までに確認した説明では、2番目と3番目の判断理由は十分に分かりませんでした。9月1日の本人説明を踏まえても、採決を止めると分かった時点でどう判断したのかを、筆者は確かめたいと考えます。
私は、この判断を厳しく批判します。
問題は、井上県議が蔵内議長の将来の辞意を評価したことではありません。
それを理由に、県議会全体が本案への賛否を示す機会まで奪う動議に賛成したことです。
政治信条を看板で終わらせないためには、自分の一票と正面から向き合う説明が必要です。
県民調査では4分の3が「納得できない」
TNCテレビ西日本は8月19日、県内の有権者を対象に、固定電話とインターネットを組み合わせた緊急世論調査を実施しました。
採決中止動議について「不適切な対応で納得できない」と答えた割合は全体の4分の3。「納得できる」は8%でした。
辞職勧告決議案を採決し、各議員の賛否を明らかにすべきだったという回答は8割近くに達しています。
次の統一地方選で投票行動に影響すると答えた人も、「非常に影響する」と「ある程度影響する」を合わせて約8割でした。
これはTNCが実施した一回の調査であり、全県民の意見そのものではありません。
それでも、採決中止への説明を求める声が強いことは読み取れます。
宗像市では、井上正文県議が動議に賛成し、福地幸子県議が反対しました。
次の選挙で有権者が比較するためにも、井上県議は自分の判断基準を具体的に残すべきです。
8月17日の判断を確かめる7つの質問
以下は8月17日の判断について、記事作成時に筆者が挙げた7点です。蔵内氏は8月25日に実際に辞職しており、現在の辞職予定を尋ねるものではありません。
- 当初、蔵内議長への辞職勧告決議案に賛成しようとした理由は何ですか。
- 賛成討論では、どの事実と政治責任を指摘する予定でしたか。
- 蔵内議長の進退について、本人から直接聞いたのですか。会派会長からの伝聞だけですか。
- 具体的な辞職時期がない条件付き表明を、なぜ十分と判断したのですか。
- 賛成討論の撤回だけでなく、採決中止動議にも賛成した理由は何ですか。
- 党議拘束や処分の可能性は、自身の投票判断にどの程度影響しましたか。
- 現在、蔵内議長はいつまでに議長職を辞するべきだと考えていますか。
この7点への回答があれば、県民は井上県議の判断を賛否両面から評価できます。
9月1日の本人説明は、党議拘束と動議の内容が変わったという経緯を示しました。筆者がなお確かめたいのは、採決中止と分かった時点でどのように判断したかです。
よくある質問
Q1. 井上正文県議の読み方は?
「いのうえ・まさふみ」です。
Q2. 井上正文県議はどこの選挙区ですか?
宗像市選挙区です。定数は2で、福地幸子県議も同じ選挙区から選出されています。
Q3. 井上正文県議は何期目ですか?
県議として2期目です。2019年に初当選し、2023年に再選されました。それ以前に宗像市議を2期務めています。
Q4. 井上正文県議の現在の委員会は?
商工労働委員会の委員で、ワンヘルス・地方分権等調査特別委員会の副委員長です。2026年2月定例会では予算特別委員会の委員も務めました。
Q5. 井上正文県議は辞職勧告決議案に賛成する予定だったのですか?
報道によると、蔵内勇夫議長への議長職辞職勧告決議案に賛成する討論を準備していました。開会前にその通告を取り下げたため、実際の賛成討論は行われていません。
Q6. なぜ賛成討論を取り下げたのですか?
井上県議は、会派会長から、蔵内議長が2期生の意見をくみ、自身の進退を表明すると聞いたことを理由として説明しています。
Q7. 井上正文県議は採決中止動議に賛成したのですか?
はい。TNCとFBSが議場で起立を確認した賛成49人の中に、井上正文県議の氏名があります。
Q8. 井上県議は蔵内議長への辞職勧告に反対したのですか?
投票記録にあるのは、採決中止動議への賛成です。本案そのものは採決されず、本案への最終的な賛否は記録に残っていません。
Q9. 井上県議の政治信条は?
記事作成時に確認した本人公式サイトでは「政治とは正義の実現のためにある」と掲げ、行政や社会の仕組みを正すことだと説明していました。
本人の追加説明を踏まえ、採決時の判断を確かめる
- 井上正文県議は宗像市選出の自民党県議団所属で、現在2期目
- 宗像市議2期を経て、2019年と2023年の県議選でいずれもトップ当選
- 漁業、離島、団地再生、教育、防災、公共交通など宗像の生活課題を継続して質問
- 県民生活商工副委員長、文教副委員長、農林水産委員長などを歴任
- 2026年8月17日、蔵内議長への辞職勧告決議案の賛成討論を準備していた
- 蔵内議長の条件付きの進退表明を会派会長から聞き、賛成討論を撤回
- その後、林泰輔県議の採決中止動議に賛成し、本案への全議員の賛否は示されなかった
本人の追加説明(2026年9月1日公開、9月10日更新):井上県議は、前日に動議を継続審査・延期と説明され、当日もその動議に賛成するよう党議拘束がかかったと説明しています。議員総会で蔵内氏が議長辞任を明言したため賛成討論を取り下げ、臨時会では動議の内容が採決中止に変わっていた、としています。
本人は、議員一人ひとりが賛否を示す機会を失った責任を重く受け止め、信頼を揺るがす事態を招いたとして謝罪しています。これは本人による経緯の説明です。当初の説明と動議の内容が変わった経過を、すべて独立に裏付けたものではありません。
出典:井上正文県議の公式説明(2026年9月1日、9月10日更新)
追加説明で、党議拘束が判断に関わったことと、本人が受け止める責任は分かります。筆者がなお問うのは、採決中止と分かった時点でも賛成を続けた理由です。条件付きの辞意を公開採決に代える判断が妥当だったかも、検証する必要があります。
「政治とは正義の実現のためにある」と掲げる政治家だからこそ、この判断と理由を具体的に説明する必要があります。
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確認資料・参考リンク
- 福岡県議会|井上正文議員プロフィール
- 井上正文県議|本人公式サイト
- 井上正文県議|2023年8月県政報告書の案内
- 福岡県議会|商工労働委員会の所属議員一覧
- 福岡県議会|ワンヘルス・地方分権等調査特別委員会
- 福岡県議会|2026年2月・予算特別委員会
- 福岡県議会|2025年・福岡県農業大学校卒業式
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- 福岡県|2019年県議選の選挙記録
- 福岡県議会|2019年6月定例会・漁業経営と魚食推進
- 福岡県議会|2019年9月定例会・団地再生と環境
- 福岡県議会|2020年6月定例会・コロナ対応
- 福岡県議会|2020年12月定例会・自民党県議団代表質問
- 福岡県議会|2021年9月定例会・不登校と保護者支援
- 福岡県議会|2021年12月定例会・離島振興
- 福岡県議会|2023年2月定例会・離島移住と商店街
- 福岡県議会|2023年9月定例会・いじめレスキューセンター
- 福岡県議会|2023年12月定例会・保育所支援
- 福岡県議会|2024年9月定例会・広域防災
- 福岡県議会|2024年12月定例会・地域公共交通
- RKB毎日放送|井上正文県議が賛成討論を準備、撤回した経緯(確認時点でリンク先を取得できませんでした)
- NetIB-News|2期生の動きと賛成討論撤回、採決中止動議
- 福岡TNCニュース|採決中止動議に賛成した49人
- FNNプライムオンライン/テレビ西日本|自民党県議団の党議拘束
- FNNプライムオンライン/テレビ西日本|県民1000人緊急世論調査
- 福岡県議会|令和8年8月臨時会の採決結果
- 福岡県議会|2026年8月25日 辞職に際して(議長コメント)
追記(2026年9月16日現在)
福岡県議会では、2026年9月9日の9月定例会開会日に大島道人議員(自民党県議団)が議長に選出されました。大島議長は、金銭授受疑惑に関する第三者委員会への議会の協力と調査結果の公表、9月定例会中の政治倫理条例の制定、議員報酬・定数・選挙区の見直し、議長在任中の海外活動を実施しないこと、議会と執行部の関係の見直し、ワンヘルス施策の議論という6項目を「議長としての約束」として示しています。
福岡県は9月14日、「改革の地図」を公開し、海外活動、県議会と執行部の関係、部課長会による政治資金パーティー券購入補助、ワンヘルス、講師謝金、議員連盟への補助金を改革項目として整理しました。議長の約束と県の改革ロードマップは、今後、制度化・調査開始・結果公表まで進んだかを確認するための基準になります。
9月16日報道によると、県議会側の第三者委員会は、弁護士13人で9月17日に設置する予定でした。以下は9月16日時点の確認です。この時点で筆者が確認できたのは設置予定までで、設置完了、調査開始、委員名簿、報告書の公表時期は未確認でした。
出典:福岡県議会「議長としての6つの約束」/福岡県「改革の地図」/福岡県議会「令和8年9月定例会の代表質問表」/福岡県議会「令和8年8月臨時会の採決結果」/第三者委員会に関する9月16日報道(元記事は確認時点で閲覧できませんでした)


