国民生活基礎調査とは?「生活が苦しい」55.4%と平均所得575万円の読み方

経済・暮らし

記事タイプ:統計解説・国民生活基礎調査

厚生労働省の2025年国民生活基礎調査で、生活が「苦しい」と答えた世帯は55.4%と半数を超えました。一方で平均所得は前年比7.3%増です。所得が増えているのに、なぜ半数以上が苦しいのか。この記事では調査の中身と、平均値・中央値という統計の読み方を整理します。

▼動画で見たい方はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=OhfGLgqMfQE

※この記事は、動画字幕と確認資料をもとに、AI(Claude)を利用して構成しています。中央値451万円・平均以下61.5%は動画内グラフにもとづく数値で、厚労省概況での照合を推奨します。

国民生活基礎調査とは、暮らしの実態を測る基幹統計

国民生活基礎調査とは、厚生労働省が保健・医療・福祉・年金・所得など国民生活の基礎的な事項を調べる統計調査です。1986年から実施され、3年ごとに大規模調査、中間年に簡易調査が行われます。2025年は14回目の大規模調査にあたり、2025年6〜7月に実施、世帯構成については18万7633世帯、所得については1万6921世帯から回答を得ています(出典:厚生労働省・報道各社)。

生活保護や児童手当などの政策立案の基礎資料になる、暮らしの「体温計」のような調査です。

「生活が苦しい」55.4%、母子世帯では82.1%

2026年7月15日に公表された結果によると、生活意識について「大変苦しい」と答えた世帯は23.2%、「やや苦しい」は32.2%で、合計55.4%が「苦しい」と回答しました。全世帯の2世帯に1世帯以上です。

世帯の種類別に見ると、格差が鮮明です。

世帯の種類「苦しい」の割合
全世帯55.4%
高齢者世帯52.1%
児童のいる世帯61.5%
母子世帯82.1%

母子世帯では8割超が苦しいと回答しており、突出しています。報道では、飲料や食料品の物価高が生活実感に影響した可能性が指摘されています(出典:日テレNEWS・時事通信)。動画では、生活物資の値上がりが家計に与える影響について編集上の見解を述べています。

なお、55.4%という数字は前年より3.5ポイント低下しています。動画でも「過去最高かと思ったら意外にも少し下がっていた」と触れており、悪化一辺倒ではない点は正確に押さえておきたいところです。

平均所得は過去最高の伸び、それでも苦しい理由

同じ調査で、2024年の1世帯あたり平均所得は575万2000円、前年比7.3%増と過去最高の伸びでした。世帯別では、児童のいる世帯が857万3000円、高齢者世帯が336万1000円、母子世帯が345万3000円です(出典:時事通信・リセマム)。

所得が増えているのに苦しい世帯が半数を超える理由として、動画では次の点を挙げています。

  1. 物価の上昇に追いついていない:名目の所得が増えても、食料品や光熱費、税・社会保険料の負担増で手元に残る実感が乏しい
  2. 平均を押し上げているのは一部の世帯:所得の高い世帯が平均値を引き上げており、多数派の実感とずれる
  3. 世帯構造の変化:所得の低い高齢者世帯や単独世帯の比率が増え、社会全体の構図が変わっている

実際、今回の調査では単独世帯が全体の35.4%、高齢者世帯が31.9%と、いずれも1986年の調査開始以来最高になりました。児童のいる世帯は16.7%に減り、そのうち子どもが1人の世帯が50.1%と初めて半数を超えています。

平均値と中央値、どちらを見るべきか

統計を読むうえで最重要なのが、平均値と中央値の違いです。平均値は少数の高所得世帯に引っ張られて高く出やすく、「真ん中の世帯」の実感に近いのは、所得順に並べたときの中央の値である中央値です。

今回の調査では、平均所得575万2000円に対し、中央値は451万円。そして平均所得を下回る世帯が61.5%を占めます。「平均575万円」と聞いて感じる印象と、6割超の世帯がそれ未満という現実の間には、大きなギャップがあります。ニュースで平均所得の見出しを見たら、中央値と分布をセットで確認するのが統計リテラシーの基本です。

動画ではさらに、普通の暮らしに必要な生活費の試算にも触れています。全国労働組合総連合(全労連)と協力研究者による2026年7月の試算では、宮崎市で25歳の単身者が健康で文化的な生活を送るための最低生計費を、税込み月額約28.4万円、月150時間労働換算で時給約1,895円と示しています。これは特定の前提に基づく試算であり、国の統計とは区別して読む必要があります。全労連は、都市部と地方で必要生計費に大きな差はないと主張しています。

最低賃金1,121円と「必要な時給」は同じ数字ではない

ここで、最低賃金と必要な生計費の試算は分けて見なければなりません。

厚生労働省による令和7年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で時間額1,121円です。これは都道府県ごとに定められた地域別最低賃金を、労働者数で重み付けして平均した数字であり、全国一律の最低賃金ではありません。地域ごとの金額と発効日は、厚生労働省の全国一覧で確認する必要があります。

これに対して、全労連と静岡県立大学短期大学部の研究者による最低生計費試算は、健康で文化的な生活に必要な費用を、住居費・食費・交通費などから積み上げる調査です。全労連は2026年7月の発表で、全国どこでも時給1,900円が必要だと提起しています。

ただし、後者は法律で決められた賃金額でも、厚生労働省の国民生活基礎調査そのものでもありません。一定の年齢、世帯、地域、労働時間などを前提にした試算・提言です。したがって、国民生活基礎調査の「生活が苦しい」55.4%、法定最低賃金の全国加重平均1,121円、最低生計費試算の1,900円は、同じ意味の統計として単純に並べるのではなく、それぞれの調査主体と前提を示して比較する必要があります。

よくある質問

Q1. 国民生活基礎調査とはどんな調査ですか?

厚生労働省が世帯の構成・所得・健康・介護など国民生活の基礎的事項を調べる統計調査です。1986年から実施され、3年ごとに大規模調査が行われます。2025年調査は約19万世帯の世帯票をもとにした14回目の大規模調査です。

Q2. 「生活が苦しい」と答えた世帯はどれくらいですか?

2025年調査では「大変苦しい」23.2%と「やや苦しい」32.2%の合計で55.4%でした。前年より3.5ポイント低下したものの、依然として半数を超えています。母子世帯では82.1%、児童のいる世帯では61.5%と、子育て世帯で特に高くなっています。

Q3. 平均所得と中央値はなぜ差があるのですか?

平均値は所得の高い一部の世帯に引き上げられるためです。2025年調査では平均所得575万2000円に対し中央値は451万円で、平均を下回る世帯が61.5%を占めます。世間の実感に近いのは中央値です。

まとめ

  • 国民生活基礎調査は厚労省の基幹統計で、2025年は3年に1度の大規模調査
  • 「生活が苦しい」は55.4%で前年比3.5ポイント低下したが、依然半数超。母子世帯は82.1%と突出
  • 平均所得は575万2000円で過去最高の伸びだが、中央値は451万円、平均以下の世帯が61.5%
  • 所得増でも物価高・負担増で実感が伴わず、単独世帯・高齢者世帯の増加が構図を変えている
  • 平均値の見出しに惑わされず、中央値と分布、世帯類型別の数字を見るのが統計の正しい読み方

来年以降も同じ調査が続きます。数字の変化を定点観測することで、暮らしの体温の変化が見えてきます。

政経プラスチャンネルでは、政府統計や経済ニュースを生活者の目線で読み解いています。よろしければチャンネル登録で最新動画をチェックしてください。

出典・確認資料

関連記事

関連動画|生活の苦しさと平均所得の統計を読む

動画タイトルでは、厚生労働省の調査をもとに、生活が苦しいと感じる世帯の割合や平均所得の変化を扱っています。この記事の国民生活基礎調査の解説とあわせ、調査年、指標、世帯の定義、平均値の読み方を分けて確認できます。

【岸田政権で悪化】厚労省調査で判明!日本国民の6割が生活苦しい!大変苦しいは4人に1人!平均所得3.9%減…

【岸田政権で悪化】厚労省調査で判明!日本国民の6割が生活苦しい!大変苦しいは4人に1人!平均所得3.9%減…
動画側の公開情報:2024年7月5日/16:36

※生活が苦しい世帯の割合、平均所得の減少率、動画タイトル中の人数比は動画タイトル・動画側の公開情報です。本記事の確認済み事実として追加していません。厚生労働省の調査報告書、統計表、調査年の定義との照合が必要です。

関連動画|生活悪化をめぐる世論調査

動画タイトルでは、岸田政権下で生活が悪化したと感じる人の割合と、毎日新聞調査の結果を扱っています。この記事の国民生活基礎調査とは調査主体・調査時期・質問が異なる可能性があるため、生活実感の世論調査と基幹統計を分けて確認できます。

岸田政権下で60%が生活悪化!毎日新聞の調査で、良くなった人はたったの3%!

岸田政権下で60%が生活悪化!毎日新聞の調査で、良くなった人はたったの3%!
動画側の公開情報:2023年10月27日/18:08

※生活が悪化した人の割合、調査対象、実施時期、質問文は動画タイトル・動画側の公開情報です。本記事の確認済み事実として追加していません。毎日新聞の原資料、調査方法、調査時期との照合が必要です。

タイトルとURLをコピーしました