兵庫県は2026年7月、庁舎の暫定移転に伴って知事記者会見室を移しました。新しい会見室には二重窓が設けられ、読売新聞は、10枚ある窓すべての工事費が約70万円だったと報じています。
県は、広報動画のナレーション収録に必要な遮音性を確保する工事だったと説明しました。「抗議活動の声を遮るために税金を使ったのか」という批判に対しては、庁舎周辺の抗議活動との関係を否定しています。
工事費が妥当だったかを判断するには、契約と内訳、比較した代替案、施工後の遮音効果が必要です。本記事では、これらの契約資料と測定結果を確認できていません。
県は広報収録用と説明。工事費を検証する資料は何か
- 公式資料で確認できること:新会見室は記者会見と広報動画収録のスタジオを兼ね、県は収録に必要な遮音性を理由に二重窓を整備したと説明した。
- 報道で確認したこと:読売新聞は、10枚の窓を二重にする工事費を約70万円と報じた。
- 県の説明:二重窓は庁舎機能の集約に伴う設備で、屋外の抗議活動とは関係がない。
- 公開資料では不明:契約先、見積書、製品・工法、70万円の内訳、比較見積もり、他の工事との関係、施工後の遮音測定結果。
行政目的は県が説明しています。違法な支出や知事個人の利益のためだったことを裏付ける証拠は、本記事の確認範囲では見つかっていません。
2026年7月22日、新しい会見室で初めて定例会見
兵庫県が公開した2026年7月22日の会見録には、今回から新しい会見場になり、外部からの遮音性能と音響設備が以前より改善したという記者の発言が記録されています。
移転の背景には、耐震性が不足する県庁舎の建て替えと、庁舎機能の暫定移転があります。二重窓は、広報機能を新しい場所へ移す過程で整備されました。移転全体については、兵庫県庁の仮移転が始動|160億円と長期分散の課題で整理しています。
読売新聞が報じた「10枚・約70万円」
読売新聞は2026年7月23日、新会見室について、10枚ある窓すべてを約70万円かけて二重にしたと報じました。本記事タイトルの「二重窓70万円」は、この報道に基づくものです。
窓の枚数と工事費は、読売新聞が県への取材で確認した報道上の数字です。県の7月22日の会見録には記載されていません。本記事も、約70万円の契約書や請求書を直接確認したものではありません。
県の説明:会見室と広報スタジオを一つにした
県職員は7月22日の会見で、従来は記者会見室とは別に広報スタジオがあり、庁舎の暫定移転に合わせて両方の機能を集約したと説明しました。新しい部屋は「記者会見室兼スタジオ」であり、広報専門員が動画のナレーションを収録する際に遮音性が必要だったため、二重窓を整備したとしています。
県の説明では、会見に加え、広報動画を制作する職員が継続的に使う設備です。この利用頻度や、別の収録室を確保した場合の費用が分かれば、集約による経費削減効果も検証できます。
県は「抗議活動とは全然関係ない」と説明
新会見室の二重窓が注目されたのは、従来の会見中に庁舎周辺の抗議活動の声が室内まで届いていたためです。2026年5月26日の県会見録にも、記者が「今窓の方からも響いています」と述べ、拡声器を使った抗議活動について知事に質問した場面が残っています。
7月22日、屋外の音との関係を尋ねられた県職員は、「それとは全然関係なく、庁舎機能の集約化」で整備したと答えました。工事目的については、県は抗議活動との関係を否定しています。
二重窓が屋外の音を小さくする効果と、県が発注した目的は分けて検証します。目的の確認には、発注前の起案書、仕様書、見積書が必要です。
支出の妥当性は、必要性・仕様・契約・価格・効果で判断する
窓10枚で約70万円なら、工事費の単純平均は1枚あたり約7万円です。製品代だけの価格ではありません。窓の大きさ、ガラスの性能、既存枠の状態、施工・運搬・調整の費用を合わせて確認します。
公費支出の検証では、担当課が必要性と数量・仕様をどう決め、契約先や価格をどう比較し、完成をどう確認したかが判断材料になります。相場と行政目的の両方に照らして確かめる必要があります。
公費支出を評価する5つの確認点
- 必要性:会見・動画収録で、どの程度の遮音性能が必要だったのか。
- 代替案:防音カーテン、録音ブース、別室利用、収録時間の調整などと比較したか。
- 契約:単独工事か、庁舎移転工事の一部か。競争見積もりか、随意契約か。
- 価格:見積書の数量・単価・施工費は妥当か。複数社を比較したか。
- 効果:施工前後の騒音値、録音品質、会見の聞き取りやすさを測定したか。
地方自治法2条14項は、地方公共団体に「最少の経費で最大の効果」を求めています。また、地方財政法4条1項は、目的達成に必要かつ最少の限度を超えて経費を支出してはならないと定めています。少額なら説明不要という意味ではなく、行政目的と支出の対応関係が確認できることが基本です。
工事の発注から完成までを確かめる契約資料
支出を具体的に確かめるなら、次の資料が考えられます。
- 二重窓設置を決めた起案書・決裁文書
- 設計図、仕様書、窓の数量表
- 予定価格、見積書、見積比較表
- 契約書、発注書、請書、請求書
- 契約相手を選んだ理由が分かる文書
- 完成検査・履行確認の記録
- 施工前後の遮音性能や録音品質の測定資料
庁舎移転工事の一部として発注された場合、契約書の件名に「二重窓」や「会見室」と書かれていない可能性があります。担当課、施工場所、工事期間、記者会見室兼スタジオという用途を組み合わせて対象文書を特定するのが現実的です。
情報公開請求には、施工場所と用途を具体的に書く
兵庫県では、誰でも県が保有する公文書を公開請求できます。県の案内によると、窓口、郵送、ファクス、インターネットで請求でき、公開・非公開の決定は原則15日以内です。
たとえば、「2026年7月22日から使用された知事記者会見室兼スタジオの二重窓設置について、支出額、契約先、仕様、見積比較、契約方法、完成確認が分かる文書」と書けば、知りたい対象が伝わります。情報公開制度の基本は、情報公開請求とは?公文書の開示・部分公開・不開示・審査請求を整理でも解説しています。
県は発注時の目的・価格・効果を資料で説明すべきだ
ここからは政経プラスの評価です。会見と広報動画の収録を一室にまとめるなら、遮音設備には業務上の理由があります。別の収録室を維持する費用を減らせる可能性もあります。
それでも疑問が広がったのは、従来の会見で抗議の声が聞こえていた経緯と、二重窓という設備が先に結びついて見えたからです。県が当初から「広報スタジオとの統合」「必要な遮音性能」「工事費と比較した代替案」をまとめて示していれば、政策への賛否とは別に、支出の理由を検討しやすくなったはずです。
公費支出への説明は、批判が出てから目的を示すより、発注時点の文書で目的、価格、効果をたどれる状態にする方が信頼につながります。
契約先・工事費の内訳・施工後の効果は未確認
- 約70万円に含まれる製品代、施工費、付帯工事の内訳
- 10枚の窓の大きさ、材質、遮音性能
- 契約先と契約方法
- 比較見積もりや代替案検討の有無
- 他の庁舎移転工事と一体で発注されたか
- 施工前後の測定値、録音品質や業務効率の改善結果
これらは公開資料で確認できていません。工事目的や価格の妥当性を判断するには、これらの契約資料と測定結果が必要です。
県の説明と報道数字を、契約資料で確かめる
確認すべきなのは、県が説明した収録用の遮音性能を、どの仕様と価格で確保したかです。起案書、見積書、契約方法、完成確認、測定結果が公表されれば、支出の妥当性を具体的に検証できます。
新たな契約資料や県の説明を確認できた場合は、この記事へ追記します。
確認日:2026年8月11日
主な確認先
- 兵庫県「知事記者会見(2026年7月22日)」
- 兵庫県「知事記者会見(2026年5月26日)」
- 読売新聞「デモで質疑聞き取れないこともあった兵庫・斎藤知事、新会見室は二重窓付きで…」(2026年7月23日)
- 兵庫県「公文書の公開の手続」
- e-Gov法令検索「地方自治法」
- e-Gov法令検索「地方財政法」
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