本文へ移動

兵庫県庁の仮移転が始動|160億円と長期分散の課題

兵庫県政

記事タイプ:論評・兵庫県庁仮移転と160億円関連経費

兵庫県庁1・2号館からの仮移転が始まりました。耐震性が不足する建物から職員を移し、新庁舎ができるまで複数の施設で県庁の業務を続けます。

費用の見込みは、新庁舎等に約650億円、そのほかに約160億円です。160億円は、仮移転に約110億円、新庁舎への移転や第3号館の改修、備品などに約50億円を見込んだ数字です。両方を足すと約810億円になりますが、契約や物価によって変わる概算です。

政経プラスは2026年4月の動画で、仮移転の費用と、県庁の業務が長期間分散する問題を取り上げました。7月には財政課や県政改革課などの移転先と執務開始日が公表され、計画が実施段階に入りました。

この記事は2026年7月17日時点の検証を基本にしています。来庁先に関わる情報は、県が9月30日に更新した移転案内も追記しました。

▼元動画で見たい方はこちら
https://youtu.be/Q6eqgyCfdHk

広告

▶ 政経プラスチャンネルの最新解説動画

チャンネル登録して、新しい解説を受け取る

4月の移転計画は、7月に実施段階へ進んだ

論点4月の動画時点2026年7月17日時点
仮移転5月以降に順次開始する予定7月6日・13日の執務開始部署を県が公表
移転期間段階的な分散移転を計画2027年度まで週末などを使って順次実施
新庁舎基本構想を具体化する段階2026年秋に中間報告、年度末に基本計画を策定予定
事業費新庁舎約650億円、関連経費約160億円いずれも現時点の概算で、最終額は未確定
業務継続分散勤務による防災対応が課題県がBCPと情報セキュリティの見直し必要性を認める

表は7月17日時点の状況です。県有施設への移転に続き、民間オフィスへの移転も予定されており、段階的な再配置が続きます。

財政課などは第3号館へ、保健医療部などは11月に移転予定

兵庫県が7月13日までに更新した移転スケジュールでは、次の部署が県庁第3号館で執務を始めています。

執務開始日主な課室移転先
2026年7月6日管財課、総務部・財務部総務課、新庁舎企画課兵庫県第3号館
2026年7月13日人事課、法務文書課、財政課、県政改革課兵庫県第3号館

これ以前にも、教育委員会事務局や県民情報センター、職員課などが移転しています。9月30日更新の案内には、秘書課などの7月21日、企画部総務課などの7月27日、デジタル戦略課などの8月31日、市町振興課などの9月7日という執務開始日も掲載されています。

11月には保健医療部や企画部統計課が三宮国際ビルへ移る予定です。県は2027年度まで、原則として週末や閉庁日を利用し、順次移転作業を進める方針です。

危機管理部との連携が必要な土木部は生田庁舎へ、ほかの部局は三宮国際ビル、NTTドコモビジネス神戸大開ビル、六甲アイランドビル、神戸ファッションマートなどへ分散する計画です。

県庁を訪れる人や書類を送る人は、担当課の最新所在地と執務開始日を県の移転案内で確認してください。課室ごとに移転日が違うため、古い案内図では訪問先を間違える可能性があります。

650億円は新庁舎等、160億円は仮移転と関連整備の概算

2025年12月の基本構想では、新庁舎と県民交流機能などの概算事業費は約650億円です。国の補助金や、国が返済財源の一部を手当てする地方債などの活用を想定し、この650億円の枠について県の実質負担を約560億円と試算しています。基本構想では、想定する地方債の制度期間の延長や拡充を国に求めるとしています。

別枠の約160億円は、暫定的な本庁舎再編の約110億円と、新庁舎等の関連経費約50億円を合わせた額です。基本構想の全体版では、次の費用を挙げています。

  • 職員の安全確保を目的とする民間オフィスなどへの暫定移転
  • 県議会フロアを行政フロアに変えるための第3号館改修
  • 新庁舎整備に伴う備品整備
  • 移転期間中の執務環境・通信環境の整備など

仮移転の約110億円には、賃料や敷金、設備工事、システムの移転、公文書の保管、引っ越しなどが含まれます。関連経費の約50億円には、第3号館の改修、地下鉄出入口の移設、新庁舎への引っ越し、備品購入などが含まれます。

単純合算の約810億円は、こうした費用全体の規模を示す概算です。最終額は、設計、移転先との契約、工期、建設物価によって変わります。

県民が負担する額を判断するには、新庁舎等の費用と別枠の関連経費、その財源を合わせて見る必要があります。

旧計画の凍結で高くなったのか

過去動画では、斎藤元彦知事が前県政の再整備計画を凍結したことと、その後の建設費上昇や仮移転費を関連づけ、「当初計画を進めた方が安かったのではないか」という問題提起をしました。

凍結によっていくら増えたかを判断するには、旧計画を続けた場合の費用と、現在の計画の費用を同じ条件で比べる資料が必要です。

旧計画と現在の計画では、整備する床面積、県民交流機能、外郭団体の入居、働き方、財源、工期が異なります。さらに、建設資材や人件費も変動しています。単純に当時の見積額と現在の見積額を比べても、凍結による増加分だけを取り出すことはできません。

検証に必要なのは、次の資料です。

  1. 旧計画を継続した場合の時点修正後事業費
  2. 凍結・再検討に要した調査費と維持管理費
  3. 仮移転の賃料、改修費、引っ越し費の契約額
  4. 新旧計画の延床面積と機能の差
  5. 国庫支出金、地方債、基金を含む実質的な県負担

前計画は凍結され、現在は650億円と別枠160億円が見込まれています。どちらが最終的に安かったか、凍結によってどれだけ増えたかは、比較資料が不足しているため未確定です。

複数の庁舎で、災害対応と情報管理をどう維持するか

新庁舎の完成は2030年代前半が想定されています。仮移転が終わっても、新庁舎が完成するまで県庁機能の分散が長期間続く可能性があります。

分散勤務では、県は次の業務を複数の施設で維持する必要があります。

  • 災害発生時の対策本部と各部局の連絡
  • 通信障害やサイバー攻撃が起きた場合の代替手段
  • 機密性の高い文書や個人情報の運搬・保管
  • 部局間の会議や決裁に要する時間
  • 県民が複数の窓口を回る場合の案内
  • 職員の通勤経路と交通機関への影響

2026年2月18日の記者会見で、斎藤知事は、分散勤務によってオンライン協議が増え、ウイルスやサイバー攻撃のリスクが一定程度高まるとの認識を示しました。BCP(災害などの際に業務を続けるための計画)については、総務部を中心に検討を進めていると説明しています。

県は既存の「兵庫県庁業務継続計画」を公表しています。分散勤務への備えを評価するには、移転先ごとの非常用電源、通信回線、指揮命令系統、文書の持ち出し、来庁者の誘導まで、県が具体的に示す必要があります。

来庁先、通勤交通、災害対応に影響する

県庁舎再整備は建物の問題に見えますが、県民への影響は日常の窓口から災害時まで広がります。

まず、訪問先の変更です。担当課が同じ名称でも、移転日を境に所在地が変わる場合があります。郵便物や申請書類を送る際も、県の案内を確認する必要があります。

次に、交通への影響です。2027年5月以降、主要部局が六甲アイランドへ移る計画があり、通勤者の増加による六甲ライナーの混雑が懸念されています。移転先の選定では、賃料だけでなく、公共交通の輸送力と来庁者の移動負担も検証対象です。

そして最も重要なのが災害対応です。耐震性が不足する庁舎から早く移ること自体には、職員と来庁者の安全を確保する意味があります。一方、県政機能が分散することで新しい弱点が生まれないかを、移転と同じ速度で検証しなければなりません。

県が公表すべき費用の内訳と、分散勤務の対策

県は2026年秋ごろに新庁舎等整備プロジェクト基本計画の中間報告をまとめ、2026年度末に基本計画を策定する予定です。

県民が費用と行政サービスを評価するために必要なのは、次の情報です。

  1. 約160億円の費目別内訳と契約額
  2. 民間オフィスの賃料、共益費、原状回復費
  3. 物価上昇を反映した約650億円の再試算
  4. 県財政悪化による規模・工程・財源への影響
  5. 分散勤務版BCPと情報セキュリティ対策の公表
  6. 新庁舎完成までの県民窓口と交通対策

兵庫県は県債管理基金の不適切処理を受け、財政健全化と投資抑制も検討しています。しかし、7月17日時点で、新庁舎計画を再び凍結する、または650億円の規模を変更するといった公式決定は確認できません。

県は必要な耐震性と業務継続を確保し、費用と機能を県民に示す必要があります。財政が厳しい中で、どの規模と工程なら両立できるかを説明することが求められます。

よくある質問

兵庫県庁はすべて移転したのか

2027年度まで順次移転する計画です。7月17日時点では一部の課室が第3号館などで執務を始め、9月30日更新の案内にも11月以降の移転予定が掲載されています。

160億円は引っ越し代なのか

仮移転の約110億円と、新庁舎への移転、第3号館改修、備品などの約50億円を合わせた概算です。家賃や設備工事なども含みます。

新庁舎の総事業費は810億円で確定したのか

約810億円は、650億円と別枠160億円を足した概算です。最終額は設計、契約、物価などで変わります。

県庁を訪れる前に何を確認すべきか

担当課の最新所在地と執務開始日です。県の「暫定的な本庁舎の再編」ページは9月30日にも更新されています。訪問や書類の郵送の前に、最新の案内を確認してください。

財政悪化で新庁舎は中止になるのか

7月17日時点で中止の公式決定は確認できません。県は2026年度末の基本計画策定に向けて検討を続けています。今後、財政健全化との調整で規模、工程、財源が見直されるかを確認する必要があります。

仮移転の費用と、分散中の行政サービスを検証する

  • 兵庫県庁1・2号館からの仮移転は、予定段階から実施段階へ移りました
  • 7月6日と13日には、財政課や県政改革課などが第3号館で執務を開始しました
  • 新庁舎の概算事業費は約650億円、別枠の関連経費は約160億円です
  • 160億円は引っ越し代だけでなく、改修や備品整備などを含みます
  • 単純合算は約810億円ですが、最終的な総額は確定していません
  • 旧計画の凍結でどれだけ高くなったかは、同じ条件に補正した比較資料がなければ断定できません
  • 長期分散中のBCP、情報セキュリティ、窓口案内、交通対策が今後の焦点です

移転が始まった今、県が説明すべきなのは、実際の契約額と、分散中の県民サービス・災害対応です。政経プラスは、4月の動画で示した費用への疑問を、これらの資料から引き続き検証します。

政経プラスチャンネルでは、過去動画で扱った兵庫県政の論点についても、公式資料が更新されるたびに現在地を整理していきます。

出典・確認資料

動画では触れきれなかった資料の細部や、法制度の背景はnoteの「政経プラス」で継続的に整理しています。

関連記事

ほかの記事を探す
ホームで目的から探す →
タイトルとURLをコピーしました