【2026年8月24日更新】
本記事が扱う8月17日の採決後、藏内勇夫氏は8月24日、翌25日の公務終了後に福岡県議会議員を辞職すると表明しました。また、福岡県議会は8月17日、地方自治法第100条の2に基づく「専門的知見の活用」を議決しています。
本文中の「将来の辞任意向」「条件付き辞意」「具体的な辞職時期が示されていない」という記述は、採決当日の説明と判断を検証したものです。その後の進退表明によって、各県議が採決中止動議に賛成し、辞職勧告決議案そのものへの賛否が公式記録に残らなかった事実は変わりません。
警察行政では、権限を持つ側の行動を記録し、後から検証できることが重要です。
福岡県議会の警察委員長を務める永川俊彦県議は、2026年8月17日、議員一人ひとりの判断を記録するはずだった採決を止める側に立ちました。
藏内勇夫議長への議長職辞職勧告決議案が提出された本会議で、林泰輔県議が採決中止動議を提出。賛成49、反対35で可決され、辞職勧告決議案そのものは採決されませんでした。
永川県議は、採決中止動議に賛成した49人の一人です。
永川県議は大牟田の飲食店経営者、地域イベントの担い手として活動し、2019年に初当選しました。県議会では豪雨対応、市街地再開発、三池港と大牟田港、欧州からの観光誘客などを取り上げています。
地域で「言葉を交わすこと」を大切にしてきた人物が、県民への説明が最も必要な一票をどう語るのか。
経歴と活動を確認しながら検証します。
▼採決中止動議の賛成・反対議員一覧
福岡県議会・採決中止動議の賛否一覧|49人と35人の全氏名
永川俊彦県議の基本プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 永川俊彦(えがわ・としひこ) |
| 選挙区 | 大牟田市 |
| 会派 | 自民党県議団 |
| 当選回数 | 2回 |
| 生年月日 | 1978年6月29日 |
| 年齢 | 48歳(2026年8月24日現在) |
| 常任委員会 | 警察委員会・委員長 |
| 特別委員会 | 空港・交通インフラ調査特別委員会 |
| 過去の主な役職 | 建築都市委員会・委員長 |
| 県議になる前 | 飲食業、会社経営、地域イベント活動 |
福岡県議会の公式プロフィールは、永川県議を大牟田市選出、自民党県議団所属、当選2回と記載しています。
現在は警察委員長で、空港・交通インフラ調査特別委員会にも所属しています。
2023年度から2024年度には、建築都市委員長として県営公園などを扱う常任委員会を率いました。
飲食店経営と大牟田の地域活動から政治へ
2017年の地域メディアによる本人インタビューでは、高校卒業後に東京、熊本、福岡の飲食店で働き、2007年に大牟田で「居酒問屋 もんど商店」を開いた経歴が紹介されています。
祖父と父が新栄町周辺で宝石店を営み、商店街が遊び場だったと語っています。
店名の「もんど」はダイヤモンドに由来し、家業がなくなった後も家族の地域への思いを受け継ぎたいという意味を込めたと説明しています。
大蛇山まつり、海上花火大会、二十日えびすなどの地域イベントにも関わり、飲食と地域活動を通じて「大牟田を元気にしたい」と発信してきました。
永川県議の原点は、議会内の肩書きよりも、商店街と人のつながりにあります。
2019年、13,441票で初当選
2019年の県議選・大牟田市選挙区は、定数2に4人が立候補しました。
永川氏は無所属の新人として13,441票を得て2位当選。得票率は31.5%でした。
| 候補 | 得票 | 結果 |
|---|---|---|
| 大橋克己 | 14,623票 | 当選 |
| 永川俊彦 | 13,441票 | 当選 |
| 田中秀子 | 9,699票 | 落選 |
| 江口学 | 4,852票 | 落選 |
投票率は44.33%でした。
2023年は自民党公認の現職として立候補しましたが、定数2に候補2人だったため無投票で2期目に入りました。
2019年に永川氏へ投じられた13,441票は、地域で積み重ねた活動と本人への期待です。
その信任を、会派の党議拘束だけで説明することはできません。
豪雨対応から市街地再開発まで、大牟田の課題を質問
永川県議は、初当選後から大牟田の地域課題を本会議で取り上げてきました。
2020年12月定例会では、同年7月豪雨に対する県の対応を質問しました。
2022年6月定例会では、市街地再開発事業に対する県の支援を質問しています。
大牟田は、豪雨による浸水被害と中心市街地の衰退という、生活の安全と地域経済の両方に課題を抱えています。永川県議の質問は、選挙区の現実に直結しています。
三池港・大牟田港の利用促進を追及
2024年6月定例会で、永川県議は三池港と大牟田港の利用促進を取り上げました。
県議会だよりによると、有明海の特性から大型貨物船が満潮時にしか入港できない状況や、国際コンテナ定期航路の船型が大型化する見通しを踏まえ、水深確保の必要性を質問しています。
三池港は大牟田の物流と産業を支える基盤です。
空港・交通インフラ調査特別委員を務める現在の役割にもつながる、継続性のある政策テーマです。
欧州観光とワンヘルス誘客を提案
2025年12月定例会では、パリでの観光セミナーを踏まえた欧州市場からの誘客策を質問しました。
県は、大相撲九州場所を活用したツアー、仁川国際空港経由の周遊ルート、食や伝統工芸を生かした誘客などを検討すると答えています。
2026年6月定例会では、ワンヘルスを活用した誘客促進を取り上げました。
政策の内容には検証が必要ですが、港湾、観光、地域再開発を結び、大牟田への人と物の流れをつくろうとする活動の方向は見えます。
警察委員長に求められる「記録と説明」
警察委員会は、犯罪捜査、交通安全、警察施設、組織運営などを審査します。
警察活動への信頼は、手続きの適正さだけで成り立つものではありません。権限がどう使われたのか、誰が判断したのか、後から検証できる記録が必要です。
同じ原則は議会にも当てはまります。
採決中止動議は議会の手続きとして処理されました。しかし、その結果、藏内議長への辞職勧告決議案について、議員一人ひとりが賛成なのか反対なのかは公式記録に残りませんでした。
警察委員長として説明責任を問う側の永川県議が、自分の議会判断では記録を残さない側に回った。この点は、本人が説明しなければ解消しません。
永川俊彦県議は採決中止動議に賛成した
TNCテレビ西日本は、動議の採決で起立した議員を記者が議場で確認し、永川県議を賛成49人の一人として公表しました。
自民党県議団は動議への賛成に党議拘束をかけ、採決に参加した38人中37人が賛成しました。反対したのは江藤秀之県議だけです。
永川県議が辞職勧告決議案そのものに反対したとは断定できません。
本案は採決されなかったため、最終的にどちらへ投票するつもりだったのかは分かりません。
確認できるのは、本案への賛否を示す前に、採決を中止する動議へ賛成したことです。
2期目だから「押し切られた」で終わらせてはいけない
TNCの取材では、自民党の若手県議が、会派内の意見や藏内議長の辞意を踏まえ、採決中止で「実利」を取ったという趣旨を述べています。
TNCの世論調査では、自民党若手の行動について「党内の力関係やベテランに押し切られた印象」が45.4%、「最後まで本会議での採決を貫くべきだった」が29.8%でした。「評価できる」「やむを得ない」は各5.8%です。
永川県議本人が、この匿名の若手発言をしたと示す資料はありません。
2期目の永川県議が会派内でどの立場だったのかも、公開情報からは確認できません。
若手だから圧力に抗えなかったという見方があるとしても、それは免責理由にはなりません。
警察委員長を任される県議は、会派内の力関係を理由に自分の一票を曖昧にできる立場ではありません。
地域で大切にした「交わした言葉」を県民にも
県議になる前のインタビューで、永川氏は、共感を生むには「交わした言葉と過ごした時間」が大切だと語っています。
これは地域活動では誠実な姿勢です。
議会でも同じ姿勢が必要です。
採決中止へ賛成した理由、藏内議長の辞意をどう評価したのか、本案への賛否をどう考えていたのか。
大牟田の有権者と県民に、言葉を交わすべき時です。
永川俊彦県議に答えてほしい7つの質問
- 採決中止動議に賛成した具体的な理由は何ですか。
- 辞職勧告決議案が採決されていたら、賛成と反対のどちらへ投票する予定でしたか。
- 藏内議長の条件付き辞意を、公開採決より優先した理由は何ですか。
- 党議拘束に異論はありませんでしたか。会派総会でどのような意見を述べましたか。
- 警察委員長として、判断主体と結果を記録に残す重要性をどう考えますか。
- 2019年に永川氏へ投票した13,441人へ、今回の一票をどう説明しますか。
- 採決中止動議の賛否理由を本人の発信媒体で公開しますか。
よくある質問
Q1. 永川県議は藏内議長の辞職に反対したのですか?
断定できません。辞職勧告決議案そのものは採決されず、確認できるのは採決中止動議への賛成だけです。
Q2. 永川県議は2019年に自民党で当選したのですか?
2019年は無所属で初当選しました。2023年は自民党公認の現職として無投票当選しています。
Q3. 採決中止動議への賛成は違法ですか?
この記事は違法行為を指摘するものではありません。議会手続きとして行われた判断の政治的責任を問う記事です。
まとめ
- 永川俊彦県議は大牟田市選出、自民党県議団所属の2期目
- 飲食店経営と地域イベント活動を経て、2019年に13,441票で初当選
- 2023年は無投票で2期目
- 豪雨対応、市街地再開発、三池港、欧州観光、ワンヘルス誘客を質問
- 現在は警察委員長
- 2026年8月17日の採決中止動議に賛成した
地域活動と政策実績を紹介するだけでは、今回の一票の説明になりません。
警察委員長として記録と検証の重要性を知る永川県議には、自分の判断を公開する責任があります。


