朝倉市・朝倉郡から選ばれた2人の県議が、採決中止動議で正反対の判断をしました。
動議を提出したのは、自民党県議団の林泰輔県議です。
中嶋玲子県議は、その動議に反対しました。
2026年8月17日の福岡県議会臨時会では、藏内勇夫議長への議長職辞職勧告決議案が提出されました。しかし林県議が採決中止動議を出し、賛成49、反対35で可決。本案は採決されず、各議員が辞職勧告へ賛成だったのか、反対だったのかは記録に残りませんでした。
中嶋県議について確認できるのは、辞職勧告決議案への賛否ではありません。「その採決を中止する動議」に反対したことです。
つまり、本案を議場で採決し、議員一人ひとりが態度を示せる状態を守る側に立ちました。
中嶋県議は元杷木町長。2017年九州北部豪雨からの復旧・復興、農業、地域交通、子育てを繰り返し取り上げてきました。現在は商工労働委員会委員長です。
同じ選挙区の林県議が採決中止を提案し、中嶋県議が反対した。この差は、朝倉地域の有権者が次の選挙で比較すべき明確な材料です。
政経プラスは、中嶋県議が採決を止めなかった判断を評価します。
▼採決中止動議の賛成・反対議員一覧
福岡県議会・採決中止動議の賛否一覧|49人と35人の全氏名
中嶋玲子県議の基本プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 中嶋玲子(なかしま・れいこ) |
| 選挙区 | 朝倉市・朝倉郡 |
| 会派 | 民主県政県議団 |
| 当選回数 | 2回 |
| 生年月日 | 1953年10月17日 |
| 年齢 | 72歳(2026年8月24日現在) |
| 常任委員会 | 商工労働委員会・委員長 |
| 特別委員会 | 空港・交通インフラ調査特別委員会 |
| 主な経歴 | 元杷木町長、元福岡県男女共同参画センター「あすばる」館長 |
中嶋県議は、杷木町議を経て、2002年に九州初の女性町長として杷木町長に就任した経歴を持ちます。その後、福岡県男女共同参画センター「あすばる」の館長も務めました。
市町村行政のトップと県の施設運営を経験し、2019年に福岡県議へ初当選しました。
地方議会は、異論を消す場所ではありません。議論し、賛否を示し、その責任を有権者へ返す場所です。
行政と議会の両方を知る中嶋県議が、採決を止める提案へ反対したことには重みがあります。
2023年県議選は林県議とともに無投票当選
2023年の朝倉市・朝倉郡選挙区は定数2に候補者2人で、中嶋県議と林県議が無投票当選しました。
| 候補者 | 党派 | 新旧 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 中嶋玲子 | 無所属 | 現職 | 無投票当選 |
| 林泰輔 | 自由民主党 | 新人 | 無投票当選 |
無投票当選は違法でも異例でもありません。ただ、有権者が投票所で候補者を選ぶ機会がなかったことも事実です。
だからこそ、任期中の重要な採決で、2人がどのような判断をしたかは重い情報になります。
林県議は、自ら採決中止動議を提出しました。中嶋県議は反対しました。
無投票で議席を得た2人のうち、中嶋県議は少なくとも今回、判断が議場で見える側に立ちました。
九州北部豪雨の復旧を一度で終わらせない
中嶋県議の質問歴で最も強く表れているのが、2017年九州北部豪雨からの復旧・復興です。
2021年6月には災害対策と流域治水、2022年2月には復旧工事と道路、同年6月には農地復旧、同年12月には豪雨災害からの復旧・復興の総括を取り上げました。
災害復旧は、工事が終われば完了ではありません。
農地を元に戻し、農業を再開し、道路と生活交通を確保し、人口流出を防ぎ、地域経済を立て直す必要があります。
中嶋県議の質問は、治水、道路、農地、農業、地域再生を別々に扱わず、被災地の暮らしを再建する一連の課題として追ってきた点に特徴があります。
現場で長く問われる課題を議会へ持ち込み続けたことは、地元選出議員の仕事として評価できます。
農業、食料供給、女性農業者を継続して質問
中嶋県議は2021年12月に「足腰の強い農業、稼げる農業」、2022年6月に食料供給と食料自給、2026年2月には女性農業者を質問しています。
朝倉地域では、農業は産業であると同時に、集落、景観、防災、雇用を支える基盤です。
農産物の価格が上がっても、肥料、燃料、資材、人件費がそれ以上に上がれば、農家の所得は増えません。後継者不足や豪雨被害も重なります。
中嶋県議が「稼げる農業」と食料供給の両面を扱ったことは、農家の経営と県民の生活をつなげる視点です。
女性農業者への支援も、単なる男女共同参画ではありません。経営への参画、農地や資産の承継、研修、子育てとの両立、地域組織での意思決定まで関わります。
病児保育と保育人材を県政課題に
中嶋県議は2023年2月に保育人材不足、2025年6月に病児保育を取り上げました。
病児保育は、子どもが病気のときに家庭だけへ負担を押しつけず、保護者が仕事を続けられるための社会基盤です。
県議会だよりでは、病児保育施設の利用定員について、県が福岡県こども計画で2029年度までに636人とする目標を設定したことなどが答弁されています。
質問したことと、政策を中嶋県議一人の成果とすることは別です。それでも、都市部だけでなく県内全域の働く家庭に関わる課題を議場で具体化した点は確認できます。
商工労働委員長として問われる公開性
中嶋県議は現在、商工労働委員会の委員長です。
委員長は、自分の政策を述べるだけでなく、異なる立場の委員が審査へ参加できる環境を整え、議事を公正に運営する責任を負います。
今回の採決中止動議では、辞職勧告決議案の中身を審議し、各議員が賛否を示す機会自体が失われました。
中嶋県議は、その中止に反対しました。
委員長として議論の場を預かる立場から見ても、審議と採決を止めない判断には筋が通っています。
民主県政県議団は10対10に分裂した
民主県政県議団20人のうち、採決中止動議への賛成は10人、反対も10人でした。
自民党県議団には党議拘束がありましたが、民主県政県議団は自主投票でした。
中嶋県議は会派名だけで判断せず、反対を選びました。
これは辞職勧告決議案への賛成を意味しません。本案は採決されていないからです。
評価できるのは、結論を見えなくする手続に加わらず、議員自身が本案への判断を示す機会を残そうとした点です。
TNC調査では採決中止に75%が「納得できない」
TNCは2026年8月19日、県内有権者1,020人を対象に緊急世論調査を行いました。
- 採決中止を「不適切な対応で納得できない」:75.0%
- 「採決を行い各議員の賛否を明らかにすべきだった」:79.0%
- 民主会派の反対議員を評価:60.4%
- 民主会派の賛成議員を評価:11.4%
- 次の統一地方選へ影響する:合計79.1%
この調査は中嶋県議個人の支持率ではありません。
それでも、採決を止めず、各議員が態度を示すべきだという中嶋県議の投票方向が、多数の回答と一致したことは確認できます。
朝倉の有権者が確認できる記録を残すべき
県議会公式サイトの採決結果には動議の可決は載っていますが、個人別の賛否は載っていません。
中嶋県議の反対は、TNC記者が議場で確認した賛成49人の名簿と、県議会公式名簿、採決不参加者を照合して確認したものです。
朝倉市・朝倉郡は2023年県議選が無投票でした。有権者が候補者を選ぶ投票は行われていません。任期中の重要投票こそ、2人の県議の判断と理由を公式記録で確認できるようにする必要があります。
中嶋県議には、自身の反対理由を公表するとともに、議員別賛否の公開を委員長・会派内から提案してほしいところです。
中嶋玲子県議に答えてほしい7つの質問
- 採決中止動議に反対した最大の理由は何ですか。
- 辞職勧告決議案が採決されていたら、どちらへ投票する予定でしたか。
- 同じ選挙区の林県議が動議を提出したことをどう評価しますか。
- 2023年に2人とも無投票当選だったことを踏まえ、今回の判断を有権者へどう説明しますか。
- 会派が10対10に割れた協議過程をどこまで公開できますか。
- 商工労働委員長として、重要投票の個人別結果を県議会が公表していない現状をどう考えますか。
- 記名投票または議員別賛否の公式公開を制度化する提案に賛成しますか。
よくある質問
Q1. 中嶋県議は辞職勧告決議案に賛成したのですか?
断定できません。確認できるのは、採決中止動議に反対したことです。本案は採決されませんでした。
Q2. 林泰輔県議と中嶋県議は同じ選挙区ですか?
はい。どちらも朝倉市・朝倉郡選出です。林県議は動議を提出し、中嶋県議は反対しました。
Q3. 2023年県議選で中嶋県議は何票でしたか?
朝倉市・朝倉郡選挙区は定数2に候補者2人で無投票だったため、得票数はありません。
まとめ
- 中嶋玲子県議は朝倉市・朝倉郡選出、民主県政県議団所属の2期目
- 元杷木町長で、現在は商工労働委員会委員長
- 2023年県議選は林泰輔県議とともに無投票当選
- 豪雨復興、流域治水、農地復旧、農業、病児保育を継続質問
- 2026年8月17日の採決中止動議に反対
- 同じ選挙区の林県議は動議提出者で、判断が分かれた
中嶋県議の反対票は、辞職勧告への賛成票ではありません。
それでも、議会が結論を出す機会を守り、議員の判断を有権者に見える形で残そうとした一票です。
無投票で選ばれた2人が正反対の判断をしたからこそ、中嶋県議には反対理由と本案への予定投票を自分の言葉で説明してほしいと思います。

