松尾統章県議は、北九州市八幡西区選出、自民党県議団所属の7期目です。
2026年8月17日、松尾県議は、蔵内勇夫議長への議長職辞職勧告決議案の採決を中止する動議に賛成しました。
動議は賛成49、反対35で可決。辞職勧告決議案は採決されず、議員ごとの本案への判断は公式記録に残りませんでした。
2026年9月5日更新
海外視察への質問内容と、本人に求める説明
2024年6月12日の代表質問には、海外視察、半導体、水素、観光誘客などが含まれています。質問一覧は、松尾統章県議が会派を代表して何を行政に問うたかを確認する資料です。 県議会録画一覧(質問日・題目)
会派を代表して問うた政策と、自身や会派をめぐる報道への説明は別の検証事項です。質問の記録があることによって、疑惑の真偽が確定するわけではありません。
1999年に初当選し、警察委員長、議会運営委員長、自民党県議団幹事長、自民党福岡県連幹事長などを歴任。2013年には第63代福岡県議会議長に就任しました。
2023年5月から自民党県議団会長を務めましたが、2026年7月28日の熊本地震発生直後に政治資金パーティーを開催し、その後の発言も批判を受け、8月7日に会長を辞任しました。
元議長であり、採決直前まで最大会派のトップだった7期の議員です。
議会の混乱を収める責任が重い人物が、なぜ本案の採決を止める側へ回ったのか。
筆者には、採決中止の具体的な理由を十分に説明しないまま、役職の辞任だけで区切りをつける対応が、「組織の役職を降りれば終わり」「投票をしなければ記録も残らない」という保身に見えます。
▼採決中止動議の賛成・反対議員一覧
福岡県議会・採決中止動議の賛否一覧|49人と35人の全氏名
松尾統章県議の基本プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 松尾統章(まつお・とうしょう) |
| 選挙区 | 北九州市八幡西区 |
| 会派 | 自民党県議団 |
| 当選回数 | 7回 |
| 生年月日 | 1973年1月7日 |
| 年齢 | 53歳(2026年8月24日現在) |
| 常任委員会 | 警察委員会 |
| 特別委員会 | 空港・交通インフラ調査特別委員会 |
| 初当選 | 1999年4月 |
| 主な議会歴 | 第63代県議会議長、議会運営委員長、自民党県議団会長・幹事長 |
| 現在の党役職 | 自民党福岡県連特別顧問(本人公式サイト) |
本人の公式サイトによると、大原小学校、八児中学校、北筑高校、第一経済大学を卒業しました。
座右の銘は「知行合一」です。知識と行動を一致させるという意味を持つ言葉です。
筆者は、政治家の信条を、重要な場面での判断と行動から評価します。
県議団会長辞任、採決中止動議への賛成という二つの行動を、自身の座右の銘とどう整合させるのか。松尾県議本人の説明が必要です。
2023年県議選は20,993票で最多得票
2023年の北九州市八幡西区選挙区は定数3に4人が立候補しました。
北九州市選挙管理委員会の開票結果では、松尾県議は20,993票を獲得し、4候補中の最多得票で7期目に入りました。
| 候補者 | 党派 | 得票 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 松尾統章 | 自由民主党 | 20,993票 | 当選 |
| 松下正治 | 公明党 | 16,872票 | 当選 |
| 岩元一儀 | 立憲民主党 | 14,108票 | 当選 |
| 真島省三 | 日本共産党 | 10,407票 | 落選 |
投票率は30.82%でした。
最多得票は、八幡西区で積み上げた強い政治基盤を示します。同時に、最も多くの有権者から説明責任を負ったことも意味します。
投票率が3割程度にとどまったからこそ、任期中の投票記録は次の判断材料として重要です。採決を止める一票は、有権者が得られる情報を減らしました。
26歳で初当選、議長・県議団会長まで歴任
松尾県議は1999年4月、26歳で初当選しました。
本人サイトに掲載された経歴では、初当選直後に警察委員会副委員長、2期目に警察委員長、3期目に県議団政策審議会長と自民党県連政務調査会長を務めています。
4期目には議会運営委員長、2013年5月に第63代県議会議長、5期目に県議団幹事長、6期目に自民党県連幹事長、7期目に県議団会長へ就きました。
議案の扱い、会派間調整、党内意思決定の中心を長く経験してきた経歴です。
議会の運営を熟知する元議長として、採決を止めた理由を具体的に説明すべきです。
元議長・元議会運営委員長・元県議団会長という経歴は、今回の一票を厳しく問う根拠です。
第63代議長として、公正で円滑な議会運営を表明
松尾県議は2013年5月23日から2014年5月22日まで、第63代福岡県議会議長を務めました。
県議会議長が会派内の候補者調整を経て、本会議の投票で選ばれる仕組みは、県議会議長はどう決まる?会派・立候補・投票の仕組みで整理しています。
2013年夏の県公式広報に掲載された就任のあいさつで、松尾県議は、二元代表制の一翼を担う県議会の公正かつ円滑な運営に努め、県政の発展に取り組むと表明しています。
この姿勢は正しいものです。
しかし2026年8月17日の採決中止により、辞職勧告決議案に対する各議員の判断は分からないままになりました。
公正で円滑な議会運営を掲げた元議長が、本案を公開採決する機会を止める動議に賛成しました。筆者は、この判断を厳しく批判します。
今回の採決中止が、公正で円滑な議会運営にどう役立つと考えたのか。松尾県議は、就任時の方針と今回の判断を、自分の言葉で説明すべきです。
2024年の代表質問は県政全般に及ぶ
福岡県議会中継で確認できる松尾県議の近年の本会議質問は、2024年6月の自民党県議団代表質問です。
質問項目は広範囲に及びました。
| 分野 | 主な質問テーマ |
|---|---|
| 自治・危機管理 | 改正地方自治法、先島諸島住民の避難受入れ、玄海町の文献調査 |
| 教育・財政 | 教職調整額引上げの県財政への影響、教育問題 |
| 防災 | 豪雨災害への防災対策強化 |
| 国際・観光 | 海外視察、国内外からの観光誘客 |
| 産業 | 半導体、水素拠点 |
| 環境・地域 | 花によるまちづくり、ワンヘルス |
| 農林水産 | 農林水産問題 |
最大会派を代表して、知事の政治姿勢と県政全般を問う役割を担っていました。
執行部へ説明と判断を迫る代表質問をした政治家なら、自分の投票についても同じ水準で説明するべきです。
質問した事実と、その後の政策成果は同じではありません。確認できる成果は個別に検証する必要があります。
ベトナム、韓国、パリで議会外交に関与
松尾県議は、福岡県ベトナム友好議員連盟会長を務めています。
県議会公式記録では、2024年のハノイ訪問に同議員連盟会長として参加。2025年にはパリへの公式訪問団、韓国からの訪問団への対応にも関与しています。
国際交流は、相手との信頼、説明、合意の積み重ねで成り立ちます。
議会外交で信頼を語る人物が、県内の有権者に対して投票理由を示さないなら、その姿勢は厳しく見られます。
国際活動の実績を評価するとともに、国内の議会運営にも同じ透明性を求めます。
地震直後の政治資金パーティーで県議団会長を辞任
松尾県議は2026年7月28日、熊本県で最大震度7を観測した地震の発生直後、北九州市内のホテルで政治資金パーティーを開きました。
RKBの報道では、参加者は約600人、参加費は1人1万5,000円でした。松尾県議は当初、「やってよかった」と述べ、その発言も強い批判を受けました。
一方、8月7日のKBCの囲み取材では、参加者から直接意見を聞けたことを良かったと述べたのであり、地震があっても開催して良かったという意味ではないと説明しました。理由の部分を切り取った放送だったとの反論もしています。これは本人の説明です。
松尾県議は8月3日に会長辞任の意向を表明し、8月7日に正式に辞任しました。県議辞職はしていません。
福岡県知事も公式コメントで、地震発生直後の飲食を伴う政治資金パーティーと、被災者や支援者への配慮が感じられない発言について、県議団会長として責任を取ったものと受け止めると述べています。
政治資金パーティーを開催したこと自体を、違法だったと断定する根拠は確認していません。問われたのは、災害直後の判断と発言、危機時の政治家としての姿勢です。
そして会長辞任から10日後、松尾県議は採決中止動議に賛成しました。
7期の元会長として、辞任後も議会の信頼回復へ行動すべき時期でした。
松尾統章県議は採決中止動議に賛成した
TNCテレビ西日本は、動議の採決時に起立した議員を記者が議場で確認し、賛成49人の氏名を公表しました。松尾県議はその一覧に含まれています。
自民党県議団は採決中止動議への賛成に党議拘束をかけました。採決に参加した自民党県議38人のうち37人が賛成し、反対したのは江藤秀之県議だけでした。
松尾県議は、本案を採決しないよう求める動議に賛成しました。
本案は採決されず、辞職勧告への本人の賛否は分かりません。
元会長は党議拘束の決定過程も説明すべきだ
党議拘束を最終的に誰が提案し、どのような議論で決めたのか。公開資料だけでは、全容を確認できません。
松尾県議は採決時点では県議団会長を辞任していました。したがって、党議拘束を松尾県議が決めたと断定してはいけません。
それでも、採決の10日前まで会長を務めていた元トップです。
県議団内で何を発言したのか。採決を行う案を支持したのか。党議拘束に異論を唱えたのか。最終的になぜ賛成したのか。
長年の党内要職と議長経験を持つ松尾県議には、その経緯を自ら公表する責任があります。
TNC調査では79%が公開採決を求めた
TNCが2026年8月19日に県内有権者を対象として実施し、男女1,020人が回答した緊急世論調査では、緊急動議を「不適切な対応で納得できない」とした回答が75.0%でした。
「採決を行い各議員の賛否を明らかにすべきだった」は79.0%。「問題ない」は7.0%です。
2027年統一地方選の投票行動に影響するとした回答は合計79.1%でした。
最多得票で選ばれ、議会と最大会派のトップを経験した松尾県議は、県民の不信を解く側に立つべき人物です。
説明をしない、採決もさせないという対応では、信頼回復と逆方向です。
松尾統章県議に答えてほしい7つの質問
- 採決中止動議に賛成した具体的な理由は何ですか。
- 辞職勧告決議案が採決されていたら、賛成と反対のどちらへ投票する予定でしたか。
- 「積極的で分かりやすい議会情報の提供」を、有権者が求める基準としてどう考えますか。採決中止によって本案への判断が見えなくなったことを、どう説明しますか。
- 採決の10日前まで県議団会長だった立場として、党議拘束の決定過程で何を発言しましたか。
- 地震直後の政治資金パーティーを巡る会長辞任後、議会の信頼回復のために何を実行しましたか。
- 20,993票を託した八幡西区の有権者へ、今回の投票をいつ説明しますか。
- 採決中止動議の議員別賛否を県議会公式サイトで公開することに賛成しますか。
よくある質問
Q1. 松尾県議は蔵内議長の辞職に反対したのですか?
採決中止動議には賛成しました。辞職勧告決議案は採決されず、本案への賛否は分かりません。
Q2. 松尾県議は現在も自民党県議団会長ですか?
いいえ。2026年8月7日に会長を正式に辞任しました。本人公式サイトでは、自民党福岡県連特別顧問と掲載されています。
Q3. 政治資金パーティーは違法だったのですか?
批判されたのは、地震直後の開催判断と発言です。本稿で、開催自体の違法性は確認していません。県議団会長を辞任した経緯と、切り取られた放送だったという本人の反論を併せて紹介しています。
元議長・元会長として、採決中止の理由を説明すべきだ
- 松尾統章県議は北九州市八幡西区選出、自民党県議団所属の7期目
- 2023年県議選は20,993票で最多得票
- 第63代県議会議長、議会運営委員長、県議団会長などを歴任
- 2024年に自民党県議団の代表質問を担当
- ベトナム友好議員連盟会長として国際交流に関与
- 地震直後の政治資金パーティーと発言を巡り、2026年8月7日に県議団会長を辞任
- 8月17日の採決中止動議に賛成した
7期にわたる議会活動、代表質問、国際交流は確認できる経歴です。
その長い経験と要職歴があるからこそ、危機時の判断と採決中止への責任は重い。
松尾県議は、役職辞任だけで区切りをつけず、採決を止めた理由と本案への考えを八幡西区の有権者へ明らかにするべきです。
関連記事
- 福岡県議会・金銭授受疑惑/採決中止 検証アーカイブ
- 福岡県議会・採決中止動議の賛否一覧
- 林泰輔県議とは何者か
- 江藤秀之県議とは|自民で唯一、採決中止動議に反対
- 今林久県議とは|8期・元議長が採決中止動議に賛成
確認資料・参考リンク
- 福岡県議会|松尾統章議員プロフィール
- 松尾統章公式サイト|プロフィール・経歴
- 福岡県議会|歴代議長の一覧
- 福岡県|2013年の第63代議長紹介
- 福岡県議会中継|松尾統章議員の質問一覧
- 北九州市選挙管理委員会|2023年県議選執行結果
- 福岡県議会|空港・交通インフラ調査特別委員会
- 福岡県議会|福岡県・ハノイ市友好交流の公式記録
- 福岡県|松尾統章県議団会長辞任に関する知事コメント
- RKB/TBS NEWS DIG|地震直後の政治資金パーティーと発言(確認時点でリンク先を取得できませんでした)
- KBC|会長辞任時の囲み取材
- テレビ西日本(TNC)|採決中止動議に賛成した49人
- TNC/FNN|採決中止の舞台裏と党議拘束
- テレビ西日本(TNC)|県内有権者1,020人への緊急世論調査
- 福岡県議会|令和8年8月臨時会の採決結果
追記(2026年9月16日現在)
福岡県議会では、2026年9月9日の9月定例会開会日に大島道人議員(自民党県議団)が議長に選出されました。大島議長は、金銭授受疑惑に関する第三者委員会への議会の協力と調査結果の公表、9月定例会中の政治倫理条例の制定、議員報酬・定数・選挙区の見直し、議長在任中の海外活動を実施しないこと、議会と執行部の関係の見直し、ワンヘルス施策の議論という6項目を「議長としての約束」として示しています。
本記事の対象である松尾統章議員について、2026年8月17日に確認できるのは、蔵内勇夫前議長への辞職勧告決議案の採決を止める動議についての「賛成」という記録です。辞職勧告決議案そのものは採決されていないため、松尾統章議員が本案に賛成・反対したと推測できる状態ではありません。
福岡県は9月14日、「改革の地図」を公開し、海外活動、県議会と執行部の関係、部課長会による政治資金パーティー券購入補助、ワンヘルス、講師謝金、議員連盟への補助金を改革項目として整理しました。議長の約束と県の改革ロードマップは、今後、制度化・調査開始・結果公表まで進んだかを確認するための基準になります。
また、9月16日報道では、県議会側の第三者委員会について、弁護士13人で9月17日に設置する方向とされています。ただし、2026年9月16日時点では、公式に設置が完了したこと、調査が始まったこと、委員名簿や報告書の公表時期は確認できていません。報道された予定と、公式に確認できる実施結果を分けて追跡します。
出典:福岡県議会「議長としての6つの約束」/福岡県「改革の地図」/福岡県議会「令和8年9月定例会の代表質問表」/福岡県議会「令和8年8月臨時会の採決結果」/第三者委員会に関する9月16日報道(元記事は確認時点で閲覧できませんでした)


